第5話の内容がかなりシンプルで、自分の時間も結構取れていたので今回はかなりスムーズに書けました
今回は楓花と澪尾の話はメインではなく、別の陣営のお話です。
では、ご覧ください
僕、ダレン・スペクターは世界一ヘンな運命を持つ男であるという自信がある。
小学校、中学、高校は普通に、なんの荒事もなく過ごした。というのもこれは僕が小さいとき、僕の先生から教えられた「約束」を常に信条として生きてきたからだ。
高校を卒業してから、僕は軍に入隊することに決めた。特にすることがなかったのと、いろんな経験を積んでおけば自ずと得られるものもあるだろう、と判断したためである。
しかし、僕はここで地獄を見ることになる。
元々やせぎすな体形で体育会系のようなコミュニティが僕の性に合わなかったのだ。
今思えば、あの判断はかなり僕の人生にとって悪手だったといえる。
それから、あまり詳しい期間は覚えていないけど、すぐに除隊した。
数えきれないほどのパワハラ、モラハラ、
・・・それにセクハラだってされた。さすがに僕は自分のケツを掘られに軍に入ったわけじゃない。
除隊してからはすぐに雇ってもらえる会社を探し、職に就いた。・・・だけどネクラな性格が祟ったのか、上司や同僚とすぐトラブルを起こした。
結局なんやかんやあって会社はクビ。 次の会社を探した。
次の会社はかなり居心地がよかった。自分と同類が比較的多かったからだ。この時同僚に勧められ、小さい頃は気味悪がってたオカルトにはまる。僕が22歳の時だ。
しかし、僕にとってビルが立ち並ぶストリートというのはかなりストレスだった。いや、人と人の関係というのが億劫だ。というのが正しい。
僕はまた会社を辞めた。その時はちゃんと友人である同僚も別れを惜しんでくれたし、今も彼らとはたびたびパーティをする。
僕は西部の田舎に移り住んだ。とても静かで人との関わりも最小限に抑えられる。ここで自給自足の生活を送ることに決めた。
そして、そこそこ集まってきたオカルト仲間たちとレスをしてる時に、僕の運命は変わった。
なんでも、「極東の小さい島に小規模で魔術的なゴタゴタが起こっているらしい」というのをオカルトスレで見つけたからだ。
このことはレスをあさっている僕やオカルト仲間の間で有名になった。情報源が現地であるのと、レス主の正体が特定できない、他にも興味心をくすぐるような要素がありまくってた。
僕自身、外出のけだるさよりも興味のほうが勝ってしまった。
幸か不幸か、僕以外に暇な奴はいなかったらしい。ならばこれは僕だけで独り占めするとしよう。と、
着弾してからは、海谷のはずれにある、手ごろな家を借りた。日本の家はウサギ小屋なんて話をきいたし、ただでさえ小さいのにマンションやアパートだったら息苦しくて死にそうだと僕は踏んだ。
それから、あれこれとオカルトグッズを家において、生活の足回りも用意した。
観光ついでに、海谷の心霊的なもの、今回の「ゴタゴタ」に関係がありそうなものを隅から隅まで調べまくった。
そして、現在に至る。
「はぁ・・・」
海谷に到着してから三日目。パソコン右下の端にあるカレンダーは「Fryday」の文字。こんなに経ったのに、こんなに進まない。
完全に手詰まりである。正直、自然を離れてここまで歩いてきたのは社会人時代以来だ。
あのレス主の正体もここに来たのに掴めない。もう少しなんだ。だけどそのもう少しに僕はたどり着けない。
そういえば、と
僕はまだ整理されていないダンボールを漁った。
「....あった。これか」
それは、1冊のボロボロな本だった。引越しをする前、実家に行ってオカルティックな道具を探していたらこれが見つかったのだ。
親父やお袋に聞いてもその存在、出自は謎らしい。
ただ親父は『「その本を余所者に渡してはならない」とだけ聞いたことがある。』という情報を口にした。
僕はなんとなくその本をめくろうとしたが、
「こんな破れやすい本、素手で触ったらやばいだろうな・・・」
と、今度は白い手袋をはめ、ピンセットを以て開帳する。
開くと、ほぼ内容は虫に食われていたが、端的に言うとこれは
「聖・・・戦争の・・・容を、・・・」
僕はすぐさまノートPCを開いた。本に書かれていることで怪しいやつを見つけたらすぐさま検索。これを繰り返していった。
が、ほとんどそれに類するものは出てこなかった
しかし、それでこそこの書の信憑性が増してくるというものだ。
「いいぞ・・・いい・・・。でもまだ大ダネがないな・・・。」
そして、僕は本に書かれている奇妙なものを目にした。
「なんだ?この紋章・・・」
その隣のページには「召喚」とうっすら書かれているらしい文章が載っていた。
「これ、もしかして・・・」
間違いない。大方予想はついた。つまり
「悪魔の召喚書だ!昔、悪魔召喚の儀式が起こるときに、僕のご先祖様はこのことを記していたわけだ!」
と、あれこれ推測や解読が一気に進まった。点と点が線になる、とはこういうことを指すのだろうか。
いや、そうに違いない
ここで大きな難関が一つ
召喚のためには生き物の血が必要だと分かった。
「まいったな・・・。」
自分の血を・・・と思ったが陣を組むのに必要な血を想定するとかなり血の気が引いた。
「どうしたものか・・・」
と、窓へ目をやるとそこには、にゃあと鳴く小動物が。
「!?」
野良猫と30分の格闘をして捕獲は成功した。
「日本は銃禁止だからな・・・持っていたら一発で仕留められたのになあ・・・」
と、ぼくはナイフでその猫に切り傷をいれながら、ドクドクと流れる赤い液体を瓶で集める。
「うげぇっ」
勢いでやってみたはいいものの、実際かなりグロテスクだ。血が流れるのは何回見ても僕は耐性の付くものじゃあなかった。
「ごめんよ。ちょいとばかし、頂戴するだけだ。おわったら治療してやるからな。」
第一関門はこれにて潜り抜けた
結構血をとったが大丈夫だろうか、と心配しながら僕は猫に応急処置をした。
軍での訓練の中で、真面目にやった数少ないことが応急処置でよかったと思っている。
本来は人を想定しての救命だけど・・・まあ要所要所には手当てしたから大丈夫だろう。
猫は意識が朦朧としていながらも、息はあった。引っ掻こうとするあたり野良猫のしぶとさを、しみじみと感じさせられる。
僕は猫に栄養剤をうった。これも猫ちゃん用じゃないけど、まあ大事はない。そう思いたい。
早速僕はそので血で本の書いてある通りに魔方陣を描いた。
この紋様自体の意味は分からないが、何か精密なしくみがこの陣の中に仕組まれてあるのだろう。
「ふぅ・・・描いたぞ!」
作業がひと段落ついたので、ここで休憩をする。僕は手を後ろについて海谷の空を見た。
―思えば、今日はかなり幸運が続いたものだ。
といっても、本来の目的にそれてはいないかと懸念はしたものの、まあ興味を満たすものはできたしそれで十分だろう
その時だ。
「
右手のほうに瞬間的だけど強烈な痛みを感じた。
まさか猫が起き上がって反撃でもしたのかと猫のほうを見る。
しかし、ヤツはまだ眠ったままだった。
「・・・?」
僕は次に、痛みのした右手の甲を見た。
すると、赤いロゴのようで、それでいて不気味な
「えっ・・・えっ・・・!」
あり得ないことは次々と起こる。
描いた魔方陣がバチバチ、と音を立てて光を発している。そしてその光とバチバチはどんどんと強くなっている!
その光は暗くなることを知らない。さらに召喚陣の周りを風が吹きまくていた。
すごい。すごい。すごい!来るぞ!
―そして、
正面から急に懐中電灯を点けられたかのように、僕の視界は白一色となった。
目を開ける。すると、髪を結った、白い衣をまとっている人影がそこに立っており、さっきの僕のように空を見ていた。
やがてソイツは僕の存在に気づき、気圧されてすくんでいる僕のほうへ近づき、こう尋ねた。
「君が、私のマスターかい?]
・・・マス、ター?
とりあえず、落ち着こうと悪魔(?)を椅子に座らせ、仔細を話した。
「はぁ・・・そういうことか。」
とりあえず大方話は聞いた。聖杯戦争から、令呪やら英霊やら・・・それらの情報は僕にとって垂涎ものだった。
「これで理解したかい?」
むこう側に座っている、悪魔と思ってたものはかなり板についた様子で僕の淹れたコーヒーをすすっている。
「苦ッ!!!」
そして床に黒いソレをぶちまけた。
「・・・なんだ。この苦いのは。何だ?私をサーヴァントだと見くびっているのか?ええ?」
「ああいや、そんな気はないんだ。待ってくれよ。すぐ床を拭くからさ。」
気を取り直して
「今度は大丈夫だろうね?」
「ああ。さっきはすまん・・・苦いのはびっくりするよな。そこにシロップを用意した。・・・ああ、苦いのを和らげるやつね。好きなだけ入れて、そばに置いてあるマドラーでちゃんとかき混ぜてから飲んでくれ」
そうすると彼女(いや、彼なのか?とにかく中性的な見た目だが、今は「彼女」と考えよう。)は、気難しい顔をして、シロップを1個2個・・・7個入れてコーヒーをすすった。
「ふむ」
今度は平気らしい。
「で、だ。」
彼女は話を切り出した。
「契約するか、契約しないか。選びたまえ。君にはそれを選択する権利はある。」
そんなの、決まってるじゃないか。
「そりゃあ、僕は参加するよ。せっかく出不精のオカルトマニアがここまで来たんだ。こうなったら、趣味に生きて、趣味に死んでやるともさ。」
さて、次にやることと言ったら・・・
これも決定事項だ。
「ん?ダレン。何をするつもりだ。」
「何って、今起こった出来事をスレでぶち込んでやるのさ。こんな面白いこと隠しておけるわけがないだろ?」
こうして僕が[投稿]の文字を押そうとした瞬間。
「あれ・・・」
いや、キーを押そうとしているけど、キーが近いようで遠い。
「今君は、とてつもなく軽率な行動をしているということに気が付かないのかい?」
僕はすぐさま彼女のほうを見た。
「だから私が
「!?」
これが、この英霊の力なのか?
「よせよ。僕の邪魔をするのはとても頭にくるぜ。確か令呪って契約しているサーヴァントに命令できるんだったな?君がこれを解かないのなら僕だってやり方が―」
「今、君が向こう見ずな行動で君の一連の努力の成果を見せびらかすとしよう。考えてみろ。これは戦争なんだぞ?敵はどこにいるかもわからない。今だって、君と同じ状況にあるかもしれない。」
「それに」
雄弁はまだ止まらない
「私が今この体で土を踏んでいられるのは、隠し続けないといけない技術によって成り立っているからだ。魔術とは、そういうルールなんだ。こればかりは魔術を作ったやつに言ってくれ。令呪でやるのなら大いに結構、君がたった3画しかない貴重な強制命令権を使ってまでしたいのならどうぞそうしたまえ、私は君のためを思って忠告しているのだぞ?イギリスに『好奇心は猫を殺す』ということわざがあるようだが、使い方に多少の差異は有れど今の君にはそれが一番お似合いだとも。」
「だからやめたまえ」
彼女は続けた。
「魔術はね。『神秘』であるからこそ魔術なんだ。隠すことに意味があるのさ・・・明かしてしまったら?それは科学がその仕事と置き換わることになる。君がばらさなければ魔術は魔術でいられる。好きなコンテンツが生き続けるのだよ?今を重視するか、未来を重視するか、だ。ダレン・スペクター。」
「・・・わかった。そこまで筋が通されちゃあ僕も返す言葉がないよ」
僕はパソコンをぱたんと閉じた。
「賢明な判断だ。」
そしてすぐ彼女は言う。
「この忠告はこれっきりにしておいてくれ。これ以降君が『利敵行為』ともみれる言動をした場合、私は君を見捨てるからな。」
「オーケイ・・・」
この英霊がどれだけ聖杯戦争に固執しているのが分かった。
そういえば
「ああ、そうだ。君の真名を教えてくれるかい?今話せないんだったら、せめてどのクラスなのかくらいは知りたい。」
彼女はさっきとは打って変わって冷静な態度で返した。
「そうだな。自己紹介がまだだった。今回はアーチャークラスで現界した。私の真名は―」
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最強の女子高生、覡 楓花の朝は早い。
朝起きて、支度をして、下に降りて、朝食をとり、玄関をくぐって、さあ学校へ!レッツゴー!
まさにいつもの日常である。いやー!日常っていいなー!ビバ平穏日和!
「おい、マスター。」
そしてその日常はただちに崩れ去ったのである。
「なぁに、セイバー。」
「おまえ、どこ行くんだよ。」
「え、学校だけど。」
セイバーはため息をつく。
「な、何よ?別に学校行ったっていいでしょ?」
「ガッコウ、ってたしかお前みたいな年のやつらが集まる場所だろ?それならずいぶんと人が多いところにいくっつうことじゃねえか。」
「それの何が悪いの?」
「右手の甲を見ろ。忘れたのか?」
あっそうだ。
まあ急にこんな赤くてくっきりした痣誰かに見られたらそりゃあ怪しがられるよね。
「あ、あははぁ・・・こりゃあ失礼いたしました。」
「いくっつうんならよ。何か羽織れ。ないよりマシだろ。」
セイバーに言われて、私はすぐセーターを出した。
そういや、学校行かないって選択肢もあるのか・・・
いや、学校は行くもんだし、なんか今行かなくなったら明日また休みそうだし。
それに、澪尾がいるかもしれないし。
「おはよー。」
「・・・でさー。聞いたー?」
「えーまじ?!」
いつもの喧騒が続く中、私は教室へ行かずに部室へ行った。
ドアを開け、そこらへんにかばんを置き、椅子に座らずに壁にもたれかかって体育すわり。
いつも始業前からこうしているが、今日はなんだかいっそう
「澪尾・・・」
昼休み、澪尾のクラスの担任に呼ばれた。
「覡 楓花さんか・・・」
国語の教師の川藤 大村先生。たまーに臨時で私のクラスの古文を教えたりする。
「宍戸のことなんだが、欠席届が出ていないまま休んでるんだ。お前、宍戸と同じ登山部だろ?何かあったのか?週末は活動を行ったって聞いたぞ。」
「あっ、それなんですけど・・・」
私と喧嘩して休みました。なんて言えない。いったところで、だよね
「澪尾、右腕ねん挫したらしくて・・・、しばらく休むそうです。」
「はぁ・・・」
川藤先生は微妙な反応である。
「まぁ分かった。体調不良、っていうことだな?わかった。わざわざ呼び出して、すまないな。」
「はい。失礼します」
結局、今日は澪尾を見ることはなかった。
下校中、急にセイバーが現れて話を切り出した。
「おい。」
「わっ」
「どうすんだよ、澪尾とかいうやつ。」
「てかセイバー急に消えたり出てきたり何してたの?」
「ずっとお前の近くにいたが。」
「えぇ!?」
私は驚いた。コイツうそをついているんじゃないか。いや、日中君見なかったよ?
「あぁ、俺たちサーヴァントはな、霊体化っていってな、簡単にいや幽霊みたいな状態になることができる。その間は斬る殴るとかの物理的な攻撃が効かねえし、魔力の消費も抑えられる。」
「えぇ、それ最強じゃん。」
「まあこっちからも攻撃できねえんだけどな。そんなうまい話はねえんだなこれが」
「あっそうなの・・・」
セイバーが話を戻す。
「でだ。キャスターのマスター、どーすんだよ。」
「うーん・・・」
私はセイバーに思っていることを告げた。
「私ね、澪尾と仲直りしたいの。・・・仲直りじゃなくても、今まで私がやってきたこと全部謝りたいなぁ、って。」
「そうしたら、もし殺しあう関係になっても、後悔せずに済むだろうから・・・」
私は今日の学校の時間を振り返った。友人がいないだけでも、こんなにも心に穴が開くのかとしみじみと感じられる。
「いや、殺すわけじゃないよ?殺すわけじゃないけど・・・澪尾は今はもう敵みたいなもんだし、怒ってるし・・・」
他にも言いたいことはあるのに、なぜかここで詰まってしまう。胸いっぱいになっているんだろうか。
「・・・なぁマスター。一つ方法がある。」
「何、セイバー」
「アイツと仲直りする方法だ。」
私はセイバーからの提案を聞いた。
「・・・」
「これだけだ。おまえができて、俺が納得する方法だぜ、ただ欠点もありありだけどよ。」
「いいね!その提案、ものすごく最強!そうと決まればすぐ行動ッ!行くよ!セイバー!」
作戦決行。準備は万端。装備はセイバー一人で十分。まあ澪尾がいなかったらそこまでだけど・・・
「準備はいい?セイバー」
「ああ、ただよ、相手はキャスターだ。どんなもん仕掛けてくるかわからねえからな。」
「へーきへーき!最強だもん!澪尾にごめんなさいして、今日のやることはこれでおしまい!」
私は深呼吸をした。そして
「いざ!澪尾の家へ!」
私はかつて、そしてこれからも友であってほしい人の前に立っている。
私が今から押すであろうピンポンは運命が変わる音でもあるのかもしれない。
いかがでしたでしょうか、
ダレン・スペクターのその後、アーチャーの真名、乞うご期待。としか今は言えません。
そして次回から楓花が澪尾の家でドンパチしかけます。
最後までお読み下さり誠にありがとうございます。
感想など頂けましたら幸いです。