鬼滅の騎士   作:gilgan

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退社式がなかったので初投稿です
因みに縁壱さんの王馬くんへの呼び方は兄上に変更させていただきました。

こんなに感想やお気に入りをありがとうございます。

こりゃみんなジャンプ買って鬼滅の刃を読むしかないね(ニッコリ
ちなみに電子版ならなんと鬼滅の刃がカラーで見れちゃうんだ。問答無用で買いだね。神ゆいもいいぞ!

今週の鬼滅感想

ワニは鬼
 

ちょっとミスって修正するために一時非公開にしました申し訳ありません。


彼女から見た彼

 

 

その子が『若葉の家』に来たのはまだうたくんが来る前だった。

 

初めてみた時は額の特徴的な痣と表情を変えないせいで怖いイメージが湧くとともに、今改めて表現するなら浮世離れってこういうのなんだなって思うくらいその言葉がぴったりな子だと思った。

 

とは言え今までいろいろな事情で来た子供たちの面倒を見てきたため、そういうことに慣れていた私は変わった雰囲気の子だなと思いつつもいつものように院長先生が見られないときのため、後に師匠と呼ぶことになる彼を連れてきたお爺さんにその子のことを聞いた。

 

連れられてきたその子はお爺さんの知り合いの家の子らしく、家に居づらくなって家を出た後街をふらついているところをたまたま見かけたお爺さんが弟子にして面倒を見ようとしたが本人はおかまいなくの一点張り、自分に懐いてもらって弟子にしようと思い、色々な場所に連れまわしたが、彼はそれでも首を縦に振らなかったらしい。

 

困ったお爺さんはじゃあどうしたい?と聞いたら、彼はたまたま近くにあったこの『若葉の家』を見て、私のような身寄りもない子供は孤児院に行くべきでは?と答え、じゃあ入れさせてみるかというノリ以外の何物でもない経緯でをここに来ることになったらしい。

 

 

さすがにいろいろな事情の子供が来るとはいえ、この『若葉の家』の中でもトップクラスにおかしい経緯だったため、しばらく開いた口が塞がらなかった。

 

さすがに慣れていた私でもこんな経緯で入ったことは信じきれずについ初対面の相手に対し、

「どうしてここに来ることになったの?」と聞いてしまった。

 

どうかしてたのだろう。人によっては殴られても文句を言えないことだ。それ程までにテンパってしまっていた私をよそに彼は、

「先ほど南郷さんが言っていたことがこの孤児院に来ることになった経緯です」と無情に告げた。

 

正直その後のことは覚えていない。

あとで聞いた話だが目が半ば死んだ状態で彼に孤児院を案内していたらしい。

 

 

気が付くと彼が『若葉の家』に入って1週間がたっていた。

 

さすがの私もあまりに特殊すぎる経緯でここに来ることになった子に対してどう接するべきか迷っていた。

話を聞く限りだと、彼は自分から孤児院に入ることを望んできたらしいが、本当なのか怪しくなるレベルだった。

話しかけても返事を返してくれてはいるのだがどうにも会話は続かず、喧嘩している子たちのそばで我関せずとばかりにオカリナを吹いて喧嘩している子たちから邪魔だと怒鳴られ何も言わずに移動して外で吹く始末。

 

ある日、迷った末に自分に宛てがわれた部屋でオカリナを吹いていた彼に直接聞いてみた。

「縁壱くんはどうして孤児院に入ろうと思ったの?」

 

彼は吹くのをやめ、こう言った。

「私は家を出て行く当てがありませんでした。かといって南郷さんの好意に甘えていたら余計な災いがあの方に降りかかるやもしれません。その時思ったのです。私のような子供は孤児院に入るのが筋ではないのかと…」

 

「色々言いたいことはあるけど、そういうことは周りの子には言わないようにね」

 

「分かっています。南郷さんからも言われました。お前はズレているからあまり喋らない方が拗れなくて済むと」

 

あっ、この子ただの天然だ。

なんだか今まで気を張って損した。無駄に気を張ったせいでなんだか凄く疲れた気がする。

 

「いや、今のはそういうことじゃなかった気がするけど…まぁいいか。ねぇ、オカリナ聴かせてくれない?」

 

そう言った私に対し、彼は無言でオカリナを吹き始めた。

彼のオカリナを聴きながらもっと積極的に動いていればこんなに疲れなかったのに…今度はもっと積極的にやろう…と思いながら私はいつの間にか眠りに落ちていった。

 

 

その日以来、私が手伝っている仕事を彼が助けてくれるようになった。

 

喧嘩の仲裁に入った私に振るわれた拳を庇ってくれたり、料理を作る私を補佐してくれたり、魔力持ちの子に鬼ごっこでカモにされて困っていた時も速く走れる方法や走るときの呼吸の仕方も教えてくれた。

 

でもまさか私もこの時教わったことが元で、たまたま来ていた師匠に弟子にならないかと誘われるとはこの時、思いもしなかった。

 

私をいつも助けてくれる彼への信頼は高くなり、何時しか私は彼をよりくんと呼び、彼のほうもいつも敬語だった口調が砕け、刀華と呼んでくれるまでになっていった。

 

それからの『若葉の家』はうたくんやカナちゃんも加わって変化は起きたが、それでも楽しかった。

 

うたくんが私を揶揄って、私がうたくんを注意して、カナちゃんがそれを見て笑い、よりくんがオカリナを吹いている。

後はうたくんがよりくんに様々な勝負を挑んだり、みんなで訓練と称し騎士のごっこ遊びもしたが魔力を使っても彼に触れることすら敵わなかった。

 

――――いつの間にか、彼が『若葉の家』に来た当時からは考えられないくらい彼もこの家にも笑顔が溢れるようになった。

騒がしくも楽しい日常がいつまでも続くと思われていた………しかし彼はある日、置手紙だけを残し忽然と姿を消してしまった。

 

 

ある日、彼が手紙だけを残して『若葉の家』からいなくなってから数年が経った。

 

当時、うたくんは『若葉の家』に来た頃を思い出すかのように怒り、カナちゃんも彼だからしょうがないと言いながら笑ってはいたが普段に比べどこか元気がなく、院長先生や子供たちも悲しんでいた。

 

自分の部屋に戻ると刀華へと書かれた手紙があった。

中身は街に出ていた時に彼がいた家の者が彼を探していること、変に知らせると問題が起きる可能性もあることから誰にも教えられなかったということ。

あの呼吸をどうするかは私に委ねること、離れていても私の夢を応援してること、最後に私たちに不義理を働いたことに対する申し訳なさを綴った言葉で締めくくられていた。

 

最初は私何も言わずにいなくなったことに落ち込みはしたが、あまり驚きや悲しいといった感想はなかった。

『若葉の家』に来た経緯からして彼がずっとここで暮らすとはあまり考えにくかったからだ。

もっとも彼があっさり野垂れ死ぬなんて考えられなかったからというのもあるのだが…

 

ともあれ、さすがに一言くれなかったことには若干の怒りと文句が湧くが、それも会ってからどうするか決めよう。

私の夢を追い続けていれば、きっといつかまた彼に会うことができる。そんな気がするのだ…




~余談~ 

縁壱くんが吹いている曲は特に意味はありませんが、大体ゼルダの嵐の歌吹いてます。
理由?オカリナで好きな曲が嵐の歌だからです。つまりはシュミッ!!

原作にて南郷さんはシニア時代の合宿にて刀華さんに目を付けたとのことですが、ここでは時折、縁壱くんの様子を見るために若葉の家に来ています。その時たまたま鬼ごっこで鬼になって縁壱くんを追いかけている刀華さんの動き方でちょっと気になり弟子にしてみたって感じです。正直様子を見るだけじゃ暇すぎたせいもあるかもしれない…


正直書いているとこれ面白いのか?って気分になることが多々あるので感想をくれたらこの方向性でセーフなんだなって安心します。ですのでこれからも感想をいただけると嬉しいです。
ちなみに次回は内容は決まっていますがまだ書いていないため未定です

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