苦手な方はバックをお勧めします。
あんたさえ生まれなければ それは申し訳ない
よろしくね、今日から僕が君のお父さんだ 何日続くのやら
気味の悪い子、笑わないなんて 可笑しくもないのに笑えない
○○ちゃんはお母さんが好きですか? この世のだれよりも○○○○○
でも‥妹は好きだった。
暗い景色に入れ代わり立ち代わり自分に話しかけてくる。
自分を生んだことを後悔して憎んでくる母親・シングルマザーの母の恋人・そして児童相談所の職員まで。
随分と懐かしい夢を見ている、とうの昔に置いてきた自分の記憶。
-この世界-に生まれる前の自分の記憶だ。
自分がアルキードに生まれる前の。
物心ついたときから自分は母に酷く嫌われていた。
自分が出来たことで恋人が逃げたと言っていたのでそのせいだろう。
打ち据えられて罵られ、食事は良くて一日に一度あればいい生活だった。
食べられないことよりも辛いことがあった。
母は懲りずに男と付き合ってまた子が出来た。
そのせいでまた逃げられて、堕すお金もないと嘆いた末に生まれたのが妹だ。
たった一週間だけの妹でも、自分には十分愛おしさが感じられた。
育児放棄をした母は、自分に赤子を押し付けて出ていった。
何かを飲ませないと死んでしまうと幼児の自分にも分かったので盗もうとした。
普段の汚い身なりを精一杯整えて、一度だけ母の気まぐれで連れらて行ってもらったお店とやらに行ってみた。
赤ん坊は何を飲むのか分からないので赤ん坊を連れた大人に聞いてみた。
その人はお人好しで、売り場まで連れて行ってくれた。
「お母さんに場所を教えてあげてね。」
どうやら自分は母と妹と来た親子だと勘違いをしたようで好都合だ。
ミルク缶とやらがいるのか。
持って自分なりに走ったが、大人たちに捕まった。
いたずらが過ぎると笑っていた大人に腹が立ち、思い切り蹴飛ばし噛みついた。
笑うな、妹が腹を空かせて待っているんだ!そこを退け!!
怒鳴ってからが自分の世界が一変した。
警察とやらから人が来てアレコレ聞いてきた。
自分一人ならば母に迷惑がかかるようなこんな間抜けはしないのだが、如何せん妹がかかってはそうもいかない。
ない頭で考えても、赤ん坊を自分で面倒を見るのには無理しかない。
仕方がないので自分達の事をすべて話した。
結果、母から引き離されて施設とやらに妹と一緒に入れられた。
妹はへその緒が取れた三日後にいなくなった。
腹が立って暴れた自分に職員とやらが説明をしてくれた。
妹は新しい家族に引き取られたのだと。
「飯は食える所か?」
「きちんとした家族よ、満腹するまで食べられます。」
「蹴ったりぶったりする奴は?」
「大丈夫。」
それならいい、あいつが自分のようにお腹がすくことも、寒さに震えることも痛くもなんともないならばそれでいい。
それでも気になることはまだある。
「あいつを飽きて捨てないか?」
母に出来た恋人とやらや、母のようにまた捨てに来ないだろうか?
その時は自分が必ず拾いに行こう。
そして今度は二人きりで暮らすんだ。
自分の言動にあきれ果てたのか、親切そうに見えた大人たちは自分によそよそしくなった。
後から考えれば、なんと扱いずらく可愛げの欠片もない子供だったのか。
その施設は周りの物に比べて比較的里親が来るところだったようだが、自分はいつも残された。
後から入ってきた子たちを見送るように。
「少しは笑ったら?」
「おかしくもないのにか?」
「そういうところが駄目なのよ!」
自分は引き取られないことを気にしていないのに、周りの大人たちはいつもそのことをカリカリとしていたな。
たまに泣きそうな顔をして言ってきたのは何故なのか今でも分からない。
ノルマがどうとか私の事を不憫だと言っていたが自分の知ったことではない。
妹は元気にしているだろうか、自分の思考の大半はそれだけで占められていたのだから。
だから何も思わなかった、母に腹を刺された時には。
「ふふ、もうね、こうするしかあなたを手に入れる方法がないの。」
自分の下校時間を見計らってきた母は何も言わずに刺してきて、倒れた自分に笑いながら話しかけてきた。
ああ、母は寂しかったのか。
ぶたれ蹴られが、時々自分は母を慰めていた。
恋人とやらがしていたように、酔い潰れて布団で眠っていた母に子守唄を歌ってやった。
最低な母だが疲れているのだから慰め位ってあってもだろう。
歌を聞くともぞもぞ動き、自分の頭よりも小さい私の膝に頭を乗せて、甘えた可愛い声で自分を捨てないでという母の甘えを聞くのは好きだった。
慰めた翌日は機嫌が良かったのも。
自分と妹が離れた後母を慰めてあげられなかったのが心に引っかかっていた。
本当はただ寂しがり屋で甘えん坊の母が自分を刺した包丁で自身の首をた切ったのを見てとても安心をした。
これで母はもう寂しがることはないのだ。
それならば、自分が生きている理由もなくなった。
妹はどこか別の場所ですくすくと育っているという、母も寂しがることはもうない。
今死んでも惜しくはない
気分良く死ねると目を閉じたのだが・・・なにがあったのか、起こったのか。
次に目を覚ましたら赤子になっていた。
知らない天井が見えたので周りを確認しようとしたのだが動かずに、手を見れば自分の物とは思えないボンレスハムのような手だったのには驚いた。
まるで妹のような・・・まさか赤子の手か?
三日は呆然として過ごした。
赤ん坊の本能に身を任せ、母乳や排泄は自動的に動かして頭だけが違う生き物だった。
死んでまたやり直しか?面倒くさい。
三日かけた割に出た答えは平々凡々な答えだが仕方がない。
それが本心だったのだから。
だが簡単には死んでおさらばというわけにもいかないようだ、何故ならば
「-ルイ―シャ王女殿下-はお目覚めですか?」
どこぞの国の王女になってしまったのだから。なんともしちめんどうな。
赤ん坊に生まれて今日で半年、まだ前の人生を夢に見るか。