平和だな〜、空は青いし風は気持ちいい。
後数年したら魔王が攻めてくるとはとても思えん。
「王太子!仕事しやがれ!」
せっかくまったりしてたら脳筋馬鹿のミハイル来たよ。
「生憎と書類は終わって謁見はまだ陛下の仕事だ。
故にお前が言ったのは的外れだ阿呆。」
「口悪すぎねぇ?」
「王太子にそんな口きいても笑ってる私に感謝しろ馬鹿が。
出かけてくる。」
「・・また影武者すんのか?」
一国の王太子がホイホイ外出んなよ。
「大抵のモンスターなぞに私がどうこうできると?」
「へいへい、いってらっしゃい王太子様。」
ルイーシャをどうこう出来るモンスターなんて、神話クラスのモンスターでなけりゃ出来るかよ。
それをよく知るルイーシャ親衛隊の一人ミハイルはルイーシャが式神で作った影武者を護衛する振りしてルイーシャの自室に送り届ける。
影武者作ったルイーシャは全部の始末をミハイルに押し付けてお目当の場所まで全移動していってしまったのだ。
コッソリとお忍びの旅は楽しい。
権力なんぞ鬱陶しいものと無縁な場所で好き放題できる。
だからって遊んでんじゃないぞ、きちんと将来のことを考えて動いてんだぞ。
ミハイル達親衛隊に私の能力全て話した後、結構な頻度であちこち行くようになった。
在野に埋もれている卵探し、どっかにアバン越える逸材おらんかな。
優秀なやつ見つけて・・確か青田買いっていうのを始めたらトップバッターに偉い人発掘したよ。
「遊びに来たぞ〜獣王〜。」
ロモスは魔の森の住人クロコダイン。
きっかけはやっぱり趣味の森散策きっかけで、王太子になりました挨拶をロモスのシナナ王にした後散策してたら以外と奥まで来てしまった。
日中なのに日がささない魔の森は野生モンスターの宝庫だが、キマイラとか暴れざるとか可愛くない。
キャタピラやモグラ出せ、あいつらは可愛くて好きだぞ。
心の中で文句言いながら伸してたら、キマイラの野郎咆哮で親分に助け求めてクロコダインが登場。
クロコダインとしてはいきなりの助けを求める声に戸惑った。
ここ数十年、森の奥まで人間が踏み入ることはなく、なんとなしに人間達と暗黙の了解が出来ていた。
人間は森を荒らさず、モンスターも無闇に人間の村に近づかない。
そんなことをしなくともモンスター達は森の中で生活できるからだ。
草食モンスターは森の木のみを、肉食モンスターはその草食モンスター達を食べればいいだけ。
弱肉強食の掟の頂点に立つクロコダインもそうして森の中で生活してきたが、とうとう人間が荒らしに来たのかとは思えなかった。
それにしては数も気配も感じないからだ。
行ってみれば人の子供が暴れざるにいきなり襲ってくるなと説教されていた。
オレンジ色の髪の毛を振り乱す様が少々怖いが、モンスター達を殺す気はなさそうだ。
「あ〜、そいつらには俺から言っておくから許してやってくれないか?
俺は獣王クロコダイン。そいつらの・・まぁ頭だ。」
は?クロコダイン!
おやまぁ本物だ。ダイ達に目玉潰されていない獣王に出会うとは、面白い出会いしたものだ。
「私はルイーシャという。このモンスター達はもう説教したから解放するところだ。
腹減ってなさそうなのに襲ってきたのに腹が立ったから伸しただけだよ。」
大方小さな玩具来たから遊ぶ、猫感覚だろ。
「・・奇妙なやつだな。」
「何か私はおかしなこと言ったか?」
「あぁ、まるでそいつらが食べるために襲ってきたなら怒らないと言ってあるようだぞ。」
「確かにそうなら怒らず気絶させておわりだな。」
生き物は食ってはじめて生きてける、それが自然の摂理で正しい。
私だって毎日何かしら食べてるが、命弄ぶ馬鹿は嫌いだ。
「一度目は説教で済ませても二度目はないぞ。」
警告有りなんだから優しいだろ。
そう言ったらクロコダインに大笑いされたのは解せん。
「変わった奴だ。」
「そうか?」
以来獣王と誼みを交えることになり、私が二、三日おきにふらりとクロコダインの元を訪れる。
訪ねられるクロコダインも満更ではない様子でルイーシャを出迎え、一帯のモンスター達もルイーシャに懐き始めて一緒のお出迎えをしている。
きちんと酒と肴は持って、モンスター達にも生肉振る舞って真っ昼間から飲んで過ごす。
言ったらなんだか完全息抜きだ。
何を話す訳でもないが、モンスター達と触れ合いながら食べる飯は旨い。
クロコダインもポツポツと武芸の話し、モンスター達のよさを話しながら穏やかな時間を楽しんでくれてるようだ。
こいつが将来大魔王配下になってロモス襲ったら私の手で殺してやる。
だから敵に奔ってくるなよ?
お前の事本気で気に入ってんだから。
少しずつ原作登場人物出したいこう。