人外に愛されすぎる者   作:ドゥナシオン

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変にもてても嬉しくない主人公は複雑な気分です


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「お礼の品はいらん!時折この城にもといヒュンケルの所に来ても追いださなければそれでいい!ではさらばだ!!」

 

捨て台詞を吐きながらハドラーにヒュンケル押し付けて全移動してさっさとおさらばした。

道にも人生にも迷子になった子供を送り届けただけで、いきなり敵のトップに勧誘されるなどと誰が予想できる?できるわけないわ。

その場で襤褸出しても面白くないので全移動で撤退だ。

対処できなくて戸惑って逃げたのではない、戦略的撤退だ。もう一度言うが逃げたわけではないからな!ハドラーの懐の広さを見せつけられて、訳の分からん敗北感を味わったからでは決してないからな!!

 

誰に言うとでもなしにアルキードの自室の屋根裏部屋に籠ったルイ―シャは布団を被ってふて寝した。

今頃はパプニカ王宮にいるはずの自分がどうやってかわばれんだろうが、影武者仕立てて何やらさぼっているのをばれるのは色々と問題になって面倒なことになるので隠れてふて寝する。

 

一方の地底魔城出はヒュンケルが憂い顔になっていた。

ルイ―シャから押し付けれる様に渡され、魔王様にだっこされたままで父バルトスの下に向かっている道中で。

 

「どうしたヒュンケル、まだここにいられんと戯言を言うつもりか?」

「違います魔王様。その、あのさまよえる鎧さんが魔王様の配下になったら嬉しかったのですが・・」

「ふむ、お前もそう思うか?」

「はい、あの鎧さんは良い人です。それに力が強くてこの城の床を二回も叩き壊して魔王様のお城に行かれた強い方です!」

「そうか、勧誘し損ねて惜しいことをしたものだ。お前に通信魔道具を持たせておく。あの鎧が来たらすぐさま俺に知らせろ。使い方は・・」

「ヒュンケル!え?ハドラー様⁉」

 

地底魔城のどこかにいるバルトスを探しながら和気あいあいとしていた二人の下に、ヒュンケルが謎の鎧に人質に取られながらハドラー様の居室迄押し入られたときたバルトスは血相(?)を変えて闘技場で訓練していた配下たちをほっぽり出して爆走して駆けつけてみれば、すでに全て終わった後でしかも今まで会った事すらないわがことまおうさまがきゃっきゃうふふの抱っこ状態で歩いている方が更に衝撃的なのだが。

 

「父さん!」

慌てふためきながら走っていく父を見てヒュンケルの心はさらに罪悪感に満ち溢れる。

あのまま自分がいなくなっていたら父さんはもっと心配してしまったのではないか、もしかしたら魔王様のお仕事を捨てて自分を探そうとしてしまったのではないだろうか。

申し訳なさと、ここにいてはいけないのではないのかと一時でも疑ってしまった自分の弱い心を恥じ入りながらも、矢張り大好きな父の下に泣きながら駆け寄りむしゃぶりつく。

 

弱い人間がいてはいけない。

そんな事を言われないように自分が強くなればいいんだ。

 

早速ヒュンケルは強くなりたいと父に頼み込んだが却下された。

 

「ヒュンケルや、儂はお前を戦いに出したいとは思わんよ。なに、お前が大きくなるころにはハドラー様の統治されている世になっている。

お前にはその時ハドラー様を統治面で補佐できる知識を身に着けてほしい。」

 

現実の戦いは、吟遊詩人たちが語るような綺麗さなど存在はしない。

 

斬り殺し斬り殺され、焼き尽くし蹂躙をし時には逃げ惑う敵すらも降伏を許さずに殲滅をする事もままある。

そんな惨い事をするのは自分達だけで十分だ。

 

「そうだな、ヒュンケルは利発そうだ。戦士は間に合っている、お前は知識で俺様を支えよ。」

 

ハドラーもバルトスの言外の考えを的確に読み取りヒュンケルに文の道を勧める。

ほんのわずか前の自分ならば、弱い小僧に何が出来るのかと捨て置いただろうが今は違う。

弱い子供を自分が育てればいい、誰にも負けぬ知識を身に付けさせ自分を補佐させるように育成すればよいだけだ。

幸い知識は魔界で貯めこんだ蔵書をマジックリングに収納をして指に身に着け穴を通っても、何一つ損なわれる事無く地上に持ってこれた。

 

「武で父バルトスが、知でヒュンケルお前が俺様を支えられる男になれ。」

 

騎士としては望まれずともこの日よりヒュンケルは時間があるときはハドラーに、

無い時はブラスとまではいかなくともそこそこの鬼面道士の家庭教師が付いた。

 

「まずは文字の読み書きを覚えろ、人間語・魔族語両方だ。」

「はい!」

「すべて難なく読み書きできるようになったら神族の古文書も読めるようにするぞ。」

「分かりました!頑張ります。」

 

ハドラーのスパルタともいえる英才教育にヒュンケルは耐えて勉学に励み、その様子をバルトスはハンカチで目頭を押さえながら陰ながら見守るのであった。

 

 

ふて寝に飽きたし日が高いうちにクロコダインの下に行ってハドラーの事をもう一度聞きに行った。

どうにもクロコダインの言っていた小物の情報とハドラーの情報が一致しない。

見た目やだみ声情報はあっていたんだが。

 

「ふむ・・・確かに俺がしつこいとぶちのめしたが、今思えばあまり手ごたえはなかった気がする。」

 

仲間になれと再三再四言われて、断るの面倒になって右腕を思い切り振り上げてぶちのめした割には衝撃は軽く感じられた。

その後相手はそれで諦めたのか直ぐにキメラの翼で立ち去ったのでさして気にも留めなかったがルイ―シャに改めて聞かれて思い出した。

 

「なるほど、相手は実力をほとんど隠したまま貴方に接触してきたわけか。」

「そうなるな、そうすると俺が弱いと感じたのもわざとか?」

「事を起こすまで仲間になるかどうか分からない相手に実力を読まれたくなかったんだろうな。もしかしたら敵対する可能性もあるわけだから。」

「なるほど、真の実力を見てみたかったな。どんな勝負になるのか知りたいものだ。」

「相も変わらず戦い好きだな貴方は。もし負けたらどうするのだ?貴方を慕って集っている魔の森の全モンスターが怒って暴れ出されても困る。最悪私がすべて退治せねばならんぞ。」

「俺が死んでも、モンスター達がそうなったとしてもその時はその時だ。いちいち細かい事を考えていては楽しくなかろう?」

「勝手なものだな。」

 

この、これぞ明日をも知らん武人魂抑えてくれんかね。

今このライリンバー大陸はモンスターと人間との間が魔の森を挟んで境界線が上手い事作動していて絶妙なバランスで共存というか棲み分けられている。

子供の出生率はそこそだが、大きく育つまでに事故死だ病死だと大きくなるまでに六人のうち三人しか育たない。

育ったとしても冒険者になって身の丈に合わない探索で命を落とし、疫病が流行って死ぬこともあるので爆発的に人口が増えることがないので森の開墾だ・開拓だのが圧倒的に少ないので何とはなしに人間の領地と魔物の住む地の暗黙の了解が感じられる。

田舎に行けば行くほど古老たちが幼子に近づいてはいけない洞穴や森の存在を言い聞かせているのがその証拠だ。

今後もぜひこのバランスを崩したくないので私は未来知識の薬を開発する気は毛頭ない。誰かが発見をして作るのは邪魔はしないが、率先して作らない。

外からの知識ではなく、この世界の誰かが作り、それで世界のバランスが崩れてモンスター達と本格的な生存競争に発展してもそれはそれで仕方がないと割り切る事にしている。

たとえそれで人間が敗北してもアルキードさえ無事ならばそれでいい。

つまるところ私がもっとも大切なのはアルキードで、さらに言えばソアラが父王なのは今も変わらん。

 

だからと言ってそれは私が死んだ数百年後にしてくれ。それまでには大魔王バーン迄倒しておくから、バランス崩されてバーン大戦を面倒な事にしないもらいたいものだ。




そろそろハドラー大戦起こさせるべきか
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