大戦始まるカウントダウンが始まってはいたが、まさかさっさと始まるとは思わなかった。しかもこんな形で始まるだなんて。
-人間どもに告げる
我が名は魔王ハドラー、魔界より来た魔王なり。
我はこの大地全てを我が物とせんと人間すべてに宣戦布告を発する。
全ての王侯貴族我が前に屈さぬ限り進軍をやめる事はない。
無駄に命を落とさずに速やかに降伏する事を願おう。
進軍は明日の正午より始める、もし降伏するのであれば城の物見の塔の最上階に白旗を掲げよ。
蹂躙する事無く略奪せぬことを魔王ハドラーの名の下に誓う。
それでも抵抗するとあらば一切の容赦はしない-
・・・・なんだこの男前で正々堂々とした宣戦布告文は。あいつ絶対に小物魔王じゃないだろう。
「ルイ―シャ様、敵を褒めてどうなさいますか。。」
「しかし宰相、これ見ているだけで相手の為人がにじみ出ているだろう・・・うちで官僚してくんないかな?」
もしくわ私の婿殿になって共同統治してくれたら物凄く嬉しいぞ・・・とは心の内に秘めておくのが大人な対応だな、うん。
「・・・ルイ―シャや、流石にこれは拾って来たら駄目だぞ?」
ぎっく
「ははは・・・流石に魔王は・・・ははは・・・」
父様鋭すぎる!
うちはこの通りほのぼの崩していないが他国は右往左往してんだろうな~。
今朝がた魔族より血の鏡通信来たと言っとき慌ててたけど、内容を私がさっくりと翻訳すれば大臣達一同も落ち着いたもんだ。
まぁ、うちは来るなら来いで固まっているからな~。
「ルイ―シャ王太子殿下、モンスター軍に不調は?」
「ん?みんな私の支配下に入っているから凶暴化の兆しは変わらず零だ。
とは言え油断なく行こう。飛行系モンスターを物見砦に配置して、いつ敵が来ても五十キロ当たりで分かるようにしておく。」
あいつらは鳥目だとかないから助かる。大戦終わるまで昼夜問わずでこの作戦は続行させて、自国は守り切れる。
いざとなれば国民全員を城下町に避難させて、カーバンクルの広範囲バリアで包んで守って敵を迎撃すればいい。田畑荒れても命あってこその物種だ、その為の蓄えも十二分にしてある。
大規模農業に沿岸まで行かなくとも魚が穫れるようにしておいた、海はボラホーンを部隊長にして沿岸警備させて、いざとなればグラスゴー・・・出したら災害クラスの被害出そうだからハドラー大戦ではやめておこう。
「装備類の類で不安な点は?」
「武具の装備から回復薬までおよそ一通り揃っていますな。アンデット系は我が国に来る公算は低いので聖水も足りるかと・・」
「昼間はそうでも夜間の急襲時に来ないとも限らん。質よりも物理的な数で押してくるかもしれないから今ストックされているものは大事に使え。」
「聖水の類の量を増やさずに?」
「今他国もその事で大わらわだろうからな。アルキードは幸いというかなんというか・・・モンスターの凶暴化がない分他国よりも楽をさせてもらっておる。
その分を物資を他国に回すことで助け合おうと思うのじゃがどうかなお前達。」
「は!国王陛下の言う通りかと。」
「我等には神の加護があると言っても過言ではない程恵まれていいるのは事実。なれば国王の御心のままに。」
サクサクと父様が対策会議を進めてくれている。この辺は本当に頼もしいな。
「と言う訳で明日から大戦が始まるぞクロコダイン。」
「・・・それを俺に言っていいのかルイ―シャ。」
「どうせ戦になればすぐ分かる事だ。お前は今以上にロモスの迷いの森のモンスター達に対する影響力を増しておいてくれ。大戦終わるまで森から一歩も出すなよ、でないと容赦なく斬るぞ。」
機密事項のへったくれもなく、ルイ―シャは自国の対策会議は大丈夫だと見てさっさとクロコダインの下に全移動で飛び、ハドラー大戦の開始を告げる。
ざっと見積もってこれから二年。その間迷いの森を掌握しておけとクロコダインに発破をかけるために。
「さて、私は他にも伝えに行くところがあるからこれで帰る。」
「忙しいのだな。」
「なに、他の国に比べればうちは楽している方だ。いざ来ても勝つ公算もついている。」
「まったく、お前の下に行く軍にこそ同情したくなる俺は間違っているだろうか?」
「ふん、確かに貧乏くじ引いたようなものだ。誰一人返さんよ。ではな。」
伝える事を伝えると、ルイ―シャはさっさと次のお知らせ相手の下に全移動で飛ぶ。
「お~い、ザボ爺いるか~?」
リンガイアの人どころか飛行モンスターも来ることは無い一年中雪に閉ざされた人外魔境な山の洞窟に躊躇いもなく入り、中の住人に一声かける。
ボラホーン退治の後に、もっと面白いモンスターいないだろうかと一人で徹底的に探索して見つけた洞窟に住んでいたのは魔族の老人であった。
「喧しいの~、大声出さんでも聞こえておるわ。」
ルイ―シャの呼び声に奥から出てきたのはルイ―シャの半分ほどの小柄で華奢な老人、ザボエラであった。
「ザボ爺、さっさとうちに来い。明日から魔界から来た魔王が大戦始めるって言ってたからドンパチ始まる前に。」
「ふっむ、確かハドラーとか言ったの。儂の半分しか生きていない若者じゃったかな。」
「ザボ爺の耳は本当にいいな。うちに来れば神獣モンスターの生態から国上げてのバックアップ付きで魔道・魔法・薬品の類の研究を戦火に怯える事無く平和にしたい放題できる。」
「それはここでも可能じゃろう。」
「三食出すし、功績に応じてお金出して凄いものはザボ爺の名前で発表して名声も思いのまま手に入るぞ。」
「んむ?それは・・・欲しいの~。」
「だろう、そうしろ。」
ザボ爺見つけた時はこいつ斬っておくかと速攻処分しようとしたけど今生きて私に勧誘されている。
生かすメリットはじき出したら意外と高かったからだ。
この人の知識喉から手が出るほど欲しい。うちにはモンスター軍があるから蘇生装置アルキードで開発してくれたら万々歳で、その他にも腹黒い知略戦出来るし外交の陰のドンになれそうだし、取り込むメリットは多々ある。
え?大魔王の勧誘受けてそうで原作の屑ダニ生かすのかって?
そんなことは知らんな~。話聞いてみれば独自で魔界を行き来できる空間安定装置作って往復して、魔界では手に入る事はまずない貴重な薬草収集して魔界で一旗揚げる-予定-らしい。
という事はまだ魔界では名前が広まっていないのかと突いてみれば、激怒して程なく広まると言っていた。
マジかい、まだ大魔王のお手つきでないのかと速攻で勧誘して今日まで至る。
これ以上は四の五の言わさず誘拐するか。
時折父親の身を案じるザムザが来て面識もある。
リラックスさせるお茶飲ませて愚痴聞いて、大魔王の陰が無い事は裏取った。
しかも名声欲・自己承認欲求に囚われる一歩手前らしく、まだあの屑ダニにまでは墜ちていないが先々が不安だとも嘆いていた。
承認欲求なら人界でも受け取れる、お金も払うからうちに就職するように言ったらザムザに-こいつなに言っているんだ-とあり得ないもの見る目で見られたけど、粘って粘って交渉したら、父が行くと言えば自分もと言質はとってある。
今まで非道な研究してきたらしいが私の知った事ではない。アルキードに来たらさせないが、ある程度の治験はさせられる。
処刑前の重犯罪者、これから始まる大戦でとらえたモンスター等数には事欠かん。
「分かった、その話受けよう。愚息付きだが本当に良いのか?」
「なに、うちには第二王女にモンスターの護衛つけたり、軍団もあるからな。とはいえ大戦終わるまで日の目を見せてはやれんぞ。その代わり功績上げた時に-ザボエラ-の名前で広めるから励んでくれ。」
「そうか・・・儂の名が・・キッヒッヒ、これはチャンスじゃわい。」
「まぁ・・・ある意味そうだな。」
ザボ爺ちゃんの奴、悪い顔して笑ってるよ。
大方ハドラーを踏み台にして自分は善良な魔族の名声高めて人々の尊敬の念を一身に浴びる対策でも練ってるか。
ハドラーが猛威を振るい、その回復をザボエラがする図式。大戦時は正体明かせなくとも、終わって復興の最中希望の光を探す中で実はと明かせば、傷ついた人達は縋りつき、良き隣人として受け入れそうだ。
その後どう自分が人間社会に受け入れられるかの算段までしてるんだろう。鋭敏な頭脳で相談役でも狙うかね?
「そしたら今からここを引き払う、この-鞄-に全部入れてくれ。」
鞄に無限収納の機能つけているから引っ越し業者は不要だ。
「便利なもんじゃのうそれは。」
「流石これは上げられないぞ、魔界の装置どうする?」
「愚息を今呼び出している。それが済んだら徹底的に破壊する。」
「・・・・いいのかそれって?」
確か半生掛けて作ったものだって言っていた物なのに。
「ふん、人間も魔族も中身変わりはせん。疑り深い奴はどこにでもおる。」
「成る程、魔界の大実力者のひも付きだと疑われない為に背水の陣引くんだ。」
「まぁの・・・儂も今回の大戦引き起こした若者の気持ちは分かるんじゃよ。日の恵みなき土地で終生を過ごす・・・・それはごめんじゃよ。」
「ふ~ん・・・なら奥方とも初対面できるのか。」
「は?なぜじゃ?」
「いやだって、ザムザ来るなら奥方も。」
「ふむ、言っていなかったの。あれはザムザを生んだ後に儂の研究資料を全て盗み出して売り払いおった。」
「マジ!」
「うむ、その為に儂自らの手で葬り去った・・・・あれ以来二度と他者を信じまいと思っておったんじゃがの、お前さんの珍妙さには少しくらいなら信じてやってもよいと思ってな。」
「それなら安心しろ。そちらが裏切らん限り私は裏切らん。やるだけ面倒だ。」
「そうじゃろうな、おぬしの様な強者はそんな事せずとも目的は果たせよう。愚息共々世話になる。」
「こちらこそよろしく頼むぞザボ爺。」
まぁ万が一もうバーンのお手つきであった場合は息子共々問答無用だがな。
「今日から同じ勧誘仲間だ、ここでの生活の仕方教えてやって欲しい。頼んだぞロン。」
「お前な!俺は鍛冶屋で案内係じゃないんだぞ!!」
「良いだろう、少しくらい同郷のご老人敬って教えてやっても。大戦終わるまでお互い日陰者の身なんだから仲良くしてくれ。」
「・・・お前は本当にろくでもない奴だ。」
「知ってる、それよりも合金出来そうか?」
「自分のろくでなし認めてすぐに仕事の話って本当にお前は・・あと一歩だ。」
「ルイ―シャ、この者は?」
「ああ、ザボ爺この人はロン・ベルクだ。」
「ロン!!あの魔界の名工と名高い・・・」
「よしてくれ爺さん、自分の欲しい武器一つ作り上げられない鈍ら鍛冶屋だよ俺は。」
「鈍ら・・・」
ああ、ザボ爺嫉妬の目をロンに向けちゃったよ。名声欲しい儘にしている人物の謙虚さって欲しい者からすれば鼻につくわな。
うちの良質な鉱山に誰か忍び込んでいると報告を受けてハルバルトの奴が出向いて死闘の末に周りのサポートで崩して最後はラリホーマをハルバルト入れた五人の術者でかけて漸く捕えたってこいつどんだけバケモンなのって思ったわ。
剣も鍛冶も一級品で、魔族だからと追い出すのは勿体ないので頭を再三再四下げて、欲しい材料に不自由させない、なんならハルバルトや騎士団と毎日模擬戦しても良い、殺してしまっても構わん迄つけたら受けてくれた。
「俺が居たい時まで居てやる。」
ようは飽きたら出ていく宣言してきたがこちらも構わん。
惜しいであってもどうしてもではないから好きにしろと言って城の離れに工房作ってやってもう一年近くだ。
合金依頼は済み始めて二月目に出した。多少性能劣っても、鋼の剣を全下級兵士に持たすべく、本格的な鋼の剣よりも鉄の分量多めにして大量生産できんだろうかと打診したらしばらくは断られた。そんな鈍ら作れるかと。
銅の剣よりも下級兵士に持たせて生存率上げさせてやりたいと頼み込んで受け入れてくれてそろそろ半年たつ。目途はついたようだ。
混ぜ過ぎず、折れずらく、使用者の事をきちんと考えてくれる人が鈍らな者か。
ザボ爺も発明者として重なる部分あるだろうから大いに研究に励みあってくれ。
こっちは明日から大戦で忙しくなる。
鋼の剣調べたところ、あるものに混ぜ物をするか、反対に不純物取り除くかの製法が出て来たので、ここでは混ぜる方で出しました。
ザボエラ親子とロン・ベルクは早々にルイ―シャ陣営に入ってもらいました。
順次様々の者達にも入っていただきます。