人外に愛されすぎる者   作:ドゥナシオン

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・・・・割と主人公が外道な事しますがご容赦を。


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大戦が始まった。

 

そう聞けば大抵は悲惨な世になっていると想像されるだろう。

村々は容赦なく襲われ人間達は情け容赦なく蹂躙され皆殺しにあい、逃げた者達が心の疲弊から自暴自棄になり逃げた先で騒ぎを起こし、まさに終末の様相を呈した地獄絵図の幕開けだと・・・・予想したともこの私も。

 

物凄くその予想は外れたがな!

 

何なのだあの男前すぎる魔王ハドラーは!!

襲撃前に村に降伏するか逃げるかの選択を与えてから丸一日待って攻撃するってどんだけ紳士的戦争するつもりだあいつは!!

なに?小物感満載な原作ハドラー行ったの?なに?あいつ統治した方が物凄く良い国作れるんじゃないか?

何でこんな事になった!おかげでカール襲撃あっても城に行って王女様攫うイベント発生しないからもれなくアバンが勇者として目覚めて旅立つイベントも発生しないじゃないか!!

ハドラーの馬鹿者が!!!これじゃあ人類の希望誕生計画が始まる前から水泡に帰すわ!!!!!

 

 

「ぶえっくしょん!!」

「ハドラー様!お風邪ですか?直ぐにお休みを・・」

「良いヒュンケル、ただのくしゃみだ。それよりもお前が立案した人間達への事前通告のおかげで順調に侵略が進んでいるぞ。」

「それは良かったです。無駄に人を殺してしまったら一致団結して手強くなりますが、家財道具も持って逃げられるとあればそこまで恨みつらみもなく上がらずに-仕方ない事だ-と諦めだけで終わってくれるでしょう。」

「ふん、人間とは不思議な者だな。己の居場所を追い立てられれば魔界の者達はそれっだけで抵抗するぞ?」

「生きていれば、この地のどこかで生きていけるので命が掛かっていなければそうしたものかと思いますよ人間とは。」

「そんなものか、暢気な者だな人間とは・・・とはいえ王侯貴族共はそうもいかんようだがな。あ奴らはその国が存在しなければ生きていけんからな。」

「・・・・僕はそこらへんが分かりません。この地上は大抵の所であれば田畑を作れて生きていけるのに。」

「そうか、あ奴らにはそんな発想はない。それをすれば落ちぶれたみっともない者となりそれくらいならばいっその事相手諸共死んでやるくらいの句だらんプライドで出来ているからな。」

「生きていればこそ・・・・とか思えないのでしょうか?ハドラー様は降れば王侯貴族の当主達でも殺さないと言ったのに。」

「自分達がそうしないからこそ相手の言っている事が嘘に聞こえるのだろうな。

まぁ、魔界においても俺がしようとすることをやる輩は誰もおらんだろうから分からなくもないがな。」

「ではどうしてあの降伏宣言を?」

「そうして降伏してくれた方が楽だし、飼い殺しにする算段もできていた。

人間の統治の席には傀儡王でも立て裏で操り、行政だのなんだの面倒事は全て押し付けるつもりだったのだがな・・・儘ならんものだ。」

 

ルイ―シャが怒鳴るほどの男前の作戦を立案をしたのは齢たった六歳のヒュンケルであった。

彼は人間である事を卑下するのではなく、人間であるがゆえに同族の心理を徹底的に学びつくす為に一年を人間社会に溶け込んでつぶさに学び、どこまですれば人間は怒り狂い恨みつらみを持つのか、持たずに諦めの境地で止まるのかをデストロールとは思えない慧眼・洞察力を持つガンガディアと共に共同研究をして今に至る。

 

人間の怒り悲しみや悲しみを引き出すために家畜を襲い、時には人間を襲いもし

様々な面を多角的に徹底的に調査した。

 

その指揮を執ったのがヒュンケルであり、武力では他の者達がいるなら、自分は人間である特性を伸ばそうと天才謀略者の誕生であった。

 

おかげでハドラーは労せず無人の村を拠点化し、田畑も無傷で手に入り食料調達もできた。

今は国の中枢から一番離れた端から狙っている。一日ではきゅ遠洋性が届かず、仮に伝書鳩や狼煙、珍しくキメラの翼を持って備えている村があっても、救援の軍は間に合わず罠を張っての待ち伏せ警戒をして出すことはまずないと踏んで。

 

人間の心理を突いた事はヒュンケルは考え、具体的かつ緻密に練った作戦をハドラーが立てていき、それは非常にうまく行っている。

 

仮にハドラーが直接襲いに行かずとも、地上のモンスター達はほぼすべてが共謀し勝手に暴れてくれているので軍もそちらに手を焼き端っこの村まで手が回らないのが現状だ。

 

忌々しい事はすべてうまく行っているわけではない。

一度だけパプニカ城迄襲撃しようとしていつも通りに宣戦布告を発して攻め上ったことがあった。

ガーゴイルやドラキー等飛行モンスターがパプニカ上空を埋め尽くし、空と陸両方から行かせたが、あと一歩と城下町に入れる平原迄パプニカ軍を蹂躙していたところに大軍団が突如として湧き出て進行中の軍団の横っ腹を疲れ壊滅させられた!!

 

半月前のパプニカは、まさに王都存亡の危機に陥った。

宣戦布告と付随された降伏勧告をパプニカ王は受け入れず、国に配備している三分の二の軍団を終結させ、敵が来るであろう邦楽の五十キロ先で展開をさせて待ち構えた。

首都が落ちればこの国は獲られるのが分かっているのでほぼ総力戦で挑んだが、空中からの攻撃支援と地上からの攻撃の二段構えの攻撃に次第に騎士・魔法使い。賢者達も押され、敗走を余儀なくされ追撃が迫り、誰もが死を覚悟したその時

 

 

「うぉおおおおおおおおおお!!!!」

「蹴散らせ!!!」

「一平残らず余さず殺し尽くせとの総大将様のお達しだ!!!!!」

 

平原の横手の森より大歓声とともに大量のイオやメラ系の爆裂・火炎呪文が敵の中央に炸裂し分断させ、前後に分かれた前後と間に騎士団の大軍勢が軍馬を駆って襲い掛かり地上のモンスター達を瞬く間に蹂躙していった。

 

何が起こったか、それは敵・味方双方が思う程の大群が一体どこから・・・否!どうやって出現をしたの!!

確かに平原にはパプニカ軍以外の気配はなく、仮に気配を殺していたとしても偵察隊が気が付かぬはずはなかったのに!

 

以降はドラーは首都攻めは一旦置いておき、手に入れた村々の統治と田畑の育成をさえないせいに力を入れている。

 

程良きところで止めて、国が軍を出して奪還すべきかどうか判断に苦しむギリギリのところで止め置いて。

 

「少し・・・・戦は長引くかもしれんな。」

 

コツコツとしているのだからそれも仕方がないが、地上全てを欲するのならばその位の展望をもってするべきだと自分は学んだ。

何せこの地上には、あのさまよう鎧もどきの様なとんでもない実力を有したものがいるのだから、このくらいの用心はしてしかるべきだろう。

 

 

 

「ふえくっしょん!!」

「わ、どうしたお姫さん、鬼の霍乱か?」

「・・・・五月蠅いぞマクシミリアン。それより今の所切羽詰まった救援要請来てないから修練に励んで来い。」

「あのパプニカ一件以来大規模展開して来ないか・・・・やりすぎたか?」

「構わん、一撃必殺の構えで潰せと命じたのは私だ。」

 

半月前のパプニカ平原での決戦を潰したのはアルキードの騎士団と魔法騎士団双方の仕業であった。

鏡通信があってすぐ、パプニカ王は無傷かつ魔法騎士団を有しているアルキードに助けを求め、アルキード王はそれを受け入れた・・・・ルイ―シャはいまいち乗り気ではなかったが。

 

ここで一国が落ちれば魔界からの敵の恐ろしさが人間社会に骨の髄まで沁みとおり、ハドラーが敗れ撃退されても原作の様な平和ボケにはならんだろうと算段を付け、どうしようか天秤に掛けそうになったその前に愛天使・ソアラがつぶらな瞳で姉姫に言葉を掛けた。

 

「お姉様ならあっという間に悪い者達を倒してくれますね。」

 

もう完全に援軍を送り、パプニカをルイ―シャが救う図を心に描いたソアラのつぶらな瞳で発せられた言葉にルイ―シャは何も考えず、自分に任せておけばその通りだと安請け合いをし、マクシミリアンに命を下して平原決戦に割り込ませた。

 

騎士団・魔法軍団の出現はある意味チート的なアイテムのおかげであった。

 

「モンスター達を入れる筒に人間を入れられるようにしたぞ。」

 

魔界の大発明者・ザボエラが息子ザムザとアルキードの魔法天才児ハルバルトと共同開発をして大戦二か月目で開発した本当にチートアイテムを完成させた賜物であった。

 

「あの爺様はすげえお人だ!俺弟子にしてもらうんだ!!!」

 

自分以上の魔法・マグの天才に出会って感激したハルバルトはザボエラに惚れ込み弟子志願をし、下にも置かない扱いをしてくれるハルバルトをザボエラも目に掛け日夜様々に実験をして生まれたのが新筒であった。

 

銃犯罪者たちで実験を重ね百人近くで出し入れしても死ななくなり、二百人当たりで体の欠損もなくなり更に他国の処刑犯罪者も引き取り三百人で完璧になり認可が下りて先の決戦で使用した。

元々ザボエラが持って来た大量の筒を改良したもので五百人規模の大軍はマクシミリアン一人がパプニカの森に待機し身を潜め、敵が少しばらける辺りで五十ずつデルパを唱え作戦成功を収めた。

 

それ以降大規模な展開はなく各国とも被害はあれで危機的状況にはなっておらずどこの国からも勇者らしき人物が立ち上がる気配がない。

 

 

不味いなこれは、仕方ない。

 

 

 

 

業を煮やしたルイ―シャは、ある日カール王太子を死なないが当分戦に出られない手足をマヒさせる毒を飲ませ王女フローラを攫いハドラーに罪を擦り付ける暴挙に打って出た。

 

毒は一年経てば自然消えるザボエラ印で、フローラも安全は保障する。

 

全ては怒りに満ちたアバンに勇者として旅立させる為に




うちの主人公目的の為ならば同族意識は皆無です・・・・

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