秋の陽気に誘われて王女の特権、城のプライベートな中庭でお茶会開いている。
なんて可愛らしい物でもないんだが、お茶会開いているのは本当だ。
珍しく王子服ではなくきちんとドレスも着ている。
「珍しいなルイ―シャがドレス着てるとか、今日か明日には槍かイオラの雨でも降んのか?」
「私だって好きで着ているんじゃなぞ、ハルバルト。
困った顔しないでくれるかエミリオ。ただでさえお前の方がきれいな顔しているんだから私が真相のご令嬢を泣かせているみたいではないか。
だからといってにやつくのもなしだぞマクシミリアン。この脳筋野郎が。
・・・なんでメモをしているのだアルベルト」
親衛隊を正式に打診するのだから正装位しないとな。
本日の私の装いは少しだけ胸元が空いた七分袖のドレス。
上は薄いオレンジ色で下に行くほど橙色色になっているグラデーションになっており、胸元と袖口とすその部分に白いレースがついているこれぞお姫様スタイルだ。
私の容姿は母様に似たソアラと違い、完全に父様の方。
柔らかいクリーム色の髪もオレンジ色の瞳も受け継いで嫌いではないのだが、水色gの大人の色が似あうソアラが羨ましくなるのはいささか大人げないだろうか?
近頃夜会でもっと私に王女らしい装いをさせてはという輩が父様に言っているが、完全無視してくれている父様に感謝だ。
こんな格好ではろくに戦えんだろう。
だからドレス姿の私なんて珍妙な物だろうがこいつら失礼すぎだろう。
親衛隊に選んだのはこの四人。
ハルバルト・デミングは男爵家の長男で将来は魔法団団長を見据えて。
マクシミリアン・ギルガルドは伯爵家で階級的には中の中だが、私の御代では彼が騎士団長に押すつもりだ。
この中では十一歳と一番の年長者で、騎士団見習のグループを早々に掌握をしている-ロカ-タイプ。
要は口が悪くて不器用な脳筋野郎だが、弱い者達には辛抱強く教え導けるほど面倒見の良い奴で、副官に処世術の出来る奴を置けばいいだけの話だ。
さらりとした銀髪を長く伸ばした伊達男のようでいて、口を開けば残念騎士でしかないので黙っていてほしい。
悪い奴ではないのだがとにかく脳筋でデリカシーがないのが欠点だ。
それでも戦い以外の配慮も細かくできる良い奴なんだよこれがまた。
アルベルト・モレノはこの中で唯一の平民。
ただし特待生として王立学校通っているのを聞いて見に行ったら、こいつ将来教育学大臣作って放り込むかと一目惚れ。
普通平民が貴族と同じ学校に通っているだけでもいじめられそうなのに、何八歳児が教室一つ借り切って三つ上位の貴族の子女相手に講義しちゃってるの?もう訳分らん。
こっそりとお忍びで行ったからそのまま学生のふりして聞いてたら物凄く分かり易い。
教育は国の根幹にかかわる重大なものだ。こいつならこの国に教育の革命を共に起こせそうなので有無言わさずに拉致った。
当然人権無視だと言われそうなものだが、この世界での王家の権力最高なので乱用をして口説き落としたらあっさりと許してくれた神様みたいなやつなのだが・・私の事を観察するとかおかしなこと言い始めて今もメモ書きをしている些か残念な奴だった。
黒髪・黒瞳がソアラに似ているので強くやめろと言えない自分が恨めしい。
さて、この中で一番の問題児はエミリオだったりする。
エミリオ・グランドは侯爵家の庶子で後継ぎだ。
正式名にはエミリオ・クロスピエール・フォン・グランド
五歳のころまで母方の家に住んでいたのだが、グランド家の当主が不慮の事故で亡くなったのを機に侯爵家に引き取られたとか。
先代の当主と今は代理で家を切り盛りしている奥方お間に子はなく断絶かと思われていたのだが、以外にも奥方が先代の忘れ形見がいるのを把握しており、エミリオが十五になるまで当主代理を務めるので家名を存続させてほしいと嘆願をしてきたのだという。
エミリオの母君は先代付きの侍女で手籠め同然でされて、なんと奥方の取り計らいで生家に逃がしたそうで、エミリオもそこは感謝しているのだろうが、歪んだ子供に育ってしまった。
アルベルトと同じく華奢で水色の髪に同じ色の瞳を潤ませていると天使のような奴だが、
こいつの役どころは決まっている。
私だけの密偵。
影がいるから不要に思えるだろうが、影はアルキード国所属。
そうではなく公的から私的なことにまで使える奴が欲しい。
侯爵家の跡取りにそれは無理だって?
大丈夫だ、今奥方に交渉をしている。
庶子出身ではエミリオが悪し様に言われるだけではなく、侯爵家の名も地に落ちよう。
幸いにして先代の妹君は子沢山で、今男児の四人目が生まれたので養子を組めるように手配をしたと。
この話を奥方に持っていく前にきちんと父様と宰相に話しとおしたので怖いものなしだ。
エミリオを将来使いたいと言ったら二人ともがぜん張り切ってくれたのだ大丈夫。
・・このエミリオがどう歪んでるかって?
数日前の事件の事後処理の仕方決定的だったな。
どの城にも当然のように牢屋はある。
王族を閉じ込める当の牢屋から、凶悪犯をぶち込む地下牢だ。
私もよく来る場所だ。ここに何度足を運んだことか。
今は一つの部屋しか使われていない、そして賑やかだ。
鞭が何かを打っている音がするが、うめき声ですぐに人間相手だと分かるよな。
「えっと・・ここまで打てば・・もういいよね・・」
その声はこんな地下牢とは一生縁がないだろうという可憐な子供の声。
声のする部屋に入って目に飛び込んでくるのは、華奢な子供には長すぎる鞭を手にした異常な光景だ。
その目の前に両手を鎖で縛られていて少し宙づりなっているぼろ雑巾男は気にしないが。
なにせ私と父様の命狙った馬鹿だから。
誰の命かを吐かせるためにエミリオに拷問をさせているのだが、
「手ぬるいな。」
鞭で表面の薄皮をはぎ取るだけで、さしたるダメージはないだろうと指摘してやれば、鞭で打っていたエミリオが泣きそうな顔をこちらに向けてきた。
「ル・・ルイ―シャ様・・彼はもう十分罰を受けました!!」
「それを決めるのは私だ、使えないものは必要ないぞ。」
私の言葉に怯えたエミリオが暗殺者をかばうので罰として持っていた鞭を取り上げてエミリオの体に一鞭当てる。
「な・・にをしている!」
鞭はあやまたずエミリオの服を引き裂き白く華奢な胸に赤い筋が付く。それに憤ったのはエミリオ本人ではなく、こいつに拷問されていた暗殺者の方だった。
「あ!大丈夫だよ!!君は十分罰を受けたら・・だから・・・」
「だからこいつを許せと?」
成程、エミリオは手加減をしていたのを暗殺者のくせして恩義に感じたわけだが、
「ふざけるなよ?」
私としては笑えないのでエミリオの腹を思い切り蹴り上げ、蹲ったところを顎を蹴り上げる。
無様に転がったところを更に踏もうとしたが、止められた。
「手が無くなるぞ?」
鎖を引きちぎった暗殺者がエミリオに覆い被さって。
「・・俺を雇ったのはお前の従兄弟だ!アルシャービン家!!もう満足だろう!」
そうか、未だに王位狙う馬鹿は従兄弟殿か。
青っ白い爬虫類なあの男も似たような父親も見るのには飽きていたし、消しても損は無い。
「で、お前はどうする?そこの役立たず殺して逃げるか?」
「貴様のような化け物風情が!このお方を貶すな!!」
「駄目だよ!!ル、ルイーシャ様!か、この人・・」
「ふん、そんな小物には興味がない。おまえが責任を持ってどうにかしろ。ただしまた私の目に止まるようなことがあればお前共々処分する。覚悟しておけ。」
「あ、ありがとうございます!!」
エミリオからの感謝を受けながら地上へと戻ったか、馬鹿馬鹿しい茶番だ。
そもそもあの暗殺者の拷問はエミリオから申し出た事だ。
あいつは人を惑わす悪魔だぞ。
人を甚振ることも、痛めつけられる事も両方好きな変態だ。
大方心優しい少年が、暗殺者を命がけで庇ったとかそんなところだろう。
あの暗殺者はまんまとエミリオに騙されたわけだ。
今頃は仲良くなって、洗脳している所だろうが興味はない。
従兄弟殿にはこの世界からご退場頂こう。
そんな事があったのが三日前で、気配探せばあの暗殺者と同じ気配がする。
きちんと躾けて番犬にしたか。
情報合戦から汚れ仕事担当は決まり、将来的にはキルバーン担当もしてもらおう。
あいつもエミリオ同様頭の切れる変態野郎だったから、エミリオにはぜひ頑張ってもらって三文死神には早々にご退場願おう。
これで私の親衛隊選抜終了だ。
春になったら王太子か、めんどくさい。
国内固めたので原作に絡んでいきたい。