人外に愛されすぎる者   作:ドゥナシオン

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初対面でも待ったなし




春が来て人事が刷新される頃に王城に上げられた侍女は、今まさに困惑をしている。

なんで自分のような新入りの、それも見習い期間も終えていないような嘴黄色のひよっこ侍女が王太子殿下付きになったんだろう!しかも今の状況は馬車で二人きり。それも王家の紋章が付いた王族使用で周りは大勢の騎士たちの護衛付きだ!

「・・・あの・・殿下・・」

「・・なんだ?」

「何かお飲み物は召し上がりませんか?」

「・・・・ポットのレモン水を少し。」

あう!要らないけれど私が頑張って話しかけたの気を使わてしまったのが丸分かりすぎます殿下!ずっと書類読んでばかりいるから気分転換にって思ったら主に気を使わせるなんて!!

泣きたい、なんで私みたいなのが栄えある王太子殿下付きの侍女してしかもベンガーナへの特使任務に同行しているのよ!私に恥をかけという何かの罰ゲーム⁉誰か教えてよ――!

 

 

気の毒にな、新人に対してまたもや押し付けか。

去年入った侍女達ももう一端の狸か、私に怯えるようになるの早すぎや過ぎないか?根性の無いことだ。

確かアルビナだったか?どこかの男爵家の縁続きの娘で今年から侍女奉公に出て来たばかりの娘を、あの古株侍女長が私付きの侍女にと差し出してきたのには気の毒に思うぞ。

年は確か十八か、茶色の髪だが三つ編みが良く似合う清楚な顔立ちに少しオレンジがかった茶色の瞳が可愛いな。まぁソアラには勝てないが悪い子ではなさそうだ。

私付きになっても怯えるどころか困惑をしていたな。

私に会って挨拶後、侍女長の説明を聞いた後の反応には大笑いしてしまった。

 

「なんで自分のような鈍くさ娘がか・・」

おっと思わず思い出してぽろっと口から出してしまった。

思い出すと笑えるが、向いから物がぶつかる音がしたので書類から顔をあげてみれば顔を真っ赤にしたアルビナが目を潤ませてる。

 

「・・・・殿下!後生ですからお忘れください!!」

 

嫌忘れたら勿体ないだろう。私の爆笑姿を目撃したので唖然茫然とした侍女長の顔も込みで覚えているんだぞ?普段すかして父様から賜った権力のくせに自分が偉くなった気でいるあの馬鹿は言われた内容に驚いて大絶叫をしながら自分の事をそう評したアルビナに驚いて崩れた顔を晒していた、脳内保管ものだな。アルビナには悪いが諦めてもらおう。

しかしこの娘は側にいても飽きが来ない。何かしらやらかしては私の疲れを吹っ飛ばしてくれている貴重な娘だ。逃がす気ないぞ。

今回だって同行させる予定になかったのを私が無理やりねじ込んだ。

この特使のそもそもの発端を思い出すと私が暴走しそうだから小動物を持っていく。

そう言ったら一発で通ったんよ、諦めろ。関係者各位がベンガーナ潰す勢いで激怒していたからな~、私の報告を聞いて。

 

 

 

「何故私が突然婚約をしなければならないのですか父上!しかも相手は乳臭いガキでしょう!!」

「・・落ち着けセイン。父とは言え、国王陛下に無礼だぞ。

しかもなんだその口の悪さは。第二とは言え一国の王子の言葉かそれが?」

「兄上は黙っててくれ!アルキード国なんてうちの格下もいいところだ!俺が乳臭いガ・・王女と婚約をして誰が特すんだよ⁉相手のアルキード国だけだろう!」

この国はギルドメイン大陸の中央部に位置し大国だ。

来たのテランは言うに及ばず、軍事・経済両面においてカール、リンガイアの上を行っている。

 

この大陸のは主要道路以外は険しい山々が立ち並び、どこか他の国へ行こうとするならば必ずベンガーナの関所を通るルートしかない。

仮に無理をしてけもの道に行こうとすればモンスターか盗賊餌食は必定で、ベンガーナは関所代だけでかなりの稼ぎをしている。

無論その関所代には旅人や商人たちの安全を保障する代金でもあるので軍備の方にかなり力を入れている。安全だと信用されているからこその関所代だとはきちんと理解している。どこかで最新の武装やアイテムが開発していないかを常にチェックをし、自国での研究開発にも余念がない。

お金を稼ぎ、その為に軍備に力を入れればいつの間にか大国の誕生である。

周辺諸国との政略結婚考える必要性が全くないほどの。

アルキード国に何のうま味がある!というのが第二王子セインの表向きな抗議であり、本音は十歳も下の幼女婚約者にしても嬉しくもなく邪魔にしかならないの本音だ。

政治・経済は全て次期国王のアリストに丸投げして自分は得意の武で兄を支える気でいる。

 

自分も兄も見目がいい。父クルドマッカ似ず王后のアリョーシャに似ており、金のさらりとした髪を互いに伸ばしているとよく双子と勘違いをされるほど背格好も似ており、区別できるのは兄が紫の瞳で自分が青の瞳だというところだ。

そのくらいに似ている自分達兄弟はもてる。

兄はもの柔らかい態度とその思慮深さが、自分は騎士としての力が理由で女に事欠かない。

そんな自分が乳臭いガキを貰うだなんて冗談じゃない!

 

「あっちから打診してきたのか?」さもしいのは貴族連中だけじゃな国もか?

自分の立場上権力欲しさに寵愛を欲しがる頭の軽い女どもを相手にしているんだ、なめるんじゃねえ。

「いや、儂の指示で決定をした。」

「はぁ!親父が!!」

今まで自分達兄弟の遣り取りを玉座で黙っていた父親がいきなりな事を言ってくるから驚いて素を出しちまったぞ。

 

「深い考えがあるのだ、この事は大臣達と協議済みだ。反対は受けん。」

「・・・マジかよ、そしたら・・」

「私も異存はありませんよセイン。」

「僕もないぞ弟よ。」

「・・・知らなかったの俺だけかよ・・嵌めやがった。」

玉座の間にての第二王子の発言とは思えない程の酷さだが、十七にして騎士になれない荒くれ者達を束ねているセインは全く気にせず頭をガリガリとかき、家族しかいない気安さからクルドマッカもとくには注意をする気はない。

「了解、乳臭いお子様婚約者様が出来ても俺は普段通りでいいんだな?」

「そこはお前の裁量に任せる。」

「父上が欲しているのは港の利権ですか?」

アリストは目を細めて王として何故アルキード国に手を回そうとするのかを考えた末の答えをぶつけてみる。

あの国のうま味といえばアルゴ岬周辺の港町くらいしか考えつかない。

「いや、あの国には別の物がある。」

「・・新しい特産品でも作りましたか?」

武においてはカール・リンガイアに及ばず、知においてはテラン・パプニカに及ばず、海産物とてもロモス・お~ザムのような目を引くものがない平凡な国に何が出来たというのだ?

「・・いずれ分かる。いや、分からないままの方が良いのやも知らぬな。」

 

 

以上が我が国スパイの影達がもぎ取ってきた情報のすべてであり、クルドマッカがの謎の言葉を言ってお開きになりましたチャンチャン、お疲れさまでした~そして死ね!!

「父様、あの国王一家暗殺してきていいですか?」証拠絶対残さないから。

「それはこの国も困るから駄目じゃぞ。」隣国のごたごたは自国に飛び火する元だから駄目じゃぞ。

「あの第二王子の玉は?」命駄目なら玉無しにするか。

「これお二人とも、それはいけませぬぞ。」

「「はいごめんなさい。」」宰相様に怒られたちゃった。

 

マイ天使のソアラを嫁に寄越せっていうからどんな理由だと影達が探ってきた結果報告聞いたら、マジで暗殺したくなったよ。

私の友達の神獣モンスター達使ったら正面からでも勝てるけど、それしたら周辺諸国と大魔王の目に留まるのが目に浮かぶので却下だ。

あいつ確か地上を常々見ていた的な発言してたから今も悪魔の目玉とかうろつかせてるんだろうな、きっも!覗き変態野郎の目に留まってたまるか。

それがなくてもそんな規格外の軍事攻撃した日には、勝っても負けてもギルドメイン大陸の残りの三国もアルキード国を危険視して攻撃してきそうだよ、集団リンチ合いそうだよガチで。

人間は弱いからな、自分達にとって未知なもの理解しようとするよりも恐怖の対象にして排除する傾向の方が強い。

神獣モンスター出したら総すかんの目しかないな、うん。

でもキツイ仕置きはしてやりたい、あの麗しのソアラを乳臭いガキ呼ばわりした第二王子、肯定したようにサクサク話をすすめた国王夫妻と跡取り息子入れた全員を。

「父様、相手の狙いは何となく察しがついています。」

 

ソアラに婚約打診が来たその日に速攻で現在のベンガーナの弱み探しに奔走をした。

誰が可愛い妹やるか馬鹿が!それも第一王子ではなくて第二王子と来たところが更に許さん!

なんで二番手野郎に大事なソアラやらねばならんのだ!

この国の売りは情報量の豊富さだ。

建国当初から影達は設立されており情報は大事に分類をされて羊皮紙の巻物で保管をされており、影達は何処にどのような情報があるのか把握している。

主が言えば即座に過去の情報を取り出せるように。

その情報の確かさから隣国の王家の内情など筒抜けだ、武人気取っていてもセインの底の浅さは露呈している。

騎士気取りの女好きの馬鹿ガキに妹の髪の一本もやるつもりはない。

何の脈絡もなくいきなり婚約してくれという新書を受けて速攻で私達は動いた。

この国の最近できたうま味というベンガーナ王のさした言葉から考えるに、私が王太子として国民に演説をした内需拡大案しかないのはすぐに結論づけられた。だってそれしか新しい事がないからだ・・言って悲しくなるが仕方ない。

一つの方はベンガーナに海はなく違うな。

もう一つのあれは漁業と違ってすぐに成果が出るものだから、欲しがる理由が知りたくてベンガーナのここ数年の-農産出来高-を調べさせたらビンゴだ!

 

 

「これは一体どういうつもりだ!!」どうやら推察は当たってベンガーナの欲しい物の核心をつけたらしい。

父様に書いていただいた親書を見て読み進めたクルドマッカ王の顔が茹蛸のように赤くなっている。

「どういうつもりも何も読んでいただいた通りの内容でございますベンガーナ王よ。」そのまんまの意味しかないんだよ馬鹿王が、偉そう言っていると殺して速攻でこの国乗っ取るぞ!!




ベンガーナのような中央国のうま味はこれだと思う
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