世界一の名探偵Lは世界最大の殺人鬼キラ=夜神月を命がけで倒し、その代償として命を失った。はずだった。気が付けば彼は幼い頃の姿で正規軍、鉄血、グリフィンが入り乱れる混沌の地に立っていた。
「月くん私は争います。あなたが消えた果てにあるこの世界で。」

てな感じの小説を連載したかったけど私にLの思考が分かる程の頭脳はないのでその一幕を切り抜きました。416と竜崎が話すだけのssです。お互いいい暇つぶしになれば幸いです。

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Paradise Lost(失楽園)
・創世記第3章のタイトル。
・神とサタンの闘いを描いた叙事詩。1667年刊行。
・他、多くの作品のサブタイトルにも使われる。


L change in the Paradise Lost 2061

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その出会いは決して忘れられないものとなった。

優秀な子供ばかりを集めた施設が鉄血に襲撃された為救出に向かった時のこと。

銃弾を鉄血のクズどもにばら撒きながら戦術人形HK416はこの手の任務が嫌いだと改めて思った。

 

こういう所で会う子供は大抵自分が特別扱いされて当たり前だ思い上がって生意気で尊大な態度をとるからだ。

しかし彼は違った。

 

「全く嫌になるわ!

いや初めから嫌だったけど今回は格別よ!

右を見ても左を見ても死体!死体!死体!死体!

その上血とゲロと硝煙と機械油の匂い!鼻がひん曲がるわ!」

 

「416、気持ちはわかるけど落ち着きなさい。」

 

404隊長にして悪友のUMP45からたしなめられる。

うるさい文句ぐらい言わせろ。

 

「落ち着いてられるか!」

 

また一体鉄血の頭を撃ち砕く。

匂いに機械油の匂いが混ざり不快感が増す。

今のであらかた片付けたらしいく、攻撃が止んだ。唯一閉まっているドアの前に4人が集結する。

目で合図を送りあい一斉に部屋へと突入した。

見た瞬間に驚いた。

 

部屋の真ん中に異様な少年が立っている。

ヨレヨレのジーパンに白いゆったりとした長袖のシャツにかかとを踏んづけたスニーカーを履いたボサボサ髪の10歳にも満たない少年だ。

 

しかし見た目などより驚いたのは少年の立つ部屋の惨状だ。

部屋の至る所には血みどろの子供の死体が、

そして少年の背後に顎を破壊された一体の鉄血の戦術人形が倒れていた。

まさかこの非力そうな少年が1人で鉄血を倒したのか?

 

呆気にとられてる間に少年は機械油のついた自分の靴を不快そうに顔をしかめながら脱いで素足で血の付いていない場所を歩きながら4人の前まで歩いて来た。

そして手を銃の形にして

 

「バーン!バーン!バンバンバーン!」

 

声で銃声を出しながら4人に順番に指を向けた。

 

「な、なんのつもり!?」

 

「ちょ!落ち着きなよ416!」

 

いきなり取った意味不明の行動に思わず416が叫んだ。

すかさずナインがフォローする。

 

「私が銃を持っていたら皆さん死んでいますよ?」

「え、あ。」

 

隈の出来た丸い目が4人を順番に見回す。

 

「人間であろうと戦術人形であろうと死んでしまえばそれまでです命は大切にしましょう。」

 

セリフの途中に一切区切りを入れない独特な言い回しで少年はまくし立てた。

生意気なガキだ。

戦闘のプロに対してよくまああんなことを言えたものだ。

度胸は買うが感心はしない。

416は嫌な奴と出会ったと気分をゲンナリされた。

しかしナインは、UMP45の妹UMP9はそうでもないらしい。

 

「うーんそうだね。お姉ちゃん達ウッカリしてたみたい。

ごめんね。ところでお名前は?」

 

「……竜崎ルエといいますはじめましてUMP9さん」

 

「はい、はじめまして、、あれ?自己紹介したっけ?」

 

「あなたは先程そちらの白髪の女性を416と呼びましたそして彼女が持つ銃の名前はHK M4、エンハンスド・カービンなどの別名を持つHK416というアサルトライフルですつまりあなた達が人間でないと仮定すればあなた達はグリフィン&クルーガー所属の戦術人形そこまでわかればあなたの名前も簡単に推理できます。」

 

「凄い!前G11とドラマで見た探偵みたい!」

 

「探偵、いい響きですね。

なるんなら世界で一番になりたいです。」

 

「なれるよ!ここから無事に出れたらね。」

 

行こう?そう言ってナインは竜崎の手を取った。

 

 

2

「416さん少々よろしいでしょうか?」

 

ギクッと416は立ち止まり振り返った。

寝付けずシャワーでも浴びようと思ったのが失敗だったらしい。

想像通りヨレヨレのジーパンに白いゆったりとした長袖のシャツに下駄を履いたボサボサ髪の10歳にも満たない少年がいた。

 

我ら404小隊の恩人にして今は技術顧問を務めている天才、そして416にとって始めて出来た『苦手な人間』竜崎ルエだ。

 

「何の用竜崎。」

 

「寝付けないので少しお話に付き合って欲しいんです。」

 

「ナインに頼みなさいよ。」

 

「もう寝てしまいましたあんな幸せそうな寝顔をされたら起こすのも偲ばれます。」

 

「あんな寝顔するようになったのはアンタを抱いて寝るようになってからよ。

戻んなきゃ起きた時ヘソ曲げられるわよ」

 

「大丈夫です45隊長を身代わりにしてきました。」

 

「アンタと45じゃサイズが違いすぎるでしょ?」

 

「私は404小隊の技術顧問ですスキンの管理権限も有ります。」

 

恐ろしい子供だ。世が世ならその行動力、頭脳、

そして大胆さと手段の選ばなさを武器に名探偵かスパイにでもなっていただろう。

 

「はぁ…………。それで?何の用よ?」

 

「貴女と是非とももっと仲良くなりたいんです。」

 

そう言って竜崎は棒付きのキャンディーを差し出した。

彼はいつも甘いものを持ち歩き、口にしている。

それはもう見てるこっちが胃もたれしそうなぐらい食べるのだ。

 

飲み物さえ炭酸ジュースやジャムマシマシのロシア紅茶を好み、コーヒーに7個より少ない角砂糖を入れていた事は416が知る限りない。

曰く頭使うには必要不可欠らしい。

 

「にしても食べ過ぎだよ。」とナインに叱られていたのを思い出す。

 

しかし結局時々ポテチも食べるようになったぐらいで特に変化はなかった。

竜崎は本当に頑固な人間なのだ。仲間になりたての頃も靴下を履かない彼に業を煮やした45が

「そんなに嫌ならこれでも履いてなさい!」

 

とボロボロの下駄(今まさに彼が履いてるやつ)を渡した事があった。

しかし結果は彼がその下駄を気に入るという本末転倒な事になってしまった。

 

「下駄を発明した人はきっと私の親友になれる人ですまた一つこの時代に生まれた事を後悔しました。」

 

と竜崎のコメントに45はこめかみを抑えていた。

 

「? 416さん?」

 

「! ごめん。ちょっと考え込んでただけよ。」

 

「そうですかでは立ち話もなんですしついてきてください。」

 

我が物顔で通路を進んでいく竜崎。

いや、実際この司令部は竜崎の物だった。

 

一月ぐらい前だった。

竜崎はクルーガーから直々に指令を受け過激派と繋がってる疑惑がある上層部の調査を依頼された。

ちょっときな臭いから一応、ぐらいの疑惑だったが竜崎自身も

 

「怪しいと言っても5%ぐらいですね。」

 

と言っていたがその発言に反して竜崎の調査は、否捜査は本格的だった。

ナイン1人を護衛につけて自ら足を運び、時に立場どころか命をかけて情報を集め管轄品の勝手売買から人身売買まであらゆる悪事の証拠を揃え、無罪同然だった調査対象をそいつのおこぼれに預かっていた腰巾着達も纏めて検挙、グリフィンから排除した。

有罪を言い渡され、連行される被告人と竜崎は最後にこう言葉を交わした。

 

「許さない。必ず貴様を破滅させる。」

 

「人の尊厳を傷つけ共同体を裏切り己の私腹を肥やし続けたあなたが悪私が正義です。」

 

私がいる限り悪は決して許されない野放しにされない私が相応の罰を与える。

きっと被告人が歪なひょっとこの面越しに聞いたその声を忘れなかっただろう。

 

その直ぐ後、検挙された裏切り者達を輸送していた車が何者からの手によって爆破されたという報せが届いた直ぐ後、竜崎と404小隊達はクルーガーに呼び出された。

報酬が決まる前に希望を聴いておきたいとの事だった。

 

「では私に指揮官の権限を下さい。」

 

そうして中の調度品から設備、所属する戦術人形までそっくりそのまま頂いたのがこの司令部という訳だ。

 

「帰る家があるって良いですね。」

 

見事勝ち取った指揮官の椅子の上に体育座りをするように手で足を抱え込んで座りながら誰に言うでも無く呟いていたのを思い出す。

そんな風に過去のメモリーを閲覧しているうちに2人は司令室に着いた。

 

「どうぞ好きな所に掛けてください。」

 

いつも会議で使ってる席に腰掛けた。

続いて竜崎がいつも45が座ってる席に座った。

 

「さて、仲良くなりたいというのはですね私は404小隊の中で一番私に似ているのは貴女だと思ったからです。」

 

「は?」

 

あまりにも意外な、意外すぎる切り出しだった。

自分と竜崎が似てる?

 

「意外でしたか?」

 

「いえ、ただ混乱してしまって。ごめんなさいね。上官に向かって、」

 

「構いません私の方が年下ですし経験も浅いですそれより理由を言いましょう。」

 

椅子から降りて紅茶の準備を始める竜崎。

手伝おうとしたら手で制された。

 

「あなたはズバリ幼稚で負けず嫌いだからです。」

 

 

「幼稚で負けず嫌い?私が?

ナインならまだ分かるけど私が幼稚で負けず嫌いですって?」

 

鏡はないが眉間に深いシワが刻まれたのが自分でわかる。

久々に人に罵倒された気がした。

 

「私もそうだからわかるんです初めて会った時から薄々気付いていましたが一緒に仕事をこなすうちに確信に変わりました。」

 

構わず竜崎は続けた。下駄を履いたまま台に登りポットを取る。

 

「まずあなたは初めて会ったとき私にHKM4と呼ばれた時頰を紅潮させ体を強張らせましたつまりあなたはその名前で呼ばれる事に嫌悪を感じる。」

 

ポットに茶葉を入れ、冷蔵庫から取ってきた水を注いだ。

 

「次に私を送り届ける際にAR小隊も拾って行けと言われた時にあなたとG11は明らかに拒否の意思を顔に出していました。

G11はただ単に面倒に感じただけでしょうがあなたは違うAR小隊、特にM16A1に敵対心を、敵意憎悪と言い換えて良い程持っている。

ここまでで私の推理は90%正解だと感じていました。

それを決定付けたのが一緒に仕事をするようになってからです。」

 

コンロの火をつけポットを置き、砂糖とカップを用意する。

 

「あなたは自分で気付いていないだけで任務が終わるとよくこう呟いています。『いつか奴らに取って代わる。』ここまで説明すれば奴らとは誰か、言うまでもないでしょう。」

 

出来上がった紅茶をカップに注いでトレーに載せて416に出す。

竜崎も角砂糖を7個以上入れてから口を付けた。

 

「反論はありますか?」

 

「………いいえ一つも。けど質問ならあるわ。」

 

「なんでしょう?」

 

「初めから私達のことをそこまで見てたの?」

 

「人を見極めるのは探偵に必要なスキルです。」

 

「そう。にしても幼稚で負けず嫌いって、もっと言い方無かったの?」

 

「? あなたは違う。と思えば反対意見に対してよく喋りますし、遊び程度の勝負でも直ぐに勝ちに来ますどれも負けず嫌いの典型です。偽る必要は無いと思いますが?」

 

「…やっぱりあなたが苦手だわ。」

 

「そうですかようやく本音で言ってくれて嬉しいです。」

 

「………苦手、場合によっては相容れないってことよ?」

 

「大丈夫です416さんは私と同じで友達が少ない方ですから最後には私と友達になれると信じています。」

 

「上官でも言っていいこと悪いことがあるわよ?」

 

曖昧に首を傾げながら竜崎は再び紅茶を口に運んだ。

溜息をついて416も紅茶を飲む。

少し冷めてしまったが紅茶の優雅な香りが鼻をくすぐった。

 

「砂糖入れないんですか?」

 

「あなたの見てるだけで口の中が甘ったるくなるからいいの。」

 

「便利ですね私もその舌が欲しいです。」

 

別に味覚機能は調整してないと言いかけたがまぜっ返しても仕方がないと思いやめた。

 

「じゃあ、最後の質問だけど何であなたは404小隊に入ったの?

あなたの頭脳なら他のもっとなんて言うか、

花形みたいな所や安全な部署に行く事だって出来たわよね?

それをしなかったのはなぜ?」

 

「一つは皆さんには助けていただいた恩があるから。

次に私は許せなかったからです。」

 

「許せなかった?」

 

「404小隊が不当な扱いを受けている事に。

貴方達の実績はもっと評価されるべきでありそもそもあなた達の押し付けられる仕事の鉄血以外の要因は全て人間、と言っても過言ではありません。

私はそんな悪がまかり通ってるのが許せなかった。

ただそれだけの事ですそれに、あなた達は強い。

これだけでは不十分ですか?」

 

「………いえ、完璧よ。」

 

完璧、416が己に課している縛り。

その言葉が今誰でも無い竜崎に使われた。

竜崎はこれが理解出来ないほど鈍感な人間では無い。

 

「紅茶以外はね。ちょっと渋いわ。」

 

意地悪く笑われる。しかし竜崎は精進します。と小さく笑った。

 

「明日からまたよろしくね竜崎。

あまり夜更かしし過ぎないのよ。

明日の任務も完璧にこなさないとダメなんだから。

いつか奴らに取って代わる為に、ね。」

 

「はい必ず勝ちましょう。

今晩は付き合っていただきありがとうございました。お休みなさい。」

 

おやすみ小さな技術顧問殿。

見た目相応の少女のようにイタズラっぽく言うと416は去っていった。

残された竜崎はドアが閉まるのを見届けると紅茶を飲んでから呟いた。

 

「これで一安心です。」

 

今この時だけ彼は404小隊技術顧問竜崎ルエではなく、キラ事件を解決した名探偵L.Lawlietに戻っていた。

 

今晩416と話したのは打算抜きに寝付けなかったのもあるし、同じ小隊の仲間に苦手意識を取り払って欲しかったのもある。

しかしもう一つ大きな意味があった。

 

(416さん。あなたは404小隊の中で一番夜神月(キラ)に似ている)

 

妥協を許さず、己を律し傲らない自惚れない。

味方になればこれ以上なく心強く敵になれば刺し違える覚悟が無ければ倒せない。

そんなLにとって唯一友達になりたかった敵に416は似ていたのだ。

 

「月くん、無の果てから見ていますか?

私はキラが居なくなった果ての世界で楽しく足掻いていますよ?

新井正幸、私の後継者。今度こそ私は悪を使わず悪を制してみせます見ていてください。死神達も見ていますか?人間も戦術人形も面白!でしょう?」

 

まあな。とあの忌まわしき声とリンゴをかじる音がどこからか聞こえた気がした。

紅茶を飲み干し食器を片付けると彼は寝床に戻った。




果たしてL(にんげん)が勝ったのは夜神月(かみ)なのかただのデスノート()なのか。それは誰にもわからない。そして竜崎(しょうねん)2061年(じごく)で何を勝ち取るかも誰にもわからない。

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