地獄の渡り鳥、再び   作:ヒトアマゾン

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中編「密猟の魔の手 哀しみの職員」

-東条宅-

 

 

進吾「しかし…生身で乗り込むつもりか? ズバットスーツは総統Dとの斗いで…」

 

進吾がそこまで言うと、早川は胸ポケットから一枚の布切れの様な物を取り出した。

 

進吾「これは…?」

 

早川「ダッカーの残党の噂が耳に入って来た時、理沙さんに作ってもらったシルベールだ。」

 

数十年前、飛鳥五郎の恋人である、皆川理沙が開発した特殊合成繊維のシルベール。その性能故、ダッカーはシルベールを狙い理沙を襲った。

 

早川「コイツを使って、新たなズバットスーツを作ったんだ。 活動限界時間は前と同じ5分だが、強度は格段に上がっている。」

 

進吾「そうだったのか。 まさか理沙さんとの繋がりもあったとは…」

 

早川「俺は明日、パークに向かう。 東条、お前はどうする?」

 

進吾はその一言の後、少し悩みつつも、口を開いた。

 

進吾「すまない早川、明日から仕事の面談があるんだ… だが、何か警察の協力が必要な時は電話してくれ。今でも警察への伝手は有るんでな。」

 

早川「悪いな東条、そん時は頼んだぜ。」

 

 

〜翌日〜

 

 

新しい一日が始まる。 その一日は、変わらぬ日常か、それとも地獄の始まりか。

 

進吾「…朝か。 早川は……何時も通りだな。」

 

部屋に早川の姿は無く、机の上には置き手紙が置いてあった。

 

「夕飯ごちそうさん。俺はまた流離う。」

 

 

-ジャパリパーク行き旅行船内-

 

 

オサム「みどりさぁん! お昼食べよ!」

 

みどり「もぅ…オサム君ったら舞い上がっちゃって。」

 

子供の様に駆け寄るオサム。それを見つめるみどり。歳はとっても、あの頃と同じ光景があった。

 

 

-同船、甲板-

 

潮風の吹く甲板。 ギターを弾いた渡り鳥が、近づいてくる島を見つめていた。

 

早川「もうじきか… あんな平和そうな島にもダッカーの魔の手が…」

 

 

-1時間25分後、パークセントラル付近、港-

 

 

船からは多くのヒトビトが出てきていた。一秒でも早く動物に会いたい者、取り敢えずのんびりしたい者、誰かを捜す者…

 

早川(確か噂だと、キョウシュウチホーという場所に居るらしいな…)

 

人混みから抜け出し、キョウシュウチホーへ行く手段を探す早川に、一人の職員が話しかけた。

 

職員「あの…何かお探しですか? よかったらお手伝いします。」

 

早川「あぁ、キョウシュウチホーへは何に乗れば行けるんですか?」

 

職員「キョウシュウチホーですか、でしたら私もソコに用事があるので良かったら一緒に行きませんか?」

 

早川「助かります。」

 

そこまで言うと、二人はキョウシュウチホー行きの電車が停車する駅へ向かった。

 

 

-キョウシュウチホー、林-

 

 

?「ニホニホォ、ルペラァ… 何処?」

 

林の中を彷徨う、一人の男が居た。 彼は何かに怯える様に捜していた。

 

?「早く見つけないと…ヤツらに…殺され…」

 

 

-キョウシュウチホー行き電車内-

 

 

二人は座席に座り、発車迄の時間を過ごしていた。

 

職員「貴方…早川さんですよね?」

 

早川「おぉっと…俺も随分と有名になったもんだ…」

 

職員「僕…きよしです、犬のカクを飼ってたきよしです!」

 

小山内きよし。かつてダッカーの作戦に巻き込まれ、大切にしていた犬、カクに狂犬病のウィルスを打ち込まれ、自身もカクに噛まれて狂犬病にかかっめしまった少年。カクは殺処分されてしまい、きよし本人も父親ごとダッカーに殺害されそうになったが、早川に助けられた。その後、奇跡的に狂犬病は発症しなかった。恐らく血清があったのだろう。

 

早川「きよし君! 元気にしてたか? お父さんは?」

 

きよし「父は、3年前に亡くなりました。」

 

早川「そうだったのか…すまない。」

 

きよし「いえ、あの時助けて頂かなかったらとっくに…」

 

早川「君が生きている事、きっとお父さんやカクは喜んでるさ。」

 

きよし「…早川さん、ダッカーの噂を聞いて、パークに来たんですよね。」

 

早川「その事なんだが…何か知らないか?」

 

きよし「最近、密猟者が出ているという話がありましたが、もしかしたら密猟者がダッカーなのかもしれません…」

 

早川「そうか…やはりダッカーは非道な組織である事に変わりは無いらしいな…」

 

きよし「もし何か手伝える事があったら言ってください、あの時の恩返しです。」

 

早川「ありがとう、早速なんだがパークには一般人立ち入り禁止エリアがあるらしいな。」

 

きよし「はい。」

 

早川「そこに入らせてくれないか?」

 

きよし「…分かりました、キョウシュウチホー支部に連絡しておきます。」

 

早川「ありがとう…」

 

きよし「そろそろ電車が出ますね。」

 

 

-その頃、駅-

 

 

みどりとオサムは、パークセントラルの店を回っている内に、電車の時間ギリギリになってしまったらしい。

 

みどり「オサムくん! 電車出るよ!」

 

オサム「大変だ大変だぁ! 間に合わないよ!」

 

みどり「早k…あそこに座ってるのって早川さんじゃない!?」

 

オサム「早川さんがここにいる訳…居たぁ!!?」

 

みどり「早川さぁーん!!」

 

オサム「早川さぁん!!」

 

その時、駅ホーム内にアナウンスが流れた。

 

アナウンス「まもなく、キョウシュウチホー行きの電車が発車します。 白線の内側までお下がり下さい。」

 

オサム「あ、間に合わない…」

 

みどり「…次の電車、待とっか。」

 

落胆する、二人であった。

 

 

-キョウシュウチホー、駅-

 

 

きよし「早川さん、着きましたよ。」

 

早川「おっ、速いな…技術の進歩か…」

 

きよし「センターから、立ち入りの許可が出ました。 一応、私服警官として…ですがね。」

 

早川「十分だ、ありがとう。」

 

きよし「移動用の車がありますので、送りますよ。」

 

早川「頼んだぜ、きよし君。」

 

 

-車内-

 

 

舗装されていない道を行く一台の車。 舞う砂塵の中を走り、早川が目を付けた林に向かっていた。

 

早川「そう言えば、きよし君も此処に用が有ると言っていたが、その用は済んだのか?」

 

きよし「いえ…今、ヒトを捜しているんです。 2週間も前から居なくなっていて…」

 

早川「そうか…俺も手伝うよ、ダッカーと何か関係があるかもしれないし。」

 

話を続けている内に、林の前にまで来た。

 

きよし「ありがとうございます。 車、此処に停めておきますので、3時間位したら一旦此処に集まりましょう。」

 

早川「分かった。俺は東の方を見てくる。」

 

きよし「なら、僕は南から行きます。」

 

そうして、別行動が始まった。

 

 

-林、東部-

 

 

早川(人の出入りが少ない場所に拠点を作る筈…なら此処が最適だろう…)

 

?「やめろ…やめろよ…!」

 

林の奥から声が聞こえる、かなり弱っている様子だ。

 

早川が向かって行くと、一人のボロボロになった男が、銃を構えた男の脚にしがみ付いていた。

 

銃を構えた男「邪魔だ…俺の狩りを邪魔するな。」

 

ボロボロの男「絶対に…絶対にルペラは撃たせない…」

 

銃を構えた男「知るか、俺は商売でやっているんだ、人情は要らん。」

 

ボロボロ「やめろよ…!」

 

銃を構えた男「仕方ない…先ずはお前から…」

 

その瞬間、ギターの音色が林に響いた。

 

銃を構えた男「何者だ…」

 

木の影から、ギターを弾きながら早川が現れた。

 

早川「俺かい? ダッカー再建の噂を聞いて飛んできた、風来坊さ。 新たなダッカーの組織の用心棒で銃器の名手、シモ之平兵衛さんよ…」

 

シモ「成る程、俺を知っているのか…」

 

早川「あぁ勿論。拳銃使いのランカーク、仕込みマシンガン使いのダッカー極悪三兄弟、ヤツら以上に多くの銃器を扱う事ができ、その腕前も確かな物だ。

 

早川「ただし、日本じゃあ二番目だ…」

 

シモ「何…? 俺以上の腕前を持つヤツが何処にいる!?」

 

その言葉を待っていたかの様に、早川は口笛を吹き、舌打ちと共に指を5回程動かし、深く被った帽子を押し上げ…親指で自分を指差してみせた。

 

早川「ハッハッハッ…」

 

シモ「何…では勝負してみるか!」

 

早川「職員さん、下がってな…」

 

?「は、はい…」

 

シモ「この銃には、それぞれ色の違うダッカーのマークが付けられた弾が、1発だけ込められている。俺のは赤、お前のには青いマークだ。この銃で、あの鳥を撃ち落とせた方が勝ちだ…」

 

?「そんな! やめろ…」

 

早川「安心しな…」

 

シモ「俺が合図をした瞬間、勝負を始めようじゃないか。」

 

早川「…いつでも来い。」

 

シモ「3…2…1……」

 

職員と思われる男は、顔を真っ青にしながらその様子を見ていた。

 

シモ「…0!」

 

その声と同時に、平兵衛は鳥、グアダルーペカラカラに向かって銃を撃ち、早川は地面に銃身を向け、発砲した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グアダルーペカラカラは、空を飛び続けていた。

 

シモ「何…? 俺の弾が外れただと? …だが早川、貴様の弾も当たってはいないらしいな…」

 

早川「あぁ、“あの鳥には"当たらなかったな… シモ之平兵衛、アンタの背後の木を、よーく見てみな。」

 

平兵衛は、早川が指差した木を注意深く見ていた。

 

シモ「な、なんだと!?」

 

木には、青のマークの付いた弾頭が赤のマークの弾頭ごと、木にめり込んでいた。

 

早川「俺が地面に向けて弾を撃ったのは、跳弾を利用してアンタの撃った弾に当ててみせたのさ…」

 

シモ「くっ…図に乗るなよ早川。 次に会った時は、貴様の最期だ!」

 

そこまで言うと、平兵衛は発煙手榴弾を投げ、煙の中、逃げていった。

 

早川「…君、大丈夫だったか?」

 

?「はい…俺とルペラを助けて頂き、本当にありがとうございました…」

 

早川「そんなにボロボロになって…迷子にでもなったのか?」

 

?「いえ、捜しているフレンズ…いや、動物がいるんです。 早く見つけないと、またさっきのヤツらに狙われてしまう…」

 

早川「名前を聞いても良いか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「名前…光太郎、秋月 光太郎です。」

 

 




ぶっ飛んだ技の数々は、「あ、この作者は早川の凄さを表したかったんだな」位に捉えて下さい…
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