早川「光太郎君、その捜している動物って?」
光太郎「ニホンオオカミと、グアダルーペカラカラです…さっき飛んでいた鳥が、グアダルーペカラカラです。」
早川「ニホンオオカミ…確か絶滅した筈じゃ?」
光太郎「この場所、ジャパリパークは本当に不思議な場所で…」
早川(まさかヤツら、資金集めの為に動物を狙っているのか…?」
光太郎「あっ…早く捜し出さないと!」
早川「俺も着いていく。」
光太郎「…助かります。」
-火山付近、アジト-
火山付近の林に建つ一軒の小屋に、ブツブツと不機嫌そうに何かを呟いている男、シモ之 平兵衛が入っていった。
スーツの男「…平兵衛さん、珍しいですね。 何一つ成果も無く帰ってくるとは。」
シモ「…邪魔が入った。」
スーツの男「…何?」
シモ「アイツだ、ダッカーを潰した男。早川 健だ…」
スーツの男「平兵衛さん…私も、貴方も悪の組織ダッカーの一員です。 殺して下さい、目撃者全員。」
シモ「分かっている。」
スーツの男「なるべく、1発ずつで…目撃者の臓器でも売れば、資金の足しになるでしょう? さ、団員達を連れて行ってください。」
-林、西部-
きよし「…居ないなぁ。早川さんと別れてから、もう直ぐ3時間経つ…一旦戻ろう。」
-林、東部-
早川「…そろそろ、一旦戻らないか?」
光太郎「駄目です…例え、この身体が使い物にならなくなったとしても、皆んなを護りたい…」
早川「…けれど…」
早川が何かを言おうとした瞬間、奥の茂みから1匹のオオカミ、ニホンオオカミが顔を覗かせた。
光太郎「二…ホ…ニホニホォ…!」
早川「待て! 危ない!」
光太郎は、ニホンオオカミの元へと駆け出して行った。早川の言葉は、彼には届かなかった。
林に響く発砲音。 飛び散る鮮血。
早川「光太郎君!?」
光太郎「あ゛…あ゛……ニホニホォ…大丈夫?」
怯えるニホンオオカミに、光太郎は優しく語りかけた。
シモ「光太郎…貴様は俺を見てしまった。 あの時、鳥を見捨てて居れば見逃してやったかもしれないが…」
光太郎「それは出来ない…だって、家族だから……」
早川「シモ之平兵衛ェ…!」
シモ「貴様にも死んでもらうぞ、早川!」
その言葉を切っ掛けに、茂みから何人ものダッカー団員が出てきた。
早川「チッ、まだ居たのか!」
シモ「縛っておけ…先にこいつを始末する。」
ダッカー団員「了解です。」
早川「離せ! クソッ!離せ!」
早川は、ダッカー団員達に林の奥に連れて行かれた。
スーツの男「光太郎さん、ご挨拶をさせていただきます。」
光太郎「お前ら…どうして何の罪も無い動物達を危険に晒すんだ…!」
スーツの男「…私の名前は、御堂隆顕。私が自己紹介する相手は、これから死んで頂く相手に限ります。 そして私の目的は、動物達を今のままの状態で保存する事。」
光太郎「保存…何を言ってる?」
御堂「命は、必ず消える物。 貴方の命は、今正に消えかけていますが… 剥製は、勿論ご存知ですよね? 剥製は素晴らしい…生きたままの姿で保存出来る。鳴かない、動かない、死なない…完璧じゃないか…」
光太郎「ふざけるな…確かに剥製は、学術的には重要な物…だけど、お前らの
様なヤツらが作るなんて…許せない…過去の惨劇を繰り返すだけ…」
御堂は、興奮の余り身体を震わせ、話を続けた。
御堂「だから、その惨劇とやらを繰り返さない、たった一つの方法は、その種が消える事だよ…結局、人間は希少価値に目が眩み乱獲を続ける…種が消えれば、乱獲は出来ない。そうだろ?」
光太郎「お前みたいなヤツが居るから…乱獲は続くんだろ…!」
光太郎の一言を聴いた瞬間、御堂は呆れた様な顔をした。
御堂「…俺をクズと一緒にするな…話の通じない餓鬼が。 殺せ。」
シモ「了解、悪く思うなよ。」
御堂の命令通り、平兵衛は銃口を光太郎に向け、引き金を引こうとした。
?「フライトスイッチ、オンッ!」
何処からか、何かが飛んでいる様な音が聴こえる。
シモ「…何だ?」
その音が、だんだんと近づいてくる。
御堂「アレは何だ?」
御堂が指差す先には、空を飛ぶ赤い車があった。
低空飛行をし始めた車。騒つく一同。
?「ゼェッ!」
特徴的な掛声と共に、その車から鞭が放たれ、光太郎の近くの木に巻き付いた。
?「ズバァッ!」
車から、赤い人影が飛び出し、光太郎の目の前に着地した。
?「大丈夫か、光太郎君、光太郎君!」
光太郎「……ニホ…怪我してる……俺、食べなよ…」
?「何を言っているんだ!」
光太郎「俺…ニホニホの命に、ルペラの命になれるなら………」
ニホンオオカミに向けられた光太郎の右腕は力を失い、光太郎の瞳から光が消えた。
?「……光太郎君、君の仇は必ず俺がとる。」
御堂「何だ貴様は…?」
?「ズバッと参上、ズバッと解決…人呼んで流離いのヒーロー!
快 傑 ズ バ ァ ッ ! 」
御堂「快傑ズバット…成る程、貴様がダッカーを潰した…」
ズバット「武器を密輸し、動物を危険に晒し、
御堂「所詮ヒーロー気取りの男…殺せ。」
一斉にズバットに襲い掛かるダッカー団員、それに加勢するシモ之平兵衛。
だが、団員達は為す術無く、ズバットに蹴散らされた。
シモ「面白い…俺と勝負してみるかっ!」
平兵衛は銃をズバットに撃ち、殺害を図るも、高速で振るわれる鞭によって全て打ち落とされた。
シモ「ちぃっ! 俺を舐めるなぁ!」
弾切れしたのか、ストックでズバットに殴りかかった。
ズバット「(あと3分しか無い…)ゼェッ!」
殴りかかる一瞬の隙を突き、掛声と共に鞭の柄を平兵衛の鳩尾に突き刺した。
シモ「ズバット…面白いヤツだ…」
平兵衛は、その場で気絶し崩れ落ちた。
御堂「高い金を払って雇ってやったのに…使えない。」
その場から立ち去ろうとする御堂を、ズバットは見逃さなかった。
ズバット「逃がさんっ! ゼェッ!」
全力で振るった鞭は御堂に巻き付いた。
御堂「うっ…ぐっ…」
ズバット「まだ、ダッカーの残党は残っているのか!?」
御堂「し、知らん…」
ズバット「嘘をつくなぁ…!」
御堂「本当だ…俺は知らん! 俺は分かる範囲で集めただけだ…」
その言葉を聴き、ズバットは鞭を解き、柄で喉を突いた。
御堂「う゛っ゛」
一飛びで御堂との距離を取り、今度は更に高く飛んだ。
ズバット「ズバットアタァックッ!」
空中で身体を捻り、急降下の勢いのまま、御堂に蹴りを喰らわせた。
御堂は言葉を発する余裕も無く、倒れ込んだ。
ズバット(光太郎君、君の仇はとったよ………飛鳥、いつになったら世の中から悪が消えるんだろうな…)
ズバットはマスクを開くと、何かが書かれたカードを御堂に向かって投げ付け、その場から立ち去った。
倒れた御堂に、1匹のセルリアンが忍び寄っているとも知らずに…
-同、林-
きよし「(銃声みたいなのが聞こえたから来てみたけど…)…光太郎!?」
きよしの視線の先には、右腕が千切れ、各部が啄まれた光太郎の亡骸があった。
光太郎には、早川が来ていたジャケットが掛けられていた。
きよし「光太郎……死んじまったのかよ…」
きよしは、視線を御堂に移した。
きよし「このカード…」
〜この者、極悪殺人犯人!〜
と書かれたカードが御堂に乗せられていた。
-パークセントラル付近、港-
夕陽が差し込み、パークセントラルを紅く照らしている頃、一人の渡り鳥が再び旅を始めようとしていた。
早川(光太郎君…天国でも、このパークを見守っていてくれ…)
-30分後、パークセントラル内管理室-
職員A「…連絡は有ったか?」
職員B「いや、まだだ。…一体、何処に居るんだ?」
?「失礼します…」
職員A「あ、ミライさん…お疲れ様です。」
職員B「密猟者騒ぎで忙しい時に、内の職員が行方不明になってしまい…私らの指導不足で…」
ミライ「いえ、密猟者は国家の問題です。それに、彼…光太郎さんはきっと帰って来ます。」
職員B「光太郎…あいつが居なくなってから2週間経ちます。」
ミライ「…捜索班を増員しましょう。密猟者関係の情報は…丁度2週間前から有りません。 彼の捜索を優先しましょう。」
職員A「ありがとうございます。私達にも、何か出来る事があれば…」
職員C「ミライさん‼︎ 少しだけお時間、頂けますか…」
ミライ「は、はい…」
けものフレンズ 軈テ星ガ降ル。序章〜地獄の渡り鳥、再び〜
完結。