「くらえっ! ギガスラッシュ!!」
スラッシュのギガスラッシュ!!
目にも止まらぬ速さでパイナップルに顔のついたような魔物、デビルパインに接近しプルプルのスライムボディを振り抜くスラッシュ、デビルパインは一刀両断、断面から溢れる果汁を撒き散らして地に沈んだ。
「スラッシュ!すっごーい! お兄ちゃん、スラッシュってこんなに強かったんだね。 わたし 見直しちゃった!」
イルがスラッシュの戦いを見て歓声を上げる。
優秀なスライムだとおだてるように言ったが、事実スラッシュは強い。お父さんが若い時から共に苦難を乗り越えてきた彼は、その名に偽りなくギガスラッシュという大技を体得している戦士である。が、しかし
「おい、スラッシュ モンスターマスターのイロハはどうなったんだ?今のところわかったのは、スラッシュが強いってことだけなんだけど?」
「いやー わるいわるい 敵を見ちまうとつい 番スライムとしての血が騒いでな だけどルカ、お前は今まであれだけ勉強を頑張ったんだ。モンスターマスターのイロハって言ったが 後は魔物をスカウトして仲間にして 指示の出し方を実際にやってみるくらいだぜ、 見ての通りここらの魔物なら楽勝だから さっさとスカウトしちまおうぜ!」
そう言ってスラッシュが辺りを見渡すと、魔物が一匹もいない静かな砂浜が広がっていた。
そりゃ同じ魔物が一刀両断されるところを見たら、逃げるのが普通である。
「おい、スラッシュ どこに魔物がいるんだ?」
俺は呆れながらスラッシュに問いかける
青いプルプルの身体に冷や汗?を流しながらゆっくり俺から目を晒すスラッシュ。
「あー いや みんな今から ランチタイムだったかな? ははっ」
ボソッとイルが呟く
「見直して損しちゃった。」
「うぐっ! いや、もっと奥まで行けばまだ魔物がいるかもしれない、奥の方から魔物のニオイもしてるしな! さっ 行こうぜ!」
確かに強いがどこか間抜けているスライムである。
スラッシュが示す砂浜の先には洞穴が見える。原作通りに行けばこの先に聖竜ミラクレアがいるはずだ。今ならまだ引き返せるが・・・
「どうしたの、お兄ちゃん?」
立ち止まっている俺を心配したのか、不安そうな表情でイルが俺の顔を覗き込んでくる。
「いや、なんでもないよ 行こうか」
このまま行けば、俺はミラクレアから伝説の卵を託される。そうなればミラクレアが封印した《狭間の闇》から目をつけられるのは明らかだ。原作では封印は緩んできており、闇の復活は時間の問題だという、封印に力を使ったミラクレアが闇に勝てるとは限らない。生き残るためには、ストーリークリアのためには、卵を授かり闇と戦わなくてはならないだろう。俺は闇との戦いを思いながら洞穴に向かって足を進めた。
洞穴に入るとすぐに開けた場所に出た、どうやら行き止まりのようだ。
奥の方から日の光がのぞいている、洞穴の壁には俺たちが通るには小さな穴が空いている。
「この洞穴はここで行き止まりかな わたしたちじゃこの穴の向こうには 行けなそうだし・・・」
「オレなら通れそうだな 行って見てきてやろうか? ・・ん? なんだかこの穴の向こうから 強い魔物のニオイがするぞ!」
そう言ってスラッシュが警戒の態勢をとると、ゆっくりと長い首を持ち上げたドラゴンと壁の穴越しに目があった。聖竜ミラクレアだ!!
「キャーーーーッッ!!」
イルが驚きのあまりにのけぞり尻もちをついた
「お・・お兄ちゃんっ 今の見たっ!? なにアレ!? お・・大きな目に見えたけど・・・。 いったい この島には なにがいるの・・?」
怯えと驚きが混じったような様子のイル
辺りを警戒する様に洞穴の中を見回している
「イル、ルカ あいつはやばい 強いなんてもんじゃない! はやく牧場に戻るぞ!」
慌てたように俺たちに牧場に帰るように言うスラッシュ、だがここで帰ってしまうと伝説の卵を授かることができない。
「スラッシュ、あの魔物がその気なら今頃洞穴ごと潰されているだろうし、今から牧場に戻ったって同じことだよ・・。それに今あいつと目があったんだ、もしかしたら俺たちになにか伝えたいことがあるのかもしれない。」
「ルカ! そんなこと言ってる場合じゃない本当にあいつはやばいんだ! オレにはよくわかる、オレじゃ手も足も出ないってことがな!」
「ねぇ! 2人ともっ! あれ見て・・ これ、もしかしてあの大きな魔物のところに繋がってるんじゃないかな・・?」
俺とスラッシュに割って入ったイルが指さした場所には、洞穴の外に続く縄梯子があった。
「おい!イルっ! お前まで行くなんて言うんじゃないだろうな!」
「・・・わたし、びっくりしたし今もちょっと怖いけど、あの目はあまり怖くなかったから・・きっとわるいこじゃないと思うの! それに、少し悲しそうな目をしてるような気がした。 ほんとうに伝えたいことがあるなら聞いてあげたい・・。」
俺は原作からミラクレアが危険な魔物ではないと知っているが、目を一瞬見ただけで魔物の感情をくめるイルは、俺よりもよほどモンスターマスターにふさわしいのかもしれない。
「俺からも頼むよ、スラッシュ 今あいつのところに行かなきゃいけない、そんな気がするんだ。」
「うぐっっうーっ・・・ 確かに、あいつはやばいが 敵意は感じなかった。 ・・・っっ わかった! オレは優秀な牧場の番スライムだ!最後までお前たちの冒険に付き合ってやる! ただしオレが危ないと感じたらすぐにオレを盾にして逃げるんだ。 それが出来ないならいかせられない。」
「ありがとう、スラッシュ」
さぁミラクレアに会いに行こう!