ラスボスが鎮守府にいるんだが倒せない 作:リバプールおじさん
鈴谷「ねえエンちゃんってさあ、いつもゲームばっかやってるけど本当に深海棲艦の親玉なの?」
「え?マジマジ。大マジよ。だって僕やれば深海棲艦全部沈むもん」
鈴谷「覚悟ーッ!」
叫ぶやいなや、鈴谷は床にうつ伏せになりながら某有名インディーゲームをしている彼にのしかかり、押さえつけた。
「のわー!何すんだ折角Nルートやれそうだったのに!俺のケツイ返せよ!」
鈴谷「良く良く考えたらアンタ寝っ転がってばっかなんだから押さえつければ逃げらんないじゃん!早くやられてよ!鈴谷だってこんな戦争ばっかしたくないの!」
「なんだとお前構ってちゃんだな、ふふふ...この俺が倒れようとも第二第三の俺が...」
鈴谷「うっさい!ふっふー、こうやれば避けれないっしょ?おーい熊野、なんか鈍器持ってきて!」
そう言って鈴谷は彼の体を反転させ、仰向けにして腰の辺りに乗り掛かった。
そして彼の体を固定しようと胸のあたりに手を乗せ...固まった。
少し涙目になりながら。
鈴谷「あ、あのさ、エンちゃん。鈴谷の腰の辺りに硬いものが当たってるんだけど...」
「ああ、これか?ちんち」
鈴谷「覚悟ーッ!」
「うおおおお回避ッ!」
全力で振り抜かれた鈴谷の拳を首を捻り回避する深海厭産鬼。
するとそこでドアが勢いよく開かれる。
熊野「何をしてますの鈴谷?大声出してはいけませんわ」
「助けてクマノン、犯される!」
鈴谷「ああっ!」
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熊野「で、あんな騒ぎになっていたと言う訳ですわね?」
「そうそう。いやーありがとねクマノン。危うく鬼級から姫級にクラスチェンジする所だったよ」
鈴谷「そんなんじゃ無いもん...」
三隈「でも本当にラスボスなんでしょう?確かに押さえつければいいとは思うのですが」
「いや、多分押さえつけてもやれないよ俺。だって運もカンストしてるもん。避けれる避けれる」
最上「やっぱりチートなんだね、キミ」
「んま、ラスボスだし?あ、ちょっと待ってもうこんな時間じゃん。じゃあね。妹さんに盛らないよう言っといてね」
鈴谷「だから違うっつてんじゃん!」
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とある酒場で白髪の黒い着流しをした少年ともう1人の海軍服に身を包んだ白髪の老人が話をしていた。1人は心底楽しそうに、1人は心底つまらなそうに。
「いやー弄りがいあるよね、楽しいよ。一緒に過ごしてて」
元帥「そうか。それは良かった。で、やられてもらう気は?」
「悪いが無えなあ。それよりもさ、言いたい事あるんだけど」
元帥「どうした?」
「僕のご機嫌とるよりさ、もっと別のところ気にかけた方がいいよ。彼女たちの待遇とかさ。早くこの鎮守府にも提督寄越してよ。なるべくプライド高い奴が良いな。不相応なプライド持ってる馬鹿」
元帥「お前の所に送ったら全員狂いそうでな。お断りだ下衆め」
ハハハ、と笑いながら少年は麦茶を啜った。
「いやごめんね、お喋りするとどうにも口が乾いて。で、どうすんの?早く送ってよ。ウチの長ちゃんの胃がブチ抜かれそうなんだけど」
元帥「...その時は別に考える」
「早く決めなよ。ボケちゃったのか?下衆以下。...あ、マスター、この人にツケといて下さい。んじゃーね」
そう言って少年はそそくさと退出する。中には少し引き気味にコップを片付ける店主とウイスキー片手に少年が出て行った扉を睨む老人の姿が残った。
そして彼は初夏の陽気に照らされながらあの鎮守府へと戻るべく歩き出した。こんな事を呟きながら。
「馬鹿な奴ら。まさか本気で人類が滅亡しないとでも思ってるのかね?」