Hearts of Kancolle IV ~crisis Mod~   作:連絡会議

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新型兵装の試験

 異常気象対応調査局への出向を終えた私達は東京工廠から送られてきた新型兵装の試験を行っていた。

 取り回しの良さ、整備性、火力、信頼性――様々な項目が存在している。

 今回送られてきたのは12.7cm連装砲の改良型。俯仰角の改善が行われたほか、砲身の独立指向が可能になったとか。

 そして、目玉の改善項目は――

 

 狙った的と、()()()()()()()()()が砕け散る。

 

「……素晴らしい。小口径砲の徹甲弾、と聞いて侮っていたな」

「響、反動はどうだ?」

「思っていたよりはないけど……そうだね、少し重くなったかな」

 

 次の的に向けて弾を放つ。狙った場所から少し右に着弾する。

 もう一度、しっかりとした姿勢で弾を放つ、今度は上に逸れた。

 念のため、十数発撃つ。やはりずれる。艦娘しか気づけない程度の差だが、これは少々まずいのではなかろうか。

 

「……司令官、砲身は変更していないんだよね?」

「えー、うん。そうだな。砲身に変更点はない」

「ちょっと見てみる」

 

 適当な場所に座り、整備用品を取り出す。新型の砲を股に挟んで分解を始める。

 整備性はまあまあ。12cm単装砲やその高角砲型に比べると整備性は落ちるが許容範囲だろう。整備性と引き換えに火力が無い砲と比べたところで意味はないに等しい。

 さて、目当ての砲身だが……ああ、これはダメだ。

 

「司令官、これは酷い……摩耗が激しすぎるね」

「そんなにか?」

「400発撃ったら寿命が来るんじゃないかな?」

 

 ライフリングが削れている。

 

「通常の……そうだな、4倍の速さで摩耗すると考えておかなければならないだろうな」

「新型砲弾を採用すると、か……新型砲身を作るか、それとも……」

 

 まあ、帝国の砲身寿命は他国と比べ一段と厳しいのだ。

 

「今のままでもいいといえばいいが……」

「採用する必要はあると思うか?」

「……砲身寿命を縮めてでも、採用はすべきだね」

「そうか……とりあえず耐久試験をしてくれ」

 

 司令官が資料に書き込んでいるのを横目に見ながら耐久試験を開始する。

 

 ……何時間かかるのかな。

 

 

 

 

 ―――――

 

 

 

 

 結局夜までかかった。時刻は23:00を指している。

 耐久試験のほかに電探(レーダー)との統制射撃を試たりしていたのだ。……結果?従来兵装と大して変わらなかったとだけ言っておこう。

 

「お疲れ様」

「本当にね……今日は司令官の部屋に泊まってもいいかな」

「今日()だろ全く。仕方ないな……」

 

 私の部屋はここからかなり遠い。試験場と鎮守府庁舎まではかなりの距離があるのだ。

 司令官はここの部屋を借りていいことになっているので私もご相伴にあずかる形で泊めてもらっているのだ。

 もっとも、用意されている部屋も布団も一つずつしかないので枕だけ用意して同じ布団で寝ているわけだが。

 

「にしてもこんな美女が隣で寝ているのに手を出す予兆すらないなんて司令官は不能か何かかい?」

 

 手で軽く胸を覆いつつ上目遣いで司令官を見上げながら言ったところ、司令官はあたりを見回すような動作をしながら仕草をしながらこう言った。

 

「はて、美女……?すまないがどこにいるのか教えてくれないか?」

「目の前にいるんだけどね?」

「ふむ……」

 

 司令官の目線は私の顔の少し下、胸で止まる。

 

「すまないが美女というには慎ましすぎるのでは」

「ぶっ飛ばすぞてめえ」

「はっはっは」

 

 帰るぞ、と試験場を走りながら後にする司令官を追いかける。部屋についたらこいつを殴って良い酒でも飲もう。もちろん司令官の奢りで。

 

 ふと見上げた空では、綺麗な月が輝いていた。

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