怪獣総進撃2020   作:マイケル社長

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ーChapter 57ー

 

 

 

拳を振り上げたガイラはゴジラに突進すると、ゴジラの正面腹部に殴り込んだ。

 

衝撃に揺れつつもゴジラは耐え、自身のちょうど半分ほどの体高を誇る闖入者に両手を振り下ろす。

 

すんでのところでガイラはそれをかわし、鋭い手の爪を立ててゴジラの腹部に振り下ろした。刃物のように鋭利なガイラの爪でもゴジラの皮膚を切り裂くには至らなかったが、それなりに効き目があったのかゴジラは鋭い雄叫びを上げ、後ずさった。

 

すかさずガイラは飛び上がり、ゴジラの腹部に強烈な飛び蹴りを食い込ませた。5、6歩さらに後ずさるゴジラへ、立て続けに蹴りを入れる。体格に差が大きいとはいえ、ガイラの全重量以上の質量を持った蹴りはゴジラを大きくたじろかせた。

 

勢いづいたガイラはドスドスと音を立てて走り込み、ゴジラの腹を蹴った上、宙返りをするように身を回転させ、もう片方の足がゴジラの顎に炸裂した。したたかに顎を蹴り上げられたゴジラは上半身がのけ反り、薄根川河川敷に足を踏み入れた。重量のある尻尾がなければ、仰向けにひっくり返っていただろう。

 

攻勢の手を緩めることなく雄叫びを上げたガイラは、河川敷に飛び込むとゴジラの首めがけて爪を振るった。やはりゴジラの強固な皮膚は破れなかったが、間髪入れず飛び上がって右手拳をゴジラの頬に叩き込んだ。

 

横からの攻撃にゴジラはバランスを崩し、薄根川に横倒しになった。

 

マウントポジションを取ったガイラはゴジラの胸部に跨ると、ゴジラの両頬をそれぞれの拳で殴り始めた。一撃一撃の威力はゴジラを怯ませる程度だったが、とにかく手数でガイラはゴジラを凌駕していた。川の水を跳ね上げながらゴジラは顔面を川面に叩きつけられる。やがて口を閉じると歯ぎしりを始め、唸り声を上げ始めた。

 

動物的本能でガイラは攻撃の手を止め、ゴジラの身体から後ずさった。仰向けのままゴジラは唸り続ける。背鰭が発光し、口から青い煙が昇り始めた。

 

背鰭の高熱で川の水が一瞬で蒸発し、川底の泥が干上がった。

 

ガイラに顔を向けたゴジラが熱線を吐き出さんとしたとき、ゴジラの顔面が大きく横に逸れた。顔の側面をゴジラの顔ほどはある岩石が直撃したのだ。

 

思わぬ攻撃が仕掛けられた方を向くゴジラだったが、再度、同程度の岩石が口と鼻に直撃した。

 

河川敷から高台になってる場所から、サンダが砕石工場の岩を拾い上げ、性格に狙いを定めてゴジラに放っているのだ。

 

新たな標的に怒りの咆哮を上げるゴジラに、サンダが投擲したブルドーザーやユンボが叩きつけられる。

 

サンダの遠隔攻撃でゴジラの気が逸れたのを見逃さず、ガイラはゴジラの腹部を思い切り踏みつけた。苦し気な咆哮を上げるゴジラの顔面に、トレーラーや4トントラックが降ってくる。

 

再びゴジラの背鰭が光った。怒りのためか背鰭のエネルギーは一気に口から放出され、高台のサンダ目掛けて迸った。

 

サンダはゴジラがこちらに顔を向けた瞬間に走り出し、砕石工場から高台の土手が一瞬で抉られた。サンダが逃れた方向へ顔をなぞらせると、青い光の渦はサンダを追って土手を激しく削り始める。吹き飛ばされていく道路や住宅は逃げるサンダに降り注ぎ、うるさそうに手を払う。

 

これ以上の攻撃をさすまいと、ガイラは両手を握ってゴジラに叩きつけた。熱線放出が止まり、ゴジラの注意はガイラに向けられた。

 

ガイラは踏みつけるようにゴジラの腰辺りを蹴りつけるが、より威力の高い蹴りを放とうと右足を振り上げ、力を込めたところをゴジラの尻尾が直撃した。

 

ガイラの身体は薄根川の上流方向へ跳ね飛ばされ、派手に転がった。

 

ゴジラは立ち上がり、身を反転させるとガイラに向かい始めた。

 

ガイラに初めて直撃したゴジラの一撃はしかし、これまでガイラが放ったどの攻撃よりも力強いものだった。悶え苦しむガイラを見下ろし、ゴジラは背中にエネルギーを集中させた。

 

刹那、ゴジラは前のめりに倒れ込んだ。高台を滑り降りたサンダが、その勢いのままゴジラにタックルを仕掛けたのだ。

 

倒れ込んだゴジラの尻尾を両手で持つと、サンダはそれ以上進ませまいと両足を踏ん張ってゴジラを引きずり始めた。その間にガイラは回復し、仕返しとばかりに顔を引きずらせているゴジラの顔面を横払いに蹴った。

 

 

 

 

 

 

怪獣同士が争うことで時折よろけるほどの地震が起こる中、白鳥ら消防士たちは沼田中学校に避難してきた大勢の市民を移送させることにした。

 

消防本部からの通達で、関越自動車道昭和インターそばの味の素、キャノンの工場が臨時の避難拠点となり、そこまでの避難・移送を要請されたのだ。

 

轟音と地響きがひどく、市民たちはおののきつつも移動を始めたが、もしもゴジラ、あるいは赤城・榛名から出現した怪獣たちがここから遠のいていかなかったら、とても避難移動の決断は下せなかったことだろう。

 

あるいは・・・途中で合流した5班の消防士長によれば、赤城と榛名から現れた怪獣たちは、2匹で協力してゴジラを沼田市街地から引き離すように争っているように見える、とのことだった。この辺りには昔から土地の守り神として、巨人兄弟が住んでいて土地に危機迫れば山から下りてきて土地と人々を守ってきたという民話を耳にしたことはあるが・・・。

 

とにかく、怪獣たちが市街地から遠ざかっていることは好都合だった。途中、国立沼田病院で入院患者と病院関係者が大勢合流してきたが、付近を警戒していた沼田警察署のパトカー数台も混じったことで、警察が先導、白鳥ら消防隊がしんがりを務め、人が増えつつも避難誘導が適切に行われつつあった。

 

激しい爆発音と怪獣たちの咆哮が背筋を冷たくするが、白鳥は歯を食いしばった。

 

 

 

 

 

 

サンダがゴジラの尻尾をつかみ上げている隙に、ガイラがゴジラの首に手を回し、ヘッドロックをかけるように締め上げていた。

 

ゴジラは立ち上がろうにも、自身の重心を司る尻尾の自由が利かず、サンダとガイラにされるがままの状態だった。

 

どうにか体勢を変えようと両手を地につけると、ゴジラは全身をよじらせた。ガイラは振り回されて土手に投げ出され、サンダはゴジラの勢いに尻尾から手を放してしまった。

 

もんどり打ってゴジラは立ち上がると、両足に力を込めて全身にエネルギーをみなぎらせた。

 

ガイラは自分が標的になっているのを察知し、寝転がりながら河川敷を転げ回る。ゴジラは狙いすまし、口にエネルギーをたくわえていく。

 

だが派手に動くガイラは囮だった。側面からサンダが迫った。サンダは河川敷の森から巨木を二本引き抜くと、片方でゴジラの脇腹を叩いた。

 

ゴジラにダメージはなかったが、ゴジラの注意を引くには充分だった。

 

ゴジラの口に巨木を突っ込ませた。何やら口に詰まったゴジラは慌てて巨木を抜こうとしたとき、背後からガイラが飛び掛かった。

 

ゴジラの背中をよじ昇り、再びヘッドロックをかける。

 

かすれた咆哮を上げるゴジラは背中のガイラを振り落とそうとするも、がっしりと首を絞めるガイラの腕が食い込むばかりだった。

 

苦し紛れに熱線を吐こうとし、背中が発光する。ガイラは絶叫を上げながらゴジラの背中から転げ落ちた。背鰭の発光は熱線ほどの威力はないが、ガイラの皮膚を焦がすほどの熱を持っていた。

 

熱線はゴジラの口に詰まった巨木を一瞬で炭にした。そのまま吐き出された熱線は地面に突き刺さりながらサンダとガイラを狙った。

 

慌てて逃げ出すサンダとガイラを舐めるように追う熱線は、周囲の道路や建物を吹き飛ばし、広がる森を燃え上がらせた。

 

正面180度に熱線を吐き散らしたところ、爆煙と山林火災が巻き起こった。ゴジラが周囲をうかがう中、直撃は避けられたものの爆炎に呑まれた左足をさするガイラと、掘り起こした土をガイラの足にかけて火傷を冷やすサンダは息を潜め、薄根川に流れ込む発知川沿いの山尾根に逃れていた。

 

ゴジラは«本来向かうべき»方角へ向かうことはせず、突然現れた2匹の闖入者を屠るべく周囲に目を凝らした。やがて炎の中に足跡を見つけ、発知川を上流に向けて歩み始めた。

 

その様子をうかがうサンダは、手負いのガイラを気にかけつつもゴジラの進行方向に注目した。

 

サンダは近くの巨石を握ると、ゴジラの顔面に投げつけた。

 

投石攻撃を受けたゴジラは石が飛んできた方を見遣ると、尾根から飛び出したサンダはゴジラの前を横切り、川を渡るように走り出した。

 

怒りに吼えたゴジラはサンダを追い始めた。だがサンダが決して足を踏み入れなかったところに達したとき、足元が大きく掬われた。

 

沼田市北部は古代から残る古墳が散在しており、サンダは地下古墳群にゴジラを誘いだしたのだ。

 

地下空洞はゴジラの体重を支え切れず、ゴジラの右足を呑み込んだ。

 

突然のことに驚くゴジラに、側面からガイラが襲い掛かった。左足の傷をかまうことなく放たれた飛び蹴りがゴジラの脇腹に炸裂する。

 

右半身の自由がままならぬゴジラは激しくうめく。サンダがゴジラの頭頂部に殴りかかり、ゴジラの身体はさらに地中に食い込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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