怪獣総進撃2020   作:マイケル社長

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ーChapter 70ー

 

ギドラが巻き起こしている低気圧は、ベヒモスが纏う冷気によって夏にも関わらず一帯に雪を降らせていた。

 

ギドラを囲む6体の怪獣が睨みを利かせる中、先陣を切ったのはガイラだった。

 

正面から走り込むと、咥え上げんと首を伸ばすギドラをかわして地面に滑り込み、左の首にしがみついた。

 

左腕で首を羽交い絞めにしたまま右腕でその頭を何度も殴りつける。他の2本が牙を剥き出しにしてガイラに喰らいつこうとしたとき、背中を駆け上ってきたサンダが2本まとめて羽交い絞めにし、全体重をかけて後方にのしかかった。

 

苦しげにうめくギドラの左脚にバラゴンが角を突き刺し、全身を発光させる。

 

超高温の熱波が角を通してギドラの体内に浸透する。それでも首に纏わりつく2体を振り回し、大きく羽根を動かす。暴風が建物のガラスや道路上の車両・標識を吹き飛ばし、加勢しようとしたチタノザウルスが大きく怯んだ。

 

もがくギドラの背後に衝撃が走った。背後から迫ったベヒモスがその巨大な2本の牙を突き立て、ギドラの背中に刺したのだ。

 

ガラガラヘビのような音を口から出し、傷口からは青い血液がにじみ出した。

 

破れかぶれの如く左首を振り回しているうちにガイラが手を放し、首都高湾岸線をなぎ倒して栄町の倉庫群に倒れ込んだ。

 

羽根のはばたきはより強さを増し、瓦礫を巻き上げて立ち上がろうとするガイラにぶつける。不敵に吼える左首だったが、上からの一撃に弾き飛ばされた。上空を旋回していたバランが急降下し、すれ違いざまに鋭い爪をギドラの首に突き立てたのだ。

 

みるみるうちに左首の黄金の鱗が、青い血液に染め上げられていく。

 

立ち上がったガイラは大きく吼え、仕返しとばかりに正面からギドラに突進、頭突きした。

 

苦痛にのけ反る左首を、再度旋回したバランが弾く。強固なバランの体当たりに左首は眩暈をしたまま垂れ下がる。

 

すかさずガイラは左首に噛みつき、ギドラの腹に脚をかけて踏ん張る。

 

じわじわと流れ出る青い血液。それでも一度短く吼えると、ギドラは2本の尾を振り回し、ヘッドロックを決め続けるサンダを背後から殴りつけた。

 

返す尾でベヒモスの顔面を強かに殴りつけ、自由になった中央と右の首がガイラの腕と足に喰らいついた。

 

悲痛な叫びを上げるガイラ。比較的自由ができたギドラは左脚を振り上げ、バラゴンを放り出した。いすゞ船橋工場にバラゴンがなだれ込み、バラゴンの体熱で周囲が発火、炎上し始めた。

 

立ち上がったサンダはガイラを助けようと、右と中央の首をつかみかかる。だが自由になった右の首はサンダがしがみついたまま振りあがり、勢いで潮見町の埋立地へ吹き飛ばしてしまった。

 

苦痛に耐えて噛みついたままのガイラもとうとう耐え切れず落下、地面に倒れたところをギドラの右脚が踏みつけた。

 

ガイラの身体が地面にめり込み、抉られた大地でもがくところを再度踏みつける。

 

ガイラの口から鮮血がほとばしり、喉を鳴らしたままうめき続けることしかできなくなってしまった。

 

空いた背後から攻撃すべく接近するバランには中央の首が動いた。最接近した際に頭を突き上げ、バランの腹部にめり込んだ。

 

野太い悲鳴を上げて西船橋方面に落下していくバラン。

 

ギドラは低くうなると、全身に雷撃を走らせた。黄金に輝き、各所の傷口から出血が止まる。朽ちた羽根は完全に塞がった。

 

そこを背後からベヒモスが急襲、2足で立ち上がり前脚を立てると、太い鉤爪でギドラの背後を引っ掻いた。

 

サンダやガイラ、バラゴンとバランよりも一回り大きいベヒモスの一撃は堪えたのか、ギドラは前のめりによろけた。ふらついたところを前方からチタノザウルスが接近し、正面から体当たりした。

 

跳ね飛ばされたギドラは仰向けに倒れ、そこをベヒモスの前脚が踏みつけた。鉤爪がグイグイとギドラの右首に食い込み、舌を出してのたうち回る。

 

チタノザウルスは起き上がろうとする左と中央の首に尾の一撃を放ち、ギドラの脇腹を蹴り上げた。

 

仰向けのままギドラの巨体は吹き飛び、幾棟のビルをなぎ倒しながら湾岸市川ICに墜ちた。

 

瓦礫と粉塵が弾け飛び、ギドラがうめき声を上げる。ベヒモスとチタノザウルスは勢い進み、さらなる攻撃を加えようとした。

 

そのとき、黄金の一閃が一直線に伸び、地面と建物が粉砕された。

 

爆発にたじろいだベヒモスとチタノザウルスに追い打ちをかけるように、瓦礫混じりの暴風が叩きつけられた。

 

粉塵と絶え間ない雪空に、黄金の巨体が浮かび上がっていた。体格差は歴然とはいえ6体もの怪獣がかかっても、度重なるダメージを受けつつも、ギドラは完全に身体とエネルギーを回復させていた。

 

再度吼えると、3つの首がうねりながら引力光線を放出した。

 

地を走る引力光線は見境なくすべてを巻き上げ、直撃した際の熱で爆炎がほとばしる。ベヒモスとチタノザウルスは爆発の勢いに呑まれ、地面に伏した。降りしきる雪は瓦礫や土砂と共に空へ舞い戻り、一帯を包んでいた冷気は爆炎で一気に消し去られた。

 

天をつくような炎の先に浮かぶギドラはしかし、自由を得ても飛び去ろうとはしなかった。ここまで自身を散々弄ってきた怪獣たちに報復すべく、不敵に嗤う。

 

だが爆炎の中立ち上がったベヒモスとチタノザウルスは、ギドラのさらに上空に目を馳せた。雪空の中、ふんわりと光ったかと思うと雪に混じり煌めく何かが混じり出した。

 

今また引力光線を放とうとしたとき、3つの首に紫色の光線が直撃した。2度、3度とギドラの皮膚から激しく白煙が昇り、思わず体勢を崩し江戸川へ落下していく。

 

雪空を割り、颯爽とバトラがギドラの頭上に現れた。怒りを露わにするギドラに、雪とも異なるものが降り注いだ。

 

暖かな光と共に、モスラが天から舞い降りてきた。溢れんばかりに鱗粉を放ちながら、ギドラを見据える。

 

バトラと並んだモスラに、敵意をにじませ6つの目で睨みつけるギドラ。

 

モスラはゆっくりと旋回するように飛び、周囲に満遍なく鱗粉をふりまいた。ギドラの引力光線で一瞬のうちに変わり果てた一帯から、次々と傷ついていた怪獣たちが立ち上がり始める。渦巻き燃え上がる炎も、モスラの鱗粉で収まっていく。

 

短く、そして鋭く啼くと、モスラは全身を震わせ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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