OP1 学戦都市アスタリスク「Brand new world」
乱戦
4月7日。午後5時。白黒荘庭。
黒刀は木刀で素振りをしていた。
「こっちにいたのね。」
帰宅した映姫が声をかける。
「姫姉、おかえり。」
黒刀は素振りを終えて、言葉を返す。
「ただいま。夕飯作るの手伝って。」
「分かった。」
夕飯の食事中に映姫が、
「黒刀、今日チルノという1年生と決闘したらしいわね?」
「したよ。」
「スキルを4つも使って。」
「うん。」
「少しは手加減してあげなさい。」
「大丈夫だよ。あいつ、前より強くなってたから。」
「まさか解放を使ったりしては…」
「してないしてない!」
「…ならいいですが。」
「ほらご飯冷めちゃうよ。」
「そうですね。」
2人は食事を再開した。
4月9日。午後3時30分。
6時限目終了後、妖夢、霊夢、魔理沙、チルノ、大妖精は端末から『乱戦』に参加申請した。
「何で私まで…。」
霊夢は文句を愚痴っていた。
霊夢の参加申請は魔理沙が霊夢の端末を使って勝手に申請してしまったようだ。
「机の上に置きっぱなしで寝ているのが悪いんだぜ。それにこういうのは楽しまなきゃな!」
「あの黒刀先輩が出るっていうのに何を楽しめっていうのよ…。」
霊夢は分かりやすく落ち込む。
「霊夢、頑張りましょう!」
「やる気満々ね。」
妖夢の応援に霊夢はそう応えた。
「あたいもリベンジするし!ほら言うじゃない!2度あることは3度あるって!」
「チルノちゃん、それを言うなら3度目の正直じゃないかな。」
「不安だ…。」
チルノと大妖精の漫才に霊夢は空を仰いだ。
2年A組教室。午後3時45分。
「あやや、黒刀さん今日は既にデュエルジャケットを装着しているじゃないですか。少し気が早くないですか?」
文が黒刀を激写しながら言った。
「気合い入ってんだ。あと撮るな。ぶっ壊すぞ。」
「あやや、こわいこわい!」
黒刀と文が言い合っていると、にとりが黒刀に近づいてきた。
「おい、黒刀。」
「何ですか?」
「ちょっとしゃがめ。」
黒刀は言われた通りにする。
にとりは黒刀に顔を近づける。
「お前、絶対に物を壊すなよ。」
「壊さないって。」
黒刀はそう答えて離れていった。
「不安だ…。」
にとりはそうつぶやいた。
そして、4時のチャイムとともに『乱戦』が開始された。
1年A組教室。
「じゃあ、私は別行動させてもらうね。」
妖夢がそう口にした。
「一緒に行かないのか?」
「うん。試したいことがあるから。」
魔理沙の問いに妖夢はうなずいて答える。
ちなみに魔理沙のデュエルジャケットは黒いドレスに白いエプロンに黒い三角帽とまさに魔法使いといった装備だ、
「じゃ、私も。」
霊夢もひらひらと手を振って去っていく。
霊夢のデュエルジャケットは赤い巫女服だ。
魔理沙はチルノと大妖精に視線を移した。
大妖精のデュエルジャケットは白シャツに青いワンピースで首に黄色のリボンが結んである。
「あたいはついていってあげる!」
「私もです。」
「よかった~!」
魔理沙は安心した。
「おい、グラウンドの真ん中に誰かいるぞ!」
廊下の方かた声が聞こえてきた、
魔理沙が廊下の窓から覗く。
「あれは…黒刀?」
黒刀はグラウンドの真ん中で棒立ちしていた。
「退屈だな~。」
黒刀は首をコキコキと鳴らしていた。
それを見た1年男子が
「よし!今のうちに奇襲をかけようぜ!」
と、声を出した。
「バカだな~。この前の決闘を見てなかったのか?黒刀に奇襲なんて意味ないって。」
魔理沙は独り言をつぶやいた。
校舎屋上。
屋上には1年生でチームを組んだ男子達がいた。
「ちゃんと狙えよ。」
「分かってる。」
リーダー格の男子がライフルのデバイスを構えた男子にささやいた。
「よし捉えた!」
ライフルのデバイスを構えた男子はトリガーを引いた。
銃口から魔力が込められた魔法弾が放たれる。
だが、その弾は黒刀の『破壊王の鎧』によって無効化され消滅した。
「なっ!」
「くそ!だったら数で押すぞ!全員一斉発射!」
リーダー格の男子の号令によって魔法弾が一斉に放たれる。
だが、黒刀は無傷だった。
「ふわあ、眠い。」
「そんな…。」
メンバーの中の1人が腰を抜かした。
「だ、だったら大人数で接近戦だ!」
『お~!』
20人くらいの男子がSDを起動して突撃していく。
それに対して黒刀は軽く斬撃を放った。
『ぐわあああああ!』
「ハハハハハハハ!」
黒刀は笑いながら連続で斬撃を放っていく。
それを廊下の窓から見ていた魔理沙はひきつった顔をした。
「悪魔だ。」
「楽しそう!ねえ、まだ行っちゃダメなの?」
対してチルノは目を輝かせていた。
「ダメだ。ここで待ってろ。その内、獲物が来るから。」
「は~い!」
すると、
「ダメだ!校舎に撤退だ!お前ら早く!」
黒刀の攻撃に恐れをなした1年生の男子達が校舎の中に避難してきた。
しかし、
「あ。」
廊下で魔理沙が待ち伏せしていた。
「ほら来た!」
魔理沙がそう言ってポケットから取り出したのは八角形の小さな火炉、
ミニ八卦炉だ。
「マスタースパーク!」
魔理沙はミニ八卦炉に魔力をチャージし、撃ち放つ。
すると黄色の極太の光線が発射される。
これが魔理沙の最も得意とする砲撃魔法である。
『うあああああああああああああああああああああああああああああ!』
その一撃で校舎に避難してきた者達を一掃した。
「どんなもんだい!」
「すごいです!素晴らしい魔法でした!」
胸を張る魔理沙に大妖精はベタ褒め。
「だろ!弾幕はパワーだぜ!」
「ぐぬぬ…あたいも負けない!」
チルノは悔しそうにしながら拳を上に突き出す。
霊夢は学園の敷地内の森を歩き回っていた。
「今の音…魔理沙がマスパでも撃ったのかしら?さて…。」
霊夢は誰かが追ってきていることを察知して走り出した。
追跡者も慌てて走り出す。
霊夢が曲がると、それを曲がった追跡者だがその時、木の幹に札のようなものが貼ってあり、それに気が付いた時にはもう遅かった。
札が半径1mに及ぶ爆発を起こした。
「ぐわあああああ!」
追跡者は痛みで地面を転げまわる。
「それは爆符って言って霊符の一種よ。」
「貴様…。」
「楽しかったかしら?ストーキングは。」
「くそ~!」
「夢想封印。」
結界を発動し追跡者を包囲。色とりどりの霊力を込めた弾幕が追跡者に四方八方から飛んでくる。
追跡者は前のめりに倒れて気を失った。
その頃、妖夢は黒刀を目視しながら目測で距離を取っていた。
「よし、ここまで離れれば大丈夫。」
その距離、1㎞1m。
黒刀の『千里眼』のギリギリ範囲外。
「勇儀先生に教えてもらった…足にオーラをためて…一気に解き放つ!」
妖夢は右足に気力をためて、一気に放出するとものすごい速度で黒刀に迫っていった。
それに気づいた黒刀。
「(問題ない。『超反射』で対処できる。)」
刀を抜いて待っていると、妖夢が、
「(今だ!)」
妖夢の姿が黒刀の目の前から消えた。
「足のオーラを放出して跳ぶオーラの基本技、『ハイジャンプ』か。」
黒刀は上に視線を移す。
「はあっ!」
妖夢は空中から『楼観剣』を振り下ろして斬りかかる。
黒刀も同じタイミングで刀を振る。
2つの刃がぶつかり合うことにより、その衝撃波が周囲に広がる。
「やはりパワー不足か…1人じゃ勝てないぞ?」
黒刀の言葉に妖夢は笑みを浮かべた。
「誰が1人って言いましたか?先輩!」
「何?」
その時、黒刀の懐に入り込んできたのは箒に跨って突撃してきた魔理沙だった。
「(ちっ、砂煙が邪魔で視認できなかったか!)」
「くらえ!ゼロ距離マスタースパーク!」
「(狙いは右わき腹…なら右手で…)」
「させるか~!」
黒刀が右手を使って対処しようとしたその瞬間、魔理沙と一緒に箒に乗っていたチルノが箒からジャンプして黒刀の右肩にしがみつき黒刀の右腕を凍らせた。
「(この至近距離なら『破壊王の鎧』もぶち抜けるだろ!)」
「(まずい!)」
次の瞬間、『マスタースパーク』が黒刀の右わき腹に直撃し、黒刀の体が吹っ飛ばされる。
チルノは直前で手を離した。
「手ごたえありだぜ!」
「ついに…先輩を…あの四季黒刀を…」
「
声が響く。
砂煙の中から徐々に姿を現していく。
「今ので立っているのかよ…。」
魔理沙が驚愕した顔をする。
「危なかったよ。脇腹にオーラを集中して防御していなければ最悪負けていた。」
「最悪?」
「もろに食らっていたとしても闘えるが影響が大きすぎたということだ。それに久しぶりだ。」
「何が?」
「攻撃で俺を動かした奴だ。お前らは俺の『集中』を破ったし、他のスキルも攻略した。」
「次はあなたを倒します!」
妖夢は自信に満ちた笑みで言い放つ。
「そう言うと思ったよ。だから俺も1つステージを上げよう。」
黒刀がそう口にした瞬間、身に纏うオーラが一気に跳ね上がった。
「何だ…何をする気なんだ?」
「気力解放。」
黒刀から光の柱が噴き上げた。
「あれは…妖夢が前にやった時がやったやつに似てる。」
「私が?」
「覚えてないのか?」
「うん…。」
魔理沙の問いに妖夢はうなずく。
「仕方ないさ。妖夢、お前はあの時、無意識でこれをやっていたんだからな。」
「何なんだよそれ!」
チルノが声を上げる。
「これはオーラの解放状態だ。」
「「「解放状態?」」」
妖夢達が首を傾げたその時。
「はあ…はあ…みんな…回復に来ました。」
大妖精が走ってきた。
「大ちゃん、解放状態って何?」
チルノの問いに大妖精は呼吸を整える。
「人間はオーラを通常80%までしか出せません。しかし、オーラの解放はそれを90%まで引き上げることができる。」
大妖精の答えに黒刀は、
「さすが1年座学トップだな。」
「あなたに褒められても嬉しくありません!私はまだあなたを許していません!それを忘れないでください!」
大妖精は敵意をむき出しにした目で黒刀にそう言い放った。
「ああ、分かっている。なら俺に勝つことだな。」
「言われなくれも…『ヒーリングサークル』!」
大妖精の詠唱と共に地面に魔法陣が展開され妖夢、魔理沙、チルノのオーラが回復する。
「オーラを回復させるとは今年の1年はなかなかのもんだな。」
「勝つのは私たちです!」
黒刀は首をコキコキと鳴らした後、次の瞬間、妖夢達の視界から消えた。
「「「「なっ!」」」」
そして、気づいた時には4人とも斬られていた。
「(速すぎる!)」
妖夢は解放状態の速度に戦慄する。
魔理沙は地面に手をつき体勢を立て直すと、
「マスタースパーク~!」
黒刀に向かって撃ち放った。
「弾幕はパワーだぜ!」
しかし、黒刀はそれを真っ二つに斬った。
「パワー不足だ。」
「ソードフリーザー!」
そこへチルノが氷の剣で斬りかかる。
だが黒刀はそれを躱し、がら空きとなったチルノの腹を蹴り上げた。
「ぐふっ!」
チルノは体勢を立て直し、斬りかかるが全く当たらず反撃を食らってしまう。
「さっきと動きが違う…。」
「おそらくあの超人的なスピードに加えて『千里眼』と『超反射』をフルに利用しているんだと思う。」
魔理沙のつぶやきに妖夢が答える。
「どうする?」
「私もチルノに加勢してきます。その間に魔理沙はさっきより魔力をためて『マスタースパーク』を撃って。」
「分かった!」
「では行ってきます!」
妖夢はチルノのもとへ駆けだした。
「チルノ、加勢します!」
「サンキュー!」
妖夢はチルノの加勢に回るが、その攻撃は黒刀に全く当たらない。
「(やっぱり速い。)チルノ!」
「おうよ!」
2人は交差するように剣を振るが、黒刀は空中前転でそれを躱し、2人の背後に背中を向けた状態で着地すると2人の『デュエルジャケット』の襟を掴み地面に叩きつける。
「「がはっ!」」
「どうしたまだ序盤だぞ。」
黒刀は挑発めいた口調で言った。
そこへ、
「なら私が終わらせる。夢想封印!」
霊夢が現れ、『夢想封印』を発動した。
「結界を発動させ、その中で霊力弾を爆散させる霊術か。」
黒刀は剣を横に振り、結界を破壊した。
「なら術式を破壊すればいいだけだ。」
「チッ。」
霊夢は舌打ちする。
「その様子だと狸の真似事はやめたってことっていいんだな?」
「…黒刀先輩。まさか…。」
「安心しろ。ここで公言するほどバカじゃない。」
「そう…。」
黒刀と霊夢の視線が交じり合う。
そして、同時に動き出す。
霊夢が札を黒刀に向かって放つ。
黒刀は『破壊王の鎧』を発動していたが、霊夢が放った札は爆符であり、『破壊王の鎧』の手前で爆発した。
黒刀は爆発寸前でバックステップで躱したが、霊夢はその隙に距離を詰めてきた。
「ゼロ距離なら意味ないんでしょ。それ。」
霊夢は至近距離から霊力弾を放つが、黒刀は右手のひらから霊力を放って相殺した。
「気力だけじゃなく霊力まで⁉ツインフォース⁉」
霊夢は目を見開いて驚く。
そこへ、
「妄執剣 修羅の血!」
妖夢が斬り込んできた。
「甘い!」
黒刀は妖夢の『楼観剣』を刀で受け流した。
「甘いのはそっちの方よ!」
「⁉腕が動かない…保護色ワイヤーか!」
黒刀の左腕に巻き付いたワイヤーを霊夢が、右腕に巻き付いたワイヤーを妖夢とチルノが握っていた。
「やっぱり。いくら『千里眼』でも見えないものは見えないし、『超反射』も動きを止めればいい!」
霊夢は自身の推理を口にする。
「(こいつ…意外と力あるな。)」
「魔理沙!決めちゃいなさい!」
霊夢は魔理沙に向かって叫ぶ。
「言われなくても!」
応えた魔理沙の魔力のチャージは完了していた。
「(右腕だけならなんとか動くか。)」
黒刀はワイヤーの巻き付いた右腕を少しずつ動かした。
「ちょっ!2人がかりだぞ!」
チルノが叫ぶ。
黒刀は魔理沙に向けて右手をかざす。
「右手だけで止められると思うなよ!マスタースパーク~!」
魔理沙のミニ八卦炉から通常の『マスタースパーク』より大きな規模の光線が放たれる。
「悪いが俺もそれくらい撃てる。」
黒刀の右手から魔理沙の放った『マスタースパーク』と同じ規模の黒い光線が放たれる。
2つの光線がぶつかり合い、やがて相殺された。
「嘘…。」
「そんなのって…。」
「私のマスパが…。」
妖夢、チルノ、魔理沙がそれぞれショックを受けてつぶやく。
「気力、霊力だけじゃなく魔力まで…これが噂に聞く…」
「トライフォース…。」
霊夢のつぶやきに大妖精が応える。
黒刀は刀を両手で握って上段に構える。
「これでとどめだ…カオスブレイ」
その時、4時30分のチャイムが鳴った。
『乱戦』終了の時間である。
「時間切れか…。」
黒刀の装備がデュエルジャケットが解除され制服に戻る。
「じゃあな。」
そう言って立ち去った。
黒刀が立ち去った後、
「危なかった~!」
魔理沙がその場で仰向けに寝転がった。
他の4人も同様に寝転がった。
「5人で闘うのがやっとなんて。」
「次は勝つ!」
「あんたは元気ね。」
「でもここまで追いつめたのって私達が初めてじゃないですか?」
「かもな。」
妖夢、チルノ、霊夢、大妖精、魔理沙はそれぞれ感想を口にするのだった。
黒刀はバイクの駐車場に向かいながら端末を操作して校内ランキングを確認していた。
「霧雨魔理沙…30位、魂魄妖夢…200位、チルノ…100位、大妖精…196位、博麗霊夢…2位。大出世だな。それじゃ俺は帰って…。」
その時、誰かが黒刀の肩をガシッと掴んだ。
「く~ろ~と~。」
その声を聞いた瞬間、背筋が凍った。
映姫だった。
「いや…その…つい。」
「あれほど解放は使うなと言いましたよね?特に1年生には!」
「だってピンチだったから。」
「言い訳は聞きたくありません。帰ってお説教です!」
この後、黒刀は自宅で2時間のお説教を食らった。
ED1 遊戯王5Ds「START」
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