東方剣舞   作:kuroto xanadu

104 / 107
OP9 ハイキュー3期 ヒカリアレ


無敵兵団

「黒刀君、この目で見させてもらうよ。今の君の力を」

 

そう口にするイギリス代表レオ・アルハートは今すぐにも闘いたいという欲求が高まり腕組みしている手に力がこもる。

レミリアは無言でただの黒刀を観察している。

 

 

 

 

 

 

「妖夢、お前の闘い見てたぞ。よくやったな」

 

黒刀は妖夢に近づいて頭を撫でる。

 

「えへへ~♪」

 

妖夢は顔はにやけていた。

 

「後は俺に任せろ」

 

黒刀は妖夢の頭から手を離す。

妖夢が一瞬、残念そうな顔をする。

 

「はい!頑張って下さい!先輩!」

 

すぐに笑顔に戻ってエールを送るとゲートへ走った。

映姫は何も言わず、ただ黒刀の顔を見た後、妖夢を追って歩いて行った。

 

黒刀は目の前に立っているアヌビスに向き直る。

 

「雑兵の分際で余を無視するとは身の程を知らぬ愚か者だな」

 

アヌビスは不機嫌な顔で吐き捨てた。

 

「そうか?だが雑兵と言ってあまり見下さない方がいいぜ。俺の知り合いに自分を下っ端と呼ぶ割に強い奴もいるくらいだからな」

 

黒刀が飄々とした態度で言い返す。

 

「雑兵は所詮雑兵だ。それと余に指図をするな」

 

アヌビスが冷酷な目で言い返す。

 

「あっそ」

 

黒刀はそれだけ言って『八咫烏』を抜いて構えた。

その態度にアヌビスはさらに不機嫌になる。

 

「まだ分からぬか?ならば分からせてやろう。エジプト王国第一王子アヌビス・ヘルメスの力をな!」

 

アヌビスはそう宣言して、ロッドの先端を鞭に変形させる。

 

「ご自由に」

 

黒刀がそう返した。

 

《3…2…1…0.デュエルスタート》

 

ニューヨーク時間午前11時45分。

日本代表四季黒刀vsエジプト代表アヌビス・ヘルメスの試合が今、始まった。

アヌビスは開始早々、鞭を黒刀に振る。

鞭は黒刀の右手首に巻き付いた。

鞭から電流が流れる。

だが、雷属性の黒刀には効果が無い。

 

「効かぬか」

 

アヌビスは特に驚いた様子もなく冷静だった。

黒刀が鞭ごとアヌビスを引き寄せようとする。

アヌビスは霊力で変形させた鞭を一旦切り離して元のロッドに戻して、ロッドの先端を黒刀に向けて霊力弾を数発撃ち放つ。

しかし、黒刀が『破壊王の鎧』を発動させると霊力弾が黒刀に直撃する寸前で雲散霧消して消滅した。

 

「これもか」

 

だが、それでもアヌビスはまだ冷静だった。

並の選手なら動揺して自滅しているところだ。

 

「こっちからもいくぞ!」

 

黒刀が砂地を蹴って駆け出す。

砂漠での戦闘経験もあるので砂に足を取られることはない。

 

「鬱陶しい!」

 

アヌビスが霊力弾を放つ。

 

「(『破壊王の鎧』で無効化されることは分かっている筈。だとしたらこの攻撃は…)」

 

そこまで考えると黒刀は足を止めて後ろに跳んだ。

黒刀がいた場所の数㎝手前に霊力弾が着弾して砂が舞い上がる。

アヌビスは黒刀に()()遠距離攻撃が通用しないことを分析して、霊力弾を足止めの為に撃ったのだ。

 

「フッ!」

 

黒刀が斬撃を放って舞い上がった砂を斬り払う。

砂が吹き飛ばされると向こう側に見えるアヌビスと黒刀の距離は20mとなっていた。

 

「見よ!これが王の力だ!」

 

アヌビスが高らかに声を上げて、ロッドを砂地に突き刺すとロッドの先端の赤い球体が光り出した。

アヌビスの足元の砂が盛り上がっていく。

さらに範囲が広がっていくので黒刀はバックステップで距離を取った。

盛り上がった砂の頂点にアヌビスは立っていた。

しかも盛り上がった砂はやがてある形に変わっていった。

 

「ザ・ピラミッド!」

 

それはエジプトでも有名なピラミッドだった。

その頂点は三角錐ではなく四角錐でそこには古代エジプトにありそうな石造りの玉座があった。

アヌビスはその玉座に腰掛けると、左手は肘掛けにかけて、右手はロッドを握り締めていた。

 

「墓標の上に玉座か。なかなかの趣味をしているじゃねぇか」

 

そう呟く黒刀の表情にはまだ余裕がある。

 

「さあ、王の前にひれ伏せ!」

 

アヌビスはロッドを天に掲げると高らかに声を上げた。

ロッドの赤い球体が光り輝く。

すると、砂漠のフィールドに次々と人型の何かが現れた。

それは影のようで、でもしっかりと形がはっきりしている生命なき兵。

つまり…

 

「化成体か」

 

黒刀は即座に答えを導き出した。

 

 

 

 

 

 ニューヨーク時間午前11時50分 日本代表控室。

 

「化成体?」

 

魔理沙は聞き覚えのない単語を問うように口にする。

それに対して雪村が眼鏡を吊り上げた。

 

「はい。化成体とは実体ではなく半実体の物質で術者の霊力によって構築されるものです。術者の命令に従って動く。…まさに戦闘人形です」

 

「式神や召喚獣とは違うのか?」

 

魔理沙が素朴な疑問を口にする。

 

「全然違うわよ!」「全然違います!」

 

霊夢と早苗が同時に否定してきた。

 

「式神には化成体には無い心があるんです!」

 

「そうよ!化成体は命令だけだけど式神は信頼関係が重要なの!」

 

「「そこのとこ、しっかり覚えておくように!!」」

 

霊夢と早苗の剣幕に押されて魔理沙は逆らうことが出来ず必死に首を縦に振る。

そんなやり取りを横目ににとりはモニターウインドウに視線を移す。

 

「(それにしても凄い数だな…)」

 

モニターウインドウに映っている化成体の数は数百に及んでいた。

 

 

 

 

 

 ニューヨーク時間午前11時51分。

 

「これが余の霊術『無敵兵団』だ!」

 

「(化成体。知識としてはあったが実際に見るのは初めてだな)」

 

アヌビスの言葉に黒刀は特に驚きもせず余裕を保っていた。

 

「…気に入らぬな。余の霊術を前にその余裕の表情…実に不愉快だ」

 

黒刀の態度にアヌビスは顔を顰めた。

 

黒刀はアヌビスを無視して化成体を観察する。

化成体は全身真っ黒で目が赤く光っており、それぞれ剣、短剣、大剣、槍、ハンマー、斧、弓矢など霊力によって具現化した武器を持っている。

数は今や300を超えている。

観察を終えた黒刀は「はぁ~」と息を吐き出し砂地を蹴ってそのまま化成体の群れに突き進んだ。

 

黒刀の大胆な行動に会場にいるほとんどの者が息を呑んだ。

 

 

 

 

 

 

「嘘だろ…あの軍勢にたった1人で突っ込むのか」

 

ザウルが驚く。

レーニンJrはただ無言で試合を観ている。

 

「全く。考えなしに突っ込むなんてどれだれ愚かなんですの?」

 

マリーが呆れる。

 

「そうとも限らないよ。彼のことだから何か策があるのかもしれない」

 

マリーの一言に対し、レオが口を挟む。

 

「ないわよ」

 

それを即座にレミリアが否定した。

 

「何故そう思うのかな?」

 

レオが興味を抱いてレミリアに問う。

 

「だってお義兄様だもの!」

 

すると、レミリアの代わりにフランが答えた。

 

「黒刀君だから?」

 

レオは意味が分からず首を傾げる。

 

「…あいつはね。闘っている時、ほとんど感覚に任せている。()()は考えない。つまりあいつは………本能で闘っているのよ」

 

黒刀のライバルであるレミリアがそう口にした。

 

 

 

 

 

 縦横見事に整列しちえる化成体の群れの最前列に黒刀が辿り着く。

黒刀はもう一度砂地を蹴って化成体に斬りかかる。

化成体は黒刀の攻撃に反応して剣を振り下ろす。

黒刀は『超反射』を発動してそれを躱して、化成体を水平に斬る。

斬られた化成体は雲散霧消して消滅した。

 

 

 

 

 

 日本代表控室。

 

「やった!」

 

妖夢が喜ぶ。

 

「いいえ、まだです。化成体はまだたくさん残っています」

 

映姫が釘を刺す。

 

「これじゃたった1人で戦争しているようなものじゃないですか」

 

大妖精がそう言葉を漏らす。

その言葉を聞いた真冬がモニターウインドウに視線を固定してこう考えていた。

 

「(戦争…そういえばザナドゥ王国の時もたった1人で軍勢に立ち向かったことがあったわね)」

 

 

 

 

 

 黒刀が最初の1体を斬り倒したとほぼ同時に左右の化成体が剣で突き刺しに来た。

黒刀はしゃがんで躱した後、右足を軸にその場で回転して2体の化成体を斬り倒した。

だが、化成体の攻撃は止まらない。

しゃがんでいる黒刀へ4体の化成体が四方から突き刺してきた。

黒刀は宙返りで躱すと、1体の頭部を掴んで別の化成体に投げつけた。

投げつけられた化成体は別の化成体とぶつかり倒れる。

黒刀はバランスを崩した4体に斬撃を2発放って消滅させる。

 

「(化成体は直接触れられるようだな)」

 

黒刀は分析しながら闘っていた。

 

「それなら!」

 

黒刀はハンマーを振り下ろしてきた化成体がいたのでそのハンマーを『八咫烏』で軽く弾き飛ばした。

ジャンプしてその化成体の顔面を掴むと砂地に叩きつけた。

その衝撃で周囲の化成体が吹っ飛ばされた。

 

「何なのだ…何故、余の『無敵兵団』があのような雑兵1人仕留められぬ」

 

アヌビスは予想外の展開にやや焦る。

 

黒刀は砂地に叩きつけた化成体の頭部を上から突き刺す。

吹っ飛ばされていた化成体の群れが起き上がり黒刀を再度囲い込む。

 

「ゆけ!」

 

アヌビスの命令に応えて化成体の群れが一斉に黒刀に襲い掛かる。

黒刀はまず槍で突きに来た化成体を、体を回して華麗に躱し、背中に肘鉄をかけてよろけたところで回し蹴りで吹っ飛ばして、別の化成体と縦に重なったところを2体まとめて串刺しにして、そのまま横に斬り払うと同時に斬撃を放って前方にいる他の化成体も巻き込んで斬り倒した。

背後から2体の化成体が大剣を振ってきたので上半身を後ろに反らして躱す。

砂地に両手をついて逆立ちの状態から跳ね起きて背後の2体の化成体の顔面を踏み倒す。

踏み倒した化成体の首を斬って消滅させて、短剣で斬りかかってきた化成体を宙返りで躱して頭部を掴んで空中で首を斬り落とした。

 

 

 

 

 

 日本代表控室。

 

「すげぇ!黒刀、マジすげぇ!」

 

魔理沙が黒刀の大活躍に大喜びする。

実際、会場も黒刀の闘いぶりに大歓声を上げている。

 

「このまま勝てるかも!」

 

その勢いにチルノも乗る。

 

「そう簡単にいかないと思うわよ」

 

しかし、霊夢がそう口を挟んだ。

 

「何でだよ!今めっちゃ調子いいじゃん!」

 

「よく見なさい」

 

魔理沙の反論に真冬が促す。

 

「何だよ…っ!」

 

真冬の言葉に魔理沙が疑問を抱きながらモニターウインドウに視線を戻すと、その理由はすぐに理解した。

 

化成体の数が減っていないのだ。

正確には減らしてもさらに化成体の数が増え続けている。

 

「何だよ…あれ…あんなのありかよ…」

 

魔理沙はアヌビスの真の恐ろしさに驚愕して目を見開く。

どれだけ倒しても増え続ける心無き兵団。

例え魔理沙の『マスタースパーク』で一掃したとしてもすぐに化成体の数は増え続ける。

終わりなき闘い。

どんな強者でも無限の軍勢の前ではいつか力尽きてしまう。

そう。

この終わりなき闘いが終わるのは相手が倒れた時だ。

 

絶望的な状況で魔理沙達は打ちひしがれていた。

 

「心配ないわ」

 

そんな中、真冬がフッと笑った。

その一言に皆の視線が集まる。

 

「そうですね」

 

映姫が言った。

 

「問題無しです!」

 

早苗が言った。

 

「確かにそうだな」

 

にとりが言った。

3人はそれぞれそう口にした。

 

「何故そう言えるのですか?」

 

雪村が問う。

その問いに4人は笑った。

 

「「だって黒刀だから!」」「だって黒刀君だから!」「だってセンパイだから!」

 

 

 

 

 

 黒刀もこのままでは埒が明かないと分かったので、大剣を振り下ろしてきた2m級の化成体を見る。

 

「いいこと思いついた」

 

スライディングで2m級の化成体の足元に滑り込んで右足を『八咫烏』で切断する。

バランスが崩れたところで股の間を通り抜けて『八咫烏』を砂地に突き刺す。

2m級の化成体の左足首を両手で掴むとその場でジャイアントスイングした。

 

「おらっ!」

 

2m級の化成体のを『ザ・ピラミッド』の頂上の玉座に座しているアヌビスに向けてぶん投げた。

 

「くだらぬ」

 

アヌビスはそう吐き捨てて、投げられた2m級の化成体の前に化成体の壁を作って弾いた。

黒刀は『八咫烏』を砂地から引き抜いてジャンプすると、弾かれた2m級の化成体を足場にして『ハイジャンプ』でさらに跳び上がりアヌビスに剣先を向けて突っ込む。

 

「雑兵が!」

 

アヌビスは多数の化成体を壁にして阻ませる。

黒刀がその化成体の壁に突っ込むと化成体が次々と突き刺され倒れていく。

だが、その倍のスピードで集まっていく。

まるで虫の大群のように。

結果、黒刀は突破し切れず阻まれ宙に浮く。

 

「撃て!」

 

アヌビスの命令で弓を持った化成体が黒刀に向けて矢を放つ。

黒刀は空中で体勢を立て直した。

 

「モードチェンジ!サムライ!」

 

黒刀の体が黒い木の葉に包まれる。

その中から現れたのは半袖の浪人侍の姿をした『サムライモード』の黒刀。

化成体が放った矢が十数本、黒刀に迫る。

黒刀は空中で矢を斬り落としたり、矢を掴んで投げ返して矢と相殺させたりした。

 

「何っ⁉」

 

その神業にアヌビスは眉を顰めた。

子の神業は以前、黒刀が咲夜と闘った時にナイフを弾いたことと同じ技だ。

 

「だが、地上には貴様を突き刺す余の兵がいるぞ」

 

黒刀の真下には彼を突き刺そうと剣先を上に向けて待ち構える化成体が複数いた。

今度こそ終わりかと観客は思った。

だが、黒刀は空中で体制を変えて腕、足、腰、首など細かい微調整をして剣先の網を抜けた。

これは『超反射』を持つ黒刀だからこそ出来る芸当である。

転がって着地してから立ち上がる。

 

「四季流剣術 壱の段 一騎当千!」

 

1秒で50発の斬撃を同時に放って、周囲の化成体を斬り倒した。

 

「弓矢か。ナイフとマシンガンの方がまだマシだぞ」

 

黒刀は余裕の笑みを見せたのだった。




ED9 鋼の錬金術師 扉の向こうへ

ご感想お待ちしております。

OPとEDは必要だと思うか?

  • はい
  • いいえ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。