OP1 学戦都市アスタリスク「Brand new world」
4月11日。午前10時。
日曜日であるこの日、黒刀はファミレスのテーブル席である人を待っていた。
暇なので端末を弄っていると、5人の客が入店してきた。
妖夢達だった。
彼女達が黒刀の存在に気づくと、黒刀の近くのテーブル席に座った。
待ち合わせの相手は妖夢達ではなかったようだ。
大妖精は相変わらず敵意むき出しの目で黒刀を睨みつけている。
黒刀は興味もなく無視している。
その時、1人の客が入店してきた。
阿求だった。
しかし、入ってきた途端うつ伏せに倒れてしまう。
「きゅ~。」
阿求は目を回している。
「やっぱりか。」
黒刀は席から立ち上がって阿求の元へ歩く。
傍に寄ってきた店員に問題ないことを説明して下がってもらった。
「ほら、あっきゅん。」
「無理…日光が私を殺しに来る~。」
「ただの引きこもりだろ。」
黒刀は阿求をお姫様抱っこでテーブル席に運んでいく。
阿求はテーブルに突っ伏している。
「あっきゅんって…先輩達、まさか…こここここ恋人同士なんですか⁉」
妖夢が慌てふためいてテーブル席の背もたれに身を乗り出して問いかける。
「「それはない。」」
黒刀と阿求はきっぱり否定する。
「でもそんな愛称で呼ぶなんてそうとしか思えないぜ。」
魔理沙も話に乗っかる。
「これが一番しっくりくるんだよ。…ちょっとトイレ行ってくる。」
黒刀は答えると、阿求に一言かけてからトイレに向かう。
黒刀が去った後、阿求が復活した。
「あなたたち、少し話したいことがあるからこっちのテーブル席に来てもらってもいい?」
阿求は妖夢達にそう声をかけた。
妖夢達もとくに断る理由もなかったので阿求の向かいの席に5人座った。
「(なるほど…この子たちが黒刀が気にかけてる子たちか…。)あなたたちは黒刀を見てどんな印象を抱いているの?」
阿求の問いに一同は、
「悪魔。」
「鬼。」
「暴君。」
「憧れる先輩。」
「人でなし。」
その答えはほぼ最悪だった。
「(あちゃ~だいぶひどいな~。)」
阿求は一呼吸を置いた後、
「彼は好んであんな悪をやっているわけじゃないの。まあ、知り合いの私が言ったところで説得力は薄いけど、あなたたちは黒刀に出会ってから感じたことはない?自分たちの成長を。」
阿求の言葉に5人はハッと気づいた。
黒刀の強さに刺激されていたことを。
「自分が魔王的な存在になればそれを倒そうと強くなる後輩が現れる。そうして彼は育てているの…『剣舞祭』に出場する代表候補を。」
「「「「「っ!」」」」」
妖夢達は『剣舞祭』というワードが気になった。
「じゃあ…あの人は最初から…。」
「たぶんね。」
大妖精のつぶやきに阿求が応える。
「私は分かっていましたよ!先輩が本当は優しい人だって!」
妖夢が何故か自慢げに胸を張る。
「黒刀をよく知らない人達は彼のことを仲間を大切に思わないワンマンプレイヤーと思っているようだけれど私からすれば彼ほど仲間思いの人間はいないと思っている。」
阿求の言葉を聞いた大妖精は後悔した。
「(私は何も分かっていなかった。ただあの人の言葉を真に受けて、怒って、恨んで…あの人は考えてくれたんだ…私達が強くなることを…。)」
その時、黒刀がトイレから戻ってきた。
「悪い。遅くなった…ん?お前ら何でこっちのテーブルに…ってかどうした?そんな気まずそうな顔をしやがって。(あっきゅん…話しやがったな。まあいいか。)」
黒刀が阿求の隣に腰かけると、大妖精が立ち上がって黒刀の隣に座った。
そして、
「黒刀先輩。」
「なんだ?」
「その…この前のこと…許してあげなくもないですよ?」
大妖精は頬を赤くして、目を背けながら言った。
「(え、なにこの中途半端なツンデレ…。)」
「ただ…条件があります。その…黒刀先輩の…き…」
「き?」
「…筋肉を…触らせてください!」
「いいけど。」
「ですよね!だめですよね…え?」
「別に減るもんじゃねえし。ほら。」
黒刀はそう言って左腕を出す。
「それじゃ…失礼して…。」
大妖精は黒刀の左腕の筋肉を触る。
「あ~いいです!この感触~最高です~!」
大妖精は満面の笑みで筋肉を揉んでいた。
魔理沙がチルノの耳元に顔を寄せる。
「なあ大妖精ってあんな奴だったっけ?」
「たまにああなる。」
黒刀は左腕を揉まれながら右手で店内用端末を操作して注文した。
数分後、店員が「お待たせいたしました。ジャンボストロベリー最強パフェです。」とテーブルに置いた。
そのパフェは巨大なイチゴパフェだった。
「最強パフェ…だと?」
チルノが反応した。
「どうした?」
魔理沙が声をかける。
「黒刀!一口だけ食べさせてくれ!」
「別にいいけど。(自分で注文するという選択肢はないのか…。)」
その時、阿求の視界にカップルがパフェを食べさせあっている場面が入った。
「リア充爆ぜろ!」
阿求はテーブルに両手を叩きつけた。
「早く~!」
チルノは待ちきれずにいた。
「分かった分かった。あ、じゃあこれつけてもう1回お願いしてみて。」
そう言って黒刀がバッグから取り出したのは水色の猫耳だった。
「なんでそんなものがバッグの中に?」
魔理沙が疑問を口にする。
「よかった~水色あって。」
黒刀はそう言ってチルノにつけた。
「ほら。」
「ん~…食べさせて♡にゃん♡」
「よし合格!」
黒刀はそう言ってパフェをスプーンですくってチルノに食べさせた。
「ん~美味しい♪」
チルノはほっぺた両手でおさえて笑顔を浮かべた。
すると、大妖精が
「チルノちゃん、今度は私が食べさせてあげる!」
「うん!ありがとう!」
大妖精は黒刀からスプーンを渡してもらってチルノにパフェを食べさせた。
「(あ、緑の猫耳なかった。)」
黒刀は気づかなかった。
霊夢と魔理沙が冷たい目で見ていたことに。
「そういえば先輩と阿求先輩は大妖精と同じ座学の学年トップなんですよね?」
妖夢が話題を変えた。
「ああ、俺はIQ210であっきゅんは完全記憶能力のスキルを持ってる。」
「IQ210…。」
「完全記憶能力…。」
さらっと口にしたワードに霊夢と魔理沙は驚いていた。
「というかすごいですよね!1つのテーブルに神光学園座学トップが3人も揃っているなんて!」
「というかその内の2人はこんな日曜日に待ち合わせして何の予定があったんだ?」
魔理沙が黒刀と阿求に問う。
「それは同人ひゃうっ!」
阿求が何か言いかけたその時、黒刀は阿求の脇腹をつまんだ。
「たいしたことじゃない。気にするな。」
「(何するの!)」
「(余計なことを口走るなよ!)」
黒刀と阿求は視線で会話していた。
それからしばらくして一同は店を出て、黒刀と阿求はここで妖夢達と解散となった。
「『剣舞祭』…。」
妖夢がポツリとつぶやいた。
「(そこへ行けば闘える…強い人達と!)」
この日、妖夢の決意が強くなった。
入学編完。
ED1 遊戯王5Ds「START」
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