東方剣舞   作:kuroto xanadu

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第12話。

OP2 ハイキュー2期「アイム・ア・ビリーバー」


合宿

 6月8日。午前6時。

幻霊山ふもと。

黒刀とにとりはそこにいた。

にとりは代表の監督でもあるため付き添いだ。

 

「おはようございます!」

 

そこへ妖夢が到着。

 

「「おはよう。」」

 

「先輩、早いですね。」

 

「おいおい、うちの姉が誰だか忘れたのか?」

 

「あ、あ~そういうことですか!」

 

「そういうことだ。…遅れたら…終わりだ。」

 

黒刀は遠い目をする。

 

「おはよ~。」

 

霊夢が眠そうにしながらも到着した。

 

「眠そうですね?」

 

妖夢は苦笑い。

 

「もう寝ていい?……zzz。」

 

「立ったまま寝てる!器用だ!」

 

妖夢が驚いていると、空から

 

「ぎゃ~ブレーキが~!」

 

箒に乗った魔理沙が突っ込んできて、そのまま寝ている霊夢の背中に激突した。

 

「いった~~~!」

 

箒の先端で背中を直撃された霊夢が激痛のあまり悲鳴を上げる。

 

「ふ~、あぶねえ~。死ぬかと思ったぜ。」

 

「こっちのセリフよ!なんで合宿前にこんな目に遭わなくちゃいけないのよ!」

 

霊夢はキレた。

 

「霊夢が避ければいいだけの話だろ?」

 

「あの~霊夢は寝ていたのでそれは無理かと…。」

 

妖夢が口を挟む。

 

「じゃあ寝てた霊夢が悪いってことで。」

 

「明らかに加害者のあんたが悪いでしょうが!」

 

黒刀が間に入る。

 

「はいはい、喧嘩しない。」

 

「これは日常茶飯事だぜ。」

 

「原因はほとんどあんたでしょうが!」

 

「だからやめろって。」

 

「すみません!遅くなりました!」

 

そこへチルノを連れた大妖精が到着した。

 

「チルノちゃんが寝坊しまして…。」

 

「おかしい…アラームはセットしたのに…。」

 

「寝ぼけてそれを凍らせたら意味ないよ!」

 

チルノにツッコむ大妖精。

黒刀がフォローに入る。

 

「別に気にしてないよ。それよりあっちの方が問題だ。」

 

黒刀は霊夢と魔理沙を指さす。

 

「あ~またですか…。」

 

大妖精はため息をつく。

 

「いつもあんな感じなのか?」

 

「だいたいは…魔理沙が霊夢に悪戯をして怒られるパターンが多いです。」

 

「まあ、じゃれ合ってると思えばマシか。俺と姫姉のマジ喧嘩に比べれば。」

 

「あれ、先輩のお母さんが止めてくれてたんじゃ…。」

 

妖夢が訊く。

 

「いや、ちょうどその時は出かけてていなかったんだよ。」

 

「どんな風だったのかちょっと想像できないです。」

 

「すごかったぜ。口喧嘩はもちろん、殴ったり蹴ったりなんでもありだったな~。」

 

黒刀は懐かしそうに話す。

 

「どうやって終わったんですか?」

 

「ちょうど帰ってきた師匠が止めてくれた。ゲンコツからのお説教で。」

 

「先輩って師匠がいたんですか?」

 

「ああ、今どこにいるのか知らないけど…。」

 

そう話していると、チルノが

 

「なあ、まだ行かないの?」

 

「ああ、そうだな。ほら、行くぞお前ら!」

 

黒刀は霊夢と魔理沙に声をかける。

 

「合宿でボコボコにしてやるわ!」

 

「返り討ちにしてやるぜ!」

 

2人はそんなことを言い合っていた。

 

 

 

 午前6時30分。

 

「ちゃんと整備されてるんですね。」

 

歩く大妖精がつぶやく。

 

「おいおい、富士山の裏道みたいのでも想像してたのか?」

 

「いえ、さすがにそこまでは…。」

 

「一応毎年合宿をやっているからそんな心配しなくていい。」

 

「ということは黒刀先輩も去年来たんですよね?その時はどんな合宿だったんですか?」

 

大妖精の質問を聞いたにとりが

 

「ププッ!」

 

と、笑いだした。

 

「笑わないでください。」

 

「だってよ…お前、去年修行だから『千里眼』は使わないで行くって言って…ププ…それで先行って迷子になってたじゃん!」

 

「なってねえ!サバイバルだ!」

 

「あの時は黒刀は初々しくて可愛かったな~!」

 

にとりはあまりの笑いで涙が出たので指で拭いながら言った。

妖夢が疑問を口にする。

 

「それでどんなサバイ…プッ…ブルをしていたんですか?」

 

「必死に笑いをこらえてんじゃねえよ。あの時は…熊と闘ってた。」

 

「熊、出るの⁉」

 

霊夢が驚く。

 

「ああ、出る。」

 

「………帰る。」

 

霊夢は回れ右をして戻ろうとすると、魔理沙にガシッと肩を掴まれた。

 

「おいおい霊夢ちゃ~ん!どこに行こうっていうんだい?」

 

「ちょっ!離しなさい!私は帰る!死にたくな~い!」

 

霊夢は駄々をこねる。

 

「大丈夫だって俺がいるんだから。」

 

黒刀が笑いながら言う。

魔理沙は霊夢を羽交い締めにしながら

 

「黒刀はその熊どうしたんだ?」

 

「食った。」

 

「…じゅるり。」

 

「ちょっ!チルノ!何よだれ出してんのよ!ダメよ!きっとおいしくないわよ!だから…ほら…帰らせて…ね?」

 

「いや、美味かったぞ!」

 

黒刀が一言。

 

「いや~!」

 

霊夢が魔理沙の拘束を無理やりひっぺがし霊力弾を放ってきた。

 

「やべ、逃げるぞ!」

 

黒刀はダッシュで山を登る。

 

「待て~!」

 

霊夢は連続で霊力弾を放つ。

 

「きゃ~!」

 

妖夢、魔理沙、チルノ、大妖精も逃げ出した。

霊夢は完全にキレていて、無差別攻撃となっていた。

 

「あれ、先輩は?」

 

「いました!」

 

妖夢の言葉に大妖精がかなり前にいる黒刀を指さした。

 

「アッハッハ!俺が一番乗りだ!」

 

高笑いしていて、どこか楽しんでいた。

 

「「「状況分かってんのあの人⁉」」」

 

「なに~!一番乗りはあたいだ~!」

 

チルノがスピードを上げて追いかける。

 

「バカだ…バカが2人いる!」

 

魔理沙はつぶやく。

 

「それじゃ私は飛んで…。」

 

大妖精が口を開く。

 

「おい待て。箒はにとり先生に預けているんだ!なら私も連れてけ!」

 

「あ、私も。」

 

「無理無理無理!重量オーバーですって!」

 

「さよなら魔理沙。」

 

妖夢は笑顔で魔理沙の肩に手を置いた。

 

「なんで私⁉」

 

「え、だってこの中で一番」

 

「体重がおも」

 

「重くない!…って危なっ!」

 

魔理沙の横を霊力弾が通り抜ける。

 

「魔理沙、あれ。」

 

「ん?」

 

妖夢が指を指した先を見ると、大妖精が飛行していた。

 

「いつの間に!」

 

「すいませ~ん!お先にいかせて…きゃ~~~!」

 

上空にいた大妖精は霊夢の霊力弾によって撃ち落とされる。

 

「よし!」

 

魔理沙はガッツポーズ。

 

「(人間の闇が見えた。)」

 

撃ち落とされた大妖精はなんとそのまま黒刀の真上に落ちていき、咄嗟に黒刀の右腕にしがみついた。

黒刀はとくに気にせず走り続けている。

 

「「ミラクルだ!」」

 

妖夢と魔理沙は声をそろえる。

前を走っていた黒刀は体を反転させバック走行で山を登り始めた。

 

「ちょうどいいや。合宿前に準備運動しとくか!」

 

「あの~黒刀先輩?いったいなにを…」

 

大妖精が言い終わる前に黒刀は鞘から黒い刀を抜いた。

 

「おら!」

 

黒刀は刀を振って斬撃を放って霊夢へ飛ばした、。

霊夢は飛行しながらそれを躱す。

 

「やっぱ上を取ってるあっちの方が有利か。」

 

「黒刀先輩~。あまり動くと私とんじゃうので…。」

 

「じゃあ離れればいいじゃん。」

 

「先輩が攻撃してたら無理です!」

 

「分かったよ。」

 

黒刀は走りながら大妖精をそっと地面に下ろす。

大妖精は着地前に翼をバッと広げてバランスを取ってから着地する。

その瞬間、2人の間を人影が突き抜ける。

 

「あたいがいっちば~ん!」

 

「げ、忘れてた!」

 

「アハハ!あたい最強!」

 

先に頂上に到着したチルノが高笑い。

遅れて黒刀と大妖精が到着する。

 

「逃がさないわよ!」

 

霊夢が飛行しながら頂上に到着した。

 

「霊夢、悪かったよ。」

 

黒刀が謝る。

 

「ダメです。許しません!」

 

「そうか…じゃあやるしかねえか!」

 

「あたいもいるぞ!」

 

黒刀、霊夢、チルノの3つ巴となる。

 

「はあ…はあ…着いた…。」

 

ようやく妖夢と魔理沙が頂上に到着した。

頂上にある合宿所は木造建築でキャンプ場などでよくある建物。新築と同じく綺麗だった。

 

「あいつらのせいで合宿が台無しだな。」

 

魔理沙がそうつぶやいたその時、

 

「やめなさい!」

 

怒りの声が響いた。

 

「げ、この声は…。」

 

黒刀の『千里眼』は透視に長けていないため、合宿所内部に誰がいるか気がつかなかった。

合宿所の入り口に立っていたのは…

 

「黒刀、あなた何をしているの?」

 

映姫だっだ。

 

「姫姉…なんでこんなところに…。」

 

黒刀は冷や汗をかいていた。

 

「あなたたちが真面目にやっているか監視に来たのです。」

 

「生徒会は?」

 

「小町たちに任せてきました。それより…黒刀。ちょっとこっちへ来なさい。」

 

「いや、でも…。」

 

「早く。」

 

「…はい。」

 

黒刀は合宿所の中に入っていく。

 

「すみません。皆さんは中のリビングで待っててください。」

 

映姫は外にいる妖夢達にそう声をかけた。

すると、大きなリュックサックを背負ったにとりがようやく追いついてきて、

 

「とりあえず中に入るぞ。」

 

そう言われて妖夢達が合宿所の中に入る。

中は2層構造で1階に暖炉、ソファ、キッチンなどがあり、2階はそれぞれの個室がある。

 

「みんな、来たのね。」

 

そう声をかけるのは…八意永琳。神光学園の保健室の先生だった。

 

「みんなの部屋は決まっているわ。ドアに名札が貼ってある。」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

既に怒りがおさまった霊夢も含めて返事する。

 

「先輩は?」

 

妖夢がたずねる。

 

「今、会長の部屋にいるわよ。」

 

にとりがその部屋に視線を移す。

 

「(ありゃ防音結界を張っているな。)」

 

 

 

 午前8時。

 

「先輩、遅いですね。」

 

「そうね。」

 

妖夢のつぶやきに霊夢が相槌を打つ。

その時、映姫の部屋のドアが開き、黒刀と映姫が出てきた。

 

「ほら!背筋を伸ばす!」

 

映姫は黒刀の背中をバシッと叩く。

 

「(鬼だ!)」

 

 

 

 それから全員、自分の部屋に荷物を置いていってからリビングに集合した。

 

「それじゃメニューを発表するぞ!」

 

にとりが口を開く。

それに対し、チルノは

 

「今日の献立の?」

 

「合宿メニューだ!まずチルノ!パワーリストを足に着けて合宿所の外周をランニング!」

 

「パワーリストって?」

 

チルノが疑問を口にする。

 

「重りの入ったリストバンドのことだよ。」

 

大妖精が横からささやく。

 

「霊夢と魔理沙は瞑想!」

 

「地味じゃね?」

 

魔理沙が文句を言う。

 

「魔法師には集中力が必要だ。魔理沙、お前は魔力切れが多い!」

 

「…分かりました。」

 

魔理沙は渋々納得する。

 

「霊夢は…。」

 

「こいつの付き添いですよね?分かりました。」

 

霊夢は既に納得していた。

 

「黒刀は映姫と『決闘』。黒刀、お前は一番苦手なオーラのコントロールを生徒会長相手に体で覚えろ。」

 

「なるほど…。」

 

「ではビシバシいきます。」

 

「妖夢は私と組手を行う。」

 

「にとり先生とですか?」

 

「私が体術できないと思っているのか?」

 

「い、いえ!」

 

永琳が大妖精の肩に手を置く。

 

「じゃあ、大妖精はお姉さんと一緒に選手の健康管理に重要な栄養料理のお勉強ね♪」

 

「(お姉さん?)」

 

黒刀が疑問を抱くと、永琳から殺気が向けられた。

黒刀は目を逸らした。

 

「これがパワーリストだ。入浴中、睡眠中以外はつけていろ。」

 

にとりはチルノにパワーリストを2つ渡す。

 

「姫姉とガチなんて何年ぶりかな?」

 

「無駄口叩いていないで行きますよ。」

 

黒刀と映姫は合宿所の離れにある道場に向かう。

 

「私たちももう1つの道場に行くぞ。」

 

にとりは妖夢に声をかける。

 

「はい!」

 

「よっしゃ~!100周してやるぜ!」

 

『(あいつ、絶対にバテるな…。)』

 

 

 

 

「よ~し行くぞ~!」

 

チルノは足にパワーリストを着けて、スタートする。

パワーリストの重さは5㎏。

 

「余裕余裕!」

 

 

 

 30分後。

 

「はあ…はあ…足が…重い…。」

 

それもそのはず、5㎏のパワーリストにしたのはあとでジワジワきかせるためである。

いきなり重いパワーリストをつけても、進まずトレーニングにならない。

だからこの重さにしたのである。

 

「きっつ~い!」

 

 

 

 霊夢と魔理沙は胡坐をかき、目を閉じて瞑想をしていた。

だが、

 

「ダメだ~!ジッとしてるなんて性に合わねえ!…他の奴のとこ見に行くか…。」

 

魔理沙は立ち上がって歩いていった。

霊夢は並外れた集中力で魔理沙が去ったことに気づかない。

 

 

 

 校外の『決闘』はランキングに反映されない。

黒刀は準備運動をしている。

 

「今日こそ、勝つよ姫姉!」

 

「私も負けません!」

 

両者は向かい合う。

 

《3…2…1…0.デュエルスタート》

 

「お、こっちは始まったか。」

 

魔理沙が外から黒刀と映姫の『決闘』を覗く。

 

「いくぞ!」

 

黒刀は前へ飛び出す。

さらに、そこから『クロスステップ』を踏み込んだ。

 

「(右…いや左!)」

 

映姫は予測し、立ちふさがった。

魔理沙は驚いた。

 

「(なんだ…黒刀は右足で踏み込んだはずなのに会長から見て左にいきやがった…そんなことをしたら足首を捻って捻挫に…まさか!右足で踏み込んだ後すぐに左足で方向転換したのか!でも、それよりすごいのはそれを全て呼んでた会長だ!)」

 

「読まれたか。」

 

「当たり前です。何年一緒にいると思っているんですか。」

 

「…それもそうだな。だったら!」

 

黒刀は突っ込む。

 

「『超反射』ですか…甘いですよ!」

 

映姫がそう言い放った瞬間、映姫の影が浮き出て、黒刀に向かって伸びた。

 

「っ!」

 

黒刀はバックステップでそれを躱す。

 

「なんだ…あれは?」

 

魔理沙は影が浮き出すという現象に驚いていた。

 

「影牢…。」

 

黒刀はつぶやく。

 

「分かっていますね?これに捕まればオーラが0になり、その分のオーラは私に吸収される。さらに捕まっている間はオーラを一切放出できないので筋力だけで解くしかない。」

 

映姫は黒刀も知っていることをわざわざ説明する。

黒刀は深く息を吸う。

 

「…気力解放!」

 

黒刀の気力が上昇する。

 

「血迷いましたか!」

 

映姫が叫ぶ。

 

「どうかな?」

 

その瞬間、映姫の視界から黒刀が消えた。

 

「なるほどスピードを上げましたか…ですが!」

 

映姫は影の数を増やす。その数20本。

 

「あなたが1秒間に剣を振れる回数は17!止められますか!」

 

映姫は黒刀の姿を捉え、影を伸ばす。

 

「ちっ!」

 

黒刀は伸びてきた影を刀で弾く。

 

「そこ!」

 

残りの影が一斉に黒刀へ襲い掛かる。

 

「ぐっ!」

 

黒刀は17本まで止めたが、残りの3本をもろに食らってしまう。

 

「はあ…はあ…(攻撃用の影で助かった…拘束用だったら終わってた…相変わらず速いな~。)」

 

黒刀は安堵した。

 

「なに安心しているんですか?」

 

「っ!」

 

黒刀は背後から伸びてきた影に全身を拘束されてしまった。

 

「なんで…これは地面に穴を空けて通り道を作ったのか…俺の『千里眼』の弱点を突いて…。」

 

 

「黒刀のオーラが感じない…ってことは…。」

 

魔理沙が映姫を見ると、映姫のオーラが増幅していた。

しかもそのオーラを一滴も漏らさず安定させている。

 

「終わりです。」

 

「まだだ!」

 

「何をして…。」

 

黒刀は腕力だけで影の拘束を解こうとしていた。

 

「無駄です。影牢はたとえ戦車の馬力でも解くことはできません!」

 

「フッ、俺は戦車レベルかよ?」

 

黒刀は不敵な笑みを浮かべた。

 

「うおおおおおおおおお!」

 

拳を握りしめ、そして思いっきり腕を左右に広げ『影牢』を断ち切った。

 

「そんな!」

 

映姫が目を見開いて驚いた。

しかし、黒刀は力尽き倒れた。

 

《勝者 四季映姫》

 

「一気に体力を使ったせいね…。」

 

映姫はそうつぶやいた。

 

 

 

 

「それじゃ好きなタイミングで攻撃してこい!」

 

にとりは妖夢を前にそう言い放つ。

 

「はっ!」

 

妖夢はにとりに正拳を放つが、にとりはそれを手の甲で払った。

 

「くっ!」

 

妖夢は床に手をついて、反動を活かし、かかとで蹴ろうとするが、にとりはそれを右手で掴み投げた。

 

「うわっ!」

 

妖夢は床を転がる。

 

「もうおしまいか?」

 

「まだまだ~!」

 

妖夢は突っ込む。

 

「(服を掴んで投げる!)」

 

しかし、避けられ逆に胸倉を掴まれ、背負い投げ。

 

「がはっ!」

 

「お前の攻撃は単純だ。コマンドを1回1回押してるような感じ。フェイントと言う言葉を知らないのかい?」

 

「うっ!」

 

妖夢は仰向けのままバツの悪い顔をする。

 

「純粋過ぎるというもの考え物だな。う~む…付け焼刃でフェイントを覚えても読まれるだけだから…連続攻撃…コンボを覚えればどうだ?」

 

「はい…覚えたいです!」

 

「では剣技に例えてみよう。そうだな…黒刀の場合、どんな勝ち方をしている?」

 

「斬撃で相手を追い詰めてから『カオスブレイカー』でとどめを刺しています!」

 

「そうだ。分かっていても長期戦で相手は体力を削られ、逃げ回ることもできないところに決める。これを体術にするならジャブ連続からの右ストレートかアッパーだな。でも君にはそれだけのパワーと体力がない。ならばどうする?」

 

「ん~…急所だけを狙うことでしょうか?」

 

「半分正解。」

 

「もう半分はなんですか?」

 

「それはだな…」

 

 

 

 医務室。

黒刀とチルノはベッドに横たわっていた。

 

「ん…あれ…ここ…。」

 

黒刀が目を覚ます。

 

「医務室よ。覚えてる?何で倒れたのか?」

 

そう声をかけるのは永琳。

 

「そうか…俺、姫姉の『影牢』を破ったけど、それで体力を使い切って…。」

 

「そうよ。」

 

「姫姉は?」

 

「帰ったわ。」

 

「帰った?」

 

「ええ…最後までいるつもりだったけど弟の思わね成長を見れたからいいって。」

 

「何しに来たんだよまったく。」

 

「(鈍感ね。)」

 

「で、こいつは?」

 

黒刀は寝ているチルノに視線を移す。

 

「普通にスタミナ切れ。ペース配分考えず走ったみたいね。」

 

「バカかこいつは。」

 

黒刀は呆れ顔。

 

「う~ん…バカってゆ~な…むにゃ…。」

 

「寝言かよ。」

 

 

 

 午後5時。

黒刀が1階に降りると、キッチンに立つ妖夢、霊夢、大妖精の姿が見えた。

 

「あ、俺もてつだ」

 

「「「ダメ!」」」

 

「え?」

 

軽くショックを受ける黒刀。

 

「あ、すみません!別に黒刀先輩の料理の腕を疑ってるわけとか嫌ってるとかじゃなくて自分たちの力だけで作りたいんです!」

 

大妖精が誤解を解こうとするが、黒刀は固まっていた。

 

 

 

 夕飯はシチューだった。

 

「うん…美味い!」

 

「「「やった!」」」

 

喜ぶ3人。

 

「それじゃ食べながらでいいから聞いてくれ。」

 

にとりがミーティングを始める。

 

「黒刀は自主練。他の4人はこれまで通りのメニューでいく。」

 

「なんで黒刀だけ?」

 

「黒刀の特訓相手の映姫が帰ってしまった。他の4人はあと4日間同じメニューを続ける。それから3日間自主練、最後の2日間は試合形式で『決闘』を行う。」

 

「いよいよか…腕が鳴るぜ!」

 

「ここであたいの真の実力が発揮されるわけだね!」

 

チルノはうんうんとうなずく。

 

「あの…先輩?」

 

「なんだ?」

 

妖夢が口を開き、黒刀が訊き返す。

 

「紅葉高校の人達が言っていたんです。先輩の『千里眼』は偽物だって…そんなことないですよね?」

 

「まあ、間違ってはいないな。椛の『千里眼』は俺のものとは全く違う。あいつの『千里眼』は文字通り千里まで見える。」

 

「千里ってなんだ?」

 

チルノが質問する。

 

「4000㎞ってことだよ。」

 

大妖精が代わりに応える。

 

「椛の『千里眼』は先天性…つまり生まれた時から持っているものだが、俺の『千里眼』は鍛錬で得た後天性のものだ。…だが本物か偽物かなんて俺にはどうでもいい。大事なのはその力をどう使うかだ。」

 

「本物か偽物かどうでもいい…力をどう使うか…。」

 

妖夢は黒刀の言葉をつぶやくのだった。

 

 

 

 6月16日。合宿9日目。

 

「『剣舞祭』と同じルールでやるから説明するぞ。とくにチルノ!よく聞いとけよ!」

 

にとりがチルノに釘を刺す。

 

「は~い!」

 

チルノはだるそうに返事する。

 

「はあ…慧音が苦労するのも分かるわ。『剣舞祭』は2ラウンド形式の制限時間15分。『決闘』は気絶してすぐ判定が下されるが『剣舞祭』はテンカウントで取る。1ラウンド目で決着がつかなかった場合、3分休憩をはさんで2ラウンド目が開始される。団体戦は先鋒から大将まで1戦ごとに交代して先に3勝した方が勝利。ちなみに2ラウンド目で決着がつかなかった場合は引き分けとなる。ここまでで質問は?」

 

チルノは今の説明を聞いて、頭の上にクエスチョンマークを浮かべたような状態だった。

それを見た黒刀は、

 

「ようは15分以内に相手をぶっ飛ばせってことだ。」

 

「なるほど!」

 

「こんな調子で大丈夫か…。」

 

にとりは肩を落とす。

 

 

 

 まず1試合目は黒刀対妖夢となった。

妖夢への『千里眼』対策のようだ。

 

「(にとりのやつ…『千里眼』で角度調整とかきついこと言いやがって。)」

 

「黒刀、椛の戦闘スタイルをコピーできるか?」

 

「まあ、やってみます。」

 

黒刀と妖夢が向かい合う。

 

《3…2…1…0.デュエルスタート》

 

黒刀は動かない。

 

「(いつも開始直後に先制してくるのに…本当にコピーするつもりなんだ…だったら!)」

 

妖夢は2本の剣を手に突っ込む。

 

「はあっ!」

 

妖夢が剣を振り下ろそうとする。

 

「遅い!」

 

すると妖夢の肘に刀を振り下ろす。

 

「くっ!」

 

妖夢は2本の剣を重ねて防御する。

 

「隙があり過ぎだ。」

 

黒刀は妖夢の脇腹を蹴る。

 

「ぐはっ!」

 

妖夢は床を転がりまわる。

思わず魔理沙が、

 

「すげえ…本当にあの椛の動きをコピーしてやがる。」

 

「なるほど…カウンター系か。」

 

霊夢がつぶやく。

黒刀は構えを取ったまま動かない。

 

「(隙がない。)」

 

大妖精が、

 

「これだど時間切れに…」

 

「いや、それはない。見ろ。」

 

にとりに言われて黒刀を見ると、ジリジリと構えを取ったまま妖夢に近づいていた。

妖夢も少しずつ後ずさりするが、

 

「これ以上下がると壁が…仕方ない!」

 

妖夢は攻撃の姿勢を取る。

だが、剣を振ろうとすれば肩や肘を狙われ攻撃が出来ない。

 

「剣士にとって肩や肘は攻撃の際、どうしても動いてしまう。犬走椛はその微かな筋肉の動きを見て次の攻撃を見通すことができる。」

 

にとりの説明に魔理沙が、

 

「そんなのどうしろっていうんだ!」

 

「死角って…椛は『千里眼』を持っているんだ!あるわけ…。」

 

「それは自分で見つけるしかない。」

 

妖夢は賭けに出ようとしていた。

 

「(こうなったら!)」

 

妖夢は右足を踏み込む。

 

「妄執剣 修羅の血弐式!」

 

黒刀は妖夢の肘を狙って刀を振る。

妖夢はそこで剣技をキャンセルして咄嗟に黒刀の横顔目掛けて蹴りを放った。

その蹴りを黒刀は右腕でガードした。

 

「くっ!」

 

「(今の動き、今までとは違った…面白い!)」

 

黒刀が刀に黒いオーラを集束させたその時。

 

「そこまで!」

 

にとりが制止した。

 

「え?」

 

妖夢が呆気に取られる。

黒刀は優しい微笑みで

 

「もうお前はヒントを得た。十分だ。」

 

「…は、はい!」

 

妖夢は元気よく応えた。

 

 

 

 その夜。夕食を終えてのミーティング。

黒刀が、

 

「オーダーを発表する。先鋒…チルノ、次鋒…魔理沙、中堅…妖夢、副将…霊夢、大将が俺だ。」

 

「先鋒があたいってことはつまり…エース!」

 

「お前は試合を流れを知らんからだ。」

 

「そんなバカな!」

 

「あの~。」

 

霊夢が挙手する。

 

「黒刀先輩はいいんですか?大将で…。」

 

霊夢は去年の黒刀のトラウマを心配して発言した。

 

「去年とは違う。なぜなら俺はお前らを信じているからな。」

 

「先輩…。」

 

「当然!というかあたいだけで大将まで倒してやるよ!」

 

「大妖精、あとでチルノにもう一度ルールを説明してやれ。」

 

「はい…。」

 

にとりが立ち上がる。

 

「明日は午前中で合宿を終えて下山して解散とする。」

 

黒刀も立ち上がって、

 

「それじゃ、おやすみ。」

 

と、自分の部屋に戻った。

 

 

 

 6月17日。午前6時30分。

黒刀は朝早く起きて素振りをしていた。

 

「おはようございます…。」

 

そこへ妖夢が眠そうに目をこすりながら挨拶。

 

「(おはようむ。)」

 

黒刀は一瞬、くだらないことを考えていたが、

 

「おはよう。」

 

と、普通に挨拶した。

 

「こんな時間から素振りしていたんですね…毎日やってたんですか?」

 

「日課みたいなものだ。師匠に剣技を教わってからずっと続けてる。それにしても今日は起きるの早かったな。」

 

「なんか目が覚めちゃって…。」

 

「もう予選が楽しみになってきてるんじゃないか?」

 

「いえ…楽しみにしてたのは入学した時からです!」

 

妖夢の目は闘志で燃えていた。

 

「先輩の素振り見ててもいいですか?」

 

「いいぞ。」

 

黒刀が刀を振る瞬間、まるで周囲の時間が止まっているかのような感覚になる。

その時間は1秒。

だが、その1秒で黒刀は刀を17回振った。

 

「俺は1秒間に17回振っているんだ。」

 

「17回⁉」

 

「俺や姫姉が扱うこの四季流剣術では1秒間に剣を振る速さを剣速と呼んでいる。例えば俺は17回だから剣速20。ただ速いだけでなく1秒でどれだけ攻撃が出来るかなんだ。ちなみに姫姉の剣速は20…俺より上だ。」

 

「なんかもう人間の次元じゃないですね。」

 

「何を今さら。」

 

黒刀はフッと笑った。

 その後、9時から総当たり戦を3時間行い、下山の時間となった。

妖夢は頂上から下りる前に合宿所を振り返る。

 

「また来たいです!」

 

「来るさ。予選を通過したらな。」

 

「はい!」

 

黒刀の言葉に妖夢は笑顔で返す。

 

 

 

 下山後。

にとりが口を開く。

 

「それじゃ、ここで解散だ!予選は3日後!奈良デュエルアリーナに現地集合!…だからチルノ、絶対に遅刻するなよ!大妖精、もしチルノが寝坊したら引きずってでも連れてこい!」

 

「分かりました。」

 

「え、まさかのOK⁉」

 

チルノが驚く。

 

「これもチルノちゃんのためなの。」

 

「それじゃ、俺はここで。」

 

黒刀は手を振って去る。

 

「おう、また明日~!」

 

チルノも手を振る。

 

「チルノちゃん、代表は明日休みだよ。」

 

「なんだって!」

 

「話聞いとけよ!」

 

大妖精の言葉にチルノが驚き、魔理沙がそれにツッコむのだった。




学園代表編完。

ED2 家庭教師ヒットマンリボーン「桜ロック」

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