妖夢と椛の決戦。
OP3 ハイキュー「Ah Yeah」
1回戦次鋒戦も魔理沙の勝利でリードした妖夢達。
そして、次はいよいよ妖夢の番となった。
妖夢が立ち上がる。
「いってきます!」
「がんばれ!」
チルノが応援する。
「特訓の成果見せましょう!」
大妖精が両手の拳を胸の前で強く握ってエールを送る。
「わたしより早く勝って来いよ!」
「自分らしくね!」
魔理沙と霊夢もそれぞれ妖夢を鼓舞する。
「見せてみろ。お前の力を。」
最後に黒刀がそう声をかける。
「はい!」
妖夢は強く応えて、フィールドに入っていく。
「早くも相手にリードですか…先輩達、無様ですね。」
椛がそう口にした。
「椛てめえ!先輩に対してなんだその口の利き方は…っ!」
加藤が最後まで言い切る前に腰を抜かしてしまった。
椛の冷たい目に恐怖を感じたからだ。
椛はゆっくりと立ち上がる。
「さて、ここらで断っておきますか…彼女たちの希望を。」
椛はそう言って、剣を取り、フィールドに入っていく。
《神光学園中堅 魂魄妖夢》
妖夢は『楼観剣』と『白楼剣』を鞘から抜く。
《紅葉高校中堅 犬走椛》
「今度は二刀流ですか。ということは本気のようですね?」
「当たり前です。」
2人は言葉を交わしながら剣を構える。
《3…2…1…0.デュエルスタート》
妖夢は足に気力をためて、一気に解き放って突撃した。
椛は防御態勢を取る。
妖夢は『楼観剣』で突きを放つ。
妖夢の突きを椛は剣でガードするが、あまりの勢いに壁に吹っ飛ばされてしまう。
「よし!」
魔理沙はガッツポーズ。
「まだだ。あいつはこの程度じゃ倒せない。」
黒刀はそう口にする。
椛はゆっくり体を起こす。
「やられましたよ。まさかそんな攻撃をしてくるなんて。」
妖夢はすぐに駆け出し距離を詰める。
「ですが、やられっぱなしというのも不愉快ですね。こちらも少し本気を出しましょう!」
椛もダッシュで距離を詰める。
両者の距離が近くなり、妖夢が『楼観剣』を振り下ろそうとする。
「学習しない人ですね!あなたの攻撃はもう通用しない!」
椛は妖夢の肘に向けて突きを放つ。
だが、その突きが届くことはなかった。
なぜなら、妖夢の膝蹴りが椛の腹に直撃していたからである。
「がはっ!」
すの隙を逃さず、妖夢は回し蹴り。
腕でガードした椛はフィールドの床を転がりまわる。
「くっ!」
椛はすぐに体勢を立て直すが、妖夢の姿が見えなかった。
「どこだ?」
次の瞬間、真横から凄まじい気配を感じた。
振り向くと妖夢がいた。
「妄執剣 修羅の血弐式!」
妖夢は2本の剣を交差して斬りかかる。
「なめるな~!」
椛も剣を振り下ろす。
両者の剣がぶつかり合う。
だが、加速している妖夢の方に分があった。
「はあっ!」
妖夢は剣を振りきった。
「うあっ!」
パワー負けした椛はまたもや吹っ飛ばされ壁に激突する。
意識朦朧としながら椛は立ち上がり、目の前の妖夢を見据えていた。
「(負ける?私が?…いやだ!私はもうあんな思いをしたくない!)」
1年前。『剣舞祭』本選。
紅葉高校は1回戦を無事に突破し、2回戦へと進出した。
椛は初出場ながらも勝利し、自信もついてきた。
「私の力は全国に通用する!」
そう信じていた。
だが、その自信は2回戦で完全に打ち砕かれる。
椛は膝をつき、剣をフィールドの床に落とす。
そして、膝をついたまま対戦相手の顔を見上げる。
相手の顔はライトの光で見えなかったが、その光に照らされている対戦相手とその影で跪く自分の姿に圧倒的な実力の差を思い知ることとなった。
「なかなか良かったわよ、あなた。」
対戦相手はそう口にした。
椛は唇を噛みしめた。
「(よかった?何が?私の剣はなに1つ通用しなかった…こいつは無傷だ…私は無力だ。)」
その後、自分がどうやって控室に戻ったのか、いつ奈良に戻ったのか、どうやって家に帰ったのかはよく覚えていなかった。頭に浮かぶのは敗北した時に見た赤い槍を持った対戦相手の姿だけだった。
現在。
「私は負けられない…こんな…こんなところで…負けるわけにはいかないんだ!気力解放!」
椛の全身から気力が解き放たれる。
「なんてオーラ…今までとは段違いだ。」
妖夢はつぶやきながら構える。
「いくぞ!魂魄妖夢!」
次の瞬間、椛は既に妖夢の懐に潜り込んでいた。
椛が剣を水平に振り、妖夢がそれを2本の剣でガードするが、
「(さっきよりパワーが上がってる!)」
妖夢が押され始める。
「はあっ!」
椛が妖夢の態勢を崩す。
そこへ、
「狼牙!」
椛は左手に気力を集束させた掌底を妖夢の鳩尾に叩き込む。
「がはっ!」
妖夢は血を吐き出し、吹っ飛ばされる。
「なんだよ…あれ?」
魔理沙が驚愕した表情で口を開く。
黒刀が眉をひそめる。
「(去年はなかった。ということは…。)」
「(そう!お前と
椛は心の中で口にして、目の前の妖夢を見る。
妖夢はゆっくりと立ち上がるが、
「かはっ!」
吐血してしまった。
「やめろ妖夢!お前それ以上やったらまじでやべえぞ!」
魔理沙が叫ぶ。
「お友達がああ言っていますよ。ルール上ギブアップもできます。今なら間に合いますが。」
椛の提案に妖夢は強い意志を宿った眼で、
「負けっぱなしで終われませんよ。」
「二度と剣を持てなくなるかもしれませんよ。」
「構いません。私は諦めない。」
妖夢の言葉に椛は顔色を変え、明らかな怒りを表した。
「あなたは分かっていない!剣を持てなくなるということが剣士にとってどれだけ辛いことなのか!後悔してからじゃ遅いんだよ!あんたは死にたくなる思いをしたいって言うのか!」
妖夢はその言葉に、
「諦めるくらいなら死んだ方がマシだ。」
そう返した。
「~っ!…いいでしょう。なら好きなだけ後悔すればいい!」
椛は構えなおし、足に気力を溜めて、放出してダッシュした。
迫ってくる椛に対して、妖夢はゆっくりと目を閉じた。
「(結局、諦めるのか。いや、それでいい。その方が楽になれる!)」
椛はスピードを上げる。
妖夢は目を閉じたまま。
「(思い出せ…あの時の感覚を…あの力を…あの時、自分が何を思い闘っていたのか…そうだ…私は…私の誇りのために…勝つ!)」
「狼牙!」
椛が放った今度の掌底はオーラが具現化して狼の顔の形となっていた。
しかし、『狼牙』は妖夢の体に届く前に2本の剣によって防がれた。
「なっ!止めただと!」
その時、妖夢から凄まじい量のオーラが溢れ出す。
「こいつ、まさか解放を!」
「はあっ!」
妖夢は2本の剣を交差して振り抜いて『狼牙』を完全に弾いた。
「私の『狼牙』を!」
妖夢は足に気力を溜める。
「(来る!)」
椛は構える。
だが、次の瞬間、妖夢の姿が椛の目の前から消える。
直後、椛の真横から横顔に妖夢の回し蹴りが叩き込まれる。
「ぐあっ!」
椛は吹っ飛ばされる。
妖夢はクロスステップをしただけなのだが、解放状態の妖夢のクロスステップは椛からすれば瞬間移動と錯覚してしまう程だった。
「くそ!」
椛は体勢を立て直す。
だが、またもや見失う。
直後、頭上からかかと落としを食らう。
ハイジャンプからのロージャンプだ。
「ぐっ!調子に…乗るな~!」
椛は妖夢の足を掴んで、振り回し投げる。
投げられた妖夢は空中で体勢を立て直し、フィールドの床に手をつき、左手の『白楼剣』を椛に向けて力いっぱい投擲した。
『千里眼』で視た椛はそれを紙一重で回避する。
両者同時に加速して、剣がぶつかり合い、鍔迫り合い状態となる。
「「絶対に負けない!」」
「負けるな~!妖夢~!」
「勝て~妖夢!」
魔理沙とチルノは声を振り絞って叫んだ。
「妖夢…。」
大妖精は祈るように手を合わせる。
妖夢は、
「(この闘いには…この剣には…霊夢…魔理沙…チルノ…大妖精…にとり先生…生徒会長…永琳先生…幽々子様…神光学園の皆…そして…先輩…皆の想いが込められているんだ!だから…)私の全てを出し切って…勝つ!」
妖夢は椛の剣を上に弾いた。
椛はなんとか剣を離さないように握って、そのまま振り下ろそうとする。
「(こっちの方が速い!勝った!)」
勝利を確信する椛。
イメージしろ…あの王者の一撃を!
妖夢の『楼観剣』に気力が集束されていく。
やがてそのオーラの色は金色へと変化した。
「なっ!」
驚く椛。
「閃光斬撃波!」
妖夢の剣から放たれたその技はまるで黒刀の『カオスブレイカー』のようであった。
椛は素早く剣を振り下ろしガードするが、
「なんだ?…威力がどんどん上がっていくだと!」
徐々に押されていく。
「はああああああああああああ…」
「くっ…防ぎきれない!」
「はああああ!」
さらに威力が上がっていく『閃光斬撃波』。
「うっ…ああああああああああ!」
椛はついに押し負けて、デュエルフィールドの結界の壁に吹っ飛ばされた。
結界に激突した椛は床に落下し、倒れた。
《1…2…3…4…5…6…7…8…9…10.勝者 魂魄妖夢》
機械音声が鳴り響き、空白のような静寂が流れ、直後、会場全体に大きな歓声が響き渡る。
紅葉高校の代表たちや観客席の紅葉高校の生徒は悔しさのあまり涙を流す。
優勝候補の一角が1回戦で敗れた。
この事実を受け止め切れない生徒が多くいるだろう。
対して、神光学園の生徒達は歓喜に満ち溢れていた。
その光景は事実上の決勝戦のようであった。
霊夢、魔理沙、チルノ、大妖精は妖夢の元へ走る。
「やったな!妖夢!」
魔理沙は嬉しさのあまり、妖夢に飛びついて抱きつく。
「魔理沙、いや…その…嬉しいんですけど…今、抱きつかれると…。」
「あ、悪い!」
魔理沙は慌てて離れる。
すると、大妖精が妖夢の前に立つ。
「大妖精?」
妖夢が顔をうかがう。
「このバカ!こんな無茶して…心配する方の身にもなってよ!」
大妖精は泣きながら怒る。
「ごめん大妖精。」
妖夢は申し訳なさそうな表情をする。
「まあまあ大ちゃん、勝ったし、無事なんだからいいじゃん!」
「チルノちゃんは黙ってて!」
「え~!」
そんな喧騒の中、黒刀が大妖精に近づいてその頭にポンと手を置いた。
「まあ落ち着け。とりあえず控室に戻って治療してやれ。お前らも喜ぶのはいいがまだ1回戦だ。次に向けてミーティングだからな。」
「「「「はい!」」」」
妖夢、霊夢、魔理沙、チルノは大きな声で応えた。
「はい…。」
大妖精も涙を拭いながら応える。
皆が戻るのに対し。黒刀は逆方向に歩き出した。
「先輩?」
妖夢が声をかける。
「先、行っててくれ。」
黒刀はそう言って、椛のところへ歩く。
椛の意識は戻ったもののダメージのせいで、起き上がれず仰向けで大の字に倒れていた。
「恐ろしい1年…あの技…防御すればするほど威力が上がっていた。」
椛は口を開いた。
「まるで…あなたの『カオスブレイカー』みたいだった。」
「あいつの怖いところは闘いの中で強くなっていることだ。…後ろから追いかけてくる影ってのは本当に怖い。いずれ俺を超える剣士になるかもな。」
黒刀はそう言いながら椛に手を差し出す。
椛はその手を取って、体を起こしてもらう。
黒刀は椛に肩を貸す。
「賭け、忘れるなよ。」
「嫌なこと、思い出させないでよ。」
2人は軽口を言い合う。
医療班が走ってきた。
「あとは我々が。」
「必要ない。こちらで対処する。」
黒刀はそう返す。
「しかし…」
「いいんです。彼に任せます。」
椛は口を挟んだ。
「だってさ。」
黒刀はそう言って、ベンチではなく左右にある通路の右側の通路に歩き出す。
「負けたんだね…私。」
「…ああ。」
「でもあの時と比べたら清々しいかな…全力を出し切って思いっきりぶつかれたんなら悔いはない。」
「…そうか…でも俺にはそうは見えないけどな。」
黒刀はそう口にした。
椛の顔はうつむいていて、その目からは涙が溢れていた。
ED3 遊戯王GX「Wake Up Your Heart」
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