東方剣舞   作:kuroto xanadu

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OP4 学戦都市アスタリスク2期 The Asterisk War



氷の想い

 現在。

真冬は黒刀を正面から見据える。

 

「さすがに元カノの話は驚きました。

でもきっと黒刀君は軽い気持ちで付き合う人じゃないってことはあの短い日々で分かりました。

黒刀君は誰にだって真剣に向き合う人だってこと。

だから責めたり、咎めたりするつもりはありません…でも。」

 

「それは約束の話は別。」

 

黒刀が口を挟む。

 

「はい…黒刀君、今の私の想いをぶつけます!」

 

「俺も全力でぶつける!」

 

黒刀は鞘から『八咫烏』を引き抜く。

 

《3…2…1…0.デュエルスタート》

 

先に動いたのは黒刀だった。

床を蹴って、真冬に中段斬り。

 

「雪月花!」

 

真冬が詠唱すると、真冬と黒刀の間に氷の壁が展開される。

黒刀の剣撃は氷の壁に防がれ弾かれる。

 

「(くっ、堅い!)」

 

黒刀はバックステップしてから氷の壁を飛び越えていこうとジャンプする。

だが、向こう側に真冬の姿はなかった。

『千里眼』で確認しても、どこにも真冬の姿は見えなかった。

その時、氷の壁の頭頂部から氷柱が放たれた。

黒刀は『破壊王の鎧』で無効化する。

床に着地した黒刀は驚く。

 

「おいおい…マジかよ…まさか氷の中を移動するなんてな。」

 

氷の中から真冬が出てくる。

 

「驚いた?」

 

「まあな。」

 

「それじゃ、まだまだいくよ!」

 

真冬がそう言い放つと氷の壁から氷柱が伸びてくる。

黒刀はそれを『超反射』で躱す。

 

「遠距離がダメなら切り替えるまでだよ…大雪原!」

 

真冬の詠唱で、フィールド中に氷の壁、氷の床が出来る。

 

「これは…レティの…。」

 

「質はその比じゃない!」

 

「どう…かな!」

 

黒刀はオーラで周囲の氷の床を吹き飛ばす。

 

「(しかし…こう音が反響していたら場所の特定ができない…なら!)カオス…」

 

「させない!」

 

黒刀がオーラを集束させようとした時、黒刀の手へ1本の氷柱が伸びてくる。

黒刀は技を中断させて、氷柱を斬って砕く。

 

「(真冬が遠距離を諦めて中距離に切り替えたってことはその範囲に絞れば。)」

 

黒刀は斬撃の乱れ撃ちを始めた。

飛び散った氷の破片が黒刀に飛んでくる。

 

「気力解放!」

 

黒刀は気力を解放して氷の破片を吹き飛ばす。

 

「カオス…」

 

「無駄よ!」

 

真冬は氷柱を伸ばして黒刀を攻撃する。

氷柱が黒刀の手の甲に刺さる。

出血はしあいし、食い込みもしないが痛みはある。

 

「ブレイカー~!」

 

だが、黒刀は構わず黒い斬撃を放った。

氷の壁も氷の床も破壊していく。

その時、黒刀の背後から真冬が氷の槍で突いてきた。

黒刀は振り返らずしゃがんで躱し、振り向くと同時に真冬を水平に斬る…がその身体は氷となって砕ける。

 

「っ!」

 

黒刀が驚くのも束の間、またも背後から真冬が氷の槍で突いてきた。

黒刀は振り向いて真冬を斬る…がそれも氷となって砕ける。

 

「氷の虚像か…。」

 

斬っても斬っても永遠に続くかのように突きが襲ってくる。

 

 

 

 そして…

 

《タイムアップ 第1ラウンド終了》

 

ベンチに戻った黒刀はかなり疲弊していた。

にとりは黒刀を見て、

 

「おそらく狙いは黒刀のスタミナを削ってチャンスが来たら決めに行くってところだろう。」

 

黒刀は白雪高校代表ベンチを見る。

 

「(真冬…確かにお前は強くなった…でも俺はここで負けるわけにはいかない!)」

 

黒刀はベンチから立ち上がる。

 

「試したいことがある。」

 

「なにをする気だ?」

 

にとりが訝しんだ目をする。

 

「全部斬る!本物も偽物も!

 

「それが出来たら苦労はしないだろ。」

 

にとりの指摘に黒刀はフッと笑う。

 

「俺を誰だと思っている?」

 

黒刀はそう言ってフィールドに入る。

 

 

 

 

「何か策でも思いついた黒刀君?」

 

真冬は余裕の笑みである。

 

「ああ、面白い策がな。」

 

それに対して黒刀は不敵な笑みを浮かべる。

 

「それは楽しみ♪」

 

真冬は嬉しそうに言い返す。

 

《3…2…1…0.第2ラウンドスタート》

 

「モードチェンジ サムライ!」

 

黒刀の体が黒い木の葉に渦巻かれ、それが消えると『サムライモード』に変身した。

 

「それなら昨日見ましたよ。それのどこが面白い策なんですか!」

 

真冬は氷の槍で突きを放つ。

 

「四季流剣術 壱の段 一騎当千!」

 

黒刀が放った剣技は昨日よりも速かった。

なぜなら剣速が25に達していたからだ。

目の前の真冬も次に現れる真冬もその次に現れる真冬も全て斬っていく。

 

「きゃあああああ!」

 

そして、ついに本物の真冬に一太刀浴びせた。

 

「カオスブレイカー!」

 

空中に舞った真冬に黒刀は巨大な黒い斬撃を放つ。

 

「くっ、吹雪!」

 

斬撃が真冬に届く前に吹雪が発生し、真冬の姿が見えなくなる。

斬撃が吹雪を吹き飛ばしていくがそれはすぐに戻ってしまう。

やがてフィールド全体を吹雪が覆い尽くす。

黒刀は連続で斬撃を放つが吹雪は一度は晴れ、すぐに元に戻る。

 

「ダメか…さて、厄介な術を発動させてくれたものだ…っ!」

 

黒刀の背後から氷の槍の突きが放たれる。

黒刀はそれを弾くが、真冬はすぐに吹雪の中へと消えていく。

 

「四季流剣術 壱の段 一騎当千!」

 

黒刀はしらみつぶしに斬ろうとするが手応えがない。

その隙を逃さずまた突きがくる。

黒刀は『超反射』を発動してなんとか弾く。

 

「(このままじゃ埒が明かない…どうする…どうしたらいい…いっそ吹雪の中に突っ込むか…

いや…リスクが高すぎる…ならどうしたら………いやある!…だがこれは我ながら最低だな。

でもやるしかない!)」

 

黒刀の顔つきが覚悟を決めたものに変わる。

黒刀は『八咫烏』を鞘に納める。

それを見た真冬は疑問を抱く。

 

「(黒刀君が刀を収めた…降参…いや黒刀君に限ってそれはない…けど…とにかく隙が出来た!)」

 

真冬は黒刀の背後から氷の槍の突きを放つ。

 

「(私の…勝ちだ!)」

 

真冬は勝利を確信した。

だが、黒刀は『千里眼』と『超反射』をフルに使って、氷の槍を素手で止めると真冬を引き寄せる。

そして、真冬を引き寄せた黒刀はなんと真冬の唇に自身の唇を重ねた。

 

「(え?)」

 

真冬は不意を突かれた。

黒刀は真冬の腰に手を回し、さらに引き寄せ、逃げられないようにする。

 

「(なに…これ…全身がとろけるような…ってか…これってまさか!…エナジードレイン⁉)」

 

黒刀はキスを通して真冬のオーラを吸い取っていた。

 

「(やばい…やばい…これマジで…上手すぎる…このままじゃ…。)」

 

 

 

 そして、キスの快感に耐えきれず真冬は気を失った。

黒刀が唇を離すと吹雪が消えていく。

 

《1…2…3…4…5…6…7…8…9…10.勝者 四季黒刀》

 

黒刀はフィールドの床にそっと真冬を横たわせる。

それからベンチに戻る。

しかし、ベンチに戻った黒刀を待っていたのは目が笑っていない映姫の笑顔だった。

 

「さ、さて!ホテルに戻るか!」

 

黒刀が映姫の横を通り過ぎようとしたその時、

 

「おい。」

 

映姫に肩を掴まれる。

 

「ひっ!」

 

肩をビクッと震わせる黒刀が恐る恐る振り向く。

 

「黒刀、隣の部屋に仮眠室があるので一緒に行きませんか?」

 

映姫は笑顔を崩さずに言った。

 

「え、いや…それは…ちょっと…」

 

「てか来い。」

 

映姫は冷たい口調と共に黒刀の体を影で繭のように包み込む。

そのまま映姫に引きずられていく。

その様子を見ていた一同は思った。

 

『(ホラーだ…。)』

 

 

 

 数時間後。

ようやく悪夢の時間から解放された黒刀が自動販売機で牛乳を買っていると誰かがこちらに歩み寄ってくることに気づいた。

 

「真冬…。」

 

「黒刀君…。」

 

2人は人気のないベンチに腰掛ける。

沈黙が続く。

 

「ごめんな…あんなことをして…」

 

「大丈夫。分かっているよ。」

 

「真冬…。」

 

「試合には負けちゃったけど私の成長を黒刀君に見せられただけで満足だよ。」

 

真冬はそう言って黒刀に笑顔を向ける。

 

「3回戦、頑張ってね♪」

 

「3回戦…確か相手は鷹岡高校…六道仁のいるところか…。」

 

「どういう人?光に聞いても詳しく知らないって言ってた。」

 

「六道仁は…あいつは俺の父さん…四季大和に憧れている。

おそらく今も…だから気に食わないんだろう…父さんの一番近くにいる俺が。」

 

「親子なら近くにいるのは当たり前だよ。」

 

「あいつを突き動かしているのは理屈じゃない…ただ感情的に動いているだけだ。」

 

「強いの?」

 

「どうかな…それはやってみるまで分からない。」

 

そう言って黒刀は立ち上がる。

 

 

 

 午後5時。紅魔学園代表宿泊ホテル。

 

「ただいま~♪」

 

フランが部屋のドアを開けると、そこにはレミリアの目の前のテレビが赤いオーラの槍によって貫かれ粉砕されている光景があった。

 

「ふ…ふふ…ふふふ…。」

 

レミリアから笑い声が漏れ出す。

 

「お、お姉様?」

 

フランの顔が引き攣る。

 

「あの愚か者…絶対に…殺す!」

 

レミリアが叫ぶと同時にホテルの照明が停電する。

 

「ああ~、どうやら触れていけない逆鱗に触れてしまったようだ。」

 

天子は呆れた声を漏らす。

その日の夜、レミリア達の泊まっているホテルは朝まで停電状態だった。




ED4 咲 全国編 TRUE GATE

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