東方剣舞   作:kuroto xanadu

41 / 107
OP4 学戦都市アスタリスク2期 The Asterisk War



憧れ

 8月3日。

六道仁は夢を見ていた。

幼い日の記憶の夢だ。

幼少の頃に一度だけスラム街に迷い込んでしまい、ナンバーズということがバレた仁はガラの悪い不良達に囲まれてしまう。

 

「へへへ、お前六道だろ?こんなところで何してんだ?」

「早くおうちに帰らないとこわ~いお兄さんに痛い目を遭わされることになるぜ。」

「こんなふうにな!」

 

不良が殴りかかってくる。

その頃の仁は弱気でとても立ち向かう力も勇気もなかった。

仁は目をつぶる。

だが、いつまで経っても拳は届いてこない。

ゆっくりと目を開けると仁の目の前には2m程の男が仁に背を向けて立っていた。

 

「ったく、ガキをいじめるなんてしょうもねえことやってんじゃねえぞ。」

 

男の目の前には不良達が地面にうずくまっていた。

 

「怪我はないか?」

 

男は振り返って仁に声をかける。

 

「う、うん…。」

 

仁はうなずく。

 

「そうか…よかった。」

 

男はそう言って仁の頭の上にポンと手を置く。

 

「あの…あなたは?」

 

「俺か?俺の名前は四季大和だ。」

 

「大和さん…。」

 

「それじゃスラムの外まで送ってやろう。」

 

大和は仁をスラム街の外まで連れて行った。

大和が立ち去ろうと歩き出す。

 

「あ、あの!」

 

仁が声を張り上げる。

 

「なんだ?」

 

「どうしたらあなたのように強くなれますか?」

 

「どうしたらってそりゃお前、信念を曲げなければ誰だって強くなれる。」

 

「本当?」

 

「ああ、本当だ。」

 

「なら僕も…俺も強くなる!いつか大和さんみたいなカッコイイ男になる!」

 

「そうか…それは楽しみだな。」

 

大和はそう言って今度こそ立ち去っていく。

 

「絶対に強くなる…いつか大和さんみたいになれるように。」

 

 

 

 夢を見ていた仁を起こしたのはドアのノックだった。

 

「なんだ?」

 

仁はドアの向こう側に声をかける。

 

「仁先輩、時間です。」

 

「分かった…すぐに準備するからロビーで待ってろ。」

 

「分かりました。」

 

立ち去る足音が聞こえ、やがて音が遠くなっていく。

仁は肩に袖を通す。

 

「四季黒刀…大和さんの息子…大和さんの隣に立つのはお前じゃない…俺だ!」

 

仁は自分を拳を握りしめた。

 

 

 

 ホテルのベッドに腰かけながら黒刀は浮かない顔をしていた。

 

「黒刀、どうしたの?」

 

映姫が心配そうに声をかける。

 

「…もし大将戦まできたら俺は六道仁と闘うことになる。

でもそれはナンバーズ同士の闘いを意味する…姫姉、俺怖いんだ。」

 

「怖い?六道が?それとも試合が?」

 

「自分の力が。…姫姉もなんとなく分かっているんだろ?

俺の中に何か得体の知れない化け物が潜んでいる。

俺にも分からない存在。

…俺には去年の試合の記憶がない。

だけど感覚は残っている。

自分が自分でないような感覚が…今回は剣舞祭はまだ大丈夫だけどもし相手がナンバーズで無意識に奴が出てきたら…俺はそれで勝っても嬉しくないし誇れない。」

 

映姫は黒刀の言葉を静かに聞いていた。

 

「黒刀…もしあなたがそいつに飲み込まれてしまっても大丈夫。

だってあなたには信頼できる仲間がいるじゃない。

自分の力で…自分の意思で見つけた仲間がいる。」

 

その言葉を聞いた黒刀の脳裏をよぎったのはチルノ、大妖精、魔理沙、霊夢、そして妖夢の顔だった。

 

「姫姉…そうだな…あいつらが前に進もうと頑張っているのに俺だけ下を向いてちゃいけないよな。」

 

黒刀はそう言って立ち上がる。

 

「姫姉、俺は今日の試合でこれを使おうと思っている。」

 

そう言ってバッグから取り出したのは黒いリングだった。

 

「それは…。」

 

 

 

 

 黒刀達が会場のロビーに行くと意外な人物がいた。

 

「と、父さん⁉」「お父様⁉」

 

黒刀と映姫は同時に驚いた。

待っていたのは黒刀と映姫の父親であり四季家の当主である四季大和。

身長は2mを超え、髪は黒刀と同じ黒で短め、黒刀以上の筋肉質で巨漢である。

さらに、大和は40歳という若さで新大日本帝国軍の元帥を務めている。

 

「黒刀、今日は試合を観に来た。ちょうど予定が空いてな。」

 

「別に見に来なくてもいい。」

 

そう言う黒刀だがどこか嬉しそうである。

 

「明日には桜も帰国してくる。」

 

「母さんが?」

 

「お前も久しぶりに会うといい。」

 

「5年ぶりか…。」

 

「それで…そちらが…。」

 

「俺の仲間だ。」

 

「あたいは天才最強のチルノぐふっ!」

 

大妖精の肘鉄がチルノの脇腹に命中する。

 

「大妖精です!」

 

「霧雨魔理沙です!」

 

さすがの魔理沙も敬語になる。

 

「博麗霊夢です。」

 

その名を聞いた大和が、

 

「博麗?…いやなんでもない…君は?」

 

「魂魄妖夢です!先輩のお父さんに会えるなんて感激です!」

 

「それは嬉しいね…それでは俺はこの辺で…試合は観客席から観させてもらうよ…健闘を祈る。」

 

大和はそう言って立ち去った。

 

「大ちゃん、何すんだよ~!」

 

「目上の人に対しての礼儀は大事だよチルノちゃん!」

 

大妖精は指をピッと立ててチルノを叱る。

 

「それに父さんは帝国軍元帥だからお前なんか木っ端微塵にされるかもな。」

 

黒刀が意地悪に笑いながら言った。

 

「ぜ、全然平気だし!」

 

チルノはそう言い張る。

その時…

 

「相変わらずね…あなた達は。」

 

声が聞こえて振り向くと声の主は椛だった。

 

「椛、来ていたのか。」

 

「実際に見た方が良いから…それはそうと…黒刀、昨日の試合は随分と剣士らしくない決着のつけ方をしていたようだけど?」

 

「そんなに褒めるなよ。」

 

「褒めてない!」

 

椛がツッコミを入れる。

ちなみに『千里眼』のスキルを持つ椛はあの吹雪の中を見ることが出来た。

 

《まもなく3回戦第6試合を開始します。

選手は各ベンチに移動してください》

 

アナウンスが流れる。

 

「時間だ。行くぞ!」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

黒刀の掛け声に妖夢達が応えた。

 

 

 

 南会場。

 

《さあ!3回戦第6試合!鷹岡高校対神光学園の試合が始まろうとしています!

神奈子さん、どういう展開になるでしょうか?》

 

《そうですね…神光学園の勢いは確かに凄まじいですがここまでの試合は大将戦まで持ち込む接戦でした…もし今回もそうなった場合、六道仁選手と四季黒刀選手のナンバーズ対決…そうなれば正直誰も予想はつかないと思います》

 

 

 

 神光学園代表ベンチ。

黒刀が荷物をベンチに置いていると向こう側のベンチに仁がいるのが見えた。

 

「(姫姉以外のナンバーズと闘うのは二宮以来か…。)」

 

向こう側のベンチで仁は「四季黒刀…。」とつぶやいていた。

 

「チルノ、いってこい!」

 

「おうよ!」

 

チルノがフィールドに入ると鷹岡高校代表ベンチから出てきたのは越山流星。

青髪に赤のメッシュ、海のように青い瞳、身長175㎝、タンクトップに短パンといかにも体育会系の男だった。

 

「お前が俺に倒される前に名乗ってやるよ!俺の名は越山流星!覚えときなチビ!」

 

「チビじゃない!あたいはチルノだ!あたいが倒されるって?無理だね!

なぜならあたいは天才最強だから!」

 

「なら俺は超最強だ!」

 

「あたいの方が超超最強だ!」

 

「なら俺は!」

 

『(さっさと始めろよ…。)』

 

全員の思考がシンクロした。

 

「速攻で決めてやる!」

 

チルノはダッシュの準備をする。

 

《3…2…1…0.デュエルスタート》

 

「ソードフリー…っ!」

 

チルノが試合開始直後に右足を踏み込んだ瞬間、腹に強烈な一撃が打ち込まれる。

接近して懐に入り込んでいた流星の膝蹴りだった。

 

「がはっ!」

 

チルノは蹴り飛ばされる。

 

「おせぇな!スピード自慢だって聞いたが大したことねえな!」

 

流星はそう吐き捨てる。

 

 

 

 神光学園代表ベンチ。

 

「なるほど…足に全オーラを込めているのか…。」

 

黒刀が分析を口にする。

 

「ぜ、全オーラ⁉そんなことしたら他の部位が紙装甲じゃねえか!」

 

魔理沙が驚きを口にする。

 

「相当自信があるんだろう。

ああいう蹴り技主体の奴は動きを止めるのが得策なんだが…チルノの氷の発動速度が奴の移動速度に追いつかなきゃ無理だな。」

 

「チルノちゃん…。」

 

大妖精は祈る。

 

 

 

 

「俺は出し惜しみとか嫌いだからよ…一気に決めるぜ!」

 

流星の言葉を聞いたチルノは痛みに顔を歪ませながらも立ち上がる。

流星はフィールドの床を強く踏み込み、通常より高くハイジャンプする。

 

「シューティングスターアタック!」

 

流星は叫びながらライダーキックのように降下してきた。

まだダメージが残るチルノは回避できない。

 

「アイスシールド!」

 

チルノは流星との間に氷の盾を展開する。

 

「無駄なんだよ!」

 

流星はそのまま突っ込む。

流星の蹴りが氷の盾に激突すると氷の盾はあっけなく破壊されそのままチルノの腹に直撃し、さらにフィールドの床に叩きつけるだけに収まらず床が衝撃で自信でも起きたかのように崩れていく。

 

「チルノちゃん!」

 

大妖精が叫ぶ。

流星はチルノの腹から足を引き抜くとベンチに戻ろうと歩き出す。

 

「そこで寝てなチビ。」

 

その時。

 

「…まて…よ…。」

 

流星の背後から声が聞こえた。

 

「!…まさか…。」

 

流星が振り返るとチルノがゆっくり…ゆっくりと傷だらけの体で立ち上がっていた。

 

「こいつ…あれを食らって立ち上がるだと…。」

 

「…げ……な…。」

 

チルノが声を絞り出している。

 

「あ?何を言って」

 

「…逃げる…な。」

 

「!(なんだ…勝っているのはこっちの方なのにこいつからは…こいつの眼からは強い意志を感じる。)」

 

流星を見るチルノの眼にはまだ勝とうとする意志が感じられた。

 

「はあ…はあ…黒刀!」

 

チルノは痛みに耐えながら大声を出す。

 

「どうやったらあいつに勝てる?」

 

チルノの意外な一言に少々驚いた黒刀だったが、すぐにニヤリと笑みを浮かべた。

 

「ぎゅい~んぐるぐるどか~んだ。」

 

「ちょ、こんな時に何ふざけて…。」

 

魔理沙が口を挟もうとすると、

 

「分かった。」

 

チルノはそう返した。

 

「分かったのかよ!」

 

魔理沙はツッコんだ。

 

「この状況でまだ勝てると思ってんのか?おめでたい奴だ…なら!これで終わりにしてやるよ!」

 

流星は再度ハイジャンプして高く跳び上がる。

チルノは氷のハンマーを造形して腰をグッと落として構える。

 

「霊力…解放!」

 

光の柱がチルノを包み込む。

 

「シューティングスターアタック!」

 

流星はさっきと同じ技をしかける。

チルノは自分の体を軸にして大きく回転する。

その遠心力を利用して、

 

「トルネードグレートクラッシャー!」

 

流星の蹴りとチルノの氷のハンマーがぶつかり合い火花を散らす。

そして…チルノの氷のハンマーが砕け、流星の体勢が崩れる。

 

「ソードフリーザー!」

 

チルノは氷の剣を造形すると居合の構えを取る。

 

「四季流剣術 弐の段…」

 

「何!」

 

流星が目を見開いて驚く。

 

「一閃!」

 

チルノは流星を斬り抜いた。

 

「ぐあああああ!」

 

斬られた流星は床を転がり、気を失った。

 

《1…2…3…4…5…6…7…8…9…10.勝者 チルノ》

 

「はあ…はあ…最強は…あたいだ~!」

 

チルノの勝利の雄叫びに会場から大きな歓声が沸き上がる。

黒刀はチルノの成長に喜びを感じていた。

 

「己のスピードだけで再現したのか…名付けるなら氷精一閃ってところか。」

 

 

 

 チルノがベンチに戻ってくると大妖精が駆け寄る。

 

「チルノちゃん、治療をしないと。」

 

「うん…でもここで見ていたい…もう医務室で寝てるだけなんて嫌だから。」

 

「チルノ………大妖精、治療はここでやれ。今日はもうチルノの試合はないんだ。ここにいても問題ない。」

 

黒刀が指示する。

 

「分かりました。」

 

大妖精はそれに応えて、チルノに治癒魔法をかける。

魔理沙はそんなチルノを見て、フィールド入り口手前の電子パネルへ近づく。

画面には《棄権》と表示してある。

 

「魔理沙?」

 

霊夢が首を傾げる。

魔理沙はそのパネルを躊躇なく手のひらで押した。

 

《霧雨魔理沙の棄権を承認しました》

 

「ちょっと魔理沙!あんたなにやってんの!」

 

霊夢が魔理沙に詰め寄る。

 

「…分かったんだ。この試合、ただ勝つだけじゃ意味ない…この試合は最後に黒刀が勝ってこそ意味がある…今、私が棄権したからブーイングの嵐だろう…だけど黒刀が勝てば全てひっくり返すことが出来る…頼む…私のわがままをどうか聞いてくれ!」

 

魔理沙は頭を下げた。

黒刀は魔理沙の頭の上にポンと手を置いた。

 

「妖夢、霊夢…俺からも頼む。2勝2敗に持ち込んでくれ。俺が必ず六道仁をぶっ飛ばしてやるから。」

 

その言葉に霊夢はため息を吐いた。

 

「…負けず嫌いの魔理沙に頭を下げられたら断れないわね。分かったわ。妖夢が勝ったら私が棄権する。」

 

「先輩の頼みとあらば全力で応えます!」

 

「ありがとう。」

 

 

 

 案の定、会場はブーイングの嵐だった。

妖夢がフィールドに入る。

ブーイングが聞こえるがすぐに意識の外へ置く。

対戦相手の名前は天神豊。

天神はSDを起動する。

妖夢は鞘から二本の剣を抜く。

 

《3…2…1…0.デュエルスタート》

 

「妄執剣 修羅の血 弐式!」

 

 

 

 結果は…

妖夢が『妄執剣 修羅の血 弐式』からのクロスステップからの『旋風剣』からの『妄執剣 修羅の血 弐式』のコンボで勝利した。

妖夢はベンチに戻る。

 

「おつかれ。」

 

霊夢が妖夢の肩に手を置いてドリンクを渡す。

それから電子パネルの《棄権》を押す。

 

「さあ、キャプテン!おいしいところは全部持っていっちゃって!」

 

霊夢の言葉を聞いた黒刀はというと、腰から『八咫烏』を鞘ごと取ってベンチに置いた。

 

「黒刀?」

 

映姫が首を傾げる。

 

「ごめん…でもあいつにはどうしても伝えなきゃいけないことがある。

そのためには…拳で伝えるしかないんだ。」

 

黒刀はそう言ってフィールドに入った。

 

「(ごめんな『八咫烏』…少しだけ我慢していてくれ。)」

 

黒刀がフィールドに入ると、今大会最大級のブーイングが響いた。

 

 

 

 仁がフィールドに入ると観客席にいる大和に気づく。

 

「(大和さん…見ていてください!)」

 

仁は目の前にいる黒刀を睨みつける。

黒刀は仁に気づくと、

 

「よう…久しぶりだな『野獣』。」

 

 

 

 神光学園代表ベンチ。

 

「『野獣』?」

 

妖夢が疑問を口にする。

にとりがそれに答える。

 

「首里高校の七瀬愛美みたいな異名だ。あいつは『魔女』と呼ばれていただろ。

ナンバーズには異名をつけられることが多い。

あいつが『野獣』と呼ばれる理由は…闘い方を見ていれば分かる。」

 

 

 

 

「刀はどうした?」

 

仁は黒刀が『八咫烏』を帯刀していないことに気づく。

 

「今日はお休みだ。」

 

「喧嘩売ってんのか!」

 

「売ったら買うのか?」

 

黒刀はそう言いながらポケットの中から黒いリングを取り出す。

 

「?…!…てめえ…それまさか!」

 

「そのまさかさ。」

 

黒刀は右手首に黒いリングをはめる。

 

「アンチオーラリング…オーラの発動を封じるアイテム…本来はトレーニング用に使用するものをてめえは俺相手に使おうってか!」

 

仁は黒刀の行為にキレた。

 

 

 

 神光学園代表ベンチ。

 

「そんなことしたらオーラの攻撃に耐えられないです!」

 

大妖精が声を張り上げる。

 

「大丈夫ですよ…黒刀はそんなに柔じゃないですから。」

 

映姫が心配ないと口を出す。

 

「そういう問題じゃ…」

 

「大妖精、最後まで見守るんだ。」

 

「…はい。」

 

にとりの言葉に大妖精はそう応えるしかなかった。

 

 

 

 

「上等だ!30秒でケリつけてやる!」

 

「それは楽しみだ。」

 

《3…2…1…0.デュエルスタート》

 

仁は床を蹴って気力で加速して黒刀の腹に強烈なパンチを叩き込む。

 

「ぐっ!」

 

殴られた黒刀は後ろに飛ばされるがなんとか踏み止まる。

 

「…きかねえな。」

 

「そうかよ!」

 

仁は追撃をしかける。

 

「お返しだ。」

 

黒刀は一瞬で仁の懐に潜り込んで顔を思いっきり殴る。

殴られた仁は吹っ飛ばされる。

 

 

 

 妖夢と霊夢は驚愕していた。

 

「オーラの無い先輩が耐えて、オーラのある六道仁が吹っ飛ばされた。」

 

「なんて腕力と脚力…。」

 

 

 

 

「ほら立てよ六道。」

 

黒刀は仁を見下ろす。

仁は立ち上がると、

 

「てめえ、俺をマジで怒らせやがって…だったらこいつでぶん殴る!」

 

仁が拳に意識を集中すると気力が拳に集束していく。

 

「…それは!」

 

「そうだ!これは大和さんの技だ!その身でたっぷり味わえ!」

 

仁は黒刀に接近する。

 

「ソウルナックル!」

 

仁の拳が黒刀の鳩尾に直撃し、黒刀は壁まで吹っ飛ばされ減り込んでしまった。

 

「これが俺の力だ!」

 

 

 

 

 

「黒刀…やはりお前は…。」

 

大和は試合を観ながらつぶやいた。

 

 

 

 神光学園代表ベンチ。

 

「先輩…。」

 

妖夢が心配そうに声を漏らす。

すると、映姫が妖夢の肩に手を置く。

 

「大丈夫よ…あなた達の先輩が…私の弟がこんなところで負けるわけがない。(そうでしょ?黒刀。)」

 

 

 

 

 

「(おかしい…そろそろカウントが始まってもいいころだ…まさか!)」

 

仁は壁の方を見る。

 

「………お前のじゃない。」

 

「あ?」

 

「それは父さんの技だ…お前自身の力じゃ…ない!」

 

黒刀は減り込んでいた壁から抜け出す。

 

「黙れ!俺は大和さんに追いつく男になるんだ…俺にはこの技を使う資格がある!」

 

「それじゃ父さんには追い付けねえな。」

 

「なんだと!」

 

「追いつく程度にしか考えてない奴は父さんには追い付けねえよ…俺は違う…俺は父さんを…超える!」

 

「調子に乗るのもいい加減にしろよ!ソウルナックル!」

 

仁は拳を黒刀の頬に叩き込む。

しかし、黒刀は殴られた状態で踏みとどまっていた。

 

「なに!」

 

「う…うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

黒刀は左手の拳を握りしめて仁の顔を殴る。

 

「ぐっ!」

 

「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」

 

黒刀と仁はお互いにノーガードで殴り合っていた。

仁がアームハンマーで黒刀を叩きつけ、黒刀は下から仁の顎にアッパー、さらに腹に右手の拳を叩き込む。

 

「ぐはっ!俺は…俺は負けねえ!ソウルナックル!」

 

仁の拳が黒刀の鳩尾に叩き込まれる。

しかし、黒刀は耐えた、

 

「なんだと!」

 

「四季流体術 大和魂!」

 

黒刀が繰り出したのは正拳。

しかし、その正拳はいかなる拳よりも速く重い一撃だった。

 

「うおおおおおおおおおおお!うおらっ!」

 

黒刀が拳を振り抜くと仁が壁まで吹っ飛ばされる。

壁は仁を中心に崩壊とまではいかずとも亀裂が入っていた。

 

《1…2…3…4…5…6…7…8…9…10.勝者 四季黒刀》

 

《か、勝ったのは…神光学園大将 四季黒刀選手だ~!》

 

文の実況に呼応するかのように会場から歓声が沸き上がる。

黒刀は仁を見る。

 

「はあ…はあ…六道、お前の敗因はお前の拳に信念がこもってなかったからだ。」

 

仁は薄れる意識の中で黒刀の言葉を聞いた。

 

「大和…さん…俺…は…。」

 

 

 

 信念を曲げなければ誰だって強くなれる

 

 

 

 

「!…そうか…俺の信念はいつの間にか俺のものじゃなくなっていたんだな…。」

 

仁はそのまま気を失った。

 会場を包み込む歓声はまるでさっきまでのブーイングがなかったかのように感じられるものだった。

その中で黒刀は左手の拳を高く上に掲げた。

 

 

 

 紅魔学園代表宿泊ホテル。

レミリアはモニターウインドウを閉じた。

 

「くだらない…獣同士の争いね。」

 

 

 

 仙台高校代表宿泊ホテル。

二宮優は屋上から街を見下ろしていた。

 

「眠れない?」

 

そこへ花蓮がやってきた。

 

「そうだな…俺にとって奴は絶対に倒さなければいけない相手だ。5年前の借りを返す時が来た。」

 

「そう…私の相手はあの二刀流の剣士か…面白そうね…彼女との闘いは何が起きるか分からないしね。」

 

「去年の個人戦は出られなかったが今年は問題ない。黒刀、俺は勝利にしか興味がない。

俺にとって引き分けは敗北同然だ。今度こそ…お前を叩き潰す!」

 

優はそう宣言して拳を握りしめた。

 

 

 

 神光学園代表宿泊ホテル。

そして、黒刀はというと…

映姫と大妖精からの説教を受けていた。

 

「まったく黒刀先輩はどうして無茶な闘い方しかできないのですか!治すこっちの身にもなって下さい!」

 

「いや…こんな傷、明日には治るから…」

 

大妖精の説教に黒刀が言い訳をすると、今度は映姫が、

 

「そういう問題ではないです!皆に心配かけたことに腹が立っているのです!」

 

「(このダブルグリーン…なんか嫌だ…。)」

 

 

 

 

 明日は仙台高校対神光学園の試合である。




ED4 咲 全国編 TRUE GATE

ご感想お待ちしております。

OPとEDは必要だと思うか?

  • はい
  • いいえ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。