東方剣舞   作:kuroto xanadu

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OP4 学戦都市アスタリスク2期 The Asterisk War





 8月4日。

4日目の試合は全体で2試合だけだ。

Aブロックに1試合、Bブロックに1試合。

黒刀達の試合はBブロックでその相手はナンバーズの二宮と九条を擁する仙台高校だ。

 試合前。

トイレを済ませたので皆のところに戻ろうとした妖夢。

 

「あの~。」

 

その時、背後から声をかけられる。

 

「はい。」

 

振り向くと声の主はとても綺麗で優しそうな緑の髪の女性だった。

あまりの美しさに一瞬、見とれてしまう。

 

「東会場に行きたいのですが道が分からなくて…。」

 

「それなら私が案内しましょうか?」

 

「助かります。」

 

女性はお礼を言う。

妖夢は女性の隣に並んで歩き出す。

 

「あ…私、魂魄妖夢です。よろしくお願いします。」

 

「これはご丁寧に。私は…」

 

女性が名乗ろうとしたその時、

 

「妖夢、遅いぞ。」

 

黒刀が前から声をかけて歩み寄ってきた。

 

「先輩、実はこの方と一緒に行こうと…。」

 

「この方?…って母さん⁉」

 

「黒刀、久しぶり♪」

 

女性は笑顔を黒刀に向ける。

 

「久しぶり…いつ来たの?」

 

「今日♪」

 

「マジか…。」

 

黒刀は驚く。

 

「黒刀、どうしたの?…お…お母様⁉」

 

そこへ映姫が来て、黒刀と同じように驚く。

 

「映姫も久しぶり♪」

 

「うん…久しぶり…。」

 

映姫は少し照れる。

妖夢は思った。

 

「(先輩のお母さん…嘘…どう見てもお姉さんにしか見えない…。)」

 

黒刀の母の見た目は20代に見えるくらいだった。

 

「あ、すみません…妖夢さん、申し遅れました。

黒刀と映姫の母の四季桜です。よろしくお願いします。」

 

桜は礼をしてから顔を上げて笑顔になる。

その笑顔はとても優しくて心が温まるような笑顔だった。

 

「どうしたんだ?」

 

すると、魔理沙達がこちらにやってくる。

 

「初めまして。黒刀と映姫の母の四季桜です。」

 

桜は妖夢の時と同じように挨拶する。

魔理沙達は絶句した。

 

『(母?…いや…女神…。)』

 

一拍遅れて、

 

「霧雨魔理沙です。」

 

「博麗霊夢です。」

 

「大妖精です。」

 

「あたいはチルノだごふっ!」

 

全員、自己紹介する。

 

「試合、観に来たの?」

 

黒刀が訊く。

 

「ええ、それは息子の晴れ舞台ですから♪」

 

「そ…そう…。」

 

黒刀の頬が少し赤くなる。

 

『(あの黒刀が照れている!)』

 

「でも店の方は大丈夫なの?」

 

「ええ、大丈夫よ。」

 

「どのようなお仕事をされているのですか?」

 

妖夢が桜に訊いた。

 

「スウェーデンで花屋をやっています♪」

 

「お花屋さんですか!いいですね!」

 

「今度、いらっしゃい♪」

 

「え、え~と…。」

 

妖夢は黒刀を見る。

 

「そうだな…剣舞祭が終わったら皆で行くのもありだな。」

 

「は、はい!是非お願いします!」

 

妖夢の元気さを見た桜が慈愛の笑みを浮かべる。

 

「黒刀は良い後輩を持ちましたね…。」

 

「なんだよ…いきなり。」

 

「ふふ…なんでもないわ♪」

 

その様子を見ていたにとりが、

 

「それじゃ、私達は先にベンチに行ってるから黒刀と映姫は後から来てくれ。」

 

「?…はい。」

 

黒刀は首を傾げながら返事する。

 

 

 

 四季家3人だけになると、桜が黒刀と映姫を抱きしめる。

 

「2人とも、大きくなったわね。」

 

「そりゃ…5年も経てば…ね。」

 

黒刀は照れながら言葉を返す。

 

「お母様…ちょっと…苦しいです。」

 

「あ、ごめんごめん♪つい、嬉しくて。」

 

映姫の言葉にようやく桜の抱擁から解放される。

 

「それじゃ、頑張ってね♪」

 

「うん、頑張るよ。」

 

お互いに手を振って別れる。

 

 

 

 観客席。

 

「お待たせ~♪」

 

大和が席に座っていると桜が隣に近寄ってくる。

 

「迷わなかったか?」

 

「迷ったけど親切なお嬢さんに案内してもらったわ。」

 

「そ…そうか。」

 

大和は困り顔になった。

 

 

 

 神光学園代表ベンチ。

 

「チルノ、調子はどうだ?」

 

黒刀はチルノに状態を聞く。

チルノは数回ジャンプする。

 

「うん…問題な~し!」

 

「ならいい。」

 

黒刀は立ち上がってにとりに近づく。

 

「にとり先生、仮眠室で寝てきていいですか?」

 

「なぜだ?」

 

「試合前にあまり長くここにいるとまずいかも…特に今回は…。」

 

黒刀は仙台高校代表ベンチに視線を向ける。

 

「…ああ、いいだろう。」

 

「ありがとう。」

 

黒刀は仮眠室へ移動する。

 

「あれ、黒刀は?」

 

魔理沙は準備中で目を離した間に黒刀がいなくなっていたので疑問を口にした。

 

「黒刀は昨日の試合で少し疲れてるから仮眠室で休むそうだ。

だから、今回は指示を出す。黒刀のようには出来ないから期待するな。

そして、お前達は黒刀の助力なしで闘うことになる…いいな?」

 

「先輩なしで…。」

 

妖夢が不安そうな声を漏らす。

 

「もしかしたら…この先そんな場面は何度も来るかもしれない。

だから証明しなければならない。自分達だってやれるってことを!」

 

「「「「はい!」」」」

 

 

 

 仙台高校代表ベンチ。

 

「少し寝る。」

 

優が花蓮の太ももを枕にして寝た。

花蓮は優の髪を撫でる。

 

「(私個人としては大将戦までは持ち込ませたくない。

優は嫌がるだろうけど…私は知っている…彼らが闘った時にどれほど激しい闘いになるかということを。)…泉、お願いね。」

 

「任せて下さい九条先輩!この青葉泉が敵の先鋒を叩きのめしてきますよ!」

 

自信満々に喋るこの女子の名前は青葉泉。

水色の髪のセミロング、水色の瞳、身長150㎝の小柄な体格、デュエルジャケットは水色のワンピース、自信過剰なところが多々ある1年生。

泉はフィールドに入った。

同時にチルノもフィールドに入った。

 

 

 

 観客席。

 

「やっほ~光♪」

 

光が席に座っていると眼鏡をかけた愛美が手を振りながら近づいてきた。

 

「愛美!」

 

光も嬉しそうに声を上げる。

 

「愛美も見に来たの?」

 

「うん♪二宮と黒刀の対決も気になるけど私と闘った霧雨魔理沙の試合も気になったの!光は?」

 

「私はもちろん黒刀の試合を見に来た!だから是非とも頑張ってもらいたいよね…神光学園には。」

 

「そう上手くいけばいいがな。」

 

その時、前の席から声が聞こえた。

こちらに振り向いた人物は…

 

「仁…って、ぷっ!」

 

光が吹き出した。

 

「おい、なに笑ってんだ!」

 

「だ、だって…その顔…。」

 

仁の顔は黒刀の拳を受けたせいで腫れていた。

 

「別にいいんだよ!男の勲章だ!」

 

「負けてたじゃん!」

 

光の笑いが止まらない。

 

「そういえば…この中で負けたの仁だけだもんね…それで…さっきのはどういう意味?

黒刀達が厳しいってこと?」

 

「忘れたのか?仙台にはあの九条がいるんだぞ。」

 

「花蓮さんがどうかしたの?」

 

光の笑いがようやくおさまる。

 

「あの女は普段、平和主義みたいな面してるがナンバーズであることに変わりはない。

それがどういうことかてめえらが一番よく分かってるはずだ。」

 

「花蓮さんが戦闘狂になるってこと?それは想像できないな~!」

 

「私も~!」

 

「「ね~♪」」

 

「ならその目で確かめるんだな。」

 

 

 

 

 

《3…2…1…0.デュエルスタート》

 

「ソードフリーザー!」

 

チルノは氷の剣を造形して構える。

 

「~♪」

 

しかし、泉は舞うように踊っていた。

 

「何やってんだ!真面目にやれ!」

 

「やってるよ~疑うなら攻撃してみれば?」

 

泉はチルノを挑発する。

 

「バカにするな!」

 

チルノは泉に斬りかかる。

氷の剣で泉を斬ったと思ったが、泉の体は水となって散った。

 

「分身?」

 

チルノがつぶやいた直後、背後から水の奔流が襲い掛かってきたので凍らせた。

 

「へ~ほんとに凍らせられるんだ~!」

 

泉が現れる。

 

「お前!」

 

「そんな怖い顔をしないでよ~ちょっとした挨拶がわりの一発じゃない。

でもちょっと刺激が足りなかったかな?それじゃこんなのはどう?」

 

泉が床に手を当てると床が一瞬で水面に変わった。

 

「!…こんなの…はつ!」

 

チルノは水面を凍らせる。

 

「やるね~…でも。」

 

水面は凍ったがいつの間に水位が上がっていく。

 

「水中まで届く?」

 

「…凍らない?」

 

「無駄無駄♪なんせ水中の温度は99℃まであるんだから。それじゃ今度はこっちの番!」

 

凍った水面を突き破って熱湯の奔流がチルノに襲いかかる。

チルノはそれを凍らせようとするが熱すぎて凍らせられない。

 

「だから無駄だって…言ってるでしょ!」

 

泉は水面をまるでアイススケートのように滑りながら移動して、チルノに横から蹴りを入れる。

 

「ぐっ!(でもそんなことしたらあいつまで熱湯にかかる。)」

 

しかし、熱湯を浴びたはずの泉の体はなんともなかった。

 

「残念だけど私は液体なら何℃でも関係ないんだよ!」

 

泉は熱湯の奔流を操作して攻撃する。

チルノは水蒸気を凍らせて防御しようとする。

 

「そんなの紙同然の防御だよ!」

 

チルノの防御はすぐに破られる。

チルノは空中を飛び回って回避しようとするが、熱湯の奔流がそれを追尾する。

チルノは逃げながら『アイスシールド』で防御しようとする。

 

「無駄無駄!」

 

熱湯の奔流がチルノに直撃し、チルノは氷上に落ちる。

 

「これで終わりね…物足りない気もするけど。」

 

泉はチルノにとどめを刺そうと歩き出す。

 

「ふ…ふふ…」

 

「?」

 

「ふはははは!」

 

「負けそうになってついにおかしくなったか。」

 

チルノは立ちあがるとニヤリと笑う。

 

「…あたいの勝ちだ。」

 

「は?何を言っているの?この状況であんたに何が出来るっていうの?

氷を封じられたあんたはただの雑魚よ。」

 

「…それはどうかな?」

 

チルノは両手を組み合わせる。

 

「なにを…!」

 

泉は気づいた。

周囲の水蒸気が沸き上がっていることに。

 

「まさかさっきの防御はこのため…あんた!もしかして水蒸気爆発でも起こすつもり!」

 

泉の言葉にチルノはニヤリと笑う。

その表情を見たナンバーズはまるで黒刀のようだと思った。

 

「そんなこと…させるか~!」

 

泉が止めようとしたが遅かった。

 

「アイスクラッ~シュ!」

 

水蒸気、氷上、そして水中の熱湯が弾けて爆発した。

 

「アイスニードル!」

 

チルノは弾けたもの全てを氷の棘に変えた。

そして、それは泉に集中攻撃される。

 

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

泉は墜落して気を失う。

 

《1…2…3…4…5…6…7…8…9…10.勝者 チルノ》

 

勝利したチルノをある者が観客席から見ていた。

比那名居天子だ。

その存在に気づいたチルノは天子を無言で見上げる。

 

「(絶対決勝に行ってあんたに勝つ!)」

 

「(少しは強くなっているようだが…まだまだ…それでは私には届かない。)」

 

天子は観客席から去っていく。

 

 

 

 

「さて、次は私の番だぜ!」

 

魔理沙がベンチから立ち上がる。

 

「頑張れ、魔理沙!」

 

妖夢が応援する。

 

「おうよ!」

 

魔理沙がそれに応えてフィールドに入った。

対戦相手は北山圭。

金髪、身長190㎝のアスリートのような体格と筋肉、デュエルジャケットは黄色のTシャツと黒の半ズボン。

右手には2mの大剣を持っている。

学年は2年生。

 

「あの大剣でけえな…。」

 

魔理沙は箒に跨って滞空しながら大剣の長さに驚いていた。

 

《3…2…1…0.デュエルスタート》

 

試合開始直後、魔理沙は魔法弾を放って北山に先制攻撃をしかける。

北山は大剣の剣先を床に突き刺して、眼前に岩の壁を展開して魔法弾を防いだ。

 

「土属性か…。」

 

魔理沙が相手の属性を認識する。

 

「ロックブラスト!」

 

北山が詠唱すると、岩の壁が分散し、つぶてとなって魔理沙へ放たれる。

魔理沙は飛行してそれを全て躱す。

 

「マスタースパーク!」

 

魔理沙のミニ八卦炉から光線が放たれる。

その光線は岩のつぶてを消し飛ばすが、北山は一歩早くバックステップで躱す。

 

「チッ。」

 

魔理沙は舌打ちする。

北山は岩を一点に集束させる。

 

「ロックバズーカ!」

 

巨大な岩を弾丸にして撃ち放った。

 

「マスタースパーク!」

 

魔理沙は迎撃して岩を破壊する。

しかし…

 

「あいつはどこだ?」

 

岩を破壊している隙に北山を見失ってしまった。

 

「魔理沙、上!」

 

その時、霊夢が声を上げる。

魔理沙が顔を上げると、頭上から北山が大剣を振り下ろしてきていた。

 

「っ!」

 

魔理沙は『マスタースパーク』を放とうとするが、

 

「遅い!」

 

北山がそう言い放った瞬間、魔理沙の真横から横っ腹に岩が直撃した。

 

「ぐっ!(浮遊魔法だと…まずい間に合わない!)」

 

魔理沙は体勢を立て直そうとするが間に合わず、北山の大剣に斬り伏せられた。

そのまま魔理沙は床に墜落した。

 

《1…2…3…4…5…6…7…8…9…10.勝者 北山圭》

 

 

 

 

 意識が戻った魔理沙はなんとかベンチに戻ってきた。

 

「わりぃ、負けちまった…。」

 

「大丈夫です!私が勝ってリーチかけてきます!」

 

魔理沙の謝罪に妖夢はそう返してフィールドに入った。

 

 

 

 仙台高校代表ベンチ。

 

「優、そろそろ私試合だから。」

 

「ああ。」

 

花蓮の言葉に優は花蓮の太ももから頭を離す。

 

「心配しなくてもあなたの試合はちゃんとやらせてあげるわ!」

 

「分かってるならいい。」

 

優の言葉に花蓮は返事の代わりにニコッと笑みを浮かべた後、フィールドに入った。

 

 

 

 

「(すごい着物…私だったら絶対にこけそう。)」

 

妖夢が花蓮を見た第一印象がそれだった。

 

「初めまして魂魄妖夢。私は九条花蓮です。」

 

花蓮に自己紹介される。

 

「こ、こちらこそ!」

 

妖夢も慌てて頭を下げて返す。

それから頭を上げて花蓮を見る。

 

「(綺麗だし、優しそうな人だな。とても闘う人には見えない。)」

 

妖夢は二本の剣を抜いて構える。

花蓮は扇子を手に握りながら笑顔だった。

 

《3…2…1…0.デュエルスタート》

 

「妄執剣 修羅の血 弐式!」

 

先手必勝と考え妖夢がしかけた先制攻撃は花蓮を取り巻く風によって弾かれた。

妖夢はバックステップする。

 

「風?」

 

「そう…私は風を操れる…さらにこんなこともできる!」

 

花蓮は扇子を振った。

 

「かまいたち!」

 

「?…何も起きな…っ!」

 

突然、妖夢の肩口を何かが切り裂き、妖夢の肩の布が破ける。

 

「今のが…。」

 

「ダメですよ…油断していたら。私の風は私と同じで…」

 

その時、花蓮の雰囲気が変わる。

 

「意地が悪いから。」

 

そう口にした花蓮に妖夢は得体の知れない恐怖を感じた。

 

「これが…ナンバーズ…。」

 

 

 

 神光学園代表ベンチ。

 

「ナンバーズの怖さは闘ったやつにしか分からない。」

 

「そうね…私も五位堂光と闘った時、正直怖かった…。」

 

魔理沙と霊夢がそれぞれこれまでの試合を振り返る。

 

「その恐怖をどう乗り切れるかが勝負の分かれ目なのかもしれないな。」

 

にとりがそう口にするも、何も指示が出せない自分を苦々しく思う。

 

「妖夢…。」

 

大妖精は妖夢の無事を祈っていた。

 

 

 

 観客席。

 

「やっぱり本性現しやがったな。」

 

仁が腕組みしながら言った。

 

「花蓮さんのあんな表情、初めて見た。」

 

光が少し驚く。

 

「意外と性格悪いからね~。」

 

「「(お前が言うな。)」」

 

愛美の発言に仁と光は心の中でツッコんだ。

 

 

 

 

妖夢は二本の剣をクロス状に構えて前進する。

 

「なるほど…見えないならある程度のダメージは覚悟するってわけね…でも甘い!」

 

花蓮は扇子を振った。

 

「突風!」

 

花蓮が詠唱すると強風が吹き、妖夢の体を吹き飛ばした。

 

「うあっ!」

 

「かまいたち!」

 

さらに吹き飛ばされた妖夢にかまいたちを放つ。

妖夢は見えない攻撃に防御のタイミングを掴めず直撃し、デュエルジャケットがボロボロにされていく。

だが、攻撃は終わらなかった。

 

「簡単に地に足をつけると思わないでね。」

 

花蓮は笑顔の後、

 

「竜巻!」

 

花蓮が詠唱した後、妖夢の真下から竜巻が発生し、妖夢の体を吹き飛ばしていく。

これは地獄のコンボだった。

竜巻で吹き飛ばされた妖夢が前に出される。

そこにかまいたちが飛んでくる。

妖夢はロージャンプで躱そうとするが見えない攻撃にどこに避ければいいか分からず直撃する。

そして、かまいたちで吹っ飛ばされた妖夢は竜巻の中へ、出てきたところをかまいたち。

このコンボがなんと5分間続いた。

妖夢が床に落下する。

妖夢の肉体もデュエルジャケットもボロボロだった。

 

「やりすぎたかしら?四季黒刀のお気に入りって聞いてたけどがっかりだわ。」

 

花蓮は頬に手を当てながら何の悪びれもなく言った。

 

《1…2…3…4…5…6…7…8…9…》

 

「来年また挑戦するといいわ。」

 

花蓮が背を向けてベンチに戻ろうとする。

だが、そこで立ち上がる気配に気づいた。

花蓮が振り返るとそこにはボロボロになりながらも立ち上がる妖夢がいた。

 

「…はあ…はあ…来年じゃあなたいないじゃないですか…。」

 

「結果は変わらないわ。あなたは私に勝てない。諦めなさい。」

 

「それは無理です。ここで諦めたらまた先輩に怒られちゃいますから。だから諦めない。

…まだ手が動く。」

 

妖夢は剣を持った手を動かす。

 

「足が動く。」

 

妖夢は一歩踏み出す。

 

「そして、心に闘志が残っている!だから最後の一瞬まで勝つことを…諦めない!」

 

妖夢の気力が徐々に高まっていく。

 

「気力解放!」

 

妖夢の体を光の柱が包み込む。

 

「まだそんな余力が…でも結果は変わらない!かまいたち!」

 

花蓮は扇子を振って、かまいたちで妖夢にとどめを刺そうとする…が、

妖夢は見えないはずのかまいたちを…斬った。

 

「そんな…くっ!」

 

焦った花蓮はかまいたちを連続で放つ。

妖夢は前へダッシュしながらジグザグに動いてかまいたちを全て躱す。

 

「どうして⁉」

 

花蓮は目を見開いて驚く。

 

「あなたの攻撃はとても正確です。ですが、あなたは攻撃する時、相手を視野に入れている。

その視線をたどればあなたの風は……見えます!」

 

妖夢が花蓮の攻撃を分析して口にする。

 

「なら!」

 

「無駄です。一度ついた癖は簡単に直せません!」

 

妖夢は花蓮との距離を5mまで縮めた。

花蓮は扇子で直接攻撃しようとするが、妖夢は『白楼剣』でそれを弾いた。

そして、花蓮の体勢が崩れたところを、

 

「閃光…」

 

「風壁!」

 

花蓮は風の壁を展開した。

 

「斬撃波!」

 

妖夢は金色の光の斬撃を放った。

風の壁と激突した斬撃は止まるどころか徐々に威力を増していった。

そして、ついに風の壁を突き破った斬撃は花蓮を吹っ飛ばした。

 

「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

花蓮の悲鳴が響いた。

吹っ飛ばされた花蓮は気を失う。

 

《1…2…3…4…5…6…7…8…9…10.勝者 魂魄妖夢》

 

妖夢はナンバーズの1人である九条花蓮に勝利した。

会場全体が大歓声に包まれる。

 

《な、なんと!ナンバーズの九条花蓮が敗れました!倒したのは神光学園の魂魄妖夢だ~!》

 

《素晴らしい試合でしたね》

 

妖夢は倒れている花蓮に近づく。

花蓮は意識を取り戻した。

 

「もう動けないわ…。」

 

「あの九条さん…」

 

妖夢が話しかけようとする。

 

「優~、動けないからおぶって~!優~!」

 

花蓮が急にだだをこね始めた。

 

 

 

 仙台高校代表ベンチ。

 

「どうします?完全に甘えん坊キャラになってますけど。」

 

呆れ顔でそう口にしているのは早乙女弓。

桃色の髪でロング、ピンクの瞳、白い袴で、手には弓が握られている。

学年は2年生。

 

「ったく、何やってんだあいつは。」

 

優はベンチから立ち上がってフィールドに入った。

花蓮の体を起こしておんぶする。

 

「あ、そうだ。」

 

花蓮は妖夢の方に振り向く。

 

「凄く楽しかったわ。さっきはひどいこと言ってごめんね。またやりましょう…妖夢ちゃん♪」

 

花蓮は笑顔で言った。

 

「あ、はい!(妖夢ちゃん?)」

 

妖夢は呼び方に戸惑いながらも元気よく返す。

 

「ほら、行くぞ。」

 

優は歩き出す。

 

「はいはい…それじゃあね妖夢ちゃん。」

 

花蓮は手を振って、優と共にベンチに戻る。

 

 

 




ED4 咲 全国編 TRUE GATE

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