神光学園代表ベンチ。
「やったな妖夢!」
ベンチに戻ってきた妖夢に魔理沙が抱きつこうとすると霊夢が後ろから襟首を掴む。
「こら、さすがに今の妖夢に抱きつくのはダメでしょ!」
妖夢の体はボロボロで、今倒れてもおかしくないくらいだった。
「妖夢、こっちに。」
大妖精がベンチに促す。
妖夢がベンチに座ると大妖精は治癒魔法で治療する。
「さあ、まだ試合は終わってない!霊夢は準備はいいか?」
にとりが手を叩いて仕切り直してから、霊夢に声をかける。
「当然よ!」
霊夢がフィールドに入ると向かい側のベンチから早乙女が出てくる。
その瞬間、霊夢がハッと気づいた。
「あなた…もしかして弓?」
「ええ、そうですよ…霊夢。霊術院以来ね。」
「ええ…。(まさか生き残りがいたなんて…。)」
神光学園代表ベンチ。
「霊夢の奴、どうしたんだ?様子がおかしいぜ。」
「私にはいつも通りに見えますけど…。」
「霊夢…頑張って。」
魔理沙が霊夢の異変に気付き、大妖精は特に何も気づかず、妖夢は大妖精に治癒魔法をかけられながら応援した。
《3…2…1…0.デュエルスタート》
霊夢は3枚の爆符を放った。
だが、それは早乙女が放った霊力の矢によって射抜かれてしまった。
「相変わらずの精度ね…。」
霊夢は早乙女の技術に舌を巻く。
11年前 霊術院。
早乙女(当時6歳)の放った矢が的のど真ん中に命中した。
「弓ってほんと弓道上手いよね~。」
霊夢(当時5歳)が縁側で足をブラブラさせながら言った。
「私にはこれしかないから。」
弓は笑顔でそう答えた。
現在。
「試合中に考え事なんて随分余裕だね…霊夢。」
早乙女がそう口にしながら霊力の矢を放つ。
霊夢は結界を展開して矢を防ぐ。
「甘い。」
早乙女が次の矢を放つと結界を貫通し、霊夢の右肩に刺さる。
「くっ!」
霊夢は痛みに耐えながら矢を引き抜く。
早乙女が口を開く。
「霊力の結界は精神力に比例する。そんな迷いだらけの心で作った結界は脆い。
ねえ、霊夢は知ってる?10年前、何故霊術院が突然消えたのか。」
その質問に霊夢の肩がビクッと震える。
「あの日、私は弓道の大会の帰りに霊術院に行った。
だけど霊術院はなくなっていた。建物どころか人までも。」
「………。」
霊夢はうつむいて黙ったままだった。
「なるほど…話したくはないようね。」
早乙女はため息を吐いて矢を装填する。
「私のせい…私が弱かったから…皆死んだんだ!」
霊夢は子供のように叫んだ。
早乙女の周囲に結界が展開される。
「夢想封い…」
「だから脆いって。」
早乙女が矢を放つと、結界を貫通し、霊夢の左胸に刺さり精神ダメージに還元される。
霊夢は仰向けに倒れて気を失った。
《1…2…3…4…5…6…7…8…9…10.勝者 早乙女弓》
早乙女は無言でベンチに戻って行った。
魔理沙が霊夢をベンチに連れて行って横たわらせる。
「ごめん…なさい…。」
霊夢はうなされるようにツーッと涙を流しながら誰かに謝るようにつぶやいていた。
「霊夢、お前に一体なにがあったんだよ…。」
魔理沙は霊夢を心配そうに見つめる。
映姫がベンチから立ち上がる。
「黒刀を呼びに行ってきます。霊夢のことも気になりますが今は大会中ですし、それに誰だって秘密にしたいことはあるはずですから。」
その言葉ににとりがうなずく。
「そうだな…今は黒刀に勝ってもらうことが最優先だ。」
「では行ってきます。」
映姫は隣の仮眠室に向かった。
仮眠室のドアを開けようとすると内側からドアが開いた。
「黒刀、今迎えに行こうと…っ!」
映姫が言葉を続けようとしたところで固まった。
「ああ、行ってくる。」
黒刀は映姫の肩に手を置いた後、ベンチに向かった。
映姫は黒刀の背中を見つめる。
「(何今の…黒刀のオーラにほんの少しだけ禍々しい気配を感じた。
あんなの今まで感じたことない。)」
映姫は恐怖を感じながらもベンチに向かった。
仙台高校代表ベンチ。
「弓ちゃん、おつかれ~。」
花蓮が気が抜けた口調で声をかける。
「いえ、私は自分の役目を果たしたまでです。」
早乙女はそう返した。
「分かっているならそれでいい。」
優はベンチから立ち上がり、フィールドへ歩き出す。
「二宮先輩!今日もやっちゃってもごもごっ!」
泉が言い切る前に花蓮が口を塞ぐ。
「ダメよ。」
神光学園代表ベンチ。
黒刀がフィールドに向かって歩き出して、チルノが何か言おうとした時、映姫に口を塞がれる。
「チルノ、今はダメです。」
「今、優に声をかけたら…」
「今、黒刀に声をかけたら…」
「「殺されますよ。」」
花蓮と映姫は同時に口にした。
「どういうことだ映姫?」
にとりが訊く。
「にとり先生、もしかしたら去年と同じことが起きるかもしれません。」
「何!」
優がフィールドに入った瞬間、観客席から「皇帝!皇帝!」とコールがかかる。
「何故皇帝なのですか?」
妖夢の質問に映姫が答える。
「ナンバーズには異名がつけられることが多いのはもう知っていますね。
七瀬愛美は『魔女』、五位堂光は『鬼神』、六道仁は『野獣』、九条花蓮は『女帝』、私にはありませんが黒刀には『破壊王』、そして二宮優の異名が『皇帝』。
これは彼の気品の高さと彼が試合で手足を動かさずに勝利していたことから名づけられています。」
「確かに黒刀以上に偉そう…。」
魔理沙がつぶやく。
《さあ、ついにきました!ナンバーズイケメン対決!》
《なんですかそれ…》
文の的外れな実況に神奈子がジト目になる。
《いや~、彼らは高校生イケメンランキングでもツートップになっているので…》
《…まあイケメンかどうかはともかく二宮家と四季家はナンバーズの中でも戦闘力に関しては1,2を争う関係であることは確かだと思います。どちらが勝ってもおかしくないです》
観客席。
レミリアが席に座っていると、
「隣、いいですか?」
真冬から声をかけられた。
「ええ、かまわないわ。」
「それじゃ、失礼して…。」
真冬はレミリアの隣の席に座る。
今、この会場の観客席には首里高校、白雪高校、鷹岡高校、王龍寺高校、紅魔学園、椛、ナンバーズなと強豪が勢揃いしていた。
「あ、私は…」
「白金真冬…でしょ?」
「はい。よくご存知でしたね。」
「試合、見たもの。」
「黒刀君が気になってですか?」
真冬は意地悪な質問をしてみた。
「べ、別に!あいつのことなんか気になってないわよ!」
レミリアは頬を赤くして否定した。
「(そうか…この人も…。)」
神光学園代表ベンチ。
「そういえばお父様に聞いたことがあります。
黒刀と二宮優は5年前に一度だけ闘ったことがあると…」
「マジか!それでどっちが勝ったんだ?」
映姫の言葉に魔理沙が身を乗り出す。
「それが………引き分けだったそうです。」
「え…。(先輩でも勝てない相手…。)」
妖夢は目を見開いて驚いた。
黒刀と優がフィールドで睨み合う。
「5年ぶりだな。」
優が口を開く。
「…ああ。」
黒刀は短く返す。
「俺はずっと待ってたこの時を…あの時の借りを返すことが出来るこの時を!」
優は拳を握りしめる。
「俺にとって引き分けは敗北と同じこと!証明してやるよ!真の最強はこの俺だということをな!」
「…おしゃべりはそれくらいにしてとっとと始めようぜ…俺は今、お前は倒したくて仕方ないんだからな!」
黒刀はそう言い放って鞘から『八咫烏』を抜いた。
ED4 咲 全国編 TRUE GATE
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