…力がいる…
ドクンッ!
…もっと強い力が…
ドクンッ!
…力さえあれば…
ドクンッ!
…もう…何も…失わない!
その時、空が突然曇り、雷がフィールドに落ちた。
優は自身の近くに雷が落ちているにも関わず全く動じていない。
むしろ、いつの間にか立っていた黒刀しか視界に入っていないようだ。
優は…笑った。
「待ちくたびれたぞ。」
黒刀の背後に大きな雷が落ちる。
黒刀は右手を天に掲げると今までより低く冷たい声で口にした。
「霊力解放。」
黒刀の周囲に黒いオーラがまるで生きているかのように渦巻く。
観客席。
「っ!」
その時、真冬が何かを感じた。
「どうしたの?」
レミリアが気になって声をかける。
「ううん、何でもない。」
真冬は笑顔で返した。
「(何だろう…今、一瞬胸に痛みが。)」
神光学園代表ベンチ。
「気力と霊力の同時解放なんて聞いたことないぞ。」
にとりは目を見開いて驚いていた。
「そんな…ありえません。黒刀に解放できる霊力はありません!」
それは姉である映姫も同様だった。
「どういうことだ?黒刀はトライフォースだから霊力の解放だって出来るはずじゃ…。」
魔理沙が疑問を口にする。
「オーラの解放はオーラの量が一定量を超えなければできません。
妖夢のような特殊なケースを除けば、黒刀は気力の解放は出来ても霊力の解放はできない。なぜなら黒刀のオーラの中で霊力が最も少ないからです。」
「でも今の黒刀を見る限り、黒刀の霊力は気力以上だぜ。」
魔理沙は眼前の黒刀を見てそう口にした。
観客席。
観戦に来ていた二宮優の父、二宮総一郎が試合を見下ろしていた。
「(大和、あの日と同じだな。)」
大和も総一郎と同じ気持ちだった。
「(あの日と同じ…。)」
「(そう…。)」
優は目を閉じる。
「「「(あの日と…。)」」」
5年前。
四季家と二宮家は当主同士、友好関係にあったがビジネスの話となれば別。
ある日、四季家と二宮家がある会社の取引でダブルブッキングになってしまった。
お互い譲れない状況の中、取引先の社長がこんなことを言ってきた。
「ではお二人の次期当主となる息子さん方の決闘を見せて頂きたい。
かなり将来有望だと聞いています。
その決闘で勝った方と取引というのはどうでしょうか?」
取引先の社長の提案に困った表情になる2人だったが、本人の了承があればということで手を打った。
その日、取引先の会社のエントランスで待っていた黒刀(当時12歳)は大和に呼ばれ、会社内にあるトレーニングルームに連れられ事情を説明される。
黒刀はこの取引が大和にとって大事だと理解し了承する。
そして、二宮優(当時13歳)も車で到着し、同じように了承した。
黒刀は鞘から黒い刀を抜く。
優は棒立ちだ。
「お前、大会に出たことはあるのか?」
優は黒刀に訊いた。
「…イギリスで1回だけ。」
黒刀は無愛想に答えた。
「そうか。(キャリアの浅そうな奴…叩き潰してやる。)」
《3…2…1…0.デュエルスタート》
この頃の黒刀はスキルが無かった。
決闘は優の優勢だった。
ボロボロになっている黒刀を見る。
「(こんなものか。)」
そして、次の言葉をきっかけに運命が変わる。
「お前…
「っ!」
黒刀は肩をピクリとさせた。
この後、黒刀に異変が起きる。
あの後は逆に優の方が押される展開となり、あまりにも激しくぶつかり合う2人の闘いを見て、その場にいた大人達が止めに入り、引き分けという結果となった。
決闘を終えた黒刀の様子は疲弊していたものの元に戻っていた。
「すまなかったな総一郎。うちの息子が少々やり過ぎてしまったようで、取引は君に譲ろう。」
大和は総一郎に謝罪した。
「ああ、こちらこそすまなかった。帰るぞ優。」
総一郎はそう言って優を呼んだ。
「黒刀、帰ろう。」
大和が黒刀の手を引いて帰ろうとする。
「待て!」
その時、優に呼び止められる。
「お前、名前は?」
黒刀は少し首を優の方に向けた。
「…四季黒刀。」
黒刀は小さい声で名乗った。
「俺は二宮優だ。お前のこと絶対に忘れないから。次に闘う時、覚悟しておけよ。」
「…ああ。」
黒刀はそう応えて、大和に手を引かれて帰って行く。
「…最強はこの俺だ。」
優は黒刀の背中を見てそう口にした。
現在。
優は歓喜していた。
「そうだ!俺はそのお前と闘いたかった!さあ、続けよう!あの日の闘いを!」
優は魔法陣10個を重ね合わせ、『ディメンションレーザー』を放つ。
「あれはさっきと同じ!黒刀、避けろ!」
魔理沙が叫ぶ。
だが、黒刀は避けようとせず、なんと右手で横に受け流した。
受け流された『ディメンションレーザー』が結界に衝突して震動する。
だが、優は動じず黒刀の周囲に複数の魔法陣を展開し、『ディメンションレーザー』を一斉に放つ。
しかし、その光線は黒刀を渦巻くオーラの渦によって全て弾かれた。
「やはり、防ぐか。そうこなくてはな!」
優は喜びの笑みを隠しきれなかった。
「分かっているさ…お前に小細工は通用しないことは。やっぱり力には力で勝負しないとな!魔力解放!」
優が光の柱に包まれる。
黒刀は無表情で冷酷な目をしていた。
観客席。
「すまない…こうなってしまったのは私のせいだ。」
にとりが口を開いた。
「どういう…ことですか?」
妖夢が戸惑いながら訊く。
「去年の剣舞祭の個人予選の1回戦の時から兆候はあった。
でも本人に言っても大丈夫の一点張り。
そして、もう一つ…皆に黙っていたことがある。
黒刀は…去年の剣舞祭での試合中の記憶が一切ない。」
「え、それってどういう…」
妖夢が問い詰めようとした時、霊夢が意識を取り戻し、うっすらと目を開けて、ゆっくりと起き上がった。
「霊夢、気がついたのか!」
魔理沙が近寄る。
「魔理沙…。」
霊夢は魔理沙に視線を向けた後、フィールドにいる黒刀に視線を移した。
「なに…あの英霊並の霊力…。」
霊夢の一言ににとりが、
「霊夢、あの霊力がどれほどのものか分かるのか?」
「それはまあ…巫女ですから。」
映姫が霊夢の言葉に考え込む。
「英霊…にとり先生、もしかして黒刀の中にいる何かって…。」
「ああ、その可能性は高いな。」
「あの…いったい何の話を…。」
妖夢が話についていけてなくなっているのを見た映姫が静かに息を吐く。
「妖夢、今から話すことはあなたにとってとてもショックを与えることになるかもしれない。それでも聞きますか?」
「はい!お願いします!どういうことなのか説明してください!」
「分かりました。黒刀に去年の剣舞祭の試合中の記憶がないことは先程も言いましたね。だけど黒刀自身にも記憶がない自覚はあったようです。それは本人が言っていました。そして、自分の中に何か別の巨大な存在があるということも…。」
にとりの言葉に霊夢がうなずく。
「確かに今の黒刀先輩からは2つの魂を感じる。」
「そして、その兆候が去年の個人予選の1回戦からあった。おそらくその時から…。」
「じゃあ、あの試合で見た先輩は…。」
「…今、フィールドにいるあれを同じだと思います。」
「っ!」
映姫が口にした言葉に、妖夢はショックを受けて膝から崩れ落ちた。
「そんな…じゃあ…私が憧れた先輩は偽物に過ぎなかったってこと…。
私の憧れは…偽物?なら私は一体なんの為にここまで…私は誰の為に剣を握ればいいんですか!」
「妖夢…。」
そんな妖夢を霊夢は何も声をかけられなかった。
優が魔法陣20個を重ね合わせ、『ディメンションレーザー』を放つ。
黒刀がそれを右手で受け止めると、光線が2つに分かれ、フィールドの床の表面を溶解していく。
黒刀は『八咫烏』を振って斬撃を放つ。
その斬撃は床を切り裂き割っていく。
優は魔法陣30個を重ね合わせ、『ディメンションレーザー』を放って相殺する。
「お前の斬撃1つに必殺級のパワーがあることはもう知っている。次はこちらの番だ!」
優は魔法陣50個を重ね合わせ、『ディメンションレーザー』を放つ。
黒刀は無表情で斬撃を放つ。
斬撃と光線がぶつかり合うことでフィールドの床の表面がところどころ溶解したり割れていく。
「まるで戦場ね。」
レミリアは目の前の惨状を見て、そうつぶやいた。
黒刀は『八咫烏』を両手で握り横に構えて斬撃を放とうとした瞬間、優は魔法陣10個を重ね合わせ、『ディメンションレーザー』をすぐさま放った。
黒刀は右手を『八咫烏』から離し水平に振って、光線を横に弾いた。
「さすがの俺でもそれはやらせるわけにはいかないな。ここら一帯が更地になっちまう。」
優はそう口にした。
その時、黒刀から異様な気配を感じた。
「まだ何かするつもりか?」
優は次の黒刀の動きを待つ。
同時に霊夢と真冬は不思議な感覚が伝わっていた。
「「(なに…この感覚…。)」」
霊夢は頭を振り払って妖夢の傍に近寄る。
「妖夢。」
妖夢は立つことも出来ず、うつむいたままだった。
「私の先輩は…いったい…どこに…。」
そんな妖夢の肩を霊夢は掴んだ。
「妖夢、よく聞いて。あなたの憧れた黒刀先輩がどういう存在でどれほど大きなものなのかは正直、私には想像つかない…もし、あなたが今の黒刀先輩に幻滅に近い感情を抱いているのなら…思い出して。黒刀先輩とあなたが出会ってからの黒刀先輩はどんな人だった?」
それを聞いた妖夢が顔を上げる。
「私と出会ってから…私の知っている先輩は優しくて…たまに叱ってくれて…いつも皆のことを考えてくれて…頭を撫でてくれて…ちょっとエッチなところもあって…でも誰よりも強くてかっこいい…私の最高の先輩です!」
妖夢は笑顔で言い放った。
「それだけ言えれば十分ね。」
霊夢は安心した表情になる。
「皆さん、すみません。ここは私に任せてくれませんか?」
「任せるっていったいどうする気なんだぜ?」
「私の想いを先輩にぶつけます!」
「「「「妖夢…。」」」」
映姫が妖夢に近寄り、肩に手を置く。
「頼みます。おそらく私が何を言っても黒刀は戻ってこないと思いますから。」
「はい!」
妖夢は一歩を踏み出し、こう叫んだ。
「先輩…自分を信じて下さい!」
「モードチェンジ…ザ…っ!」
黒刀の動きが止まった。
ドクンッ!
黒刀の目に光が戻る。
「ラストだ!『ハンドレッドディメンションレーザー』!」
優が魔法陣100個を重ね合わせ、光線を放った。
「先輩!」
妖夢が叫ぶ。
「っ!」
黒刀は咄嗟に『八咫烏』を縦に構えて受け止める。
「う、うおおおおおおおおおおお!モードチェンジ!サムライ!」
黒刀の体を黒い木の葉が渦巻いていく。
『サムライモード』に変身すると『ハンドレッドディメンションレーザー』を一刀両断した。
「霊力が元に戻っている。」
霊夢がつぶやく。
「いつもの黒刀だ!」
「いっけ~!黒刀!」
魔理沙とチルノが応援する。
「先輩…おかえりなさい。」
妖夢はいつもの黒刀が戻ってきたことを喜ぶ。
「なぜだ…なぜ、またお前が出てくる!」
優は歯ぎしりする。
「二宮、俺はナンバーズとしてここに立っているわけじゃない。
神光学園代表の四季黒刀としてここに立っているんだ!」
いつの間にか空は晴れていた。
「そうか…まあいい。もはや最強などという肩書きに興味はなくなった。今は四季黒刀…お前に勝つこと。それだけが俺の目的だ!」
「なら俺も全力で闘うまでだ!」
黒刀は加速して、優の眼の前まで接近する。
「四季流剣術…」
「何度やっても無駄だ!」
優は『イージスの盾』を展開する。
「参の段 霧桜!」
黒刀の水平斬りが『イージスの盾』をすり抜けた。
「なに!」
優は咄嗟にバックステップする。
『八咫烏』の刃が優のデュエルジャケットをかすめ、破く。
《つ、ついに…あの『皇帝』が…動いた~!》
文の実況に呼応するように会場の盛り上がりが激しさを増す。
優は黒刀の周囲に魔法陣を展開し、『ディメンションレーザー』を放つ。
黒刀はフィールド中を走り回って躱し続ける。
「いいぞ…これだ…このギリギリの闘いの中で生まれる緊張感と高揚感!
これが俺の求めていた闘い…感謝するぞ!四季黒刀!
だが、1つだけ言っておこう。四季黒刀、お前はそのモードチェンジがもしかして自分のものと思っているわけじゃないだろうな?」
「何を言って…まさか!」
黒刀はフィールド中を走り回りながら驚く。
「そのまさかさ…」
優は不敵な笑みを浮かべ、右手を天に掲げる。
「モードチェンジ!」
その瞬間、優の体を金色の竜巻が渦巻いていく。
そして、現れたのは全身に金色の鎧を装着した二宮優だった。
「エンペラー!」
「二宮が…モードチェンジだと…。」
「そうだ!これが俺の『エンペラーモード』!
そして、光栄に思え!今からお前に俺の新たな魔法を…見せてやる!」
優は右手を開くと、そこに光る球体のようなものが現れる。
「なんだ…あれ…っ!」
次の瞬間、黒刀の右わき腹を光線が貫通した。
黒刀はすぐに瓦礫の陰に身を潜めた。
「驚いたか?今のが俺の新たな魔法だ。悪いな、見せてやると言ったがどうやら見えなかったようだな。この魔法の名は『ソニックレーザー』。音速の射撃魔法だ。」
「音速だと?」
「そうだ!いくらお前の『超反射』でもこれは反応できない!(まあ、難点があるとすれば空間魔法と複合できないことと命中率が良くないことぐらいだが。)」
黒刀が動こうとしたその時、右わき腹に痛みが走る。
撃たれた箇所を見ると出血していた。
「ちっ。」
黒刀は舌打ちする。
神光学園代表ベンチ。
「バカな…二宮のあの魔法は保護結界を超える魔法だというのか!」
にとりが声を荒げて驚く。
「こんなのすぐに中断させないと!」
妖夢が中止を促す。
「無理だ。本人に続行する意志がある限り中断は出来ない。」
「そんな…。」
もはや妖夢達は黒刀の無事を祈るしかなかった。
「よし、傷口は筋肉で塞いだ。しばらくは持つ。」
黒刀は『八咫烏』を握って立ち上がり、瓦礫の陰から飛び出して走り出す。
「出てきたか。」
優は『ソニックレーザー』を放つ。
『ソニックレーザー』は黒刀の真横を通過する。
「(命中率は高くないのか。)」
黒刀はさらに前進する。
優は黒刀の周囲に魔法陣を展開し、『ディメンションレーザー』を放つ。
黒刀はそれらを全て躱していく。
だが、黒刀が回避に徹している隙を逃さず『ソニックレーザー』が放たれる。
黒刀の頬をかすめ、『ディメンションレーザー』の追い打ちを受けてフィールドの床に勢いよく転倒する。
黒刀はなんとか立ち上がる。
「くそ…狙いが滅茶苦茶だと予測して対応できないな。」
その時、黒刀の頭から血がポタポタと垂れてきた。
《黒刀選手、頭から出血しています!これはさすがにリタイアせざるを得ないか~!》
だが、黒刀は再び『八咫烏』を構えた。
《これは続行のようですね》
「(仕方ねえ…あれをやるしかねえか…。)」
黒刀が深呼吸する。
すると、黒刀の全身を覆うオーラに変化が生じる。
「なんだ…あいつのオーラの色がどんどん黒くなっていく…まさか!」
優は嫌な予感を感じて、黒刀の周囲に魔法陣を展開し、『ディメンションレーザー』を放つ。
そして、爆発する。
《黒刀選手、今度こそ終わりか~!》
「黒刀…。」
映姫が心配そうにつぶやく。
「いや…まだだ。」
優が視線を向けた先は爆発箇所から10m右。
そこにいたのは全身のオーラを黒く染めた黒刀だった。
「一部分ではなく全身のオーラが変色している。これは…」
にとりがある答えにたどり着く。
「ゾーン…。」
それはレミリアも同様だった。
《神奈子さん、黒刀選手のあれは?》
《あれはゾーン。解放状態が90%の力を引き出すならゾーンは100%の力を引き出すことが出来る。外見的な特徴は全身のオーラが変色することが有名な説です》
「なら見せてもらおうか…お前の100%を!」
優は黒刀の周囲に100個の魔法陣を展開する。
『ディメンションレーザー』を放とうとした次の瞬間、100個あった魔法陣が全て破壊されていく。
「まさか…斬ったのか?だがいつ?」
優が前を見ると黒刀の姿がなかった。
「どこに…はっ!」
優が見上げると、結界の天井に黒刀が足をついていた。
黒刀は両足にオーラを『集中』で集束する。
「これが…スーパーロージャンプだ!」
オーラを一気に放出し、勢いよく降下していく。
「空中ならば逃げられないぞ!」
優は黒刀の周囲に魔法陣を展開し、『ディメンションレーザー』を放つ。
「(勝った!)」
優は勝利を確信した。
だが、その予想は裏切られた。
優は気づかなかったが、黒刀の右手にはなんともう1本の刀があった。
それは『八咫烏』の前に黒刀が使用していた黒い刀だった。
「四季流剣術 四の段 龍刃竜巻剣!」
黒刀が空中で竜巻のように回転して、『ディメンションレーザー』を全て弾いた。
そのまま優に迫る。
優は『イージスの盾』を展開する。
黒刀の剣技と優の『イージスの盾』が激突し火花を散らす。
『イージスの盾』によって黒刀の攻撃は弾かれ、黒刀は空中で横回転した後、着地した瞬間、右足を踏み出して斬りかかる。
「(この距離なら!)」
優は右手から『ソニックレーザー』を放った。
「(もらった!)」
だが次の瞬間、音速のしかも至近距離の『ソニックレーザー』を黒刀は右手の刀で受けた。
その刀は刃の根元からパキンッと音を立てて折れた。
黒刀はそれを投げ捨てる。
「(この至近距離なら外すことはない。お前が狙っていたのは俺の左肩。利き手を封じることが読めていれば『超反射』で追いつく!)」
黒刀は優の攻撃を予測していたのだ。
そして、試合はクライマックスを迎える。
「「これで決める!」」
優は100個の魔法陣を展開し、重ね合わせる。
黒刀は『八咫烏』にオーラを集束させるだけにとどまらず、黒刀の背後のフィールドは黒刀のオーラで埋め尽くされていた。
「ハンドレッドディメンションレーザー!」
「カオス…ブレイカァァァァァァァ!」
巨大な黒い斬撃と巨大な光線がゼロ距離でぶつかり合う。
その衝撃は今までより遥かに凄まじいものだった。
2人を中心にフィールドが大爆発を引き起こす。
その中で、優は両手を前に突き出して威力を上げていく。
黒刀も『八咫烏』にオーラを注いでいく。
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」
「これが…優の力…。」
花蓮がつぶやく。
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」
「黒刀、負けないで!」
映姫が叫ぶ。
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」
「先輩!私は先輩を信じています!だから先輩も自分を信じて下さい!」
妖夢が声を振り絞って叫ぶ。
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」
会場にいる全員…いや、この国にいる多くの人々がこの瞬間から目を離せずにいるだろう。
その緊張の糸を切るかのように再び2人を中心に大爆発を引き起こした。
中の様子は煙で見えない。
《両者のぶつかり合いに大爆発!両者の運命はいかに~!》
煙がだんだん晴れていく。
そこには堂々と立つ優と『八咫烏』をフィールドの床に突き刺して膝をつく黒刀がいた。
「先輩!」
《黒刀選手、膝をついている!これはもう立てないか~!》
「はあ…はあ…二宮…俺の………勝ちだ。」
黒刀がそう口にすると、優の体がゆっくりと後ろに傾いていく。
やがて体の角度が45度になると優の鎧が美しい響きと共に砕ける。
そして、優はフィールドの床に大の字で倒れた。
《1…2…3…4…5…6…7…8…9…10.勝者 四季黒刀》
勝敗を知らせる機械音声に会場が5秒ほど沈黙に包まれる。
その直後、割れんばかりの大歓声が響き渡る。
《勝ったのは神光学園!強豪の一角、あの仙台高校を落としました~!》
《いや~一瞬も目が離せない試合でした》
「優が…負けた?」
花蓮は信じられないという表情をして膝から崩れ落ちた。
「先輩~!」
黒刀の元へ妖夢達が駆け寄ってくる。
「これでベスト4入りだな!」
魔理沙が喜びの気持ちを口にする。
「黒刀選手、今すぐ手当てしないと!」
大妖精が慌てて声をかける。
「大丈夫。かすり傷だ。」
「でも…。」
「それよりちょっと待ってくれるか?」
「え…あ、はい。」
黒刀は仰向けに倒れる優に歩み寄った。
「何の用だ?」
意識を取り戻した優が倒れながら声をかけてきた。
「二宮、俺と友達にならないか?」
「なに………ふ…ふふ…ふはははは!面白い!いいだろう!」
優は急に笑い出した。
黒刀は手を差し伸べる。
「よろしくな二宮。」
優は黒刀の手を取って立ち上がる。
「優だ。そう呼べ。」
「ああ、分かった…優。」
優は黒刀の手を勝利を称えるかのように挙げた。
観客も一層、盛り上がった。
「行くわよ咲夜。」
レミリアが席から立ち上がり出口へと歩き出す。
「はい、お嬢様。」
咲夜も後をついていく。
「行くんですか?」
真冬がレミリアに声をかける。
「見たいものは十分見れたわ。」
レミリアは背を向けたままそう言って去って行った。
真冬はフィールドに視線を戻す。
「おめでとう黒刀君。」
「さあて、次はうちらやな。」
黒岩が口を開く。
「楽しみや!」
金次が嬉しそうに言った。
大きな拍手と歓声に包まれながら神光学園対仙台高校の試合は幕を閉じた。
そして、その夜。
「まったく、あなたはどうしてあんな無茶な闘い方しか出来ないのですか!バカなのですか!」
映姫の叱責に加え、
「そうです!今回は本当に死んでいたかもしれないんですよ!」
大妖精からも叱責。
頭に包帯を巻いた黒刀は、
「(このダブルお説教は嫌だな~。)」
紅魔学園代表宿泊ホテル。
「はっ!センパイがダブルXXXされている気がする!」
早苗が突然、おかしなことを言い出した。
「気のせいだ。」
天子が冷静にツッコんだ。
明日は王龍寺高校対神光学園の試合だ。
ED4 咲 全国編 TRUE GATE
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