東方剣舞   作:kuroto xanadu

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OP4 学戦都市アスタリスク2期 The Asterisk War



日本一のパワー

 8月5日 午前10時。

黒刀は準決勝までの運動を禁じられていた為、ベッドで胡坐をかきながら準決勝の相手である王龍寺高校の試合の記録映像を見ていた。

 

「この黒岩って奴はかなり厄介な相手になりそうだな。

開会式の日に一度だけ会ったが冷静さと情熱さを兼ね備えているように見えた。

さて、どうするかな~。」

 

黒刀はベッドに寝転がった。

 

「試合まであと3時間…コンビニで何か買ってくるか。」

 

黒刀は起き上がって、部屋から出てロビーを抜け街へ歩き出した。

 

「おそらく俺の相手は…」

 

「お、ヨキやんか~!」

 

黒刀が考えながら歩いていると声をかけられた。

振り向くと大門金次がいた。

 

「悪いが今は相手してやれないぞ。」

 

「分かっとるで!楽しみは後に取っておくもんや!」

 

その時、女性の悲鳴が聞こえた。

黒刀と金次の横をバイクが通り過ぎた。

ひったくりだ。

しかもただのバイクではなくアンチグラビティバイクだ。

黒刀と金次は同時に反応した。

金次は『スパイダー』でビルの壁を走り、黒刀は地上からダッシュしてバイクに迫っている。

 

「へへへ、楽勝だぜ!」

 

犯人は笑っていたが次の瞬間、気がつくと手に持っていた盗品がなくなっていた。

 

「あれ?」

 

犯人が探していると、

 

「ここやで~!」

 

金次がいつの間にか盗品を取り返しており逆走していた。

 

「ちくしょ~!」

 

犯人が悔しがっていると、

 

「そこまでだ。」

 

前から声が聞こえた。

振り向くとそこには『サムライモード』の黒刀がいた。

 

「四季流剣術 弐の段 一閃!」

 

黒刀の居合斬りでバイクがバラバラに斬られた。

こうして犯人は捕まり事件は解決した。

 

 

 

 ホテルに戻ると大妖精が部屋で待ち構えていた。

 

「黒刀先輩、私は安静にして下さいと言ったはずです。それなのにこれはどういうことですか?」

 

大妖精が空間ウインドウを操作して見せてきたのは今朝の事件に関するネット記事だった。

 

「仕事の為、学校に戻った永琳先生の代わりとして私は皆さんの治療やケアを任されています。

まあ、今回は事情が事情ですので許します。

それでは包帯を取り替えますので診せて下さい。」

 

「ああ、分かったよ。」

 

黒刀は大妖精の真剣な姿勢に観念して頭と腹に巻いている包帯を外してもらう。

 

 

 

 2時間後。

黒刀達は東京デュエルアリーナ西会場に到着する。

 

「ん?霊夢…霊夢じゃないか!」

 

黒刀達がロビーに入ってくると声をかけてきたのは黒髪で整った髪型をした、優しそうで住職のような恰好をした男。名は知念。学年は2年生。

 

「知念…あなたどうしてここに…。」

 

霊夢は目を見開いて驚いていた。

 

「僕は王龍寺高校代表のメンバーなんだ。」

 

知念は霊術院で霊夢と同期だった男である。

 

「君と闘えるのを楽しみにしているよ。」

 

「ええ…こちらこそ。」

 

霊夢は戸惑いながら返す。

 

「それじゃ。」

 

そう言って知念は去った。

 

「知り合いか?」

 

黒刀が訊く。

 

「ええ…まあ。」

 

霊夢は霊術院時代の仲間に次々と会ってしまっていることに悩んでいた。

 

 

 

 西会場の観客席は昨日に比べて観客が少なかった。

おそらく別会場で行われている紅魔学園の試合の観戦に行っているのだろう。

 

「まあ、こっちの方がやりやすいか。」

 

黒刀はベンチに座ってつぶやく。

 

「あたいは多い方が最強であることを証明できるからいいけどね!」

 

チルノはそう言いながらフィールドに入る。

 

 

 

 王龍寺高校代表ベンチ。

 

「よっしゃ~!」

 

そう吠えて立ち上がったのは逆立った青髪の男、風間翼。学年は2年生。

 

「スピードやったらうちも負けへん!」

 

風間はフィールドに入る。

両者が向かい合う。

 

《3…2…1…0.デュエルスタート》

 

先に動いたのは風間だった。

風間が駆け出しジグザグに動くと残像を生み出す程の速度で攪乱してきた。

 

「浪速の彗星っちゅうのはうちのことや!」

 

そんな風間に対し、チルノはフィールドの床に手を置いて凍らせる。

風間の動きがまるでアイススケート初心者みたいな動きになった。

 

「おっとっと!やばっ!止まらへんでこれ!」

 

スピードをつけ過ぎたせいか風間は壁に激突しそうになる。

風間はSDを起動して、ブレードを壁に突き刺して激突を逃れる。

 

「いや、ハナからそれ使えや。」

 

黒岩がツッコむ。

 

「おりゃ~!」

 

風間の背後からチルノが氷のハンマーを持って迫る。

 

「あれ?抜けへん!」

 

風間は壁に突き刺さったSDを抜こうとするが抜けない。

 

「そやっ!抜けた!」

 

風間が喜ぶのも束の間、氷のハンマーはすぐそこだった。

直撃するかと思いきや風間は上体を反らして躱す。

 

「おっとっと…よし…ようやくコツ掴んできたで!」

 

「フロストキング!」

 

チルノは詠唱して、4体の氷の狼の使い魔を召喚すると風間を襲わせる。

風間は身軽な動きで躱しながら使い魔を斬っていく。

 

「ほんならこの氷の床にも慣れてきたところで…いくで!」

 

次の瞬間、風間はチルノを斬り抜いていた。

 

「ぐっ!いつの間に!ソードフリーザー!」

 

チルノは氷の剣を造形して応戦しようとする。

 

「だから言うたやろ…浪速の彗星やて。」

 

風間はチルノの氷の剣を躱して斬る。

切り返してもう一度攻撃しようとしたその時、

 

「あ~もう…うざったい!霊力解放!」

 

チルノは解放した霊力を氷の翼に込めると加速した。

次の瞬間、風間は斬られていた。

 

「そんな…全く見えへん!」

 

チルノは左足で床を思いっきり踏み込むと床の氷がバラバラに砕ける。

 

「アイスニードル!」

 

大量の氷の棘が風間を襲う。

 

「ぐわああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

風間は床に倒れ伏した。

 

《1…2…3…4…5…6…7…8…9…10.勝者 チルノ》

 

勝利を知らせる機械音声を聞いたチルノは笑顔でVサインを見せた。

 

 

 

 

「も~光がもたもたしれるからギリギリじゃない!」

 

「仕方ねえだろ!限定クレープ食べてたんだから!」

 

そう言い合いながら観客席に入ってきたのは七瀬愛美と五位堂光だった。

 

「愛美が急に試合を見たいっていうから。」

 

「だって次は魔理沙の試合なのよ。私、あの子の闘い方好きなのよね。」

 

 

 

 

 そしてもう一組、観客席に入ってきたグループがいた。

観客の1人が目を見開いて驚いた。

「おい、なんであいつらがこんなところに…準決勝は同時スタートでまだ10分しか経っていないっていうのに…なんで…紅魔学園の代表がここにいるんだよ。」

 

「ちょっと時間かかったみたいですね。」

 

「一番時間かかってたのは早苗、お前だけどな。」

 

「そんなことないですよ~!」

 

「私は3分で終わらせた。」

 

「私は1秒です。」

 

天子と咲夜がそれぞれ試合にかかった時間を口にする。

 

「で、私は6分…ってほんとだ~!私ビリじゃないですか!」

 

「だからさっきもそう言っているだろう。ほら次鋒戦、始まるぞ。」

 

 

 

 

「よし!」

 

魔理沙は気合を入れてフィールドに入る。

 

「あ、出てきた!」

 

愛美が嬉しそうな顔をする。

 

「愛美が気に入ってるのは分かったよ。でもあいつ、いまだに本選で1勝もしていないんだよ。そんな奴に何でそんな期待しているんだ?」

 

「ん~女の勘♡」

 

愛美は笑顔でそう口にした。

 

 

 

 王龍寺高校代表ベンチから出てきたのは抽選会にもいたあの大男だった。

男は魔理沙の前に立つ。

 

「わしは3年の岩徹剛や。よろしゅう。」

 

「霧雨魔理沙だ。」

 

魔理沙はそう返しながらも相手のデカさに圧倒されていた。

 

「お前さんはパワーが自慢やと聞いとったが…ほんまか?」

 

「あ…ああ!パワーではだれにも負けないぜ!」

 

「そうか…せやけど、わしと闘ってその言葉をもう一度ゆえると思わへん方がええで。後悔せんようにな。」

 

「なんだと!だったら見せてやるよ!私のパワーが日本一だってことをな!」

 

「…日本一か。大きく出たな…後悔しても知らんで。」

 

「後悔なんかするもんか!」

 

魔理沙はミニ八卦炉を構える。

岩徹は仁王立ちで腕組みをしたままだ。

 

「なめやがって!」

 

《3…2…1…0.デュエルスタート》

 

魔理沙は箒に跨って飛行する。

岩徹は腕組みをして仁王立ちのままだ。

魔理沙は岩徹の背後に回り込む。

 

「マスタースパーク!」

 

だが、魔理沙の放った光線は岩徹んぽ背後に出現した岩の壁によって防がれる。

 

「無駄じゃ。わしを倒すには正面からだけや。」

 

魔理沙は舌打ちして岩徹の真上に移動する。

 

「分からん奴やな~。」

 

岩徹は右手に気力を集束させていく。

やがてそれは1つの光の球体となる。

岩徹は右手を魔理沙に向ける。

 

「一式…波動砲!」

 

岩徹の右手から光の球体は光線となって放たれる。

魔理沙は危険を感じて横にスライドするが光線が箒に当たり、その衝撃で魔理沙は墜落する。

落ちる時にかろうじて受け身を取ってなんとか立ち上がる。

 

「これがパワーや。お前さん、自分のパワーは日本一ゆうたな。ならこの程度のパワー軽く超えてみい。ゆうておくが今のは全力やないで。」

 

「だったらぶつけ合うまでだ!」

 

魔理沙はミニ八卦炉に魔力を集束させる。

 

「マスタースパーク!」

 

「二式波動砲!」

 

2人の光線がぶつかり合う

しかし、数秒で『波動砲』が『マスタースパーク』を押し始める。

そして、押し切られ『波動砲』が魔理沙に直撃し魔理沙は壁に打ちつけられる。

 

「がはっ!」

 

魔理沙は倒れるがゆっくりと立ち上がる。

 

「なるほど。お前さんが負けず嫌いなのはよう分かった。せやけど、先にゆうておく。わしの『波動砲』は百式まである。」

 

「へえ…だから?」

 

「なんやて?」

 

「お前が百式だっていうなら私がそれより上のパワーを出せばいいだけの話だろ。」

 

「大口を叩くのは勝手やが、二式のパワーにすら勝てんお前さんがどうあがこうて勝てるわけあらへんやろう。」

 

「…それは…やってみなくちゃ…分からないだろ。」

 

魔理沙はミニ八卦炉に再度、魔力を集束させる。

 

「諦めの悪いやっちゃな~。ええで。お前さんがどこまで耐えられるか試したる。」

 

岩徹は右手に気力を集束させる。

 

「マスタースパーク!」

 

「三式波動砲!」

 

だが、またもや『マスタースパーク』が押し負け、魔理沙は吹っ飛び壁に打ちつけられる。

観客の中には、あいつじゃ無理だろ、神光のお荷物だしな、と言葉が出てくる。

魔理沙の耳にもその言葉は聞こえていた。

だが魔理沙はまた立ち上がった。

 

「マスタースパーク!」

 

「四式波動砲!」

 

今度も押し負け、壁ではなく結界の高さまで吹っ飛び打ちつけられる。

しかし、床に落ちた魔理沙はまた立ち上がる。

 

「魔理沙、あんた…。」

 

霊夢はつぶやく。

 

 

 

 試合開始から5分後。

 

「マスタースパーク!」

 

「十式波動砲!」

 

「がはっ!」

 

 

 

 試合開始から10分後。

 

「マスタースパーク!」

 

「二十式波動砲!」

 

「ぐはっ!」

 

「もうしまいか?」

 

「はあ…はあ…まだまだ!」

 

《タイムアップ。第1ラウンド終了》

 

「大妖精、仕事だ。」

 

「はい!」

 

黒刀は大妖精に指示して、大妖精はそれに応える。

ベンチに戻ってきた魔理沙に急いで治癒魔法をかける。

 

「皆に心配も迷惑っもかけるかもしれない。だけどお願いだ。この試合、最後までやらせてくれ。あいつにはどうしても勝たなくちゃいけないんだ。でなきゃ前に進めない。」

 

「…分かった。気のすむまでやれ。」

 

「黒刀…。」

 

「ただし本当に危ないと判断したら乱入してでも止める。いいな?」

 

「ああ、ありがとう!」

 

魔理沙は元気に応えて、フィールドに入る。

 

「(仲間って…いいもんだな。)」

 

 

 

 岩徹はインターバル中もベンチに戻っておらず腕組みして仁王立ちのままずっと待っていた。

 

 

 

 観客席。

 

「さあ、見せてみなさい。あなたの力を。」

 

愛美はわくわくした様子で見ていた。

 

 

 

 

「やはりまだ続けるようやな。」

 

岩徹は魔理沙にそう言った。

 

「当たり前だ!あんたの言う通り、私は負けず嫌いだからな!」

 

「よかろう!」

 

《3…2…1…0.第2ラウンドスタート》

 

「四十式波動砲!」

 

岩徹は第2ラウンド開始直後、『波動砲』を放った。

 

「くっ…マスタースパーク!」

 

岩徹の『波動砲』に魔理沙がワンテンポ遅れて『マスタースパーク』を放つ。

 

「(この技…威力もそうだが…大きさも増してきている。)」

 

そして、第1ラウンドの時と同じように吹っ飛ばされる。

魔理沙のデュエルジャケットも体も既にボロボロだった。

しかし、それでも魔理沙は立ち上がる。

 

「まだ…だ…マスタースパーク!」

 

「六十式波動砲!」

 

「ぐあっ!」

 

魔理沙は吹っ飛ばされ、結界の高さ10m地点のところに打ちつけられる。

そのまま床に落ちていく。

だがそれでもゆっくりと…ゆっくりとだが魔理沙は立ち上がる。

 

「マスター…スパーク!」

 

「ええ加減倒れろや!八十式波動砲!」

 

もはや魔理沙の『マスタースパーク』はぶつかり合うどころか『波動砲』に飲み込まれ勝負にならないレベルだった。

吹っ飛ばされ床に落ちた魔理沙は立ち上がることすら困難な状態だった。

 

《1…2…》

 

「(やばい…もう…全然、体が…動かない…。)」

 

《3…4…》

 

「さすがに限界じゃない?」

 

光がそう口にする。

 

「いえ。彼女は絶対に立ち上がる!」

 

《5…6…》

 

「(もう…マスパ…何回撃ったかな…新記録更新してんじゃねえの…でもこれで私のまk…)」

 

「いつまで寝てんのよ!」

 

その時、霊夢が魔理沙に喝を飛ばした。

 

「!」

 

魔理沙は目が覚める。

 

《7》

 

機械音声と同時に魔理沙は立ち上がった。

 

「なんやと!」

 

岩徹は驚いていた。

 

「(そうだ…まだ試合は終わっていない。負けてないのに諦めるなんて私らしくないぜ!)」

 

その時、魔理沙は自身の変化に気づく。

 

「なんだ…この感覚…心と力が沸き上がってくる感じ…そうか…今なら出来る気がする。」

 

魔理沙は構えを解いて自然体となる。

 

「いったい何をしようとしているんだ?」

 

「はああああ…魔力開放!」

 

魔理沙は両手を胸の前で交差するように構えてから押忍のポーズを取るように開いた。

光の柱に包まれ魔理沙の魔力が急上昇していく。

 

「やっと気づいたんだ。私の力は私だけのものじゃない。出会った皆と共に築いてきた絆で出来たものなんだってな!これが私の最強だ!ファイナルマスタースパーク!」

 

魔理沙はミニ八卦炉に右手だけではなく右手の甲に左手を重ねて両手で放った。

 

「これで最後じゃ!百式波動砲!」

 

岩徹も最大火力の『波動砲』を放った。

2人の全力砲撃が激しくぶつかり合う。

 

「私が日本一になるんじゃない!皆で日本一になるんだ!」

 

魔理沙の想いに応えるかのように光線の威力がさらに上昇していく。

 

「こ、これは…百二十…いや…二百式並の威力や!」

 

岩徹の『波動砲』が撃ち砕かれ、『ファイナルマスタースパーク』の光に飲み込まれる。

 

「見事!」

 

岩徹はその言葉を最後に前のめりに倒れる。

 

《1…2…3…4…5…6…7…8…9…10.勝者 霧雨魔理沙》

 

「はあ…はあ…うっ!」

 

魔理沙の体を後ろに傾いて倒れそうになると突然、後ろから誰かに支えられた。

 

「ナイスファイト。」

 

霊夢が魔理沙を支えながら労いの言葉をかけた。

 

「約束通り勝ったぜ。」

 

「見てたわ。立派だった。」

 

霊夢は魔理沙に肩を貸してベンチに連れて行く。

 

 

 

 

「ね?言った通りだったでしょ♪」

 

愛美がそう言って光にウインクする。

 

「本当に勝つとは…。」




ED4 咲 全国編 TRUE GATE

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