東方剣舞   作:kuroto xanadu

51 / 107
OP4 学戦都市アスタリスク2期 The Asterisk War



巫女

 天子がベンチに戻ってきた。

 

「どうでしたか?実際に闘ってみて。」

 

戻ってきた天子にレミリアが問う。

 

「ああ、強いよ。実力もそうだけど何よりも想いがね。準決勝までの相手は皆、闘ってみてもどこか勝てないと思いながら闘っているように見えた。だけどあの子は私が極大魔法を発動すると分かっていてもなお立ち向かってきた。一歩も引くことなく前へ。レミリア、あの子達を侮っていると一瞬で足をすくわれるよ。」

 

「ええ、分かっているわ。あの男が率いているチームですもの。…早苗。」

 

「はい!分かっています!」

 

早苗が敬礼する。

 

「奴らに力を示してきなさい!」

 

「了解です♪」

 

早苗は笑顔で応えてフィールドに入る。

 

 

 

 霊夢は気を失っているチルノの頭に手を置く。

 

「仇…取ってきてあげるから。」

 

霊夢はそう囁いてからフィールドへ歩き出した。

 

「霊夢!」

 

魔理沙が呼び止める。

霊夢が振り返る。

 

「ベストな状態で繋げられるように頑張るわ。」

 

微笑んでそう言った。

 

「ああ、頑張れ!」

 

「ええ!」

 

霊夢はそう応えてフィールドに入る。

 

「出てきましたね。おとといのような闘い方では勝てない相手ですよ…霊夢。」

 

弓がVIPルームからフィールドを見下ろしていた。

 

《さあ、次鋒戦は滅多にお目にかかれない巫女同士の試合です!》

 

《霊夢選手の神社は博麗神社と言って幻想町にあるそうです。早苗選手の神社は守矢神社。こちらは雑誌なのでも多く取り上げられています》

 

《つまりこの試合は巫女としてのプライドをかけた試合にもなります》

 

「悪いですけどこの試合、負けるわけにはいかないんです。たとえ敵であったとしても大好きな人の前でカッコ悪いところは見せられませんから。」

 

早苗はいつもとは違って真剣な表情になっていた。

 

「…あなたのこと、少し誤解していたみたい。あなたにも揺るぎない信念がある。でもそれは私も同じだから。」

 

霊夢は札を取り出した。

 

「私はただセンパイの恋人であったこと誇りに思える女でありたい。ただそれだけです。」

 

《3…2…1…0.デュエルスタート》

 

霊夢は霊術弾を早苗に向けて放つ。

早苗の腕の裾から何か出てきた。

それは弾幕を…喰った。

 

「あなた…それ…。」

 

霊夢は驚愕の表情を浮かべる。

早苗の腕の裾から出て来て霊力弾を喰ったのは…蛇だった。

 

「そうです。蛇です。ただし、普通の蛇とは違って私の蛇はオーラを喰らう!」

 

体長50㎝の蛇が床を這いずり回っていた。

 

「1ついいことを教えてあげましょう。蛇はものすごく…しつこいのです!」

 

蛇が霊夢に向かって這いずり近づいてきた。

 

「っ!」

 

霊夢は悪寒を感じながらも飛行して霊力弾を放つが蛇に全て喰われてゆく。

 

「冗談じゃないわよ!」

 

「もしかして空中に逃げれば蛇は飛べないから安心だ…なんて思っていませんよね?」

 

「蛇が鷹に喰われるのは飛べないからでしょ!」

 

「私の蛇はそんな前時代的じゃないですよ。」

 

早苗は普段を取り出す。

 

「式神召喚!空蛇!」

 

札が光り出しそこから召喚された体長1mの蛇は空中を飛び回っていた。

 

「そ、そんなことが…。」

 

「周りから見たら私は紅魔学園代表の中でも一番弱いのかもしれない。

ですが…紅魔学園代表に弱者なんて1人もいませんよ!」

 

空蛇が霊夢に向かって襲い掛かる。

 

「くっ!」

 

霊夢は空中を飛び回って逃げる。

 

「(オーラを喰う蛇相手に『夢想天生』は使えない。あれは霊力を使って発動する。)」

 

「ほらもう1匹追加ですよ!」

 

早苗はさらに空蛇を召喚した。

 

「(あの蛇はオーラを喰う…でもそれはあの牙と口のみ…ならそれ以外の箇所にはきっと効果がある。…試してみるしかないわね。)」

 

「逃げてるだけじゃつまらないですよ!」

 

さらに空蛇を8匹を追加する。

空蛇の数は合計10匹となった。

その時、霊夢が笑った。

 

「ねえ、袋の鼠って言葉を知ってる?」

 

「知っていますがそれが何か?今のあなたの状況を言うなら蛇の巣の中にいるようなものですよ。」

 

「…追い詰められているのは果たしてどちらかしらね?」

 

「え?」

 

10匹の空蛇が一斉に爆発する。

 

「一体何が…そうか幻符を!」

 

「その通り。霊力を通した札もその蛇なら食べてしまうでしょうけど一度に何枚も貼り付けられれば処理が追いつかなくなる。」

 

「…さっき逃げ回っていたのはこの為ですか…。」

 

早苗は悔しそうにつぶやく。

 

「白霊砲!」

 

霊夢は霊力の光線を右手から放つ。

 

「防御術式最大展開!」

 

早苗は霊力の障壁を展開して『白霊砲』を防いだ。

 

「さすがに…このままじゃまずいかもしれません…もうやばいです…。」

 

「やっと自分の状況に気づいた?あなたの負けよ。」

 

「いえ…そう意味じゃないです。」

 

 

 

 紅魔学園代表ベンチ。

諏訪子がベンチに入ってきた。

 

「遅かったですね。教頭先生。」

 

「ちょっと紫に挨拶していてね…ん?早苗の様子、少しおかしくないか?」

 

「なんかピンチなのに笑ってるよ?」

 

フランが答える。

 

「笑ってる?………まさか!あれを使うつもりか!」

 

 

 

 

「何が言いたいのよ?」

 

霊夢が訝しげに早苗を見る。

早苗はニヤッと笑った。

 

「(この感じ…どこかで…!黒刀先輩と同じ!追いつめられている時に笑う…。)」

 

「見せてあげましょう…私の一番の式神を…式神召喚 神代大蛇!」

 

早苗が詠唱すると頭上に大きな術式が浮かび上がる。

召喚されてきたのは体長15mの大蛇だった。

 

「で、でかい…。」

 

「いきますよ…蛇霊砲!」

 

大蛇の口から直径2mの光線が放たれる。

 

「っ!夢想天生!」

 

霊夢は詠唱して無敵状態になった。

『蛇霊砲』は霊夢の体をすり抜けた。

 

「はあ…はあ…危なかった(一瞬でも遅れていたらやられていた。)」

 

霊夢は安堵の息を漏らす。

 

「安心するには早いですよ!」

 

「ならこれでどう!」

 

霊夢は大蛇の体に霊符を張り付け爆発させる。

 

「これで………っ!」

 

仕留めたと思っていた霊夢だが、爆発の煙から現れたのはほぼ無傷の大蛇だった。

 

「くっ…もう…もたない…。」

 

『夢想天生』の効果時間が切れる。

 

「蛇霊砲!」

 

大蛇の口から光線が放たれる。

 

「(避けきれない!)」

 

霊夢は両腕をクロスして攻撃を受けて、壁まで吹っ飛ばされる。

 

「何か…あるはず…弱点が…タフでオーラを喰う蛇…光線………あった!」

 

霊夢は飛翔して大蛇に接近する。

 

「私の『神代大蛇』相手に接近戦ですか…面白いです!薙ぎ払え!」

 

早苗が言い放つと大蛇は尻尾を振って霊夢は薙ぎ払おうとする。

霊夢は霊符を放つ。

 

「爆符!」

 

空中で爆発して霊夢は煙に紛れる。

大蛇の尻尾は空振りする。

 

「苦し紛れの戦術など…吹き飛ばせ!」

 

早苗が命令すると大蛇はとぐろを巻いてからコマのように回転して煙を吹き飛ばす。

煙から現れた霊夢は大蛇ではなく早苗の方に向かっていく。

 

「なるほど…確かに術者を倒せば式神は消えますが後ろがガラ空きですよ!蛇霊砲!」

 

霊夢の後ろから大蛇が光線を放とうとする。

 

「残念だけど私の勝ちよ!」

 

霊夢が宣言した瞬間、大蛇の頭が爆発した。

早苗は何が起きたか分からなかった。

連続して大蛇の頭が爆発する。

早苗はそこでようやく気付いた。

 

「まさか!幻符を頭に。」

 

「さすがに自分の頭の上は喰えないでしょ!」

 

霊夢はそう言い放って早苗の周囲に結界を展開する。

 

「夢想封印!」

 

霊夢が詠唱すると結界の内部で霊力弾が炸裂する。

 

「きゃあああああああああああああああああああああああ!」

 

早苗は悲鳴を上げて倒れた。

 

《1…2…3…4…5…6…7…8…9…10.勝者 博麗霊夢》

 

《勝ったのは博麗霊夢選手~!あの紅魔学園の1人を倒しました~!》

 

早苗に勝利した霊夢は肩で息をしながら倒れている早苗に歩み寄っていく。

早苗も目が覚めたようだ。

 

「手、貸そうか?」

 

霊夢が手を差し伸べる。

 

「いえ…自分で立てますから。」

 

早苗は苦笑して立ち上がるが疲労とダメージのせいでフラッと体が前によろめく。

早苗が倒れそうになったところで誰かが前から肩を支えてくれた。

 

「あ…ごめんなさい…霊夢さん…」

 

早苗が顔を上げると、彼女を支えていたのは霊夢ではなく…黒刀だった。

 

「セン…パイ…。」

 

早苗は呆気に取られた顔をする。

 

「どうして?」

 

早苗の問いに黒刀は少し目を逸らす。

 

「………次、俺の中堅戦だからな。」

 

その答えに早苗は微笑んだ。

 

「センパイは相変わらず嘘が下手ですね。まだ次の中堅戦まで5分はありますよ。そういう優しいところは好きですよセンパイ。」

 

「はあ…分かったからもうベンチに戻れよ。歩けるだろ?」

 

「は~い♪」

 

早苗は笑顔とやや疲れを見せる声で返事してベンチに戻って行く。

 

「霊夢、早苗と仲直りしたみたいだな。」

 

黒刀は霊夢に背を向けたまま言った。

 

「まあ…悪い子じゃないと闘ってみて感じた。」

 

「そうか…。」

 

「じゃあ、先に戻ってます。」

 

「ああ。」

 

霊夢がベンチに戻って行くと黒刀はベンチにいる咲夜を見る。

 

「さあ、未来を変えるとするか。」




ED4 咲 全国編 TRUE GATE

ご感想お待ちしております。

OPとEDは必要だと思うか?

  • はい
  • いいえ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。