東方剣舞   作:kuroto xanadu

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OP4 学戦都市アスタリスク2期  The Asterisk War



狂気

 黒刀がベンチに戻ってくると魔理沙が黒刀とハイタッチを交わす。

 

「やったな黒刀!」

 

「さすがに妖夢に頭脳プレーは期待できなかったからな。」

 

「あう…。」

 

妖夢はしょんぼりする。

 

「そんな顔すんなよ妖夢!私が勝ってくるぜ!」

 

魔理沙が意気込んでフィールドに入る。

 

 

 

 紅魔学園代表ベンチ。

 

「申し訳ございませんお嬢様。紅魔学園の顔に泥を塗ってしまいました。」

 

咲夜が誠意を込めて頭を下げてレミリアに謝罪した。

 

「咲夜。」

 

レミリアは足を組み替えて名前を呼ぶ。

 

「はい。」

 

咲夜は頭を下げたまま返事する。

 

「顔を上げなさい。」

 

「はい。」

 

咲夜は顔を上げる。

 

「確かに紅魔学園は代々勝利至上主義だけど私にとってはそんなことはどうでもいいのよ。最終的に勝つことができればそれで。」

 

レミリアはそう言って紅茶を飲む。

 

「彼との勝負は楽しめた?」

 

「はい。」

 

「ならいいわ。最近のあなたは少し退屈そうにしていたから。…フラン。」

 

「なあに?お姉様。」

 

「遊んでらっしゃい。」

 

「わ~い!」

 

フランは場にそぐわぬテンションでフィールドに入る。

 

 

 

 

「(また調子狂いそうな奴が来たな。)」

 

魔理沙は元気にフィールドに入ってきたフランを見てそう思った。

フランは魔理沙の5m手前で止まる。

 

「え~と…」

 

「魔理沙だ。霧雨魔理沙。」

 

「じゃあ魔理沙!私と遊ぼうね!」

 

「遊ぶ?」

 

魔理沙は首を傾げる。

 

「うん♪」

 

フランは笑顔で返してきた。

 

「(なんだ…こいつ、リーチをかけられているこの状況でどうしてそんな楽観的でいられるんだ?)」

 

魔理沙は考えるがすぐに頭を振って集中する。

 

《3…2…1…0.デュエルスタート》

 

「魔力解放!」

 

フランがいきなり解放状態になった。

 

「もう解放すんのかよ!」

 

魔理沙は驚きながらも箒に跨って飛行する。

 

「それじゃいっくよ~!バ~ン!」

 

フランは楽しそうに魔法弾の弾幕を放ってきた。

魔理沙は上昇と下降を繰り返して上手く躱している。

 

「凄い凄い!それじゃどんどんいくよ!」

 

フランはまるでゲームをやっているかのように笑いながら魔法弾を放ってくる。

 

「躱すだけじゃないぜ!こっちだって!」

 

魔理沙は初めての頃とは見違えるほどの威力の魔法弾の弾幕を放って、フランの魔法弾の弾幕を撃ち落とす。

 

「いいよ!それじゃこんなのはどう?レーヴァテイン!」

 

フランの右手に炎の剣が現れる。

 

「なんだありゃ!炎の剣っていうより炎そのものだぜ!あんなもの持って熱くないのかよ?」

 

「何言ってるの?私の剣なんだから熱いわけないでしょ…私はね!」

 

フランはそう言い放って『レーヴァテイン』を両手で握った。

 

「見せてあげる。私の必殺技!」

 

『レーヴァテイン』の炎の勢いが増す。

 

「っ!」

 

魔理沙は警戒を強めてミニ八卦炉に魔力を集束させる。

 

「マスタースパーク!」

 

「インフェルノブレイカー!」

 

フランが放ったのは剣による光線に近い炎の斬撃だった。

光線と斬撃がぶつかり合う。

 

「ぶっ壊れちゃえ!」

 

フランの言葉に応えるかのように斬撃の威力が増していく。

 

「嘘だろ!」

 

魔理沙が驚くのも束の間、斬撃が光線を打ち砕きそのまま魔理沙に降り注ぐ。

魔理沙は急降下し躱して魔法弾を数発放つ。

魔法弾はフランに直撃して爆発した。

 

「よし!」

 

魔理沙がガッツポーズをとる。

 

「あはははははは!凄い!楽しい!もっと!もっと遊びたい!」

 

爆発の煙の中からフランが笑いながら出てきた。

 

「なんだこいつ…直撃だったのに笑いながら出てきたぜ。」

 

そんな魔理沙に対し、フランは不敵な笑みを浮かべる。

 

「それじゃ今度はこっちの番!」

 

フランは今までの倍の数の魔法弾を放ってきた。

 

「舐めんな!それくらい全部撃ち落としてやるぜ!」

 

魔理沙も魔法弾を放って応戦する。

 

「隙あり!」

 

フランが背後に飛行して斬りかかってきた。

 

「くっ!」

 

魔理沙は上昇して躱し魔法弾をフランに向けて放った。

直撃したがまたもや爆発の煙の中からフランは飛び出してきた。

 

「やっぱり通常の魔法弾じゃ効かねえか…マスパじゃねえと。だけど同じ威力じゃさっきみたいに押し負ける。だとしたらやっぱりあれしか…。」

 

魔理沙は急に方向転換してフランに背を向けて飛行し始めた。

 

「なに?追いかけっこ?いいよ!それも楽しそう!」

 

フランは魔法弾と『レーヴァテイン』の斬撃のコンボで逃げる魔理沙を徐々に追い詰めていく。

 

「まだだ…もっと…魔力を集束させないと…。」

 

魔理沙は何かブツブツ独り言をつぶやいている。

 

「ん~ちょっとは反撃してこないと面白くないな…ねえ!もう終わりなの?終わりならもう決めちゃうよ!」

 

フランは遊びに飽きた子供みたいに言った。

 

「そろそろか…そんじゃ決めるとするか!」

 

魔理沙は上昇していくと下に向かって魔法弾の弾幕を雨のように放つ。

 

「まだやるの!いいよ!もっと遊ぼうよ!」

 

フランは『レーヴァテイン』で魔法弾を斬っていく。

 

「悪いが遊びは終わりだぜ!魔力解放!」

 

魔理沙は逃げ回っている間にずっとミニ八卦炉に魔力を集束し続けていた。

ミニ八卦炉を構える。

その時、月の光がミニ八卦炉に当たり魔力がさらに高まった。

それは魔理沙にとって予想外だった。

 

「なんだこれ…力が溢れてくる!」

 

魔理沙の遥か上には巨大な満月が見える。

 

「いくぜ!ファイナルマスタースパークムーンライト!」

 

魔理沙の放った光線はフィールド全体に降り注いだ。

 

「きゃあああああああああああああああああああああああ!」

 

これにはさすがのフランも悲鳴を上げて光に飲み込まれていく。

 

「勝った!」

 

魔理沙が叫ぶ。

 

「…それはどうかな?」

 

だがその時、魔理沙の背後から声が聞こえた。

それはさっきまで聞いた声と同じものだった。

 

「え?」

 

魔理沙が振り返った瞬間、斬られた。

魔理沙はダメージを受けた箇所をかばいながら降下してそのまま滞空する。

魔理沙が見たのは信じられない光景だった。

なんと3人のフランが飛んでいた。

 

《フラン選手が3人!これはどういうことでしょうか?》

 

「フォーオブアカインド。」

 

「つまりさっきやられたのは私の分身。」

 

「そして魔理沙が今まで闘っていたのはその分身!」

 

3人のフランがそれぞれ喋る。

 

「なっ!」

 

魔理沙は衝撃を受けた。

 

「最初に解放状態になった時、既にこの魔法は発動されていた。」

 

「つまり私は最初から遊ばれていた?」

 

「それは違うよ。」

 

「遊ばれていたんじゃなくて一緒に遊んだんだよ。ほら魔理沙だってあんなに楽しそうにしていたじゃない。さっきの魔法を使った時だって!」

 

「!…そうか…私はいつの間にかお前のペースにはまっていたのか…でも!だからといってここで諦めるわけにはいかないぜ!」

 

魔理沙は構えるが先程の魔法の反動で普通の『マスタースパーク』も撃てない状態となっていた。

 

「いいよ!」

 

「でもこれ以上、長引かせるとお姉様に怒られちゃうから!」

 

「これで!」

 

「「「決めちゃうよ!」」」

 

3人のフランが声を揃えた。

魔理沙を三角形上に取り囲む。

 

「「「インフェルノブレイカー!」」」

 

3人のフランが同時に炎の斬撃を放った。

魔理沙は通常の魔法弾で応戦しようとしたが歯が立たず3人のフランの斬撃をまともに食らって墜落し床を転がっていく。

 

《1…2…3…4…5…6…7…8…9…10.勝者 フランドール・スカーレット》

 

フランはゆっくりと降り立つ。

 

「やった~!勝った~!」

 

フランはジャンプしてVサインする。

 

 

 

 魔理沙がトボトボと歩いてベンチに戻ってくる。

 

「わりぃ、負けちまったぜ!」

 

魔理沙は後頭部をかきながら笑った。

 

「さて、顔とか汚れちまったから洗ってくるぜ!」

 

魔理沙はベンチを出て女子トイレに向かった。

 

「魔理沙、あんな顔して悔しくないのかな?」

 

妖夢が口を開く。

 

「俺には無理しているようにしか見えなかったけどな。」

 

「え?」

 

「負けて悔しくない奴なんていると思うか?」

 

黒刀の言葉を聞いた妖夢はハッと気づいて女子トイレへ走って行く。

 

 

 

 魔理沙は女子トイレの洗面所の蛇口をひねり水を出すと洗面所に両手をついた。

 

「う…うう…ああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

魔理沙は喉の奥から声にならない嗚咽を漏らしていた。

 

勝ちたかった。

 

チームの勝利がかかった大事な試合だった。

 

勝っていれば優勝だった。

 

皆の期待に応えられなかった。

 

悔しくて堪らない気持ちと涙が溢れて止まらない。

 

 

 

 妖夢は女子トイレの外でそれを聞いていた。

 

「魔理沙…。」

 

そうつぶやいた後、女子トイレから離れてベンチへ歩き出した。

 

「大丈夫だよ…私が魔理沙の分まで闘って…絶対に勝つから!」

 

妖夢の眼に宿る闘志は今までより強かった。




ED4 咲 全国編 TRUE GATE

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