東方剣舞   作:kuroto xanadu

57 / 107
OP4 学戦都市アスタリスク2期  The Asterisk War



焼肉

 表彰式。

表彰台には内閣総理大臣の一ノ瀬太陽が立っていた。

 

「準優勝!東東京代表 紅魔学園!」

 

「はい!」

 

呼ばれてレミリアが表彰台に上がる。

2位のトロフィーと賞状を受け取り礼をしてから表彰台を降りる。

 

「優勝!奈良県代表 神光学園!」

 

「ほら。」

 

黒刀が妖夢の手を引く。

 

「え、キャプテンは先輩のはずじゃ…」

 

「いいから行ってこい。」

 

黒刀は妖夢の背中を押して前に生かせる。

妖夢は少しこけそうになったがなんとかこらえて表彰台に上がる。

 

「おめでとう。」

 

一言、一ノ瀬から賞賛の言葉をもらってから優勝トロフィーと賞状を受け取る。

 

「ありがとうございます!って重っ!」

 

優勝トロフィーを腕に抱えると表彰台から降りて持ち上げようとするが重すぎて上手く持ち上がらない。

 

「フッ、ったく最後まで締まらねえ奴だな。」

 

黒刀はやれやれと妖夢の元へ歩み寄ると優勝トロフィーを持ち上げる。

黒刀と妖夢は優勝トロフィーを高く掲げる。

観客が拍手と歓声を響かせた。

 

「「「あ~ずるい!」」」

 

チルノ、霊夢、魔理沙が黒刀達に駆け寄り一緒に優勝トロフィーを持つ。

 

 こうして第10回剣舞祭団体戦は幕を閉じた。

 

 

 

 午後9時。

妖夢が控室で荷物をまとめているといつの間にか皆どこかへ行ってしまったようでどうしたものか悩んでいるとちょうど黒刀がトイレから戻ってきた。

 

「先輩!」

 

妖夢が嬉しそうに呼ぶ。

 

「わりぃ。」

 

「先輩、皆いないんですけどどこへ行ったんですか?携帯で呼びかけても応答しないですし。」

 

「それはこれから分かるよ。」

 

黒刀が妖夢の手を引く。

 

「え、一体何ですか?」

 

「いいからいいから。」

 

黒刀は笑顔で妖夢を連れて東京デュエルアリーナを出て行く。

市街地を歩いていくとある店の前にたどり着く。

そこは…

 

「焼肉屋?」

 

「入っていいぞ。」

 

黒刀は妖夢の背中を押す。

 

「はあ…。」

 

妖夢は訳が分からず焼き肉屋に入るとクラッカーの破裂音が響いた。

 

「「「「「お誕生日おめでとう!」」」」」

 

霊夢、魔理沙、チルノ、大妖精、映姫が揃って祝いの言葉をあげた。

 

「え?」

 

妖夢がポカーンとしていると黒刀が後ろから妖夢の肩に手を置く。

 

「今日は妖夢の誕生日だろ。だから皆で祝おうって前から決めていたんだ。」

 

「全然気づきませんでした。」

 

「サプライズだからバレないからヒヤヒヤしたわ。」

 

ホッと息をつく霊夢。

 

「ここの焼き肉屋も今日の為に黒刀が貸し切りにしたんですよ。」

 

そう口にして微笑む映姫。

 

「先輩が…。」

 

妖夢が黒刀の顔を見る。

 

「可愛い後輩の為だからな。」

 

「先輩…皆…ありがとう!私…ずっと…誕生日を友達とかに祝ってもらったことってなかったから凄く嬉しい!」

 

「それじゃ主役はさっさと座る。」

 

黒刀が楽しそうに妖夢の背中を押す。

しかし、妖夢を席に座らせようとしたところに…店の外から、

 

「あれ~貸し切りって書いてあるじゃん。」

 

「本当ね。」

 

誰かの声が聞こえた。

 

「(全然気づかなった。)」

 

妖夢は貸し切りの看板があったことに全く気付いていなかった。

 

「帰るか。」

 

「何言ってんの!私は腹ペコなのよ!ちょっと店長に直談判してくる!」

 

ガラガラと引き戸を開けて入ってきたのは七瀬愛美達首里高校の代表メンバーだった。

 

「げっ!」

 

黒刀が顔を引きつらせる。

 

「ちょっと何よ、今のげっ!、は!」

 

愛美が頬を膨らまして文句を言う。

 

「別に~。それよりこの焼き肉屋は俺が乗っ取ったから帰れ。」

 

黒刀は右手でシッシッと帰らせようとする。

 

「「「「「「(貸し切りって言ってなかったっけ?)」」」」」」

 

妖夢達は心の内でツッコむ。

妹紅が愛美の肩に手を置く。

 

「だってよ。他の店を探そうぜ。」

 

「冗談じゃないわ!このまま引き下がれる訳ないでしょ!」

 

愛美は妹紅の手を振り払う。

 

「おいおい、ルールは守れよ。」

 

黒刀は勝ち誇った顔をする。

 

『(お前が言うな!)』

 

その場の全員が心の内でツッコんだ。

その時、またもや外から…

 

「なんだ貸し切りか…他行くか。」

 

「待って!ここにきっといます!()()()が!」

 

また声が聞こえた。

 

「この声は…まさか!」

 

黒刀は嫌な予感を感じた。

開けっ放しの入り口から入ってきたのは白金真冬達白雪高校の代表メンバーだった。

 

「やっぱりか!」

 

「あっ、やっぱりいた!黒刀く~ん!」

 

真冬は黒刀に抱きつこうとして来た。

 

「うわ、来るな~!」

 

黒刀は真冬の額を右手で抑えて阻む。

 

「真冬、ここは貸し切りだから退散するよ。」

 

「光の言う通りです。」

 

光の正論に雪村が合わせる。

 

「いたのか眼鏡。」

 

「いましたよ!」

 

黒刀の言葉に雪村は思わずツッコんだ。

 

「ちょっとこっちも忘れないでよ!」

 

愛美が横から怒鳴る。

 

「うるせえ!」

 

黒刀が怒鳴り返す。

さらに…

 

「あれ…仁先輩、貸し切りだって!」

 

「あ?知るか。入るぞ。」

 

次に焼き肉屋に入ってきたのは越山流星と六道仁の2人だった。

 

「あら負け犬の仁じゃない。」

 

愛美が挑発する。

 

「おい、誰が負け犬だって?」

 

「あなたのことよ。」

 

「てめえ、表へ出ろ!」

 

「お前ら全員出ろ!」

 

黒刀が怒鳴る。

さらに…

 

「あれ?優、貸し切りだって!」

 

「ほう?誰だ…俺より偉そうにしている奴は。」

 

そう入ってきたのは二宮優率いる仙台高校の代表メンバーだった。

 

「お前もか!」

 

「あっ、妖夢ちゃんだ~!」

 

花蓮が妖夢に抱きつく。

 

「くっ…九条さん…苦しいです…。」

 

「あ、ごめんね。」

 

花蓮が抱擁を解く。

 

「大体、優は高級レストランでも行けばいいだろうが!」

 

「花蓮がこっちの方が面白そうって言うから来たらこうなった。」

 

「女の勘よ!」

 

黒刀と優の会話に花蓮は悪びれもなく言い切った。

さらに…

 

「俊介、焼肉やて!」

 

「何!ほんならこの焼肉マンが行かんとな!」

 

「プハハ!なんやそのダサいネーミング!」

 

店に入ってきたのは大門金次達王龍寺高校の代表メンバーだった。

 

「お、ヨキやんか!」

 

「はあ…。」

 

黒刀は金次の登場に調子が狂った。

そこで魔理沙は気づく。

 

「待てよ…これで()()()()が来たらコンプリートだぜ?」

 

「いや…さすがにあいつらがこんな焼き肉屋に来ないでしょ。」

 

霊夢は魔理沙の推測を否定する。

 

「いや…来る!」

 

黒刀は何かを感じた。

 

『え?』

 

全員が声を上げた直後、入り口の方から黒刀に向かってダイブしてくる者がいた。

 

「センパイぃぃぃ!」

 

その正体は早苗だった。

 

「やっぱり来やがった!」

 

黒刀はダイブしてきた早苗をチョップで落とす。

 

「あ、痛っ!」

 

さらに…

 

「全く…早苗。いきなり走り出したと思ったらこんなところに…。」

 

店に入ってきたのはレミリア達紅魔学園の代表メンバーだった。

 

『(コンプリート~!)』

 

この時、全員の考えがシンクロした。

 

 

 

 そして…

 

「ったく…お前ら、同席出来るのは主役の妖夢の許可のおかげなんだからな。」

 

「先輩…それは構わないんですけどこの組み合わせは…。」

 

「仕方ないだろ。魔理沙達に仕組まれたんだから。」

 

黒刀と妖夢が座っているのは6人のテーブル席で黒刀の右隣に妖夢、左隣に映姫、黒刀の向かい側の中央にレミリアが座り、その右隣に天子、左隣に優が座っていた。

ちなみに咲夜はレミリアの背後に立っている。

この組み合わせにしたのは霊夢、魔理沙、花蓮、フランの仕業だった。

 

「あいつら絶対何か企んでいるだろ。」

 

黒刀は文句を言いながら肉を頬張る。

霊夢、魔理沙、チルノ、大妖精は別のテーブル席から黒刀達を眺めていた。

 

「やっぱハンパねえぜ。あのメンツ!」

 

魔理沙がテンション上げて盛り上がる。

 

「いやもう妖夢なんか小動物みたいに震えるじゃない!」

 

霊夢が妖夢を可哀そうな目で見ていた。

 

 

 

 

「ってか優とレミリアはこんな庶民的な店は来ないだろ?」

 

黒刀は肉をつつきながらジト目を2人に向ける。

 

「俺は花蓮がここで食べると言っているからな。」

 

「私はフランがここで食べたいって言うから。」

 

「お前ら、自主性ゼロか!」

 

「まあまあ先輩、私は気にしていませんだから。」

 

妖夢はなんとか黒刀をなだめていた。

 

「はあ…まあ…レミリアなんかは食べた方がいいな。明らかに成長していないからな。」

 

ピキッ。

 

「成長してるわよ!ちゃんと!」

 

黒刀の嘲笑にレミリアがキレた。

 

「それで?」

 

「あんたね~。」

 

「レミリア先輩!大丈夫ですよ!センパイはAAAカップからFカップまで許容範囲ですから!」

 

すると別のテーブル席から早苗が爆弾発言を飛ばしてきた。

 

『は?』

 

全員が呆気に取られていると黒刀が立ち上がる。

 

「早苗。」

 

名前を呼んで早苗に近づく。

 

「なんですか!愛の告白ですか!」

 

「だと思うか?」

 

黒刀の目は冷たかった。

 

ゴンッ。

 

黒刀のゲンコツが早苗の脳天に直撃する。

 

「あ、いったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

早苗は悲鳴を上げた。

 

 

 

 肉を食べていたレミリアは箸を置く。

 

「私、個人戦出ないから。代理登録してあるフランに出させるわ。今日の妖夢との試合で満足したから。」

 

「…まあ、俺も今日はお前との試合を避けたからな。でもたとえお前が出ようがフランが出ようが勝つのは俺だ。」

 

レミリアの考えに対して黒刀は断言する。

 

「そう簡単に勝てるとは思わないことね。」

 

レミリアがフッと笑って返す。

 

「あ、私も辞退しますよ。黒刀君とも闘えましたし、代理に光が出ます!」

 

黒刀達の会話を聞いていた真冬が別のテーブル席から声を上げた。

 

「おいおい、ナンバーズ大戦争でも勃発させるつもりか?」

 

黒刀が肉を頬張りながら冗談を口にした。

これで個人戦には二宮、四季、五位堂、六道、七瀬のナンバーズが出場することとなった。

個人戦には全国から50人の強豪が集結する。

まさに武闘派ナンバーズの全面戦争だ。

 

 

 

 一方、にとり達大人グループは居酒屋で酒を飲んでいた。

メンバーはにとり、紫、神奈子、幽々子、永琳、神子、桜だった。

 

『え、神子さんってまだ30歳だったの!』

 

一同が驚いたのはその事実だった。

 

「なんか悟りを開いたような存在感を示すからもっと上なのかと思っていたわ。」

 

「あはは、よく言われます…。」

 

神奈子の言葉に神子は苦笑する。

 

「人は見かけによらないですね。」

 

桜はつまみを頬張りながら言った。

 

『(あなたが言うな。)』

 

全員が心の内でツッコんだ。

 

 

 

 戻って黒刀達の方はというと………早苗が黒刀に肉を食べさせようとしていた。

 

「センパ~イ♪ほらあ~ん♪」

 

「いいよ!自分で食うから!」

 

黒刀が抵抗していたその時。

 

「じゃあ私が食べさせてあげようかな♪」

 

黒刀と妖夢の間に突然現れて黒刀の右腕に抱きついた洩矢諏訪子。

 

「諏訪子!あんた、居酒屋で飲んでたんじゃないのかよ!」

 

「つまらないからこっち来ちゃった♪」

 

黒刀の怒号に諏訪子はウインクして返した。

 

「ちょっと諏訪子様!センパイは私が食べさせてあげるんですから!」

 

「え~。」

 

諏訪子はジト目になる。

そこへ…

 

「ちょっと私も黒刀君に食べさせるんだから!」

 

真冬が黒刀達のテーブル席に近づいてきた。

 

「だから俺は自分で食えるって言ってんだろうが!あと、諏訪子は俺の右腕にオーラを注入して動きを止めるのはやめろ!」

 

「え~楽しいよ?」

 

「答えになってねえ!…っ!」

 

その時、黒刀は突き刺さる視線を感じた。

恐ろしくて振り向くことは出来ないが明らかにだが静かに映姫が黒刀を睨みつけていた。

 

「お前ら…マジで離れろ…姫姉がキレそうだ。」

 

黒刀の忠告に映姫の恐ろしさを知っている3人はすぐさま黒刀から離れて自分達の席に戻った。

諏訪子は早苗のいるテーブル席で一緒に肉を頬張っている。

 

「はあ…。」

 

黒刀はため息を吐いた。

 

「先輩、大変そうですね。」

 

妖夢が焼き上がった肉を黒刀の取り皿に分ける。

 

「大丈夫だ。それより優、お前は個人戦に出るんだよな?」

 

「ああ。」

 

「ならまた闘えるかもな。」

 

黒刀は嬉しそうに笑った。

 

「同じように勝てると思うなよ。俺は常に進化する男だからな。」

 

「なおさら燃えてくるじゃん。」

 

その時、レミリアが口を開く。

 

「ところで黒刀、中堅戦が終わった後に咲夜と何か話していたようだけど何を話していたのかしら?」

 

「あ~あれか…神光学園が勝ったら咲夜の料理レシピから1つ教えてもらうってことと紅魔学園が勝ったらお前と結婚しろだって。」

 

『はあ⁉』

 

黒刀と咲夜以外の全員が驚いた。

 

「ちょっと咲夜!どういうこと!」

 

レミリアが咲夜に振り返る。

 

「どうもこうもお嬢様がいつまでも…」

 

咲夜は口元に手を当てながら目を逸らした。

 

「あり得ないから!」

 

レミリアは断言した。

すると咲夜は何かを思い出したような素振りをする。

 

「そういえば言い忘れていました。黒刀様、あの時は手を貸していただいてありがとうございました。」

 

咲夜は試合直後に黒刀に手を貸してもらい立ち上がらせてもらったことを今更になって礼を言う。

 

「いえ…俺も美人メイドに触れられてラッキーでしたよ!」

 

黒刀は笑顔でそう口にした。

 

「「ふん!」」

 

その時、映姫が黒刀の脇腹に肘打ちを、レミリアが黒刀の脛を蹴った。

黒刀は痛みで声を上げられなかった。

 

「ねえ…私が個人戦でお義兄様に勝ったら私と結婚してよ!」

 

突然、フランがすり寄ってきてそんなことを言い出した。

 

「俺が?フランと?」

 

黒刀はフランの目を見る。

その目には確かな自信があった。

 

「勝てたらな。」

 

黒刀はただ一言。

 

「やった♪」

 

フランは喜びの声を上げた。

 

「なんかおかしな展開になってきた…。」

 

妖夢は話に介入できなかった。

 

 

 

 妖夢の誕生日パーティーは波乱を残して終えた。




ED4 咲 全国編 TRUE GATE

ご感想お待ちしております。

OPとEDは必要だと思うか?

  • はい
  • いいえ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。