東方剣舞   作:kuroto xanadu

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OP5 対魔導学園35試験小隊 Embrace Brade



魔女vs破壊王

 剣舞祭団体戦優勝 神光学園。

妖夢の16歳の誕生日パーティー。

フランが黒刀に勝ったら結婚する宣言。

 波乱な一日を終えて迎えた翌朝…

 

 8月7日 午前8時 剣舞祭個人戦1日目。

黒刀はランニングと素振りを終えて部屋に戻るとシャワーを浴びた。

 

「(昨日はあの後、早苗と真冬がうるさく抗議してきたな。

でも、フランの目も真剣だった。それに今のフランからは何か嫌な雰囲気を感じる。

以前にはなかった何かが…それを確かめる為にもあいつに勝つ。)」

 

黒刀はシャワーを終えて体を拭くと着替えて脱衣所を出る。

ベッドの上に置いてある『八咫烏』を腰にぶら下げる。

 

「黒刀、そろそろ行かないと間に合いませんよ。」

 

荷物の整理を終えた映姫が声をかけてくる。

 

「うん。」

 

黒刀は一度窓から景色を眺めてから部屋を出る。

 

 

 

 全部倒して日本一の剣士になる

 

 黒刀は心の…いや己の魂にそう誓った

 

 

 

 午前9時 東京デュエルアリーナ中央会場。

個人戦の参加選手全員がこの場所に集まって整列していた。

ここで組み合わせが発表されるのである。

ブロックは10個に分かれていて各ブロック5人で総当たり戦を行い、一番勝利数の多かった選手が次の2つのブロックに分かれて総当たり戦を行う。

そして、それぞれのブロック勝者で決勝戦を行う。

これを2日間で行う。

人数は団体戦より少ない為スムーズに進行する。

 

 

 

 そして今、巨大なモニターウインドウ組み合わせが発表された。

Aブロック 四季黒刀…

Bブロック フランドール・スカーレット…

Cブロック 魂魄妖夢…

Dブロック 二宮優…

Eブロック 大門金次…

Fブロック 六道仁…

Gブロック 五位堂光…

Hブロック 七瀬愛美…

Iブロック 雨宮二郎(和歌山県代表)…

Jブロック 雨宮四郎(三重県代表)…

 

 

 

 霊夢達はVIPルームにいた。

 

「見事に分かれたわね。」

 

「これだと当たるのは2回戦からだぜ。」

 

霊夢と魔理沙が率直な感想を述べた。

VIPルームには個人戦出場選手以外の神光学園、首里高校、白雪高校、鷹岡高校、仙台高校、紅魔学園の団体戦メンバーと映姫の推薦で椛がいた。

ちなみに大和は帝国軍本部に戻り、桜はスウェーデンに、神子はまた旅に出てしまった。

 

《15分後に第1試合を開始いたします。選手の皆さんは指定された会場へ移動してください》

 

アナウンスが聞こえると出場選手の携帯端末に試合スケジュールと試合会場の場所が受信される。

黒刀の第1試合会場はこの中央会場だった。

 

「じゃあ、このまま動かなければいいか。」

 

既にデュエルジャケットを装着している黒刀はその場で目を閉じて立ち止まる。

 

 

 

 15分後。

黒刀がゆっくりと目を開けると10m手前にSDを起動している対戦相手が立っていた。

黒刀は鞘から『八咫烏』を振り抜く。

 

《3…2…1…0.デュエルスタート》

 

「カオス…ブレイカー!」

 

 

 

 午後9時。

結局2回戦に残った選手のほとんどは全勝で勝ち上がってきた者だった。

黒刀は全試合を無傷で秒殺した。

データ整理をしながら今夜発表される2回戦の組み合わせを待っていた。

 

「本当の闘いはここからだ。」

 

黒刀が独り言をつぶやいたその時、携帯端末にメッセージが届いたので空間ウインドウを展開して確認した。

そこには…

 

Aブロック

四季黒刀

七瀬愛美

五位堂光

大門金次

雨宮四郎

 

Bブロック

フランドール・スカーレット

魂魄妖夢

二宮優

六道仁

雨宮二郎

 

以上の組み合わせとなった。

 

「七瀬…五位堂…それと大門金次…。」

 

黒刀は空間ウインドウを凝視しながらそうつぶやいた。

 

 

 

 妖夢も部屋で組み合わせを確認していた。

 

「フランドール・スカーレットに二宮さん…六道さん…これは厳しい闘いになりそうだな。頑張ろう!」

 

妖夢は拳を握って気合いを入れる。

そんな妖夢ににとりが声をかける。

 

「六道はまだひよっこだが二宮は黒刀との試合を見ても分かる通りとんでもなく強い…そしてあのフランって子だが…気をつけろ。あの子、嫌な感じがする。」

 

妖夢は空間ウインドウを閉じてにとりを見る。

 

「どういうことですか?」

 

妖夢の問いににとりは首を横に振る。

 

「分からない…ただ異様なんだ。あの子からは別の力を感じる。」

 

「(『機械王』のにとり先生がそこまで言うなんて…でもきっと剣でぶつかり合えば何か分かるはず…。)」

 

妖夢は夜景に視線を移したがその空は曇っていた。

 

 

 

 8月8日 午前10時。

東会場 二宮優vs雨宮二郎。

西会場 四季黒刀vs雨宮四郎。

 

 黒刀の前に立つ雨宮四郎が話しかけてきた。

 

「おい、抽選会では兄貴がお世話になったらしいな。」

 

「兄貴?」

 

黒刀は首を傾げた。

 

「和歌山県代表だよ!2人組で二郎と三郎!」

 

「あ~あいつらか。」

 

黒刀はようやく記憶から絞り出す。

 

「で、お前はその弟ってわけか。」

 

「そうだ!雨宮四郎だ!覚えとけ!」

 

「天草四郎?」

 

「言うと思ったよ!天草じゃねえ!雨宮だ!」

 

「あ、そう。」

 

「てめえ。」

 

雨宮四郎は今にも殴りかかりそうだった。

 

 

 

 一方、西会場では…

 

「教えてやるぜ!俺が本当の『二』の名を持つにふさわしいってことをな!」

 

雨宮二郎は言った。

 

「俺にこそ『四』の名はふさわしい!」

 

雨宮四郎も言った。

それを聞いた黒刀と優。

 

「「あ?」」

 

一瞬で目つきが変わった。

 

《3…2…1…0.デュエルスタート》

 

「カオスブレイカー!」「ディメンションレーザー!」

 

「「う、うわああああああああああああああああああああ!」」

 

雨宮兄弟は瞬殺された。

 

《1…2…3…4…5…6…7…8…9…10.勝者》

 

《四季黒刀》《二宮優》

 

「調子に乗るな…雑魚が。」

 

別々の会場にいる黒刀と優の言葉が重なった。

そして、この試合で重傷を負った雨宮兄弟はこの後の試合を全て棄権する羽目になった。

 

 

 

 南会場。

七瀬愛美vs五位堂光の試合は魔法も霊術も叩き斬ってしまう光の猛攻で光の勝利となった。

 

 北会場。

フランドール・スカーレットvs六道仁の試合は仁も奮戦したがフランの勝利となった。

 

 

 

 個人戦は人数が少ない為、連戦になることが多い。

しかも雨宮兄弟が棄権してしまった為、8人になってしまったので東西南北に分かれて試合をするとなると全員が連戦というハードな試合スケジュールとなる。

第1試合がなかった妖夢と金次も第2試合から参戦となる。

注目すべき試合は…

 

南会場 七瀬愛美vs四季黒刀。

北会場 フランドール・スカーレットvs二宮優。

この2試合となった。

 

 

 

 南会場 『魔女』vs『破壊王』。

黒刀はフィールドへ続くゲートをゆっくり歩いて進む。

ゲートを抜けてフィールドに入場すると愛美が既に待ち構えていた。

 

「やっと来たわね…悪いけど男相手に負ける気しないから。」

 

七瀬は余裕の笑みを見せる。

 

「………黙れよビッチ。」

 

カッチーン。

 

黒刀の一言に愛美はキレた。

 

「ふふ…ふふふ…言ってくれるわね。このヘタレが!」

 

グサッ。

 

愛美の言葉の刃が黒刀の心に突き刺さった。

 

「な…何を…。」

 

「押しに弱い。押すのも弱い。これがヘタレではなく何だって言うの?」

 

 

 

 VIPルームで黒刀と愛美のやり取りを見ていた映姫がため息を吐いた。

 

「始まりましたか…。」

 

「何がですか?」

 

魔理沙が訊く。

 

「七瀬愛美はナンバーズの中でも末っ子で黒刀は下から2番目。まあくだらない兄妹喧嘩みたいなものです。」

 

「確かに黒刀先輩って短期なところありますしね。」

 

霊夢は納得する。

 

「それに七瀬愛美は凄く毒舌ですから黒刀とは昔から気が合わないみたいです。」

 

「「「「あ~。」」」」

 

霊夢、魔理沙、チルノ、大妖精は一昨日黒刀と愛美が揉めていたことを想いだした。

 

「毒舌なのに『魅了』のスキルを持っているって男にとって相当タチが悪いじゃねえか。」

 

魔理沙の言葉を聞いた一同は首を縦に振って頷いた。

 

 

 

 

「とりあえずぶった斬る!」

 

黒刀は鞘から『八咫烏』を振り抜く。

その勢いで風圧が発生するが愛美は動じない。

 

「忘れたの?私には『魅了』がある。これがある限り私が男に負けることはない。」

 

「それはどうかな?」

 

黒刀は不敵な笑みを浮かべた。

 

「なんですって?」

 

「やってみろよ!俺には効かない!」

 

「上等じゃない!」

 

《3…2…1…0.デュエルスタート》

 

「お望み通りやってあげるわよ!」

 

愛美は眼鏡を外して黒刀を捉える。

黒刀の頭が項垂れる。

 

「(勝った!)」

 

勝利を確信した愛美。

しかし黒刀の顔が上がると、

 

「ほら。効かないって言っただろ。」

 

「な、なんで…。」

 

愛美は戸惑う。

『魅了』は強力なスキルだが意志が強ければ抗える。

 

「(ということは黒刀には『魅了』を無効化するほど愛する人がいるってこと?)

いいわ…なら力で倒してあげる!トランス!マジカルガール!」

 

愛美が詠唱すると全身が光に包まれそれが弾けると魔法少女に変身した愛美が現れる。

 

「お前それ…年齢的にアウトだろ。」

 

愛美の姿を見た黒刀はそう口にした。

 

カッチーン。

 

「うるさい!」

 

愛美は叫びながらステッキから魔法弾を放つ。

黒刀はそれを『八咫烏』で切り裂く。

 

「大体そんなこと言ったら魔理沙だって同じようなものでしょ!」

 

愛美の言葉を聞いた魔理沙は立ち上がった。

 

「私はあんなイタい奴と一緒じゃない!」

 

「「「(そうか?)」」」

 

それに対して霊夢、チルノ、大妖精は疑惑の視線を向けていた。

 

 

 

 黒刀は軸足を動かさず『集中』のスキルは発動していた。

愛美はそれに気づく。

 

「それをやられると面倒ね。なら奥の手を使うしかないわね。」

 

「奥の手って…まさか!」

 

「そう!『魔女の手』よ!」

 

愛美は右手には装着している革手袋を外した。

すると右手からもう1つの黒い実体のない右手が現れた。

それはまさに『魔女の手』だった。

 

「分かっていると思うけど私に背を向けたらダメだよ。」

 

「分かっているさ。」

 

黒刀の顔から嫌な汗が流れる。

 

「これ使うの久しぶりなんだ。小さい頃はこれを使って私に嫌がらせしてくる女子を夜中にこの手で後ろから肩をよくつついてたな。」

 

「ホラーだな。」

 

愛美の思い出話に黒刀は苦笑で返した。

 

「それは…どうも!」

 

愛美が『魔女の手』を黒刀に向けると『魔女の手』が伸びた。

 

「この手は世界の原理から外れている!斬ることは出来ないわよ!」

 

それを聞いて黒刀は舌打ちして後退するが『魔女の手』は伸び続けている。

 

 この『魔女の手』は愛美が幼少の頃に本物の魔女にかけられた呪いである。

だが彼女はその呪いを躊躇いなく使っていた。

 

「アハハ!どうしたの!逃げてるだけじゃ勝てないよ!それにこの手はどこまでも伸び続ける!敵を捕らえるまで!」

 

『魔女の手』の速度は予想以上に速かった。

 

「(ならあいつを斬る!)」

 

黒刀が踏み込もうとしたその時、愛美は黒刀の10m背後に現れた。

 

「転移魔法⁉まずい!」

 

黒刀が振り返ろうとする。

 

「遅い!」

 

愛美は『魔女の手』を黒刀に向けた。

『魔女の手』は一瞬で黒刀の首を掴んでいた。

 

「この『魔女の手』は相手の背中に向けると距離・速度関係なく既に相手を()()()()()()()()。つまり…」

 

「事象の操作…。」

 

黒刀は首を掴まれている状態で言葉を絞り出す。

 

「さすがIQ210だね。でも一度捕まえてしまえばこっちのもの!」

 

今の愛美の顔はまさに魔女そのものだった。

 

「くそ…この…。」

 

黒刀はなんとか抵抗しようとする。

 

「無駄よ。『魔女の手』を振りほどくことは出来ない。絶対に!」

 

愛美の魔女としての顔がさらに強くなる。

左手に持ったステッキを黒刀に向けると砲撃魔法を放つ。

黒刀はそれを『破壊王の鎧』で消し去る。

 

「しぶとい…。」

 

愛美が苛立ち始める。

 

「(間違いない。呪いに侵食されている。どうする…どうすれば…。)」

 

黒刀は考えていたのその時、『八咫烏』が何かを伝えようと震えていた。

それを見た黒刀は気づいた。

 

「(そうか。そういうことか。)」

 

黒刀は首を絞める『魔女の手』に顔をしかめながらこう唱えた。

 

「くっ…霊剣化!」

 

すると『八咫烏』の刀身が半透明になった。

黒刀は首を絞めている『魔女の手』を…斬った。

 

「なっ!」

 

愛美は驚愕する。

その隙を逃さず黒刀は振り返る。

 

「モードチェンジ!サムライ!」

 

黒刀の全身を黒い木の葉が渦巻いていく。

木の葉が吹き飛び黒刀は『サムライモード』に変身した。

 

「どうして…『魔女の手』はこの世界のものじゃない。斬れるはずがない!」

 

声を荒げる愛美に対して黒刀は『八咫烏』の剣先を向ける。

 

「確かに実体のある剣じゃ斬れない。けど霊剣となった剣は元々亡霊を成仏させる為の剣と言われている。この世ならざるその『魔女の手』ならもしやと思ったが当たりだったようだな。」

 

黒刀は推論に愛美は舌打ちする。

 

「(大丈夫…根元さえ斬られなければ『魔女の手』は何度でも使える。転移して今度はあいつの左手首を掴む。そうすれば刀は振れない。)」

 

愛美は転移魔法で黒刀の背後に移動したが、その時既に黒刀は愛美の方に体を向けていた。

 

「くっ!」

 

「さっきは油断したがもうしない!」

 

そこで愛美は黒刀と咲夜の試合を思い出した。

彼は咲夜の次に移動する位置を『千里眼』と『超反射』とその頭脳で予測していた。

つまり今回も同様に転移する位置を予測されたのだ。

 

「背後に移動すると分かっていれば後はタイミングだけだ!」

 

黒刀は床を蹴って愛美に接近していく。

 

「くっ!」

 

愛美は『魔女の手』を伸ばす。

黒刀はそれを斬りながら進む。

 

「(落ち着け。今あの刀は私を斬れない。なら勝機はある!)」

 

愛美はステッキを黒刀に向けて砲撃魔法を放つ。

今の『八咫烏』に斬れるのは『魔女の手』だけなのでこれは斬れない。

黒刀は『破壊王の鎧』を発動したまま突き進む。

そして、ついに愛美にゼロ距離で接近した。

 

「四季流体術 大和魂!」

 

黒刀は右手の拳で愛美の腹を力いっぱい殴る。

 

「がはっ!」

 

愛美は声を上げる。

黒刀はそのまま拳を振り抜いた。

愛美は結界に背中から叩きつけられて床に落下した。

 

《1…2…3…4…5…6…7…8…9…10.勝者 四季黒刀》

 

黒刀の勝利を知らせる機械音声に観客は盛り上がり大歓声を上げた。

黒刀はクールに『八咫烏』を鞘に納めた。

 

「(優の試合、どうなったかな…。)」

 

 

 

 北会場。

優は膝をついていた。

 

「フッ…とんでもない1年がいたもんだな。」

 

優は上を見上げてそう口にした。

優の視線の先には空中で翼を広げて紅い眼を輝かせるフランドール・スカーレットがいた。

そして…笑った。

 

 

 

 黒刀が北会場に到着した時には決着がついていた。

 

「優が…負けた。」

 

黒刀には半ば信じられない気持ちがあった。

黒刀自身、優の強さは身を持って知っているからだ。

 

「フランの強さ…決勝まで行けば分かるのか…。」

 

黒刀は少し考えた後、次の試合がある南会場に歩いていくのだった。




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