東方剣舞   作:kuroto xanadu

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第2話です。
今さらですが各話の前書きにOP、後書きにEDを書きます。
理由はYouTubeなどからそのアニメに興味を持っていただけたらというささやかな願望です。
よろしくお願いします。

OP1 学戦都市アスタリスク「Brand new world」


決闘

 入学式が終了し、黒刀は帰ろうと廊下を歩いていた。

その時。

 

「黒刀!」

 

映姫が怒りを露にしながら弟である黒刀を呼び止めた。

 

「あ、姫姉。おつかれ。」

 

「おつかれじゃありません!なんですか!あれは!ふざけないでください!」

 

「まあまあ、会長落ち着いて下さい。」

 

映姫の隣にいる小町がなだめる。

 

「これが落ち着いていられますか!」

 

「…姫姉、俺は冗談や遊びであんなことを言ったわけじゃない。」

 

「なら一体どんな理由があるというのですか?」

 

映姫がジト目で問う。

 

「今年の剣舞祭の団体戦で優勝するためだ。…去年みたいなのはもう御免だからな。」

 

それを聞いた映姫は黙ってしまう。

 

「俺が今、他のメンバーに求めているのは実力じゃない。闘争心だ。」

 

「実力がなきゃしょうがないだろ。」

 

小町が黒刀の言葉を否定する。

 

「そんなものは一月あれば全国レベルに鍛えられる。闘う意志のない者は100%の力を発揮することなど到底無理だ。」

 

「それであの宣言ですか?」

 

映姫がそこでようやく黒刀の言いたいことを理解し始める。

 

「ああ、本当に上を目指す気があるなら『最強』相手に挑まないはずがない。」

 

「まさか、1年相手に決闘を?」

 

「挑む奴がいたらな。」

 

「まだ早いです。勝負にならないに決まっているでしょ。」

 

映姫が黒刀に詰め寄る。

 

「だろうな。だが勝敗に興味はない。目的は1年の中でメンバー候補を探すことだから。別に驚くことじゃないだろ俺も去年出たんだから。」

 

「いや、次元が違うだろ。」

 

小町が呆れた声を出す。

 

「生徒会は校則で剣舞祭に出場できないし、今の2年と3年は期待できない。去年があれだからな。」

 

黒刀の言葉を聞いて映姫は一度目を閉じた後、口を開いた。

 

「なるほど、黒刀の考えは理解しました。ですが以後はもう少し慎重に行動して下さい。」

 

「りょうか~い。」

 

黒刀は間の抜けた口調で返事する。

 

「まったく。」

 

映姫は腰に手を当ててため息をつく。

 

「(相変わらず仲が良い姉弟だな。見てて微笑ましい光景だ。)

 

「行きますよ小町。」

 

「はい。」

 

映姫は踵を返して生徒会室に向かい、小町がそれについていく。

 

と、そこで

 

「あっ小町先輩、昨日カフェで食べたパフェ美味しかったですよ。ご馳走さまでした。」

 

そう言って去っていった。

 

黒刀が去った後、映姫が立ち止まる。

 

「…小町。」

 

「はい、何ですか?」

 

「昨日は校内パトロールの日だったはずですが、どうして私の弟がパフェをご馳走になっているのですか?」

 

「いや、それは…その…そう!パトロールが終わった後に行ったんですよ!弟君にも偶然会って。」

 

小町は冷や汗たっぷりだった。

 

「…そうですか。」

 

「(はあ~セーフ。)」

 

小町は心の中で安心する。

 

しかし次の瞬間、映姫は満面の笑顔を浮かべ、

 

「ちなみに黒刀は昨日私と一緒に下校したんですよ。」

 

「えっ?」

 

「ふふ、小町さぼりましたね。それでは行きましょうか。」

 

「えっ、行くってどこへ?」

 

「決まっているじゃないですか。生徒会室でじっくりたっぷりお説教です。」

 

「あの会長、笑顔が怖いですし、あと引っ張らないで欲しいんですけど…。」

 

「問答無用です。」

 

映姫はその小さな体格からは信じられない程の力で小町を引きずり始めた。

 

「えっ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

廊下に小町の悲鳴が響きわたるのだった。

 

 

 1年A組教室。

 

「ねえ、さっきの四季黒刀って人のことどう思う?」

 

唐突に霊夢がそんなことを聞いてきた。

 

ちなみに今はまだ担任の教師が来ておらず、妖夢の席の周りに霊夢と魔理沙が集まっている。

 

「どうってタイプかってことか?」

 

「ちっがうわよ!さっき何であんなことを言ったんだろうって話。」

 

「さあ、相当自信家だったんだろ?」

 

「…妖夢はどう思う?」

 

「…えっなに?」

 

「聞いてなかったの?」

 

「すみません。」

 

「四季黒刀の事について話していたの。」

 

「もしかして前に会ったことあるのか!?」

 

魔理沙が身を乗り出す。

 

「ないです!ないですよ!ただ…その私、去年の剣舞祭の個人戦の予選を観に行ったことがあるんです。1回戦だけですけど。その時にあの人の試合を観てその~…」

 

「憧れた?」

 

霊夢は頬杖をつきながら妖夢に聞いた。

 

「はい…。」

 

そう答える妖夢の顔は恥ずかしさで真っ赤になった。

 

「なるほど納得だぜ。」

 

 その時。

教室の電動ドアがウィーンと音を立てて開いた。

教室に入ってきたのは頭に六面体と三角錘の間に板を挟んだような形の青い帽子をかぶった上下青い服を着た青のメッシュが入った銀髪ロングの女性だった。

 

「はい、皆さん着席して下さい。」

 

「じゃ後でね。」

 

「またな。」

 

霊夢と魔理沙はそう言って自分の席に戻っていく。

 

「はじめまして。1年A組の担任の上白沢慧音です。

よろしくお願いします。」

 

『よろしくお願いします!』

 

「ではまず皆さんに自己紹介してもらいましょう。

出席番号1番から。」

 

 そして、順番が魔理沙にまわってきた。

 

「私は霧雨魔理沙!私の目標は世界最高の魔法師になることだぜ!」

 

魔理沙がそう名乗ったその時。

最後列の大柄な男が

 

「ハッハッハ!てめえみたいな奴がそんなものになれるわけねえだろうが!マジウケるわ!」

 

「なんだと!」

 

「魔理沙、ダメだよ!」

 

妖夢が慌てて魔理沙を止める。

 

さらに大柄な男の隣の席に座っている細身で小柄な男も止めようとする。

 

「おい、やめた方がいいって…。」

 

「なんだ?びびってんのか。」

 

「いや別にそういうわけじゃ…。」

 

「あなた達、入学早々気が高まるのは分かるけど今は自己紹介の時間よ。」

 

一触即発の空気に慧音が止めに入った。

魔理沙は渋々席に座る。

 

「では次。」

 

言われて妖夢が立ち上がる。

 

「はい!魂魄妖夢です!剣士です!よろしくお願いします!」

 

妖夢が元気よく自己紹介すると、またさっきの大柄な男が

 

「ハッ、そんな柔な体で剣が振れんのかよ!」

 

「大平《おおたいら》君、いい加減にしなさい。」

 

「待ってくださいよ先生。俺も剣士だ。

これだけは言わせてもらうぜ。おいお前、一体そんな体で何を目指そうっていうんだ?」

 

妖夢は大平の方をしっかり見ると、

 

「私は…四季黒刀を超える剣士になります!」

 

「…ハッハッハ!こいつは傑作だ!お前それ本気で言ってんのか!無理に決まってんだろ!馬鹿じゃねえの!」

 

「てめえ!ふざけるのもいい加減にしろよ!」

 

大平の発言に魔理沙が激怒した。

 

しかし、妖夢は起こることなく

 

「いいんです魔理沙。先生続けて下さい。」

 

と、静かに着席した。

 

「では次。」

 

「はい。」

 

立ち上がったのは緑色の髪のサイドテールで背中に鳥のような一対の羽を生やした小柄で可愛らしい女の子だった。

 

「大妖精です。よろしくお願いします。」

 

大妖精はお辞儀をして自己紹介する。

すると、周りの男子生徒が

「あの子、可愛くね。」

「お前、飯誘えよ。」

「いや、お前がいけよ。」

と肩をど突き合っている。

それを聞いた魔理沙が

 

「男って単純だな。」

 

「はい、次。」

 

呼ばれた生徒は…爆睡していた。

その生徒は水色の髪のセミショートで、氷の翼を生やした小柄な女の子だった。

 

「ぐ~zzz」

 

「起きてください。」

 

慧音は注意するがまだ爆睡中。

 

すると慧音は

 

「ふふふ。」

 

不気味な笑い声を出した。

 

「チルノちゃん、起きて!先生怒ってるよ早く!」

 

「むにゃ~あと5ふ~ん。」

 

「大妖精さん、ちょっとそこどいていた方がいいですよ。」

 

「えっ?」

 

大妖精が驚いて教壇の方へ向いたその瞬間、顔の横を何かが通りすぎていった。

そしてチルノの頭に直撃し2m程吹っ飛んだ。

 

「いっってぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

チルノは女の子とは思えない悲鳴を上げた。

彼女の頭に直撃したのは慧音が指先から放たれた魔法弾だった。

あまりの痛さに転がり回りながら悶絶する。

 

「次からは居眠りしないようにね。」

 

「あ~いったぁ~!分かりました。」

 

「よろしい。では改めて自己紹介して下さい。

チルノさん。」

 

チルノの謝罪に慧音は受け止め進める。

チルノは立ち上がり腰に両手に当てると

 

「あたいはチルノ!天才で最強だ!よく覚えとけ!」

 

 

10秒程の沈黙があり、クラスのほとんどの者が

「ぷっ!」

「あっはっは!」

「まじかよ!」

「ウケる~!」

「ばっかじゃねえの!」

と、チルノを笑うが、

チルノはそれに対し、気を落とすわけでも恥ずかしがるわけでも怒るわけでもない。

 

「ふっふっふ!」

 

なぜか堂々としている。

 

「こういうのを知ってるよ!弱い犬ほどよく吠えるって奴だね!」

 

そう言って胸を張った。

それを聞いた先程彼女を馬鹿にした者達は

『はあ!?』

「吠えてんのはお前だろ!」

「そうだ!寝ぼけてんのか!」

 

チルノはその罵倒を聞いても

 

「やれやれ格の違いに気づかない連中はほんと不憫でしょうがないね!」

 

笑い飛ばした。

そこで大平が席から立ち上がると

 

「じゃあここで証明してやろうか?決闘でよ!」

 

と前に出ようとしたその時。

 

「今は認められません。大平君。」

 

慧音が止めに入った。

 

「ちっ!」

 

大平は舌打ちして席に座り直す。

やがて霊夢の順番が来た。

 

「博麗霊夢よ。よろしく。」

 

霊夢は自己紹介を簡潔に済ませて座り直した。

そして全員の自己紹介が終了したところでチャイムがなるさ。

 

「では今日はこれまでですね。」

 

慧音はそう言って教室から退室した。

すると魔理沙がチルノと大妖精のところへ歩いていき

 

「なあお前、一体何者なんだ?」

 

とチルノに問いかけた。

 

「…誰?」

 

「霧雨魔理沙だ。さっき自己紹介しただろ。」

 

「その…チルノちゃんは寝てたから。」

 

苦笑いする大妖精。

チルノは勢いよく立ち上がる。

 

「まあいいや。あたいの凄さが知りたいんだったな。

あたいはな」

 

「入試の実技トップなんだよ。」

 

「大ちゃん、何で先言っちゃうの。」

 

「ごめんね。自慢したくてつい。」

 

「そういう大ちゃんだって座学トップじゃん。」

 

「いや…そんな…私なんて大したことないよ…。」

 

「謙虚だな~。」

 

そんな話の中、妖夢は寝ている霊夢を起こそうとしていた。

 

「霊夢、起きて下さい。もう放課後ですよ。」

 

「zzz」

 

「はあ…。」

 

「妖夢、私が起こすぜ。」

 

魔理沙はそう言うと霊夢の耳元に顔を近づけてこう囁いた。

 

「…あ~お賽銭箱の中に一億円が~。」

 

「何ですって!」

 

霊夢がバッと起き上がる。

 

「あれ?金は?私の一億はどこ?」

 

「おはよう霊夢。」

 

「魔理沙?ここ学校?」

 

「そうだぜ。」

 

「ま~り~さ~騙したわね!」

 

「起きない方が悪いんだぜ。妖夢が起こそうとしたのに起きないし。」

 

「そうなの?ごめんね妖夢。」

 

「いえ。」

 

「(私の時と態度が違うじゃねえか!)」

 

「よし帰りましょう。」

 

「切り替えはやっ!」

 

魔理沙がそうツッコんだ時。

 

「あの…私達もついていっていいですか?」

 

大妖精がお願いをしてきた。

 

「ええ、構いませんよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「あたいもついていってやるよ!」

 

「お前は何で上から目線なんだよ!」

 

「あたいが最強だからさ!」

 

「…こいつバカだ。」

 

魔理沙はついにツッコミを放棄した。

 

 そうして教室を出ていく5人を追って大平が教室を出ていこうとすると、細身の小柄な、小金という名の男が

「おい大平、何するつもりだよ?」と呼び止めた。

 

「決まってんだろ。あいつらに痛い目にあってもらうんだよ。」

 

「えっマジ?」

 

「ああ。俺は弱い奴が大嫌いなんだよ。特にあの大妖精とかいう女、ああいうのが1番ムカつくんだよ。行くぞ。」

 

「おい待てよ!」

 

2人は教室を出ていく。

 

 

 昇降口。

「あ~!あたい忘れてた!」

 

チルノがいきなり大声を上げた。

 

「「「「何を?」」」」

 

4人は声を揃えて疑問を口にする。

 

「あの黒刀って奴に決闘を挑むんだった。」

 

「えっ今日ですか?」

 

「お前いくらなんでもそれは…」

 

「それじゃ、あたいあいつ探してくる!」

 

チルノは妖夢と魔理沙の言葉を聞かず猛ダッシュで走り去っていってしまった。

 

「じゃあ、私達は帰るけど?」

 

「ごめんなさい。私はチルノちゃんを追いかけます。」

 

霊夢の言葉に大妖精は一緒に帰ることをお願いした身であるので申し訳なさそうな顔をした。

 

「そうか。それじゃ。」

 

「バイバイ~。」

 

「また明日。」

 

魔理沙、霊夢、妖夢がそれぞれ別れの挨拶をした。

 

「はい。また明日。」

 

大妖精もそう返して駆けて行った。

 

3人も正門の方に向き直って歩き出したその時。

ドンッとぶつかる音が後ろから聞こえた。

 

「きゃっ!」

 

声が聞こえ振りかえると大妖精が誰かとぶつかり尻餅をついていた。

 

「おい、いてぇじゃねえか!」

 

大平だった。

 

「ご、ごめんなさい!」

 

大妖精が慌てて立ち上がり頭を下げて謝る。

 

「あ!?謝って済むと思ってんのか!」

 

「今、あいつからぶつかったよな。」

「ああ。」

周りにいる野次馬がひそひそと話す。

 

「あぁ?何か文句あんのか!」

 

大平は野次馬に向かって大声で吠え、さらに続ける。

 

「俺はな、お前みたいに弱い奴がこの学園にいるのがムカついてしょうがねえんだよ!」

 

「わ…わたしは…」

 

「さっさとこの学園から消えちまえよ!」

 

大平はそう言い放った直後、大妖精の頬を叩いた。

 

「うっ!」

 

大妖精はそのまま後ろに飛ばされ倒れた。

 

「大妖精!」

 

「大妖精大丈夫か?」

 

「怪我はない?」

 

妖夢、魔理沙、霊夢が大妖精に駆け寄る。

妖夢はひとまず大妖精の無事を確認すると

 

「霊夢、魔理沙。大妖精をお願いします。」

 

「「えっ」」

 

「よ…うむさん?」

 

妖夢は大平の前に顔をうつむかせながら立つ。

 

「大平さん、ぶつかったのは大妖精のせいかもしれません。それでもちゃんと謝りました。叩くことはなかったはずです。謝ってください。」

 

「はぁ?何で俺が謝んなきゃいけねぇんだよ!

むしろそいつに謝って欲しいぜ!

弱くてごめんなさいってな!」

 

「野郎!」

 

大平の自分勝手な発言に魔理沙は堪忍袋の緒が切れて、飛び出そうとする。

 

しかし、

 

「そうですか。」

 

「妖夢?」

 

魔理沙は妖夢の様子が変わっていることに戸惑う。

 

妖夢は顔を上げて

 

「なら大平さん、私と決闘して下さい。」

 

「あ?」

 

「私が勝ったら大妖精に謝って下さい。」

 

「俺が勝ったら?」

 

「私がこの学園を去ります。」

 

妖夢の言葉を聞いた大平は少し固まった後

 

「はっ、ハッハッハ!」

 

嘲笑した。

 

「お前が?俺に?勝てると思ってんのか?」

 

「はい。」

 

「笑わせんじゃねえ!」

 

「逃げるならご自由に。」

 

その言葉に大平はカチンときた。

 

「いいぜ!受けてやる!」

 

2人は10m程離れる。

妖夢は右手で空間ウインドウを開いた。

 

現代では携帯端末の設定により指1つで空間ウインドウを開くことができるほど技術が発達しているのだ。

 妖夢は決闘申請のウインドウを開き、大平に申請を送信した。

この学園では決闘する際、相手の校内ランキングが表示される。

新1年生の初期ランキングは入試成績により決まる。

大平が見た妖夢のランキングは…294位だった。

全校生徒300人。この学園の生徒会は5人おり、それらはランキングに載らない。

つまり妖夢は…

 

「はあ?ビリ2かよ!よくその程度で決闘を挑んできたもんだな!」

 

大平は申請ウインドウに了承ボタンを押す。

すると、2人の周りに直径20mで立方体の半透明な結界が現れた。これが『デュエルフィールド』である。

このフィールド内では出血は発生せず、頭部や心臓などへの致命傷は全て精神ダメージに還元され気絶などする。

さらに2人の体が光に包まれる。

光が晴れるとそこに立っていたのは白シャツに青緑色のベストを着て緑色の短めのスカートを履いた妖夢と全身鉄の鎧で鉄の大剣を持った大平だった。

2人のこの装備こそ『デュエルジャケット』である。

 

「俺のランキングは200位。1年のランキングは入学時196位から数えられる。つまり俺は1年の中で5番目に強い!

お前とは格が」

 

「御託はいいですからさっさと始めましょう。」

 

自慢気に喋る大平の言葉を妖夢は遮った。

 

「チッ、すぐにその生意気な口もきけなくしてやるよ!」

 

風の音だけが響き、そして…

 

《3…2…1…0。デュエルスタート》

 

試合開始の合図となる機械音声が鳴り響く。

 

「ふっ!」

 

先に動いたのは妖夢だった。

地面を蹴り、一瞬で大平の懐に入り左腰の鞘から

妖夢の愛剣『楼観剣』を抜き、斜め下から斬り上げた。

 

いけぇ妖夢!

 

魔理沙のかけ声が響く。

 

「(いける!)」

 

だが…

 

キーンと音が響く。

妖夢の剣擊は大平の大剣によっていとも簡単にガードされてしまった。

 

「ハッ!勝ったと思ったか!」

 

「くっ!」

 

妖夢は距離を取るため離れる。

 

「ならば!」

 

妖夢はスピードを上げて、大平の周りを駆け回る。

 

「たしかにそれなりに速いことは認めてやる。

だがな!」

 

妖夢が大平の背後から斬りかかる。

だがまたもや大平にガードされてしまった。

 

「お前の剣筋は分かりやすいんだよ!」

 

大平はそのまま腕力で弾く。

 

「きゃあ!」

 

妖夢は吹っ飛ばされてしまう。

 

「今度はこっちからいくぜ!」

 

大平が攻め始める。

 

「(回避?だめだ。間に合わない。ここはガードだ!)」

 

妖夢は防御態勢を取る。

 

「そんな細い刀じゃ無理だな!ふん!」

 

大平は大剣を横に水平斬り。

それを刀で受ける妖夢。

 

「(重い!)」

 

妖夢の体勢が崩される。

 

「ハッハッハ!オラオラオラ!」

 

大平は大剣を上下左右に振り、猛攻を繰り返す。

 

「(くっ、このままじゃ…)」

 

妖夢はなんとかガードしている。

 

「おらぁ!」

 

大平は大剣を振り上げた。

 

「ぐあっ!」

 

妖夢の体は上に吹っ飛ばされた後、地面に転げ落ちる。

 

「がはっ!」

 

「妖夢さん!」

 

大妖精が悲痛の叫びを上げる。

妖夢の体はうつ伏せのまま起き上がらない。

 

「妖夢さん、もうやめて下さい!私のために傷つくなんてそんな妖夢さん、見たくないです!」

 

大妖精が涙を流しながら必死に叫ぶ。

 

「ほら、お友達もああ言ってるぜ。さっさとギプアップしな。そしたらもっと怪我せずに済むぜ。」

 

大平が勝利を確信した表情でそう言った。

その時。

『楼観剣』を握る妖夢の右手の指がピクッと動く。

 

「くっ。」

 

そして、だんだんと妖夢の体が起き上がる。

 

「こいつ、まだ…。」

 

大平が驚いた表情をする。

 

「はあはあ…大妖精。」

 

「妖夢さん…。」

 

「私は確かに今あなたのために闘っています。ですがそれだけが闘う理由ではありません。」

 

「えっ?」

 

「私は私の誇りのために闘っているのですよ。」

 

妖夢は大妖精に微笑んでそう口にした。

そして、再び大平の方へ向く。

 

「どうだ?ギプアップする気になったか?」

 

「まさか?まだ礼も返していませんし。」

 

妖夢は不敵な笑みを浮かべる。

 

「礼?」

 

「ええ、あなたのおかげで大切なことを思い出させていただきました。」

 

「ハッ!走馬灯でも見たか?」

 

「いきますよ!」

 

「ふん!今度こそ潰してやるよ!」

 

2人は同時に地面を蹴り、距離を詰める。

妖夢は目を閉じた。

 

「妖夢何やってんだ!あぶねえ!」

 

魔理沙が叫ぶが妖夢には聞こえない。

 

「(いつか黒刀さんがインタビューで言っていた。)」

 

『もしあなたの前に絶対に斬れない相手が現れたらどうしますか?』

『斬れるとか斬れないとかそんなことは考えませんし関係ありません。俺の頭にあるのは…』

 

「(そう。頭にあるのは…)」

 

『目の前にあるものを』

 

「(目の前にあるものを)」

 

「終わりだぁ!」

 

大平が大剣で突きを放つ。

そこで妖夢は姿勢を低くして回避する。

 

「「斬る!」」

 

妖夢は『楼観剣』を振り上げ、大平の大剣の刃を斬った。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

妖夢が雄叫びを上げたその瞬間、

信じられない程の何かが体の底から溢れ出す。

 

「くっ、何だこの力は!?」

 

大平は信じられないという表情をする。

 

ピキピキッ。

 

「はっ、俺の大剣にひびが!」

 

「はあっ!」

 

妖夢が『楼観剣』を振り抜く。

パキンッ音を立てて、大平の大剣の刃が折れ、ほぼ柄だけの状態となってしまった。

 

「俺の大剣が!」

 

「…あなたは私の友達を傷つけた。」

 

「はっ!いや…待て!もういい俺の負けでいい!

だから…」

 

妖夢の『楼観剣』の刀身に強い力が集束する。

 

「ひっ!もういやだ!ギブアッ」

 

「妄執剣 修羅の血!」

 

妖夢が猛スピードで大平を斬り抜いた。

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

大平の体は上に吹っ飛び、やがて地面に落ちて仰向けに倒れた。

 

「私がいくら馬鹿にされようと構わない。

 

だが友達を傷つける奴は絶対に許さない!




ED1 遊戯王5Ds「START」

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