新章スタートです!
国が燃えている。
ここではないどこか…今ではないいつかで…国が燃えている。
その業火の中で悲しみの叫びを上げる者がいた。
その者の名は…
8月15日。
剣舞祭が終わってから1週間後の午前5時。
黒刀は突然、目が覚めた。
「はあ…はあ…今のは…夢?しかし…何だこの胸の奥に突き刺さるような痛みは…何か…何か大切なことを忘れている…そんな気がする。」
そこまで考えてから映姫を起こさないようにベッドから出て階段を降りて寝間着のまま
玄関から外に出てポストに入っている新聞を取りに行った。
ポストの中を見ると新聞と封筒が1つ入っていた。
「何だ…これ?」
ポストから新聞と一緒に取り出して家の中に入った。
リビングに入りテーブルの上に新聞を置いてから封筒の封を切って中の物を取り出す。
中には大小に分かれる2枚の紙が入っていた。
黒刀はまず小さい紙を開いて内容を呼んだ。
そこにはこう書かれていた。
10年前の真実を教えてあげます。
知りたければもう1枚に記した場所まで来てください。
黒刀はもう1枚の大きな紙を開いて見た。
そこにはモンゴルの地図が記されていた。
さらに地図の左側の一点には赤丸で囲まれていてそこに矢印でこう書かれていた。
ザナドゥ王国
それを目にした黒刀は激しい動悸を感じた。
さらに頭痛もしてきた。
「俺は…この場所を知っている…いや…そんなはずは…知らない…ザナドゥ王国なんて…。」
黒刀は言葉を連ねた。
イタズラにしては内容が不自然過ぎるし何より黒刀の心がこれを無視してはいけないと告げていた。
「でも…ここの近くには確か………行ってみるかここに…。」
黒刀は映姫を起こさないように身支度を済ませると2枚の紙が入った封筒を持って玄関から家を出た。
「ごめん…姫姉…多分これは俺の問題なんだ…。」
黒刀はドアを閉める直前にそう謝った。
8月15日 午前5時30分。
四季黒刀は幻想町を去った。
8月15日 午前9時 大阪国際空港ターミナル。
この日は黒刀と映姫が妖夢達を連れて桜の暮らすスウェーデンに遊びに行く日だった。
妖夢、霊夢、魔理沙、チルノ、大妖精は既にターミナルで待っていた。
「黒刀達、おっそ~い!」
チルノが駄々をこねていた。
「チルノちゃん、私達は誘われたんだから少し待たなきゃダメだよ。」
大妖精がチルノを嗜める。
「でも、さすがに遅いぜ。黒刀はともかく生徒会長まで。」
魔理沙は不思議に思っていた。
「確かにそうね…。」
霊夢も頷いている。
妖夢も心配そうにしていたその時。
妖夢の携帯端末に着信が入ってきた。
妖夢は空間ウインドウを操作してモニター通信をつなぐ。
通信の相手は映姫だった。
《皆、揃ってる?》
映姫は何だか慌てている様子だった。
「はい。皆、空港ターミナルにいます。」
妖夢はモニターウインドウに皆の顔を映した。
《黒刀が…黒刀が飛行機で行ってしまったの!》
「何だ。先に行ったならそう言えば…」
魔理沙の安心した言葉を映姫は遮った。
《違います!黒刀が行ったのはスウェーデンではありません!モンゴルです!》
「「「「「え?」」」」」
妖夢達は耳を疑った。
《GPSで確認しました!私も今、空港に向かっています!もうすぐ着きますからそこで待っててください!》
「は、はい…。」
妖夢は動揺しながらも返す。
《それじゃ》
映姫は通信を切った。
午前10時。
映姫が大阪国際空港ターミナルに到着して妖夢達と合流した。
「会長、先輩がモンゴルに行ったってどういうことですか?」
「分かりません。ただ胸騒ぎがします。何か大きなことが起きようとしている…そんな気がします。皆さん、すみませんがスウェーデン行きはキャンセルして私と一緒にモンゴルに行ってもらえませんか?もちろんチケット代は私が払います!」
「でも…」
魔理沙が空港の空間ウインドウに視線を移す。
「3時間は待たないとモンゴル経路はないぜ。」
「それじゃ遅いわね…。」
霊夢はため息を吐く。
その時…
50m程離れた場所にレミリア、フラン、咲夜が歩いていた。
「そうだ!お~い!」
それを見た魔理沙がレミリア達を呼びに行った。
「何なのよ?私達、これからイギリスに帰るのだけれど…。」
呼ばれて来たレミリアが腰に手を当てて文句を言う。
「実は…」
映姫が妖夢達と同じように事情を説明した。
「ねえお姉様、助けてあげようよ。」
事情を聞いたフランがレミリアにお願いした。
「私からもお願いします。」
映姫は年下のレミリア相手に頭を下げた。
「頭を上げて下さい。…いいわ!咲夜、イギリス行きキャンセル!」
「しかし、それでは旦那様が…」
「咲夜、あなたの主は誰?」
「お嬢様です。」
咲夜は即答した。
「なら無駄な時間は取らせないでちょうだい。スカーレット家の自家用ヘリがあるからそれで行きましょう。」
「かしこまりました。」
映姫達を連れて非常口から抜けるとそこにはヘリポートがあった。
「15人は乗れるヘリよ。」
レミリアが澄まし顔で自慢した。
「「「「「す…すげえ…。」」」」」
庶民の5人は格差を感じた。
「操縦は咲夜がするわ。さて、自分勝手な男を連れ戻しに行きましょう!」
黒刀は既にモンゴルに到着していた。
かなりの距離を移動していくとそこには半径数㎞に及ぶ巨大なクレーターがあった。
黒刀は伊豆を見る。
「このクレーターの向こうか…ザナドゥ王国があるのは…。」
しかし黒刀の『千里眼』を以てしても向こう側を把握することは出来ない。
ただ…王国という割には建物の影すら見えない。
「とりあえず行ってみるか。」
クレーターを滑り終えて一番下の地面に着地する。
そしてゆっくり一歩ずつ歩いていく。
クレーターのちょうど中心まで到達すると黒刀はそこで立ち止まった。
「2時間歩いてこの距離か…。」
太陽はちょうど真上から日射しを差している。
その時、遠くからプロペラ音が聞こえてきた。
黒刀が後ろの空を見ると大きなヘリがこちらに向かって来ていた。
ヘリが黒刀の近くに着陸するとその中から映姫や妖夢達が出てきた。
映姫は黒刀に歩み寄ると頬を思いっきり引っぱたいた。
「黒刀!自分がどれだけバカなことをしているか分かっているの!」
映姫は激怒していた。
黒刀は叩かれた頬をたいして気にもせず映姫の目を見る。
「勝手に出て行ったことは謝る。けどこれは俺の問題なんだ。姫姉、父さんから聞いたことあるでしょ?ここがどういうところか。」
黒刀にそう言われて映姫はハッと気づき後ずさる。
「まさか…ここは…。」
黒刀は映姫の後ろにいる妖夢達を見る。
「そうだな…。妖夢達にもそろそろ話してもいいだろう。」
深く息を吸い込んで覚悟を決めたような顔をする。
「………俺は四季家の本当の子供じゃない。ここで四季大和に拾われた養子なんだ。」
黒刀の突然の告白に映姫以外の者は驚愕の表情を浮かべた。
「本当の子供じゃないって…どういうことですか?」
妖夢が困惑しながらも質問する。
「俺の誕生日が9月6日となっているのはその日が四季大和に拾われた日だったからだ。
俺はいつ生まれたかもどこから来たかも自分の名前すら知らない。覚えていないんだ。
四季大和…父さんに拾われる以前の記憶が俺には…ない。」
「10年前の9月6日…つまり第3次世界大戦の終戦の日です。お父様は敵軍総本部である北朝鮮を壊滅しその数時間後にこのモンゴルのある場所で非人道的な実験が行われているという情報を掴んですぐこの場所に向かいました。しかし、ここには研究所なんてなくあるのはこの巨大なクレーターだけでした。そして、その中心点…つまりこの場所で…」
「俺と父さんは出会った。」
黒刀が映姫の補足に付け足した。
10年前。
大和はクレーターの中心点で小さな男の子を見つけた。
歳は7歳くらいか…体や服はボロボロで今にも倒れそうだった。
目に生気は宿っていない。
「君、大丈夫か?」
大和はその男の子に近づいて手を伸ばす。
「っ!…大人…くる…な…消えろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
男の子が怒りを込めた目つきに変わり叫ぶと強烈は波動が放たれた。
「総帥!」
大和の体が少し後退していくと近くの兵士が声をかける。
「心配ない…それより銃を下ろせ。俺がなんとかする。」
「しかし…」
兵士が口ごもる。
「命令だ。」
大和はそう言い聞かせた。
オーラの波動に耐えながら一歩ずつ男の子に近づいていく。
「大丈夫だ…俺は君を傷つけない。」
大和は近づきながら言葉をかける。
しかし男の子はなおも怒りを込めた視線を向ける。
「嘘だ…お前達は…俺から…何もかも奪っていくんだ!」
「(まさかこのクレーターはこの子が…。)」
大和がそう思っていると男の子が突然、頭を抱えだして苦しんだ。
「う…うう…うああああああああああああああああああああああああ!」
大和は男の子の目の前までたどり着く。
「うああ!」
男の子は頭を右手で抱えながら左手で大和の腹を殴った。
「ぐっ!」
大和は子供とは思えないほど強烈な一撃に呻き声を上げるが…歯を食いしばって耐えると男の子の体はそっと抱きしめた。
「どう…して?」
男の子は大和の行動を理解できず固まってしまった。
「君を傷つけたりしない。そう約束したからな。なあ、教えてくれないか?君の故郷は?」
男の子はフルフルと首を横に振った。
「なら…君の名前は?」
「名前……名前…は…くろと。それが俺の名前…。」
「いい名だ。では『くろと』。私と家族にならないか?」
「家族?」
『くろと』は言葉の意味を理解できなかった。
「家族と言うのはこの世界で一番強い絆で結ばれたものだ。どうだ?」
『くろと』は少し迷っていたがやがて首を縦に振った。
「…なる。」
「よし…なら今日はお前は私の息子…『四季黒刀』だ。これからよろしくな。」
「うん。」
黒刀はようやく笑顔を見せた。
現在。
「それが俺と父さんの出会いだった。」
黒刀の話を聞いた妖夢達は言葉を出せなかった。
考えてしまう。
目の前にいるこの人が本当は一体誰なのか…と。
「父さんは俺のDNAを調べて俺が7歳であることを教えてくれた。
父さんは恐らく本当の誕生日と名前を知っている。
それでも教えられないのはそうする理由があるからだろう。
それは分かっている…だけど俺は知りたい。自分が何者なのかを。」
「それがここに来た理由ですか?」
映姫が真剣な顔で訊く。
「今朝、ポストにあるメモが入っていた。そこには俺の10年前の真実を教えると書かれていた。」
「そんなのイタズラかもしれないだろ?」
魔理沙が否定する。
「俺も最初はそう思った…けどどうしても否定しきれない。頭じゃなく心が。
指定された場所はここじゃなくこのクレーターを越えた先だ。…ここまで来られた以上仕方ない…ついてくるなら来ればいい。」
黒刀が前を向いて歩き出したその時…
…オカエリ…
声が黒刀の頭に響いてきた。
すると黒刀がいきなり頭を抱えだした。
「っ!」
その場にうずくまってしまう。
「黒刀!」「先輩!」
映姫と妖夢が駆け寄ろうとしたその時。
それを阻むように空から黒い光が降り注いだ。
そこから現れたのは6人の女だった。
「誰だ!」
チルノが叫ぶ。
「ザナドゥの民、風見幽香!」
「同じく
「同じく古明地さとり!」
「同じく古明地こいし!」
「同じく封獣ぬえ!」
「同じくルーミア!」
6人の女は1人ずつ高らかにそう名乗った。
ED6 魔法科高校の劣等生 ミレナリオ
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