東方剣舞   作:kuroto xanadu

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OP6
 遊戯王 OVERLAP



追憶

 2193年。

当時のぬえはクロトの他に2人の少女を1人で育てていた。

その少女達の名は『古明地さとり』と『風見幽香』。

0歳のさとりと3歳の幽香、そこに0歳のクロトが加わっていた。

勿論、初めのぬえは子育てなどしたことがなく苦労したが1年後にこいしとお空が加わった時には慣れていたしその4年後にルーミアが加わった時には立派に6人の子供を育てていた。その頃には5歳になったクロトとさとりや8歳になった幽香がぬえを手伝ってくれていたのでぬえとしても助かっていた。

 

 しかし、事件は突然、起きた…。

 

 

 

 2198年。

ぬえ達はザナドゥ王国跡地を拠点に暮らしている。

だがある日、そこへ怪しげな研究者達が侵入してきてクロト達を連れ去りに来た。

しかもそれはぬえと幽香が街へ買い出しに行っている間に起きたことだった。

戻ってきた時にはもうクロト達の姿はなかった。

 

 

 

 クロト達が連れ去られたのはザナドゥ王国跡地より数㎞手前になる巨大な研究所だった。クロトが目を覚ますとそこは真っ白な部屋の中だった。

 

「俺…そうだ。確か、さとり達と遊んでいたら変な奴らが来て…眠らされて…そこからは…ダメだ。何も思い出せない。」

 

クロトがそこまで考えてから周囲を見渡すと近くにさとり達が倒れていた。

 

「さとり!こいし!お空!ルーミア!」

 

クロトは1人ずつ名前を呼びながら駆け寄って揺すり起こそうとする。

最後にルーミアの様子を確認するがまだ1歳にもなっていない乳児なのでそっと頬に触れてから脈を確かめる。

そして、ようやくさとり、こいし、お空が目を覚ました。

 

「あれ…私達…。」

 

「ここは…どこ?」

 

「どうなっているんですか?」

 

さとり、こいし、お空が疑問を口にしながら起きた。

 

「分からない…。」

 

クロトがそう口にしたその時。

真っ白な部屋の中にモニターウインドウが展開されてそこに白衣を着た白髪の男が映る。

 

「お目覚めかね?諸君!」

 

「誰だお前は!何で俺達を捕まえる!」

 

クロトはその男を睨み問う。

男は薄気味悪い笑みを浮かべる。

 

「俺の名はドクターァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァワース!」

 

体をブリッジさせてから起き上がって名乗った。

 

「何でお前らを捕まえたかって?ハハハハハ!そんなの決まっている!これからお前らは俺の実験材料となってもらうからさ!」

 

「なんだと!」

 

クロトが怒りを露わにするがワースは全く動じる様子はない。

 

「おや?聞こえなかったかな?」

 

ワースは小馬鹿にするように返してきた。

 

「お前らがザナドゥの民の末裔だということは既に調査済みだ。ザナドゥの民は生まれつきオーラ量が多い。そこで!お前らには開発中の兵器の実験材料及び燃料になってもらう!」

 

ワースは両手を左右に広げて高らかに宣言した。

 

「ふざけるな!誰がそんなものになるか!」

 

黒刀は反抗的に怒鳴り返した。

 

「おいおい。そんなことを言っちゃってぇぇいいのかな?」

 

ワースはにやけて手元にあるボタンを押した。

真っ白な部屋の壁から装置が出て来てその先端から電気が放たれた。

その電気が眠っているルーミアに迫っていた。

 

「何!」

 

クロトは咄嗟に体を動かしルーミアに覆いかぶさる。

電気がクロトに直撃する。

 

「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

「ハハハハハ!どうだ!効くだろう?これで分かっただろう?お前らに拒否権はないんだよ!お前らはただ俺の実験材料として使い回されていればいいんだよ!」

 

ワースは高らかに笑った。

 

「「「クロト!」」」

 

さとり達がクロトに駆け寄る。

 

「大…丈夫…。」

 

クロトはなんとか言葉を振り絞る。

その時、ルーミアが目を覚ましてしまった。

 

「…う…うわああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

ルーミアが泣き出した。

 

「大丈夫だよ。俺がいるから大丈夫。」

 

クロトはルーミアを抱きしめて優しく囁く。

それに安心したルーミアは静かに眠った。

それを確認したクロトは首をモニターウインドウに向けると殺意を込めてワースを睨みつけた。

 

「この子は…まだ赤ん坊なんだぞ。」

 

「フフフ…予想通りだな。他の誰かが傷つけられると分かればお前は必ずそいつを守る。ほんと…バカだね!そんなガキ一匹の為に命張るなんてさ!ハハハハハ!」

 

高笑いするワース。

 

「許さねえ…絶対にお前だけは許さねえ!」

 

クロトは激怒した。

 

「さあて…そんな態度がいつまで持つかなぁ?1年?5年?10年?…楽しみだね~!お前が自分の敗北を認めるか。そんじゃ…始めるとするか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 悪魔の実験を!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クロト達がワースに捕らわれれていたその頃。

ぬえと幽香はワースの研究所前の草陰に身を潜めていた。

当時の研究所の周囲には自然に溢れていた。

 

「どうだ?幽香。」

 

ぬえが幽香に声をかける。

幽香は植物を操作して研究所への侵入を試みるが首を横に振った。

 

「ダメ。特殊な結界が研究所の周囲に張り巡らされていて干渉できない。」

 

「でも物理結界はない。なら無理やり突入するしかないな。」

 

「本気?」

 

「それしか方法がない。クロト達はまだ戦う術を知らない。自力での脱出は不可能だ。行くぞ!」

 

ぬえと幽香は研究所の正面の扉へ走る。

警備員はいない。

ぬえと幽香は霊力弾を放った。

だが扉は全くの無傷だった。

 

「くそ!」

 

ぬえは扉を必死に押したり引いたりするがビクともしない。

ぬえは膝をついて額と両手を扉につく。

 

「何で…何であの子達がこんな目に遭わなくちゃいけないんだ…。」

 

その目からは涙は零れていた。

 

 

 

 その状況を監視していた研究所の研究員がワースに耳打ちをする。

 

「主任、外に侵入を試みる者が2人います。迎撃しますか?」

 

「放っておけ。奴らがここに入ってくることはない。」

 

「しかし…」

 

「おい。俺の命令に逆らう気か?」

 

ワースは研究員を睨む。

 

「いいえ!」

 

「そんなことより今は…こっちのモルモットを使わなきゃな。」

 

ワースは監視カメラに映るクロト達を眺める。

 

「さあて~!まずは…」

 

ワースはモニターウインドウのスイッチをONにする。

真っ白な部屋にモニターウインドウが展開される。

 

「お待ちかねの実験の時間だ!最初に選ばれたのは………お前だ!」

 

ワースが指差したのはこいしだった。

 

「へ?」

 

こいしの足元の床が光り出した。

 

「嫌…助けて…クロトォォォォォォ!」

 

こいしが手を伸ばす。

 

「こいし!」

 

クロトもこいしの手を掴もうと手を伸ばす。

だが次の瞬間、こいしの姿がその場から消えた。

 

「驚いたか!これが俺が開発した転送システムだ!なかなかだろ?」

 

ワースはドヤ顔。

クロトは肩を震わせて拳を握りしめる。

 

「こいしを…どこへやったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「決まってるだろ。俺の実験室だよ。せいぜいそこでおとなしくしてろ。」

 

ワースはモニターウインドウのスイッチを切った。

モニター室から移動して別の部屋に入るとそこには両手両足を椅子に拘束されているこいしがいた。

 

「ごきげんようお嬢さん。」

 

こいしは恐怖で言葉も出なかった。

 

「おやおや…口も利けなくなっちゃったのかなぁ?」

 

ワースはこいしの顔を近づけながら煽る。

 

「あ…」

 

「あ?」

 

ワースは首を傾ける。

 

「あんたなんか…クロトがやっつけてくれる!」

 

それを聞いたワースは苛ついた。

 

「おい。さっさと始めるぞ。まずはこいつのオーラと感情プログラムを根こそぎ吸収しろ!」

 

「ですがそんなことをすれば精神喪失状態を引き起こす可能性が…」

 

「いいからやれ!」

 

ワースは研究員に対して声を荒げた。

研究員は慌ててコンソールを操作する。

ワースはこいしの頭に無理やり装置をつける。

 

「なら試してやろうじゃねえか。お前のヒーローがどんなもんか。…希望なんてこの世に無いんだよ!」

 

ワースは右手に持つボタンを押す。

 

「う…うああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

こいしが苦痛のあまり悲鳴を上げた。

 

 奪われていく…大事なものが…

 

 

 

 クロトは真っ白な部屋を歩き回って脱出の手がかりを探していた。

 

「くそ…どこか…どこかにないのか…。」

 

その時、真っ白な部屋の中心で光が発生しそこからこいしが姿を現した。

 

「こいし!」

 

さとりが叫んで駆け寄る。

こいしがフラッと倒れそうになったところをクロトが腕で支える。

 

「こいし!」

 

「…ク…ロト…。」

 

こいしの目は空虚を映していた。

真っ白な部屋にモニターウインドウが展開される。

 

「気に入っていただけたかね?俺からのプレゼントは。」

 

ワースが映る。

 

「お前!こいしに何をした!」

 

クロトが吠えるのに対しワースは薄気味悪い笑みを浮かべた。

 

「フフフ…あまりに反抗的な態度を取るもんだから奪ってやったのさ…そいつの心をな!」

 

ワースの言葉にクロトは愕然とした。

 

「いいね!その顔!それが見たかったんだよ!絶望を知った人間の顔だ!」

 

「…さとり、こいしを頼む。」

 

クロトはこいしをさとりに預けると立ち上がってワースを睨んである提案を出してきた。

 

「…オーラが必要なんだろ?だったら俺から取れ!ただし他の4人には手を出すな!」

 

「クロト、ダメ!そんなことしたらクロトまで壊れちゃうよ!」

 

「これしか無いんだ!…どうだ?俺の提案を受けるか?受けないか?」

 

「それは敗北を認めたってことでいいんだな?」

 

ワースは勝ち誇った笑みを返した。

クロトはフッと笑った。

 

「誰が敗北を認めたって?これはお前と俺の勝負だ。違うか?」

 

ワースは一瞬固まったがすぐに薄気味悪い笑みを浮かべる。

 

「いいだろう。お前がどこまで耐えられるか実験…いや勝負といこうじゃないか!」

 

ワースがそう宣言すると黒刀の足元の床が光り出す。

 

「行かないで!クロト!」

 

さとりが涙を流して叫ぶ。

 

「さとり…皆を頼んだ…。」

 

クロトが振り返って言葉をかけた後、転送された。

 

 

 

 転送されたクロトは両手を拘束されて吊るされている。

ワースはクロトに歩み寄って行く。

 

「そういや~直に会うのはこれが初めてだったな。改めて俺が世界一の天才科学者!ドクターワースだ!あ、それにお前の名前をちゃんと聞いていなかったな。」

 

ワースは顎に手を添える。

クロトはワースを睨みつける。

 

「クロト…ザナドゥ。」

 

そう名乗ったその時、ワースの表情が豹変した。

いつものニヤケ顔ではなく怒りを表す表情だった。

ワースはクロトの顔を思いっ切り殴った。

 

「ぐっ!」

 

クロトは血反吐を吐く。

 

「奴は死んだ。さあ!お前の本当の名前は何だ!」

 

ワースは怒鳴った。

 

「…だから…クロトだって言ってんだろうが!」

 

クロトは怒鳴り返した。

ワースはクロトの腹を殴った後、コンソールの前に立つ。

 

「生きてるはずがねえんだよ…奴は死んだ。………オーラ吸収装置…起動!」

 

ワースはボタンを押した。

クロトを縛る拘束具に電流が流れてクロトのオーラが吸収されていく。

 

「ぐっ!」

 

クロトは歯を食いしばって耐える。

 

「奪ってやる!お前から!何もかもな!」

 

 

 

 3時間後。

真っ白な部屋にクロトが転送される。

 

「クロト!」

 

さとりが駆け寄る。

クロトの体はボロボロであちこちに火傷の痕があった。

その時、真っ白な部屋に音声が入る。

 

《さすがに効いたようだな!これから毎日3時間オーラを吸い取ってやるから覚悟しとけよ!偽物の王様!》

 

クロトはワースの言葉を無視する。

 

「ルーミアとこいしは?」

 

さとりとお空にそう訊いた。

 

「こいしはずっと黙ったまま動かない…一応支給される食事を食べさせている。」

 

さとりは俯いて答える。

 

「ルーミアはさっき私達の名前を呼んだよ!」

 

お空は嬉しそうに話した。

 

「ほんと?すごいね。」

 

クロトはルーミアを抱っこする。

 

「あ…う…ク…」

 

ルーミアがクロトの頬を触って名前を呼ぼうと頑張っていた。

 

「クロトだよ。ク・ロ・ト。」

 

クロトは優しく一文字ずつ教えてあげた。

 

「ク…ロ…」

 

あと一文字がどうしても言えなかった。

 

「兄ちゃんでもいいよ。」

 

するとルーミアはこう呼んだ。

 

「くろ…にい…くろにい。」

 

「うん…それで十分だよルーミア。」

 

クロトは優しい声で言った。

 

 

 

 一方、ぬえと幽香は研究所への侵入に苦戦していた。

 

「ねえ、ぬえ。少しは休んだ方がいいよ。」

 

「冗談じゃない!あの子達が苦しんでいるかもしれないのに僕だけが休めるか!」

 

ぬえは怒鳴った。

 

「でも!クロト達が会いたいのはきっと元気なぬえだよ!そんな苦しそうなぬえをクロト達は見たくないよ!」

 

「!…そうだね。ごめん…冷静さを欠いていたよ。」

 

「ほらさっき街で食べ物を買ってきたから一緒に食べよ?」

 

「うん…そうしよう。」

 

ぬえはその場に腰かける。

 

「(待ってろ…必ず助けるから!)」

 

改めて決意を強く抱いた。

 

 

 

 2200年9月6日。

そんな日々が2年も続いた。

ルーミアは立って歩けるようになった。

そんな成長をしていくルーミアをクロト、さとり、お空は優しく見守っていた。

しかし、こいしは変わらず心を失ったままだ。

それでもクロト達はこいしが心を取り戻すと信じている。

その時、壁の一部が焼けていることにクロトが気づく。

 

「伏せろ!」

 

さとりはこいしに、クロトはお空とルーミアに覆いかぶさった。

直後、壁の一部が溶けて外側からオーラの砲撃が貫通してクロト達の頭上を通り過ぎていった。

砲撃が止んだことを確認したクロト達が立ち上がって貫通した壁を見ると大穴が空いていて研究所の外まで続いていた。

 

「よし!皆、脱出するぞ!」

 

クロトはさとり達に声をかけた。

さとりはこいしの手を握り、クロトは左手でルーミアを抱き上げて右手でお空の手を握ると研究所の外へ出る。

だが武装した研究員が立ちはだかり銃口を向けられる。

絶体絶命の状況にクロトは歯ぎしりする。

その時、研究達が背後から霊力弾を放たれて倒れていく。

倒れた研究員達の先に見えたのはぬえと幽香だった。

 

「「「ぬえ!幽香!」」」

 

クロト達がぬえ達の元へ走る。

 

「ごめんな…遅くなって…。」

 

「ぬえ…こいしは…。」

 

さとりが涙目で言った。

ぬえは精神喪失状態のこいしを見ると歩み寄ってそっと抱きしめる。

 

「よく頑張ったね。偉いよ。」

 

ぬえは優しく言葉をかける。

 

「あ…ああ…。」

 

こいしは虚ろな目で声を出すだけだがそれでもこいしの言いたいことはぬえに伝わった。

 

「うん。」

 

そう頷く。

 

「さあ、とっととこんなところから離れよう。」

 

その時。

突然レーザーネットが飛んできてクロト達を捕らえる。

そして…

 

「ヒャハハハ!いやいや!多少のイレギュラーがあったとはいえここまで思い通りに動いてくれるとは!」

 

高らかに笑って現れたのはドクターワースだった。

 

「ガキどもを人質に使うっていうのもあったがそれだと面白味に欠ける。だからこうやって感動の再会からの一転!絶望の底に叩き落とすのが一番だと考えたわけだ!全く本当に…サイッ…コ~だぜ!」

 

ワースはレーザーネットの中にいるぬえを見た瞬間、眉をひそめる。

 

「あ?お前…どこかで…ま、いいや。そんなことよりこれより最終実験を実行するとしよう!どうだ!嬉しいだろう!長かった実験がようやく終わるのだからな!お前らの死と共にな!」

 

ワースは万歳した。

 

「…ふざけるな。」

 

クロトがそう呟いた。

 

「あ?」

 

ワースは冷酷な目で見下ろした。

クロトはレーザーネットを掴む。

強い電流がクロトの体に流れる。

 

「俺達は…お前の…お前なんかの消耗品じゃ…ないんだよ!」

 

レーザーネットを無理やり破った。

そのままワースに向かって走って距離を詰めていく。

 

「待てクロト!迂闊に突っ込むな!」

 

ぬえが叫ぶが怒りで我を忘れているクロトはそのままワースに殴りかかる。

 

「あ~なるほど…科学者は肉弾戦が出来ないって思ってる訳か…だから…馬鹿だって言ってんだよ!」

 

ワースは薄気味悪い笑みを浮かべるとクロトの拳を躱して腹を蹴り上げうなじにエルボーして顔を蹴り飛ばした。

 

「俺がそんな前時代的な科学者な訳がねえだろうが…見せてやるよ!」

 

ワースが手に持つボタンを押すと地中から出てきたのは超巨大な魔導砲装置だった。

 

「これはな…一撃で国1つを消し飛ばす程の威力を持っている!」

 

ワースは高らかに宣言した。

超巨大な魔導砲装置を見上げたクロトは歯ぎしりする。

 

「こんな…こんな下らないものの為に…」

 

「下らない?おいおい…この兵器がどれだけ素晴らしいものなのか分かっていないようだな。悲しいぜ。」

 

「…コロス…。」

 

クロトは呟いた。

 

「あ?何だって?」

 

ワースは馬鹿にするように聞き返した。

 

「…コロシテヤル!

 

そう言い放ったクロトの目をワースは見た。

 

「その目…いや…まさか…そんなはずはねえ…奴は死んだ…生きてるはずがねえ!」

 

ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

 

クロトが吠えて拳を地面に叩きつけると亀裂が入りそこから光が射し込む。

 

「ダメだクロト!それだけは!」

 

ぬえが叫ぶが間に合わないと判断してさとり達に視線を向ける。

さとり達はショックのあまり気を失っている。

 

「(こうなったらあれをやるしか…でもクロトは…いやせめてさとり達だけでも…。)」

 

ぬえはさとり達を抱きしめる。

 

「貴様ァァァl」

 

ワースはクロトを見て怒りの叫びを上げた。

 

「転移術式発動!」

 

ぬえはそう詠唱した。

 

「(待っててクロト…きっとすぐに迎えに行くから。)」

 

ぬえ達6人が転移した直後、クロトを中心に大爆発が起きた。

研究所も森も大地も超巨大兵器も全てが消し飛ばされていく。

 

これが後にスピリットブレイクと呼ばれる。

 

 

 

 ぬえ達が転移したのはザナドゥ王国の玉座の間だった。

しかし、転移の途中で爆発のダメージを受けてしまっていた。

 

「まだだ…あの術ならこの子達の命は助かる…。」

 

ぬえは這いつくばりながら玉座の間の中心までたどり着くとそこに血文字で術式を書き込み右手を叩きつけた。

玉座の間に5つの霊魂が現れる。

 

「頼む…この子達を助けてほしい。」

 

ぬえは霊魂にそう懇願した。

 

「だがその為には俺達が彼女達に憑依する必要がある。いいのか?」

 

青年の霊魂がそう問う。

 

「ああ。子供達の命が助かるなら構わない。それともう1つ…ザナドゥ卿を復活させる。」

 

「「「「「!」」」」」

 

霊魂達は驚いた。

 

「本気か?」

 

「だとしてもどの術式でやるのだ?」

 

霊魂達が問う。

 

「融合術式でやる。」

 

「だがそんなことをすればあの少年の魂は…。」

 

霊魂が口ごもる。

 

「いいんだ。もうこれ以上、あの子にこんな地獄は見せたくない。とにかく!」

 

「ああ、分かっている。」

 

霊魂達がさとり達の中に入っていく。

すると傷がみるみる癒えていき立ち上がる。

 

「ありがとう。それじゃクロトを探しに行く。」

 

ぬえが遠くに見える爆発の煙を見て口にする。

 

 

 

 だがぬえ達が到着した頃にはクロトの姿はなかった。

辺りを探し回ってみたがやはり見当たらない。

 

 

 

 それから10年かけて探し回っていたある日。

ぬえが街の巨大なモニターウインドウを見るとそこに映っていたのは『剣舞祭』で二宮優と闘っている黒刀だった。

 

《霊力解放》

 

黒刀の音声が聞こえたその時。

ぬえの全身に懐かしいオーラの感覚が走った。

 

「間違いない…ザナドゥ卿だ…。」

 

ぬえは帰って黒刀の現住所を調べてエアメールを日本へ送った。




ED6 魔法科高校の劣等生 ミレナリオ

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