東方剣舞   作:kuroto xanadu

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OP6 遊戯王 OVERLAP



夏島編
覇王の力


 現在 精神世界。

黒刀は涙を流していた。

 

 そうか…お前らはずっと待っててくれたんだな…

 

 

 

 現実世界。

こいしから霊魂が抜けたことでこいしは元の精神喪失状態に戻っていた。

にも関わらず何かに導かれるように玉座の間へと歩みを進めていた。

 

 

 

 さとりは浮遊しているのものの可愛らしく首を傾げていた。

 

「あれ~私、何やってたんだっけ~。」

 

相変わらず半目だが気の抜ける声だった。

レミリアは困惑していた。

 

「(この人…天然系?)」

 

戦闘の意思が無いと判断して『グングニル』の具現化を解いてため息を吐く。

 

 

 

 幽香は元の人格に戻ったもののいまだにチルノと戦闘を続けていた。

 

「どうした!その程度?あなたの力は!」

 

植物のツルを伸ばしたり『火花』を発動したりしていた。

 

「アイスニードル!」

 

チルノが氷の棘を放つ。

 

「ローズニードル!」

 

幽香は薔薇の棘を放って相殺した。

 

「どうして?どうしてまだ戦うの?こんなことを続けて一体何になるっていうの?」

 

大妖精は涙目で首を横に振った。

 

 

 

 お空も魔理沙達と戦闘を続けていた。

だが霊夢の様子がおかしい。

頭を抱え始めたのだ。

 

「どうした霊夢!」

 

それを見た魔理沙が声をかける。

 

「ザナドゥ…ザナドゥ王国…そうだ…私は…ザナドゥ王国を…守る。」

 

「おい…どうした…っ!」

 

魔理沙が霊夢に近づこうとしたその時、霊夢がいきなり霊力弾を放ってきた。

魔理沙は咄嗟にそれを躱す。

 

「おい!何の悪ふざけだ!」

 

魔理沙が怒る。

だが霊夢は答えない。

まるで何かが憑依しているかのようだった。

そしてお空の横に並んだ。

 

「どういうこと?」

 

お空は訳が分からず霊夢に訊いた。

 

「私の名は博麗霊夢。ザナドゥの民の味方。」

 

それを聞いたお空が唸る。

 

「博麗?う~ん…どこかで聞いたような…。」

 

そのやり取りを見ていた魔理沙の肩が震える。

 

「なんでだよ!霊夢ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

 

叫びと共に『マスタースパーク』を放った。

霊夢は防御術式を展開して『マスタースパーク』を防いだ。

霊夢と魔理沙の視線が交錯する。

 

 

 

 玉座の間。

妖夢はザナドゥ卿の圧倒的な存在感に上手く呼吸が出来なかった。

映姫が妖夢の肩に手を置く。

 

「落ち着きなさい。怖いのも私も同じです。だけど立ち上がらなくてはいけません。」

 

慰めではなく本心からの言葉を受けて妖夢はなんとか呼吸を整える。

 

「ありがとうございます。もう大丈夫です。」

 

妖夢はザナドゥ卿に視線を移す。

 

「先輩はどうなっているんですか?」

 

そう問う妖夢をぬえが睨むとザナドゥ卿がそれを手で制する。

 

余の分身である四季黒刀は今、精神世界にいる。だがうぬらが四季黒刀に会うことはもう二度とない。

 

「どういうことですか?」

 

融合術式によって余は復活した。故に融合騎となったルーミアと融合した四季黒刀の魂はあと1時間で完全消滅する。

 

「「なっ!」」

 

ザナドゥ卿が告げた真実に妖夢と映姫は驚愕した。

 

「先輩が…消える?」

 

妖夢は信じられないという表情をしていた。

 

「そんなこと…させない!その前にあなたを倒して黒刀を救い出す!」

 

映姫が飛び出した。

 

余を倒すか…しかしその刃は余に届かぬ。…ぬえ。

 

横で跪くぬえに声をかけた。

 

「はい。邪魔者を退去させます。」

 

それだけでぬえは映姫に向かって駆け出した。

 

「どきなさい!」

 

映姫が怒鳴る。

 

「いかせない!」

 

ぬえは翼を広げて映姫にタックルしてそのまま自身と共に映姫を玉座の間から離れさせる。

 

さて…うぬはどうする・余に刃向かうかそれともあきらめて己の国に帰るか?

 

「私は…私は諦めない!どんなことがあっても諦めるな。そう先輩に教わったから!」

 

妖夢は二本の剣を抜いて言い放った。

 

そうか…せめて退屈しのぎ程度になればよいがな。

 

そう呟くザナドゥ卿に対して妖夢は駆け出す。

 

「妄執剣 修羅の血 弐式!」

 

高速で二本の剣を交差して斬り込んだ。

だがザナドゥ卿は二本の剣がちょうど交差した部分を親指と人差し指でつまんで止めた。

 

「なっ!」

 

1000年も経てば余と並ぶ力を持つ者が現れるかもしれぬと思っていたが…失望した。この程度とはな。

 

ザナドゥ卿は中指で二本の剣をデコピンで弾いた。

それだけで妖夢は吹っ飛ばされた。

 

死力を尽くせ。死にたくなければな。

 

妖夢は体勢を立て直す。

 

「気力解放!」

 

妖夢の体を光の柱が包み込む。

 

なんだ…解放程度か…。

 

「閃光…斬撃波~!」

 

妖夢は金色の斬撃を放った。

しかしその斬撃波ザナドゥ卿に届く寸前で消滅した。

 

余に気力・霊力を用いた攻撃は効かぬ。どうやら気づいておらぬようだな。余はこの姿になっている時点で既に解放状態だ。

 

「そんな…既に気力を解放しているなんて…。」

 

気力だけではない。霊力も気力と同時に解放している。余はこの世で唯一オーラの同時解放を可能とした人間なのだ。

 

「そんなことが…はっ!」

 

妖夢は黒刀が優と闘った時のことを思い出した。

 

それより今のが斬撃か?…教えてやろう…斬撃とはこういうものだ。

 

ザナドゥ卿は『八咫烏』の剣先を天に向ける。

 

はあっ!

 

そのまま振り下ろした。

黒い縦長の斬撃を玉座の間の床を削りながら妖夢に向かってきた。

妖夢は咄嗟に剣の腹で受け流そうとするがあまりの威力に斬撃の威力を殺しきれず横に吹っ飛ばれて床を転がる。

ザナドゥ卿が追撃してくる様子はない。

 

しかとその目で見よ。これが斬撃だ。

 

妖夢がゆっくり後ろを振り向くと目を見開いて驚愕した。

黒い斬撃は玉座の間の床だけではなくザナドゥ王国の地面を真っ二つに切り裂いたのだ。

 

この程度の斬撃しか出せないのか。全盛期の半分の威力も出ておらぬではないか。

 

「自分の国を…。」

 

妖夢は視線を前に戻すと言葉を絞り出した。

 

既に一度は滅んだ国だ。それに国とは民がいて初めて国となるのだ。今のザナドゥ王国は到底国とは呼べぬ。

 

ザナドゥ卿の言葉に対して妖夢は二本の剣を強く握り直した。

 

 

 

 

「そろそろこっちも全力でいこうか…ふぅ~………モードチェンジ!ダークネス!」

 

幽香がそう詠唱すると黒い影のようなものに覆われていく。

 

「これが『ダークネスモード』。ザナドゥの民だけがなれる。」

 

チルノは警戒を強める。

 

「はあっ!」

 

幽香は地中から200本の植物のツルを生やす。

 

「さあ!どこまで耐えられるかしら?」

 

植物のツルを一気にチルノへ襲わせる。

チルノは一度距離を取ってから前に出て植物のツルを1本ずつ正確に躱しながら幽香に接近していく。

幽香はそれを見越してチルノの背後から植物のツルを伸ばして完全に包囲した。

 

「かかったわね!これで終わりよ!」

 

勝利を確信する幽香。

 

「チルノちゃん!」

 

大妖精が叫ぶ。

植物のツルが一斉にチルノを串刺しにした…かと思えたその時、チルノの体が水蒸気となって消えた。

 

「ドライジェット!」

 

チルノがいたのは幽香の背後だった。

 

「グレートクラッシャー!」

 

チルノは氷のハンマーを造形して幽香に叩き込みにいったが幽香はチルノが動くよりも一歩早く振り返ってバックステップするとこう詠唱した。

 

「ラフレシア!」

 

先程まで幽香の立っていた地面から2m程中心に大口を開いた植物が出てきた。

 

「あれはまさか食人植物⁉まずい!チルノちゃん逃げて!」

 

大妖精が叫ぶがチルノは既に幽香が立っていた場所に氷のハンマーを叩き込もうとしていたところだった。

 

「くっ!」

 

チルノが声を上げた直後、『ラフレシア』に飲み込まれる。

 

「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

大妖精は悲痛の叫びを上げた。

 

「さて…次は…」

 

幽香は大妖精に視線を移す。

大妖精の顔が強張る。

幽香は大妖精から興味を無くして玉座の間へ歩みを進める。

その時。

周囲の気温が一気に下がった。

 

「極大霊術 絶対零度!」

 

『ラフレシア』の中から声が聞こえた。

 

「まさか…そんな!」

 

幽香が驚いて振り返ると『ラフレシア』が内側から凍っていきその冷気は外部に漏れて地面を凍らせるまでに至った。

完全に凍結した『ラフレシア』を破って出てきたのはチルノだった。

チルノは極大霊術を発動した反動に抗いながら必死に幽香に向かって駆け出した。

氷のハンマーを握りしめて。

 

「まだそんな余力を残していたとはね。でもこっちにはまだ私の可愛い植物達がある。」

 

幽香は右手を前に突き出して地中の植物に攻撃命令するが反応が無い。

 

「な、何で?…はっ!まさか…この氷が地中の植物まで凍らせているっていうの!」

 

幽香は舌打ちすると迫りくるチルノに注意を向ける。

 

「トルネードグレートクラッシャー~!」

 

チルノは自分ごと氷のハンマーを横回転させて幽香に叩き込みにいく。

 

「ローズニードル!」

 

幽香は迎撃しようとするが薔薇の棘はあっけなく弾かれてしまう。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

チルノは雄叫びを上げて氷のハンマーを幽香に叩き込んだ。

 

「がはっ!」

 

幽香は民家3つ貫通させて吹っ飛ばされる。

幽香は力尽きてその場で気絶する。

 

「はあ…はあ…。」

 

チルノは肩で息をすると膝をついてしまう。

 

「チルノちゃん!」

 

大妖精が駆け寄ってくる。

 

「あたいは後でいいよ。それより先にあの人を治療してやってよ。」

 

チルノは遠くで倒れている幽香を指差す。

 

「え、でもあの人は…」

 

大妖精は敵である幽香を治療することに躊躇する。

 

「大丈夫!大丈夫!もしまた敵になってもあたいが倒すから!」

 

しかし、チルノは笑顔でそう口にした。

 

「うん…分かった!」

 

そんなチルノに大妖精は倒れている幽香の元へ走る。

 

「もう…霊力残ってないけどね…。」

 

大妖精が離れたことを確認したチルノは誰にも聞こえないくらいの声量で呟いた。

 

 

 

 ぬえが映姫を連れて着いたのは玉座の間から500m離れたレンガの民家が並んだ場所だった。

 

「私と一騎打ちするというわけですか…。」

 

「ザナドゥ卿はどうやらあの剣士と戦いたがっているようでしたから。理由は分かりませんが。」

 

ぬえはそう言って槍を構える。

 

「確かにあの子の実力はまだまだ未熟。ですがそれよりもっと大事なものを持っています。」

 

映姫も影の剣を構える。

 

「力なくては何も成し遂げられない!」

 

ぬえが地を蹴る。

 

「力だけでは何も守れません!」

 

映姫も地を蹴る。

2つの刃がぶつかる。

 

 

 

 圧倒的な力の差になす術がなく膝をつく妖夢。

 

立て。余に剣を向けた以上、そう簡単に膝をつくことは許されんぞ。

 

ザナドゥ卿は冷たい言葉を発した。

妖夢は歯を食いしばるとゆっくりと立ち上がる。

 

「(気力と霊力を無効化するなんて…どう戦えば…。)」

 

考えていたその時。

 

「妖夢~!」

 

声が聞こえてきたのでそちらへ振り向くとフランがこちらに向かって飛んできていた。

 

やれやれ。今日は随分と来客が多いな。

ザナドゥ卿はため息を吐いた。

フランは玉座の間に着地すると妖夢の横に並ぶ。

 

「あの~レミリアさんは?」

 

「あ~お姉様なら大丈夫!強いから!」

 

フランは笑顔で返した。

 

「いや…それは身に染みるほど知っていますけど…。」

 

妖夢は苦笑する。

フランが視線を前に移す。

 

「あれは本当にお義兄様なの?」

 

「先輩だけど先輩じゃない。」

 

「どういうこと?」

 

「1000年前の王様だって…それと気力と霊力を使った攻撃が効かないの。」

 

「ふ~ん…それなら!」

 

フランは『レーヴァテイン』を具現化する。

 

「魔力は効くってことだよね!インフェルノブレイカー!」

 

フランは炎の斬撃を放った。

 

「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

雄叫びを上げるフラン。

 

浅はかだな。魔力の攻撃であるだけで余に敵うと?

 

ザナドゥ卿は右手を前に出して炎の斬撃を受け詰めると握り潰した。

 

「「なっ!」」

 

妖夢とフランが驚きの声を上げる。

 

まだ理解できていないようだな。うぬらと余とでは絶対的にオーラの差があり過ぎるということを。

 

ザナドゥ卿が床を踏みしめた瞬間、妖夢達は重力が増したのではないかという程の威圧感を感じた。

その威圧感は映姫、魔理沙、レミリア、チルノ、大妖精にまで届いていた。

 

 

 

 

「ぐっ!何だよ…これ…。」

 

魔理沙は必死にザナドゥ卿が放つ威圧感に耐えている。

苦しみながらも霊夢を見る。

 

「霊夢!いい加減目を覚ませ!」

 

魔理沙は大声で呼びかける。

 

 

 

 

ほう…博麗の巫女までいるのか。

 

ザナドゥ卿はそう呟く。

 

 

 

 

「おい!何とか…」

 

魔理沙が霊夢から事情を聞こうとしたその時、お空の体がビクッとした。

 

余が話そう。

 

お空から別の声が聞こえてきた。

 

「誰だ!」

 

余はクロト・ザナドゥ。旧ザナドゥ王国の国王だ。今は霊烏路空を通して会話している。

 

「クロト?どういうことだ!」

 

うぬが今知りたい情報は四季黒刀ではなくそこの博麗巫女についてであろう。

 

「…ああ。」

 

では話そう。1000年前、ザナドゥ王国には余の戦友として当時の博麗の巫女がいた。

 

「ちょっと待てよ。1000年前って言ったら日本とモンゴル帝国は敵同士だったじゃねえか。それなのに博麗の巫女がこの国に力を貸すんだ?」

 

うぬは勘違いをしている。ザナドゥ王国はモンゴル帝国から独立した国だ。決して配下ではない。元はモンゴル帝国の植民地であった集落を余が国王として独立させたのだ。故にモンゴル帝国との協力関係はない。むしろ敵同士だ。…話が逸れたな。博麗の巫女が何故ザナドゥ王国に加担するのか。それはその博麗の巫女がある巫女の魂を宿していたからだ。その巫女は母国に縛られることを拒み自由を望む巫女だった。当時の博麗の巫女の魂は既にその巫女が中心となっていた。博麗の巫女は旅をしてこの国にたどり着いた。そして余と共に戦場を駆ける友となった。…しかしこの国は滅んだ。今、博麗の巫女がうぬと敵対しているのはまだこの国で戦いたいという想いが残っているからだろう。

 

ザナドゥ卿は一通り話を終える。

 

「どうやったら元に戻る?」

 

一発ド突けば十分だ。…霊烏路空、玉座の間へ戻って来い。

 

その言葉を最後にお空の意識が元に戻る。

 

「あれ?私、何やってたんだっけ?よく分かんないけど戻らないと!」

 

お空は首を傾げた後、玉座の間へ飛んで行く。

魔理沙はとくに止めようともせず霊夢と対峙する。

 

「…一発か。へっ!分かりやすくてちょうどいいぜ!お前とガチでやるなんてそうそうないしな!」

 

少しずつワクワクしてきた魔理沙だった。

 

 

 

 映姫は打ち合いながら分析していた。

 

「コピーできるといっても限界はあるみたいですね!」

 

映姫の言葉通りぬえは四季流剣術をコピーできていない。

 

「だから?それで僕がお前に劣ることにはならないよ。」

 

ぬえは真顔でそう返す。

映姫もザナドゥ卿が放つ威圧感を感じていたがしっかり自分を保っている。

 

「なるほど。やはりお前は他の奴らとは違うようだな。」

 

ぬえは槍の連続突きを繰り出しながら淡々と口にした。

映姫は『一騎当千』で応戦している。

 

「このままでは埒が明かないな。それじゃこちらも本気を出してやろう。モードチェンジ!」

 

ぬえの体が闇に飲み込まれていく。

徐々に人型から姿を変えていく。

やがてその姿は黒い闇を纏った体長50mの竜となる。

巨大な黒い翼が左右に広がる。

それだけで突風が起きる。

二足歩行の竜となったぬえは口を開く。

 

「覇王眷竜アンノウン・ドラゴン!」

 

巨大な竜が咆哮を上げる。

さすがの映姫もこれには圧倒された。

 

「そんな…人間にこんなことが出来るなんて…。」

 

映姫が驚きの声を上げる。

 

「喰らえ!ファントムブレス!」

 

ぬえが口を大きく開けて紫色のブレスを吐いた。

映姫は影で巨大な盾を造形した。

ブレスが影の盾に激突する。

 

「無駄だ!そんなものでは防ぐことは出来ない!」

 

ぬえが言い放つ。

 

「くっ!」

 

映姫の影の盾がブレスに押されていく。

 

「まだよ!影牢!」

 

映姫は防御しながら別の影を左右からぬえを捕らえようとする。

だがその影はぬえに到達する前に弾かれてしまった。

 

「なっ!」

 

映姫が目を見開く。

 

「そんなもの僕には効かない!」

 

ぬえがブレスの威力をさらに上げる。

 

「黒刀は…私の弟は絶対に取り戻す!気力解放!」

 

映姫の影がどんどん増えていく。

映姫は左手を前に出して影の盾を維持したまま右手を握りしめて別の影を集束して大きな拳を造形して振りかぶる。

 

「シャドーインパクト!」

 

盾を消して影の拳をブレスに叩き込んだ。

ブレスと影の拳が相殺して消える。

 

「まだそんな力を残していたか。」

 

「世界に1人だけの私の弟。その弟の為なら私は強くなれる!」

 

映姫はそう言い放った。

 

 

 

 旧ザナドゥ王国上空で霊夢と魔理沙は弾幕を激しく撃ち合っていた。

魔理沙は霊夢の霊力弾の弾幕を躱しながら霊夢に呼びかける。

 

「覚えてるか?霊夢。私が今こうして弾幕を撃てるのもお前が教えてくれたからだ!お前がいたから私は強くなれた!なのにそのお前が今自分を無くそうとしている!だから!いい加減戻って来い霊夢!マスターァァァスパァァァク!」

 

魔理沙は砲撃魔法を放つ。

 

「白霊砲!」

 

霊夢も対抗するように砲撃霊術を放ってきた。

2つの砲撃は拮抗しやがて相殺して消えた。

だが魔理沙の狙いはその先にあった。

魔理沙は急上昇してからダイブして霊夢の右頬に思いっきり右ストレートをぶちかました。

 

「いったぁぁぁぁぁ!痛い!何これ!超痛い!」

 

衝撃で霊夢が正気に戻り右頬を押さえながら喚いた。

 

「正気に戻ったんだな!」

 

魔理沙が喜ぶ。

 

「魔理沙!あなたがやったのね!」

 

「おう!バッチリ決めてやったぜ!」

 

魔理沙は親指を突き立てる。

 

「何してくれてんのよ!」

 

「何って…お前がおかしくなったから元に戻してやったんだろうが…もしかして何も覚えていないのか?」

 

「…そういえば途中から記憶が飛んでいるような…。」

 

霊夢は首を傾げた。

 

「一発ド突けば治るって聞いたから治してやったぜ!」

 

「………それって私の顔殴る必要なくない?」

 

霊夢はジト目を向ける。

 

「い、いや~とりあえず青春ドラマ風に殴るのが一番かなって思って。」

 

魔理沙は目を逸らした。

霊夢は魔理沙の脳天を殴る。

 

「いって!」

 

「とりあえずこれで勘弁してあげるわ。それよりあの烏女がいないじゃない。」

 

「そいつなら何かあっちの方に飛んで行ったぜ。」

 

魔理沙が頭を押さえながら玉座の間を指差した。

 

「あっちには確か妖夢が…行きましょう!」

 

「おう!…ったくマジで殴るなよな~。」 

 

魔理沙はボヤキながら霊夢と共に玉座の間へ向かって飛んで行く。

 

 

 

 玉座の間 午後4時30分 四季黒刀の完全消滅まで残り30分。

妖夢とフランはザナドゥ卿が放つ威圧感に耐えながらなんとか立ち上がる。

 

ほう…余の『威圧』を受けてなお立ち上がるとは。

 

ザナドゥ卿は感心する。

 

「相手がどれだけ強くても諦めるな。先輩ならきっとそう言うはずですから。だから諦めません!最後の最後まで!」

 

「私も諦めない!」

 

妖夢とフランの全身のオーラがそれぞれ変色して『ゾーン』状態になった。

 

『ゾーン』か…。

 

ザナドゥ卿は大して驚く様子もなく呟く。

妖夢とフランは左右に分かれてザナドゥ卿の真横から挟み撃ち。

 

「インフェルノブレイカー!」「断名剣 冥想斬!」

 

ザナドゥ卿は『八咫烏』を真上に放ると籠手で2人の剣技を受けた。

普通の籠手であれば砕かれていただろう。

しかしザナドゥ卿のオーラが纏った籠手はとても硬かった。

ザナドゥ卿はそのまま腕の力だけで2人の剣技を弾き飛ばした。

 

「「うあっ!」」

 

2人は吹っ飛ばされる。

ザナドゥ卿は落ちてきた『八咫烏』の柄を掴むと妖夢に向いて『八咫烏』に黒いオーラを集束する。

 

覇王流剣術 カオス…ブレイカー~!

 

それは紛れもなく『カオスブレイカー』だった。

だが黒刀が放つ漆黒の『カオスブレイカー』とは違ってザナドゥ卿が放った『カオスブレイカー』の色は黒と白が螺旋状に混じり合ったまさに混沌の色だった。

 

「妖夢!」

 

驚愕のあまり硬直している妖夢にフランが飛び掛かりそのまま2人は玉座の間から城の下の方へ落下していった。

落下中に見たのは『カオスブレイカー』の斬撃が伸びていき遠くにある1つの山を消し飛ばした瞬間だった。

フランは妖夢を抱えたままなんとか体勢を立て直して玉座の間へ上昇していく。

妖夢は信じられないという表情でブツブツ呟いていた。

 

「どうして…『カオスブレイカー』は先輩のもののはず…それなのに…何であの人が…。」

 

「さっきあの人覇王流剣術って言ってた。つまり…そういうことなんだよ。…こんなことで諦められないよ。」

 

「うん。絶対に先輩を取り戻す!」

 

フランの言葉を聞いた妖夢は気持ちを切り替えた。

 

 

 

 そして玉座の間へはレミリア、さとり、お空、こいし、霊夢、魔理沙、チルノ、大妖精、幽香、フランがそれぞれ集まろうとしていた。




ED6 魔法科高校の劣等生 ミレナリオ

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