東方剣舞   作:kuroto xanadu

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第3話。

OP1 学戦都市アスタリスク「Brand new world」


最強の剣士

 妖夢が決闘を行っていた同じ頃、

チルノは、駐車場でバイクに端末を弄りながら座っている黒刀を見つけた。

 

「はあはあ…やっと…見つけた!」

 

チルノは息を切らしていた。

黒刀は端末を弄りながら

 

「俺に何か用か?」

 

「あんたを倒す!」

 

チルノの言葉を聞いた黒刀はニヤリと笑った。

だが、その時。

「待てよ!」

誰かが割り込んでいた。

 

「誰?」

 

チルノは首を傾げる。

 

「青のネクタイ…3年か。」

 

「そうだ。」

 

3年の男子生徒はそう答えた。

 

「なるほど…朝の仇討ちか?」

 

「下級生にやられて黙っていられるか!」

 

「…はあ。」

 

黒刀はため息をついた。

 

「雑魚に構ってる時間はないんだがな。」

 

「何だと!」

 

「理解力が低いね。俺はそっちの1年の方に興味があるんだ。」

 

「てめぇ、なめるのも大概にしろよ!」

 

そこで黒刀は何か思いついた顔をする。

 

「そうだ!お前ら2人で勝った方とやろう。」

 

「なっ!」

 

3年の男子生徒は驚きの声を上げる。

 

「1年、名前は?」

 

「チルノ!天才で最強だ!」

 

チルノは黒刀の問いにそう答えた。

 

「よしチルノ、お前は30秒以内に勝て。」

 

「分かった!」

 

黒刀とチルノの言葉に3年の男子生徒は激怒した。

 

「はあ!?お前らふざけてんのか!俺がこんな奴に負けるわけねぇ」

 

「チルノ、それが俺と闘う条件だ。」

 

「聞けよ!」

 

チルノが3年の男子生徒の方へ向く。

 

「じゃあ、とっとと終わらせよう!」

 

ピキッ。

 

「調子に乗んなよ…1年!」

 

3年の男子生徒はチルノに決闘申請のウインドウを送信した。

チルノは申請ウインドウに了承ボタンを押した。

3年の男子生徒にデュエルジャケットが装着される。

チルノのデュエルジャケットは

白シャツの上に青のワンピースだった。

 

《3…2…1…0。デュエルスタート》

 

カキンッ。

 

《勝者 チルノ》

 

3年の男子生徒は開始直後、一瞬で凍り漬けにされてしまった。

 

「0.4秒。まあ合格だな。おい、氷解いてやれ。」

 

黒刀の指示にチルノは右手を横に払い氷を解いた。

チルノはもはや3年の男子生徒には一切の興味を見せず

 

「さあ、次はあんたの番だ!」

 

「ああ、やろう。そこ、どいてくれないか?」

 

「あ…ああ。(なんだ今年の1年化け物じゃないか。)」

 

3年の男子生徒は混乱しながら去っていく。

 

黒刀とチルノはお互いの目を見合った後、

チルノが黒刀に決闘申請のウインドウを送信し、

黒刀がそれに了承ボタンを押す。

デュエルフィールドが展開される。

チルノに再びデュエルジャケットが装着されたが、

黒刀の服装には何も変化がなく制服のまま。

 

「何でデュエルジャケットにならないんだ?」

 

「これは端末でデュエルジャケットの設定をオフにしているんだ。」

 

「それ、あたいにもできるのか?」

 

「いや、これは校内ランキング1位だけにしかできない。」

 

「ふ~ん。」

 

「まあ、詳しいことは教師に聞け。」

 

「分かった。…それじゃ!」

 

「ああ。」

 

2人は同時に構える。

 

《3…2…1…0。デュエルスタート》

 

先に動いたのはチルノだった。

 

「(よし。まずは動きを止める!)」

 

チルノが一歩踏み出したその時、動きが停止した。

 

「!?」

 

「遅い。」

 

黒刀はいつの間にかチルノの目の前に立ち、

チルノの額に右手の人差し指、中指、薬指の3本を添えていた。

 

「(う、動けない!)」

 

それでもチルノは前へ進もうとする。

 

「ふぎぎぎぎ!この~!」

 

「これが実力の差だ。」

 

「くそ~!」

 

そこで黒刀は中指だけをスッと曲げた。

 

「な、まさか!」

 

「フッ。」

 

黒刀は少し笑う。

 

「…強くなれよ。」

 

「えっ?」

 

チルノは黒刀が何を言ったのか聞き取れなかった。

そして次の瞬間、黒刀はチルノの額にバチンとデコピンをした。

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

チルノは遠くへ吹っ飛ばされてしまった。

 

「さて。」

 

黒刀は携帯端末を取り出し、電話をかけた。

 

「あ、姫姉。俺、これから夕飯の買い出しに行くから先に帰ってるね。」

 

《ええ。分かったわ。》

 

《会長、弟君?》

 

《ええ、そうよ。》

 

《ちょっと代わっていいですか?》

 

《いいけど…》

 

映姫は小町に端末を渡した。

 

《弟君、今日の夕飯なに?》

 

「すき焼きだけど。」

 

《あたいも食べに言っていいかい?》

 

「別にいいですけど。」

 

《よっしゃ!今から私も買い出しに付き合うね!》

 

《待ちなさい小町。あなたはまだ仕事が残っているでしょう。》

 

《え~そんなの明日にして早くすき焼き食べましょうよ!》

 

《こ~ま~ち~!》

 

《ちょ、冗談ですって!》

 

《許しません!》

 

《会長待って!誰かたすけて~》

 

ピッと黒刀は静かに通話を切った。

 

「さて、買い出しに行くか!」

 

黒刀はバイクにエンジンをかける。

ちなみにこのバイクは従来のバイクとは違い、

反重力システムを搭載したことにより地面から数十㎝浮いた状態で走行するが出来、速度も従来のバイクより格段に速い。それが『アンチグラビティバイク』。

 

 

 昇降口前。

《勝者 魂魄妖夢》

勝敗を告げる機械音声が鳴り響く。

 

「はあはあ…勝った…。」

 

「妖夢さ~ん!」

 

大妖精が妖夢に飛びついて抱きつく。

急なことで2人とも地面に倒れてしまう。

 

「うわ!大妖精、ちょっと…苦しいよ~。」

 

「あ、ごめんなさい!嬉しくて!」

 

大妖精は顔を赤くして抱擁を解きながらも、妖夢と手は握り合ったままその場に座る。

 

「勝ったよ…大妖精。」

 

「はい!」

 

「それで…もし良かったら…私のことを呼び捨てで呼んでぐれませんか?」

 

「はい…妖夢!」

 

大妖精が笑顔でそう呼んだ時。

 

「あの~2人の世界に浸るのもいいんだけど…」

 

「いつまで手を握り合っているんだぜ?」

 

「「えっ…はっ!」」

 

妖夢と大妖精は恥ずかしくなって同時に離す。

 

 その時。

ヒューンと何かが飛んできてドーンと音を立てて目の前に落ちてきた。

 

「なに!?」

 

土煙が晴れると、落ちてきたのは…。

 

「チルノちゃん!?」

 

「何で空から?」

 

《勝者 四季黒刀》

 

『!』

 

その場の全員が驚いた。

 

「チルノちゃん大丈夫!?」

 

大妖精が慌てて駆け寄る。

 

「くそ~覚えてろ~。」

 

チルノは目を回しながら言っている。

 

「妖夢、こっちに来て!」

 

「あ、うん。」

 

大妖精に呼ばれたので妖夢が駆け寄る。

 

「2人の傷を治します。」

 

「そんなことが出来るんですか?」

 

「はい…まずは妖夢から。」

 

大妖精が妖夢に向けて、手をかざすと緑色の光が発してみるみる妖夢の傷を治していく。

 

「治癒魔法…それもかなり高度な。」

 

「次はチルノちゃんだね。」

 

チルノには額にコブが1つできていた。

だが大妖精はそのコブを跡形もなく消した。

 

「す、すごいよ!大妖精!」

 

「えっ、そうかな~!」

 

妖夢の誉め言葉に大妖精は照れる。

そんなやり取りをしていると気絶していた大平が目を覚まし起き上がる。

妖夢が気づき構える。

大平は妖夢を睨みつける。

 

「俺が…この俺が!こんな奴に負けるわけがねぇ!俺はまだ終わって」

 

その時、ブーンと大平の後ろからバイクが大平の頭上を飛び越えた。

大平はそれがまるで自分がバカにされたと思い、

 

「てめぇ、待ちやがれ!」

 

バイクが1回転して止まる。

そして、降りた後ヘルメットを取る。

 

「何だ?急いでいるんだが。」

 

黒刀だった。

 

『!』

 

その場の全員が驚く。

 

「1位だか何だか知らねぇが俺をバカにしたような態度を取るんじゃねえ!」

 

大平が黒刀に向かって吠える。

 

「はあ…そんなくだらないことか。」

 

「く、くだらねぇだと!」

 

「ああ、実にくだらない。」

 

「ふざけんな!俺を誰だと」

 

プルルッ。

 

「あ、電話だ。」

 

「聞けよ!」

 

黒刀は無視して電話に出た。

 

「こ、こんな奴が1位?」

 

大平は怒りのあまり拳を握りしめる。

 

「うん、うん分かった。」

 

黒刀は通話を切った。

 

「お前に悪いニュースだ。」

 

「何だ?」

 

「お前に退学処分を言い渡す。」

 

「な、何だと!そんなことがあってたまるか!」

 

「これは学校側の決定だ。そんじゃ学校から支給された端末は没収な。」

 

黒刀は大平の方へ歩み寄る。

 

ふざけんじゃねぇ!てめぇを倒してから学校に文句を言わせてもらう!

 

大平は黒刀に斬りかかる。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

だが。

 

「!?何だ?意識が遠のいて…い…く」

 

そのまま大平は黒刀に届く前に前のめりに倒れてしまった。

 

「お前じゃ無理だ。」

 

黒刀は大平のポケットから端末を抜き取り、冷たくそう吐き捨てた。

大平が突っ込んでいったと思ったらいきなり倒れ出したことに野次馬が騒ぐ。

 

「ほらほらどきなさい。生徒会だ。」

 

そこへ生徒会が野次馬をどけながら到着した。

 

「1年の大平の連行と端末の回収に参りました。」

 

「ほら。全くこっちは夕飯の準備があるってのに。」

 

「はは、副会長が楽しみにしてましたよ。」

 

「それは腕が鳴るな。…あ、やばっスーパーのタイムセールに間に合わなくなる!それじゃ俺はもう行くから!」

 

黒刀はヘルメットをかぶりバイクを走らせた。

 

「あっ。(声かけ忘れた…)」

 

妖夢は少し落ち込んだ後、大平を連行しようとしている生徒会に近づき、

 

「あの、なぜ彼が?」

 

「決闘以外での不当な暴力行為に対する処分です。」

 

「そうですか…ありがとうございました。」

 

妖夢が頭を下げると、生徒会は大平を連行してその場を去っていく。すると霊夢が妖夢の傍に寄って、

 

「どうしたの妖夢?」

 

「いえ、もしかして私に決闘で負けたから退学になったのかと思いまして。」

 

「何そのサバイバル?」

 

霊夢はジト目でツッコむ。

 

「チルノちゃん、ほら起きて!」

 

大妖精がチルノを揺さぶって起こす。

 

「ん、ああ、朝か?」

 

「もう夕方だよ!」

 

「そういえばもう夕方なのか~。」

 

魔理沙がそう口にした瞬間。

 

ぐ~。

 

「魔理沙。」

 

「あ、あはは!そういえばお昼も食べてなかったぜ!」

 

「そういえば私もです。」

 

「じゃ帰りましょ。」

 

「はい!」

 

5人は正門を抜けて下校していく。

 

 

 商店街。

 

「あぁ、まだ頭がフラフラする。」

 

「チルノちゃん、肩貸そうか?」

 

「大丈夫~。」

 

「…それにしても何で大平の野郎はいきなり倒れたんだ?」

 

魔理沙が大平の名を口にした瞬間、大妖精の肩がビクッと震えた。

 

「あ、ごめん。嫌なことを思い出させて。」

 

「いえ。もう大丈夫ですから。」

 

「…何のこと?」

 

チルノが首を傾げる。

 

「いや…まあ…その…ちょっとね。大妖精が大平って奴に暴力を受けたのよ。」

 

「なに!あたいがぶっ飛ばしてやる!」

 

「大丈夫だよ。妖夢が敵を討ってくれたから。」

 

「そうなのか?ありがとうな妖夢!結構強いんだな!」

 

「いえ、そんな。」

 

妖夢は首を左右に振って謙遜する。

 

「そういえばチルノちゃん、四季先輩と決闘して負けたんだよね。」

 

大妖精が思い出したように口にした。

 

「あたい負けてないし!」

 

チルノの強がりに霊夢はため息をついて、

 

「はぁ~、端末見せて。」

 

「うん?別にいいぞ。」

 

霊夢がチルノから端末を受け取り端末を操作して、

ある画面をチルノに見せる。

 

「ほら、これ。」

 

「ん?何だこれ?」

 

「決闘の記録。あんた負けてるわよ。」

 

「な、なんじゃこりゃ~!」

 

「いや知らないんかい!」

 

思わず魔理沙がツッコむ。

 

「くそ~もう1回決闘だ!」

 

「でも明後日まで決闘出来ないぞ。」

 

「どこだ!どこにいる!」

 

「聞けよ!」

 

「いた!」

 

チルノが指をさした。

 

「え、いやそんなまさか。」

 

魔理沙がチルノが指をさした方向を向くと黒刀が袋を持ってスーパーから出てきた。

 

「ってマジでいた~!」

 

「追うぞ!」

 

だが黒刀はバイクに乗って走り去ってしまった。

 

「いや、速すぎるだろ!」

 

魔理沙が叫ぶ。

5人はダッシュで追いかけるが相手はアンチグラビティバイク。到底追い付けない。

 

 

「くそ~どこ行った?」

 

「いや、それよりここどこだよ?」

 

「どこってそりゃ……どこだここ?」

 

「知らないで追いかけたのかよ!」

 

「いや~追うのに夢中で。」

 

5人がいるのはどこかの住宅街のようだ。

 

「どうします?誰か空から見てみます?」

 

「それがいいわね。」

 

霊夢が大妖精の提案に納得していると、

 

「あ、黒刀いた!」

 

「おいおい、そんな偶然が2回も続くわけが…ってまたいた~!」

 

視線の先を見ると、黒刀が綺麗なアパートのバイク置き場にバイクを停めて、アパートの部屋の中に入って行った。

 

「アパート?」

 

「四季家っていえば超大金持ちだろ?

それが何でこんなところに…没落?」

 

アパートの表札には『白黒荘』と記されていた。

 

「あなたたち、何をしているの?」

 

ギクッ。

 

 

 黒刀が夕飯の支度をしていると玄関のドアが開いた。

 

「ただいま~!」

 

「姫姉、おかえり~!」

 

「黒刀、あなたにお客さんですよ。」

 

「お客さん?まあ、いいよ。上がらせて。」

 

「そうですか。いいですよ。どうぞ上がって下さい。」

 

映姫は玄関前で待っている妖夢達に声をかける。

 

「「「「「おじゃましま~す!」」」」」

 

5人は元気の良い声で部屋に上がっていく。

中は1K。

畳敷きの和室1つにキッチン、トイレ、バスルームがあるシンプルな作りだった。

そして、黒刀はキッチンですき焼き鍋を作っていた。

そこでチルノは黒刀のエプロンを見て、

 

「パ、パンダ?」

 

「可愛い!」

 

大妖精は少しテンションが上がっている。

 

「そうか?まあ座れ。」

 

和室にはちゃぶ台が1つ置いてあった。

皆はちゃぶ台を囲む形となって座る。

 

「それじゃ、いただきます。」

 

『いただきます!』

 

すきやきの具材は白菜、ネギ、豆腐、ちくわぶ、牛肉だった。

 

「シイタケが入ってない!」

 

魔理沙がクレームを入れた。

 

「俺はきのこが嫌いだ。」

 

「子供か!」

 

黒刀の答えにチルノがツッコむ。

 

「文句を言うなら…」

 

「食べるなと?」

 

「一口食ってみろ。」

 

「そっちか。」

 

霊夢がずっこける。

 

「じゃあ、まあ一口だけなら。」

 

魔理沙が牛肉を取って口にいれる。

 

「う、うまい!」

 

「な。」

 

「ずるいわよ魔理沙!いきなりメインの牛肉を食べるなんて!」

 

「おい霊夢!お前も食ってみろ!マジうまいぞ!」

 

「聞いてないし…。」

 

霊夢も箸をつけ一口。

 

「ほんと、美味しいわ!」

 

「さすが黒刀特製の味付けですね。」

 

「ありがとう。」

 

黒刀と映姫が微笑み合う。

 

 その時。

 

「あ~やっと終わった~!」

 

小町が玄関から入ってきた。

 

「やあ、小町先輩。」

 

黒刀が出迎える。

 

「この匂いは…すき焼き!この~お肉はわたさ~ん!」

 

小町は映姫の隣に座る。

 

「お、1年じゃん!」

 

「こんにちは!」

 

「まあまあ、挨拶は後で今はすき焼きだ!」

 

「「「「「………。」」」」」

 

妖夢達は固まってしまう。

 

「ほら呆けてるとどんどんなくなるぞ。」

 

黒刀が笑う。

 

「負けるか~!」

 

そんな感じで食べ進めていると、魔理沙が口を開いた。

 

「なあ黒刀。」

 

「ちょっと魔理沙、先輩よ。」

 

「気にしないで良い。で何だ?」

 

「どうやってあの大平を気絶させたんだ?」

 

「それは」

 

「手刀です。」

 

妖夢が口を挟んだ。

 

「手刀?」

 

「はい。」

 

「どういうことだ?そんなものは見えなかったぞ。」

 

「私も視認は出来ませんでした。」

 

「ではなぜそう思った?」

 

黒刀が妖夢に問う。

 

「は、はい!実は彼が運ばれる時に首筋を見たら何かで打たれた痕のようなものができていたので。

つまりあの場の全員の動体視力を越えるスピードで手刀を打ったのではないかと。」

 

妖夢は憧れの黒刀を前に緊張しながらも答えた。

 

「ほう。(かなりバレないようにやったつもりだったがまさか気づくとはな。)…お前、名前は?」

 

「はい!魂魄妖夢です!」

 

「妖夢か。」

 

「はうっ!」

 

妖夢はいきなり下の名前で呼ばれて赤面してしまう。

小町がジト目で、

 

「お前、いつも初対面の女子相手にいきなり下の名前で呼ぶのはまずいだろ。」

 

「え、何か問題あるのか?」

 

「はあ、もういいや…。」

 

小町の言葉に黒刀は首を傾げていた。

映姫は頭を抱え呆れていた。

 

「私からも質問があります。」

 

妖夢が黒刀に声をかける。

 

「何だ?」

 

「黒刀…先輩はとても強いです。それが何で団体戦の1回戦で負けてしまったのですか?」

 

「いや、それは…」

 

小町が制止しようとする。

 

「いいよ小町先輩。…お前はその1回戦を見たのか?」

 

「いいえ。」

 

「なるほどな。」

 

黒刀は空間ウインドウを操作してある映像を妖夢達に見せた。

 

「何ですかこれは?」

 

「例の試合の記録だ。」

 

妖夢の問いに黒刀は答えた。

小町が心配そうな目で黒刀を見て、

 

「いいのか黒刀?お前にとっては思い出したくないことだろう。」

 

「もう大丈夫だ。」

 

「あ、いました黒刀先輩!…大将ですよ。」

 

妖夢が映像に表示されているメンバーリストを見て口にした。

 

「だが大将にしたことが失敗だった。」

 

「え?」

 

黒刀の呟きに妖夢が呆けた声を出す。

そして画面に映ったのは神光学園代表の先鋒、次鋒、中堅の3人が次々とボロ負けされていく映像だった。

 

「何ですか…これ?」

 

妖夢は愕然としていた。

 

「分かっただろ?これじゃ大将まで回ってこない。」

 

「相手は1年と2年だけね。」

 

霊夢は気づいたことを口にした。

 

「ああ、でこっちは俺以外3年だった。

だがあっちには1人だけ1年で桁が違う奴がいた。

中堅の奴を見てみろ。」

 

言われて妖夢達が視線を戻すと、

白髪で短髪、瞳の色は赤、上半身は白の明るい服、

下半身は裾に赤白の飾りのついた黒いスカート、

頭には山伏風の帽子で、犬耳と尻尾が生えていて、

剣と紅葉が描かれていた盾を装備した女の子が映った。

 

「中堅ってこの犬耳の人?」

 

「そいつの名前は犬走椛。『千里眼』のスキルを持つ剣士だ。」

 

「スキルって確か超能力みたいなものですよね。」

 

「ああ、スキルは生まれ持つ先天性か鍛練によって得た後天性の2種類がある。椛の『千里眼』は少々厄介でな。こっちの中堅はなすすべもなく敗北した。」

 

黒刀はお茶を1杯飲んだ後、湯飲みをちゃぶ台に置く。

 

「妖夢、お前の決闘を見た。」

 

「え、ありがとうございます…。」

 

妖夢の頬が少し赤くなる。

 

「そうだな。竹刀でいいなら少し相手をしてやろう。」

 

「いや、そんな私が先輩の相手をするなんて畏れ多いです!」

 

「だめか?」

 

「あの…その…はい。」

 

「じゃあ庭でやろうか。それならいいよね?姫姉。」

 

「ええ、近所迷惑にならない程度なら。」

 

「了解。」

 

黒刀と妖夢は2階から階段で降りてそのまま庭に行く。

 

「緊張する~。」

 

「あんたが緊張してどうするのよ。」

 

「妖夢にとっては憧れの人との対決ですしね。」

 

観戦する魔理沙、霊夢、大妖精がそれぞれ口を開く。

黒刀は妖夢に2本の内の1本を投げ渡す。

 

「ほら、姫姉のだけど。」

 

「ありがとうございます。」

 

妖夢は竹刀の柄を見て気づく。

 

「(血の痕がある…きっとものすごい数、姉弟で打ち合ってきたんだろうな。)」

 

「勝負は1本勝負だ。」

 

「はい!」

 

周りの音が静かになる。

2人は竹刀を構える。

最初に飛び出したのは黒刀の方だった。

 

「(速い!)」

 

妖夢は一気に距離を詰められる。

 

「(打ち合ったって筋力的に不利だ…ここは回避してカウンターだ!)」

 

妖夢は半歩引いて竹刀を回避して、黒刀の左脇にカウンターを仕掛けようとする。しかし、黒刀は空振りをした竹刀で全身を一回転させて回転斬りを放った。

 

「なっ!」

 

妖夢は回転斬りを竹刀で受けた。

 

「(想像していたより遥かに重い!)」

 

吹っ飛ばされた妖夢に黒刀はさらに踏み込む。

 

「(受け身に回ってたら負ける…こっちも攻める!)」

 

妖夢も地面を踏み込んだ。

黒刀はニヤリと笑い、右足を45度の角度で踏み込んだ瞬間、彼の姿から妖夢の目の前から消えた。

直後、妖夢の背後からとてつもないほど大きな気配がした。

 

「はっ!」

 

妖夢は咄嗟に振り向きガードした。

 

「お前の長所と短所は同じだ。」

 

「くっ!」

 

「それはその純粋な目と心だ。」

 

黒刀は鋭い剣捌きで妖夢の竹刀を弾き飛ばした。

決着はついた。

黒刀は妖夢に背を向けて歩き出した。

 

たとえそれが私の弱さでも()()()()()()()()()()()この剣はあなたを超えると誓った剣だから!

 

「…楽しみにしている。」

 

妖夢の言葉を聞いた黒刀はそう言い残して立ち去った。

 

 

 黒刀と妖夢の一本勝負が終わった後、

妖夢達はそれぞれ解散していった。

 

 

 チルノ&大妖精サイド。

「すごかったね。チルノちゃん。」

 

「ま、まあまあだね!…あいつはあたいが倒す!」

 

「うん。頑張ってチルノちゃん♪」

 

 

 霊夢&魔理沙サイド。

「強かったな…初めてだよ!

チャンピオンの剣術を間近で見るなんて!」

 

「そうね…妖夢も落ち込んでないといいけど…

あんな負け方しちゃうんだもの。」

 

「大丈夫だ!妖夢はそんな柔じゃないぜ!」

 

「でも、よくよく考えたら私達って今日会ったばかりなのよね…。」

 

 

 妖夢サイド。

妖夢はさっきの黒刀との勝負を思い出していた。

 

『お前の長所と短所は同じだ。』

『それはその純粋な目と心だ。』

『楽しみにしている。』

 

妖夢は右手をグッと握った。

 

「勝ちたい…超えたい…あの人を超える!

そのためにはもっと修行しなきゃ!」

 

自宅の玄関を開けてリビングへ入り電気をつけると、

幽々子がうつむいたまま座っていた。

 

「うわ!幽々子様何してるんですか?電気もつけないで。」

 

「…ごはん。」

 

「はい?」

 

「昼になっても帰ってこない…夕方になっても帰ってこない…お腹減った…。」

 

「えっと…。(しまった~!すっかり忘れてた!)」

 

「妖夢は私が空腹でも構わないんだ?」

 

「すみません!今すぐ作ります!」

 

妖夢は急いでキッチンに向かう。

すると、幽々子は笑顔に戻った。

 

「そう!じゃあ10食分お願いね!」

 

「計算おかしくないですか!」

 

「…お腹」

 

「あ~分かりました!作ります!作りますから機嫌直して下さい!」

 

「ふふふ、やっと妖夢のごはんが食べられるわ♪

もしまたやられたら食べ放題の店でも行こうかしら♪」

 

「それはやめておいた方が。」

 

「あら、なぜ?」

 

「犠牲者が出るからです。」

 

「それは恐いわね~。」

 

「(恐いのはあなたの胃袋ですよ!)」

 

 

 4月5日午前5時。

「ん、ん~~~~!」

 

映姫が大きく伸びをして起床する。

 

「黒刀、起きなさい。朝ですよ。」

 

映姫は隣で寝ている黒刀の肩を少し揺すって起こす。

 

「ん、おはよう姫姉~。」

 

「おはよう黒刀。」

 

2人は布団を畳み、それから制服ではなくジャージに着替えた。

 

「行きますよ。」

 

「ああ。」

 

2人はアパートの階段を降りて、それから日課であるランニングを始めた。

 

「やっぱり町内一周じゃ楽すぎるかな?」

 

「いえ、これくらいがちょうどいいですよ。」

 

2人は息1つ切らさず走っている。

そして、幻想町を一周してアパートに戻ってきた。

そのまま部屋に戻るのかと思いきや、庭に行き竹刀を持って素振りを始めた。

 

数分後。

 

「9998…9999…10000。」

 

2人はほぼ同時に素振りを終えた。

 

「それじゃ朝食にしますか。」

 

「楽しみだな。姫姉の飯。」

 

「朝だから大したものは作れませんよ。」

 

「だがうまい!」

 

「もう!」

 

2人は笑い合いながら部屋に戻る。

 

四季家の朝食は白飯、味噌汁、卵焼き、魚の塩焼き、牛乳とまさに日本の朝食といったものだった。

 

「やっぱりうまい!」

 

「いつも同じですよ。」

 

「いつもうまい!」

 

「私は黒刀の味付けの方が好きですけど…。」

 

「それは俺が姫姉の好きな味を知っているからだよ。

で逆もまたしかりってね!」

 

「なるほど。」

 

 

 しばらくして2人は手を合わせて、

 

「「ごちそうさまでした!」」

 

映姫は脱衣所で制服に着替えて、黒刀は和室で制服に着替えた。

それから2人は「「いってきます!」」と言って部屋を出た。

登校は黒刀がバイクに乗って後ろに映姫が乗るという感じになっていた。

2人ともヘルメットをかぶる。

黒刀はバイクのエンジンをかけた。

 

 

 学園の駐車場に着いた。

 

「私は生徒会室に行きます。黒刀はどうするの?」

 

「俺は図書塔に行ってくるの。」

 

「じゃあ、また。」

 

「うん、また。」

 

黒刀と映姫はここで別れた。

校舎から離れた場所には図書塔があり、何十万冊という数の本がある。

黒刀が図書塔の扉を開けると、その受付には

紫色のセミロングの髪をした、中学生並みに、小柄な女性、稗田(ひえだの)阿求が座っていた。

 

「早いわね、こんな朝から。」

 

「お互い様だろ。あっきゅん。」

 

なお、阿求は図書委員の3年生だが、同じ図書委員の黒刀は愛称で呼んでいるし、阿求もそれを許している。

 

「仕事ないわよ。」

 

「いいよ。本、読んでる。」

 

「何の本?」

 

「反重力運動理論。」

 

「好きね、それ。あれは…」

 

「3階だろ。覚えてる。」

 

「たいした記憶力ね。」

 

「(完全記憶能力を持ってるあんたほどじゃねえよ。)」

 

 

 黒刀は3階から『反重力運動の理論』とタイトルがついた本を取って読む。

そうしている内に時間が過ぎていき、図書塔の鐘が鳴る。

 

「時間だな。」

 

「じゃあ、私は戸締まりをしてから行きます。」

 

「(もはや、主だな。)」

 

 

 

 午前8時。

 

「ふわぁ…全然眠れなかった…。」

 

妖夢は欠伸を抑えきれずにいた。

 

「おっす、妖夢!」

 

「おはよう。」

 

「霊夢、魔理沙おはよう…ふわぁ…。」

 

「眠そうだな。」

 

「昨日の先輩との勝負を思い出していたら興奮して眠れなかったんです。」

 

「はは、小学生かよ。」

 

 

 

 午前8時30分。1年A組教室。

 

「今日は能力測定があります。詳しい内容は第3体育館で担当の先生が説明してくれます。皆さんは運動着に着替えて行ってください。」

 

慧音がそれだけ報告して、教室を出ていくと女子達は更衣室に移動していく。

 

 女子更衣室。

「能力測定って何をやるんでしょう?」

 

妖夢が着替えながらつぶやく。

 

「そりゃドンってなってバーンとなってドカーンってなるやつだよ!」

 

「全然わからん。ドカーンって何だよ。爆発すんのか?」

 

チルノの適当な発言に魔理沙がツッコむ。

 

「上級生たちもやるらしいですよ。」

 

大妖精も着替えながら口にする。

 

「ってことは黒刀先輩もやるのよね。」

 

霊夢の一言に5人はその光景を想像する。

 

「「「「「(マジで爆発させそう…。)」」」」」

 

「いやいや、いくらなんでもそんなことあるわけが…」

 

「でも昨日の実力を見ただけでも十分納得できちゃうのよね。」

 

「確かに。」

 

「能力ならあたいが最強ね!」

 

「私も負けないぜ!」

 

「なら勝負だ!」

 

「望むところだ!」

 

「こいつら元気ね…。」

 

チルノと魔理沙の張り合いに霊夢は呆れていた。

 

 

 

 第3体育館。

 

「担当の先生ってどんな人なんでしょう?」

 

「普通の学校なら保健室の先生とかかな?」

 

「そうね。」

 

「だけど…」

 

「「「「「(この学校が普通なわけがない。)」」」」」

 

妖夢達がそんなことを話し合っていると、

第3体育館に現れたのは金髪ロングで、身長は高め、上は体操服、下はロングスカートで、下駄を履いていて、頭に赤い一本角を生やした男勝りな女性教師…

星熊勇儀だった。

 

「あたしの名前は星熊勇儀だ!教科は体育!それじゃ能力測定について説明するぞ!」

 

「(え、もう?)」

 

その時、1人のクラスメイト男子が、

 

「ちょっと待てよ!」

 

「何だ?」

 

勇儀は不機嫌さを隠さない。

 

「お前、酒臭いぞ!本当に教師なのか!」

 

周りからも、そうだそうだ、と野次が飛ぶ。

 

「そうだな…そんなに文句があるならあたしに勝てるようになってから言ってもらおうか。」

 

勇儀はそう挑発する。

 

「やってやろうじゃねえか!」

 

その男子がSDを取り出す。

 

SD。

Sword Deviceを略してSD。

長さ10cmのグリップ状のデバイスで、スイッチを押すと起動してライトグリーンのビームブレードが出るものである。

汎用型と特化型に分類され、

汎用型は30cm~50cmの刀身の剣。

特化型は斧、槍など様々である。

 

SDを起動した男子は勇儀に突っ込む。

 

 

 第2体育館。

黒刀がストレッチをしていると、

 

「あやや、黒刀さんが授業に出ているなんて珍しいですね!」

 

「…俺を不良扱いするのはやめてくれないか…文。」

 

黒刀がそう呼ぶ女子生徒の名は射命丸文。

黒髪セミロングで、瞳の色は赤、身長160cm、

赤い山伏風の帽子を被っている神光学園2年新聞部部長である。

新聞部といっても昔のような新聞紙ではなく、現在の主流は校内ネット掲載のニュースサイトで登校している。

 

「あやや、これは失礼♪」

 

文は悪気もなくそう返す。

 

「サボってるわけじゃなくてちゃんとその権利があるんだからな。」

 

黒刀がそう答えた時、

 

「校内ランキング1位と2年の座学トップ、定期試験の結果はいつも満点だから…でしょ?」

 

現れたのは金髪、青い瞳、やや高めの身長、頭にヘアバンドのように赤いリボンをつけた少女。

名前はアリス・マーガトロイド。

その正体は日本で有名なアイドルであり、黒刀の小学6年生からの幼なじみでもある。

 

「ああ、知っていることをわざわざ教わる必要はない。」

 

「そういうところ、ほんと阿求先輩に似てるよね。」

 

「完全記憶能力者と一緒にするなよ。」

 

「そういえば1年も今頃、受けている頃よね…例のあれ。」

 

「星熊先生の洗礼か…。」

 

「黒刀さんは去年、星熊先生と互角に闘ってましたね。」

 

「今年もいるんじゃないか1人くらい。」

 

「「(いないいない!)」」

 

 

 

 第3体育館。

勇儀の前には倒された男子がいた。

 

「そん…な…バカな…。

(ありえねえ…この先公…俺の剣を指1本で止めやがった。)」

 

「(やはり…黒刀のような奴はいないか…。)」

 

先の一瞬で勇儀は彼の剣を指1本で止め、カウンターの手刀で倒した。

 

「そんじゃ、改めて能力測定について説明するぞ!

お前もよく聞いておくんだな。」

 

勇儀は倒れた男子に向けても言葉をかける。

 

「くっ。」

 

「能力測定っていうのはオーラの性質を測定することだ。」

 

「オーラって何ですか?」

 

1人の生徒が質問する。

 

「オーラっていうのは人間の体内に流れるエネルギーのことだ。それには性質があり気力、魔力、霊力の3つに分類される。性質は人それぞれであり、オーラは全ての人間が持っているものだがただ普通の生活を送ってあれば発現することはない。また発現したとしても扱いきれなければ意味がない。今の3年だってまともに扱いきれないものもいる。」

 

「じゃあ1年でもオーラを上手く扱うことができれば勝てるっていうことですか?」

 

「少なくとも勝率は上がるだろうな。」

 

それを聞いた1年達は喜びを隠しきれずにいる。

 

「そのためには今から測定する。まずは自分自身の力を知ることが最初の授業だ。じゃあクラス毎に出席番号順に並べ。」

 

 30分後。

魔理沙の順番が来る。

測定器はコンソールみたいなもので中心の円に手をかざすと測定される仕組みだ。

 

「イメージは自分の内側の力を出すことだ。」

 

「はい!」

 

魔理沙が測定器に手をかざすと、勇儀と魔理沙だけ見えるようにモニターで結果が出た。

 

《霧雨魔理沙 魔力》

 

「お前は魔法師だったな。まあ、予想通りといえるな。」

 

「魔力…。」

 

魔理沙は右手をグッと握って下がっていく。

 

「次、魂魄妖夢!」

 

「はい!」

 

妖夢も測定器に右手をかざす。

 

《魂魄妖夢 気力》

 

「気力。剣士や格闘家に多いタイプのオーラだ。」

 

「剣士…ってことは先輩…黒刀先輩も気力を持っているってことですか?」

 

「ん…まあな。」

 

「やっぱりそうなんですね!」

 

妖夢は目を輝かせると元気よく下がっていった。

 

「次、大妖精!」

 

「は、はい!」

 

大妖精が測定器に手をかざす。

 

《大妖精 魔力 霊力》

 

「妖精は精霊の一種だから霊力を持っているが、お前は魔力もあるようだな。」

 

「2つのオーラを持っているということですか?」

 

「ああ。2つのオーラを持っていることをツインフォースという。珍しい方ではあるな。」

 

「そうですか…ありがとうございました。」

 

大妖精はそう言ってお辞儀をしてから下がっていく。

 

「次、チルノ!」

 

「あたいの番きた!」

 

チルノは手をかざすというより測定器に右手を叩きつけた。

 

《チルノ 霊力》

 

「お前も妖精だったな。」

 

「最強の妖精だ!」

 

「はいはい…てか測定器を叩きつけるな。壊れるから。」

 

「分かった!…よっしゃこれで黒刀を倒す!」

 

「(気が早ぇよ。)」 

 

勇儀の心配もよそにチルノはスキップして下がっていく。

 

「次、博麗霊夢!」

 

「はい。」

 

霊夢は冷静な様子で測定器に手をかざす。

 

《博麗霊夢 霊力》

 

「お前は神社の巫女をしているそうだな…そうか…それで…。」

 

「もう下がってもいいですか?」

 

「あ…ああ。」

 

霊夢は静かに下がっていく。

 

「(あの感じ…既に自分がオーラを発現していることに気づいている…いや、それどころかかなりの高いレベルに達している…やはりあの博麗の巫女か。)」

 

勇儀はそこまで考えて首を振って仕事に戻った。

 

その時。

 

バーンと強い衝撃音と地響きが鳴り響いた。

 

「え、何ですか今のは?」

 

「この体育館からじゃない…第2体育館の方から響いてきたわ。」

 

「行ってみよう!」

 

妖夢達は急いで第2体育館に走っていく。

 

 

 

 第2体育館。

 

「く~ろ~と!お前、今わざとオーラを強く込めただろ!」

 

第2体育館でそう叫ぶのは、

青髪ツーサイドアップ、白のブラウスに肩の部分にポケットが付いている水色の上着、青色のスカート、頭に緑色のキャスケットをかぶり、背中に大きいリュックを背負った、小学生並の身長の2年A組の担任、

河城にとりである。

 

「え~俺は軽くやったんだけどな~。軽く。」

 

「どこが軽くだ!見ろ!測定器が木っ端微塵じゃねえか!」

 

にとりが指をさした先にはパーツがバラバラに散った測定器があった。

 

「あ~私、知らないわよ。」

 

アリスはそっぽを向いている。

 

 

「やっぱり先輩はすごい!」

 

その現状を見た妖夢は目を輝かせていた。

 

「だいたいお前はいつも…」

 

「「!」」

 

黒刀とにとりはその時、何かに気がついたのか動きが止まった。

 

「おい…黒刀。」

 

「ああ、分かってる。出来れば振り向きたくない。」

 

にとりが黒刀の背後を見ると映姫が冷たい笑顔で立っていた。

 

「ふふふ、一体この騒ぎはなんですか…黒刀?」

 

「ひ、姫姉…。」

 

「お説教。10時間コースと5時間フルコースどちらがいいですか?」

 

「えっとお説教なしというのは?」

 

「…ふふ♪」

 

映姫は黒刀の頭をアイアンクローで掴んで連行する。

 

「え、うそ今から?」

 

「残念ながら今日は別件です。学園長があなたとにとり先生をお呼びです。能力測定の続きは八意先生が引き継ぎます。」

 

八意という名を聞いた2年の男子の顔が一瞬で青ざめていくのだった。




ED1 遊戯王5Ds「START」

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