東方剣舞   作:kuroto xanadu

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OP8 遊戯王GX 99%


シンクロ

 9月11日 午前10時。

WDCアジア予選リーグ。

初戦の相手はインド。

試合はスタジアムで行われる。

試合のない選手は控室に待機しながらモニターウインドウで試合を観る。

 

「チームメイトの応援が届かないのはちょっと寂しいですね。」

 

控室に向かう途中の廊下を黒刀と歩きながら話す妖夢。

他のメンバーは既に控室に集まっている。

 

「仕方ないさ。国によっては野次を飛ばす奴もいるからな。選手が試合に集中するにはそういった配慮も必要だ。なんせ世界最大の大会なんだからな。」

 

そう説明口調で答える黒刀。

 

 

 

 

 

 日本代表控室。

控室では雪村が空間ウインドウを操作しながら作戦会議を指揮している。

 

「インド代表の中でも特に厄介な相手がこの3人です。」

 

画面が切り替わる。

 

「(全員坊主だな。)」

 

インド代表の選手を見た黒刀は関係ないことを考えていた。

それを察した映姫が肘で黒刀の脇腹を軽く小突く。

黒刀少しのけ反らせたがすぐ映姫にアイコンタクトで謝罪した。

そんなやり取りが行われているとは露知らず、雪村は作戦会議を続けている。

 

「まずダブルスのアルファとオメガ。彼らは一卵性の双子でコンビネーションも全く隙がありません。」

 

画面に映し出されたアルファとオメガの見た目は全く同じ。

肌の色は黒、髪型は髪1本ない坊主頭、身長は170㎝後半、デュエルジャケット…というより普段から修行僧のような恰好をしている。

 

「うわ…ほんとに見分けつかないわね…」

 

愛美が苦い顔をする。

 

「アルファが槍、オメガが曲刀を使用しています。それで判断するのがいいでしょう。

 

雪村が話を続ける。

空間ウインドウを操作して次の画面に切り替える。

 

「ガンジー・コウ。インドでは神童と呼ばれていて、彼が所属する修行寺の階級は師範代。18歳にして卓越した拳闘術を持っています。」

 

雪村の説明がそこで終わる。

ガンジー・コウの見た目は肌の色と髪型が先程の2人と同じ。

身長は185㎝、瞳の色は黄色でまるで悟りを開いたのではないかと思わせる印象を抱かせる。

雪村が空間ウインドウを閉じて、にとりが前に出る。

 

「インド戦のメンバーは、ダブルス2が四季黒刀と四季映姫、ダブルス1が東風谷早苗と白金真冬、シングルス3が二宮優、シングルス2が比那名居天子、シングルス1が五位堂光でいく。」

 

「「ちょっと待ってください!」」

 

にとりが試合に出場するメンバーを発表すると早苗と真冬が前に出てきた。

 

「何だ?」

 

にとりが訝しげに問う。

 

「黒刀君が姫姉と組むのは分かります。しかし私がこの女と組む理由が分かりません!」

 

真冬がにとりの人選に異議を申し立てる。

 

「そうです!何故私がこんな女と仲良く闘わなきゃいけないんですか!」

 

早苗も声を荒げたその時。

 

「いい加減にしろ。」

 

後ろの方から冷たく叱咤する声が響いた。

声の主は黒刀だった。

皆の視線が黒刀に集まる。

 

「お前達は何故ここにいるのかも忘れたのか?それは俺達が日本代表だからだ。俺達は国を背負ってここまで来ているんだ。個人同士の勝手な意地の張り合いをするなら今すぐ国へ帰れ。それが嫌ならお前達を信用して選んだにとりの指示に従え。」

 

黒刀は厳しい言葉を2人にぶつけた。

その言葉を受けた2人は自分達の間違いに気づいてにとりの方へ向き直る。

 

「やります!いえ…やらせてください!」

 

「私もです!必ず勝ちます!」

 

早苗の言葉に真冬も続く。

にとりは頷いて2人の決意を受け止める。

「よし。試合開始は30分後だ。それまでしっかり準備しておくように。」

 

にとりが指示を飛ばした。

 

 

 

 

 

 試合前に黒刀は少し散歩することにした。

黒刀がまた迷子になるのではないかと心配になった映姫が一緒についていく。

 

「心配性だな~姫姉は。」

 

「姉が弟の心配をするのは当然です!」

 

黒刀の軽い口調に映姫は頬を赤くしてそっぽを向く。

そんな映姫の可愛らしい反応を黒刀は穏やかな目で見ていた。

 

 

 

 

 

 インド代表控室。

空間ウインドウに映し出されているのは四季黒刀と二宮優。

 

「この2人は強敵ですね。特にこの四季黒刀という男…底が知れません。」

 

アルファがそう口にする。

 

「こっちの二宮優という男も侮れませんよ。」

 

オメガが空間ウインドウに映し出されている二宮優を指差す。

 

「如何なさいますか?師範代。」

 

代表メンバーの1人であるプロトンがガンジー・コウに指示を仰ぐ。

ガンジーは瞑想状態からゆっくりと目を開ける。

 

「確かにあちらは強敵です。しかし我々は仏の導きの元に我々の闘いをするのみです。メンバーはいつも通りでいきます。」

 

ガンジーが合掌すると他のメンバーも合掌し始める。

これが世界最大の仏教発展国インドの姿である。

 

 

 

 

 

 試合開始5分前となり、ダブルス2の黒刀と映姫は入場ゲート前で待機している。

 

「いよいよだね…姫姉。」

 

黒刀が映姫の手を握る。

 

「何がそんなに嬉しいの?」

 

映姫が正面を向いたまま訊ねる。

 

「そりゃ姫姉のデビュー戦で一緒に闘えるなんて嬉しいどころか幸せだよ…俺は。」

 

「全く…よくもまあ恥ずかしげもなくそういうことを口に出せますね。」

 

映姫が呆れる。

 

「姫姉だから言えるんだよ。」

 

黒刀の返答に映姫がジト目で見つめる。

 

「それより…いつまで手を握っているんですか?」

 

「え~試合中もこうしていようよ~」

 

「そんな恥ずかしいこと出来る訳ないでしょ!」

 

映姫は黒刀の手をバッと振り解いた。

黒刀が名残惜しそうな顔をしたところで選手入場のブザーが鳴り響く。

黒刀と映姫、アルファとオメガの4人が同時にフィールドに入場する。

 

「直に見ても本当にそっくりですね。気を引き締めますよ黒刀…。って黒刀?」

 

映姫が黒刀の返事がないので横に視線を移すと、黒刀が観客席に対して両手を広げて振っていた。

 

「って黒刀!」

 

映姫が強めの口調で呼ぶ。

黒刀の顔は緩んでデレデレだった。

その理由は観客席の最前列でルーミアが元気に手を振っていたから。

 

「全く気を引き締めるどころか緩みまくりですよ!」

 

 そのやり取りを見ていたアルファとオメガ。

 

「四季黒刀…このような者が本当に我々の脅威に値する実力を持つのでしょうか?」

 

「どても…そうは見えませんね…」

 

2人は黒刀を疑わしき目で見てそう口にした。

 

 

 

 

 

 黒刀と映姫のやり取りを控室からモニターウインドウで見ていたにとりは呆れていた。

 

「(何をやっているんだあの姉弟は…)」

 

 

 

 

 

 思う存分ルーミアとのコミュニケーションを取った黒刀はようやく正面を向く。

 

「さて…」

 

デュエルジャケットを装着して汎用型SDを取り出す。

トリガーを押すと先端からビームブレードが伸びる。

右手持ちで。

それを見たオメガが訝しげな目をする。

 

「ん?おかしいですね。確かあなたは日本刀の左利きだったはず。」

 

「ウォーミングアップだよ。」

 

オメガの問いに黒刀がそう返した。

お互いに名前を知っているので自己紹介はしない。

黒刀の一言に2人は舐められていると感じた。

 

「あまり自身の力を過信していると痛い目を見ますよ。」

 

オメガが腰の鞘から曲刀を抜く。

 

「後悔しても遅いですからね。」

 

アルファも槍を構える。

映姫も影で剣を造形して構える。

 

《3…2…1…0.デュエルスタート》

 

機械音声が鳴り響いた試合開始直後。

黒刀と映姫の姿が2人の目の前から消えた。

次の瞬間、黒刀と映姫が姿を現したのは2人の背後だった。

黒刀と映姫は試合開始直後に『抜き足』で彼らの背後に回り込んだのだ。

黒刀がオメガに、映姫がアルファに斬りかかる。

アルファとオメガは咄嗟に振り返ってそれぞれの武器で防御する。

2人は衝撃で5m後方に飛ばされる。

 

「何てスピードだ。」

 

着地したオメガが呟く。

黒刀はSDを肩に担ぐ。

 

「今の攻撃を防ぐtってことはそれなりに出来るってことか…」

 

「当たり前です。彼らはインド代表ですよ。」

 

緊張感のない黒刀に映姫が横から口を出す。

 

「じゃあもう少し上げるか…姫姉。」

 

「そうですね…黒刀。」

 

黒刀と映姫が同時に床を蹴る。

 

「こちらもいくぞ!」

 

「ええ!」

 

アルファとオメガも距離を詰める。

黒刀とオメガ、映姫とアルファの刃が激突する瞬間。

 

「「四季流剣術 壱の段 一騎当千!」」

 

黒刀と映姫の高速の剣撃が炸裂する。

アルファとオメガは一撃目は防御したが、黒刀の剣速は30、映姫の剣速は31。

残りの刃が2人を襲う。

 

「「ぐっ!」」

 

アルファとオメガが歯を食いしばりながら後退する。

黒刀は映姫を見ていた。

 

「(チッ、まだ届かないか…)」

 

映姫に剣速で負けたことを悔しんでいる。

すぐに気を取り直して目の前の相手に意識を向ける。

 

「オメガ…どうやら力を出し惜しんで勝てる相手ではないようだ。」

 

「あれをやるのか?」

 

「ああ。」

 

アルファとオメガが並び立つ。

 

「何か仕掛けてきますよ。黒刀!」

 

映姫が呼びかける。

 

「見りゃ分かるよ。」

 

黒刀が返して構える。

 

 

 

 

 

 インド代表控室。

 

「アルファ…オメガ。あなた達がそれを使う程の相手ということですか…」

 

ガンジーはそう呟く。

 

 

 

 

 

 日本代表控室。

同じように控室にいた諏訪子が目を凝らす。

 

「(あれは…)」

 

 

 

 

 

「「気力解放!」」

 

アルファとオメガが同時に気力を解放した。

さらに2人のオーラが繋がっていく。

 

「「これが絆の究極形態『シンクロ』だ!」」

 

2人が同時に言い放つ。

 

 

 

 

 

 日本代表控室。

 

「凄い…オーラが繋がってる…」

 

目を見開いて感嘆する妖夢。

 

「アハハハハ!」

 

だがその時、諏訪子が突然笑い出した。

 

「どうしたんですか?」

 

妖夢が驚いて訊く。

諏訪子は笑いをなんとか必死にこらえる。

 

「フッ…あれが『シンクロ』だって?残念ながらあれは本来の『シンクロ』はあんなものじゃない。」

 

笑い過ぎて出てしまった涙を拭う。

 

「どういうことですか?あれが本来の『シンクロ』じゃないって…本来の『シンクロ』って何ですか?」

 

「それならすぐに見られるよ。」

 

妖夢の問いに対し諏訪子はそう返した。

 

「どういうこと…はっ!」

 

妖夢はそこで気づいた。

 

「そう…『シンクロ』を使えるのは彼らだけじゃないってことさ。」

 

諏訪子がそう口にして試合に視線を戻した。

 

 

 

 

 

 アルファとオメガが一瞬アイコンタクトを取るとそれだけでお互いが何をするか理解した。

2人がジグザグに駆け出して左右交互に入れ替わりながら黒刀と映姫に接近する。

黒刀がクロスステップでオメガの背後に回り込んでSDを水平に振る。

そこへアルファの槍が横から黒刀に迫る。

黒刀は攻撃をキャンセルしてSDで槍を受け流して、空中で縦回転してアルファに踵落としを仕掛ける。

だがオメガが曲刀で回転斬り。

黒刀は軽くハイジャンプして回転斬りを躱して床に着地する。

アルファとオメガは黒刀と映姫に前後から挟まれる形となったので背中合わせで構える。

 

「(おかしい…)」

 

「(何故もう1人は介入してこない…)」

 

2人がアイコンタクトで会話していたその時。

 

「黒刀…そろそろ限界ですよ。」

 

映姫が口を開いた。

 

「(限界…諦めたのか?)」

 

アルファが心の中で疑問を抱く。

 

「はあ…そうみたいだな。」

 

黒刀がため息を吐く。

 

「(何を言っているんだ…こいつら…)」

 

オメガは状況が飲み込めず混乱する。

黒刀がSDのトリガーを押すとビームブレードが消える。

そのままポケットにしまう。

今度は右腰にぶら下がっている鞘に納まっている『八咫烏』の柄を左手で握る。

 

「あっ!」

 

控室で妖夢が声を上げる。

黒刀が鞘から『八咫烏』を振り抜くと風圧が発生する。

それだけでアルファとオメガは戦慄を感じた。

だが警戒しなければならないのは黒刀だけではない。

映姫からも強烈なオーラを感じたからだ。

映姫を取り巻くように白い竜巻が発生する。

 

「モードチェンジ!ロイヤルナイト!」

 

白い竜巻が吹き荒れるように消える。

現れたのは純白の鎧を身に纏い、純白の剣を握る映姫だった。

その気高き美しき姿に観客の目は釘付けだった。

 

「さて…そろそろ何故俺が右手で相手をしていたのか教えてやってもいい頃だろう。」

 

黒刀が口を開く。

アルファとオメガは背中合わせのまま警戒を崩さない。

 

「これが…答えだ!」

 

そう口にした黒刀が消え次の瞬間に現れたのはアルファとオメガの僅かな死角だった。

黒刀が『八咫烏』を軽く振り上げる。

オメガは曲刀を水平に構えて防御態勢を取る。

オメガが防御してその隙にアルファと槍の突き。

2人の基本コンビネーション。

だが黒刀が軽く振ったはずの剣撃はオメガを曲刀ごと体勢を崩した。

 

「(バカな…それ程の力は込めていないはず…)」

 

オメガは目を見開いて驚く。

予想外の事態にアルファも驚いたがそのまま攻撃直後の黒刀の脇腹に横から槍の突きを放つ。

しかし、またもや予想外の事態が起きた。

アルファの槍は黒刀の右手の甲に…いや正確には黒刀の右手の甲の上に展開された黒いオーラの盾によって防がれた。

 

「くっ!」

 

アルファはすぐに後退して距離を取ろうとする。

黒刀がオメガを攻撃してアルファが後退するまでの時間は3秒。

アルファが後退しようとした時、『抜き足』で接近していた映姫が純白の剣を両手持ちで水平に振った。

アルファは槍を縦に構えて防御態勢を取る。

だが受けた剣撃はその小さな体から出せるとは思えない程重かった。

今度は黒刀と映姫が背中合わせになる。

 

「何だ…今のは?」

 

オメガが対戦相手に思わず問う。

 

「ん~別に最初のあれは大したことしてねえよ。あえて名付けるなら『ガードブレイク』とでもいうべきかな。刀を振る時に一瞬力を込める。それだけ。」

 

黒刀はさも当然のように答えた。

オメガは呆気に取られる。

 

「それだけ…だと?」

 

「うん。それだけ。」

 

黒刀が頷く。

黒刀は当然のように実行しているが『ガードブレイク』にはそれだけの腕力が必要となる。

それも並大抵の腕力ではない。

黒刀はロサンゼルスの大会でこの筋力アップを重点的に行ってきた。

 

「(軽く振っただけであの力…もし大振りが来たら一体どうなってしまうのか…想像するだけでも恐ろしい。)」

 

オメガの顔から冷や汗が出る。

 

「あとさっき槍を防いだのが『覇王の盾』。右手の甲にオーラを集束して盾の形に変える。今まで右手が手持ち無沙汰だったから役割を与えただけだ。」

 

黒刀が右手をブラブラと振る。

 

「黒刀…」

 

黒刀が『覇王』という単語を口にしたことに映姫が口を挟む。

 

「姫姉。もう俺は逃げない。たとえ正体が悪魔にバレようと戦う。」

 

映姫にだけ聞こえる声量で返す。

 控室にいる真冬は黒刀の姿をかつてのザナドゥ卿と重ねて見ていた。

 

「(黒刀君…)」

 

 アルファとオメガは戦慄を超えて恐怖を感じた。

 

「「(この男は…危険だ!)」」

 

2人はアイコンタクトを交わした。

高速で黒刀と映姫の周囲を円を描くように駆け回る。

 

「姫姉…」

 

「黒刀…」

 

黒刀と映姫はお互いに呼び合う。

背中合わせのままで黒刀は映姫の左手を、映姫は黒刀の右手を握る。

2人のオーラが結び合う。

 

「まさかこいつらも…『シンクロ』を⁉」

 

オメガが驚く。

 

「双子である俺達は生まれる前から一緒だったんだ。『シンクロ』で負けるものか!」

 

アルファが言い放つ。

2人とも動きは止めていない。

アイコンタクトを交わして左右から攻撃を仕掛ける。

その攻撃を黒刀と映姫は同時に跳び上がって躱した。

着地を狙うアルファとオメガに黒刀は映姫を空中サーカスのようにアルファとオメガに向けて投げた。

映姫はそのまま純白の剣を振り下ろす。

アルファとオメガは武器を重ね合わせて防御した。

黒刀が着地して床を蹴ると映姫の背後から水平斬り。

 

「(味方ごと斬るつもりか!)」

 

オメガが驚く。

黒刀の行動に会場から悲鳴が上がる。

だが映姫は黒刀の『八咫烏』の刃が背中に届く直前にしゃがみこんで躱した。

それによって『八咫烏』の刃がアルファとオメガに迫る。

防御態勢だった2人は黒刀の『ガードブレイク』を受けてしまい体勢を崩される。

そこに映姫の振り上げが迫る。

体勢を立て直していない2人はその剣撃をもろに体で受けてしまい後方へ吹っ飛ばされる。

ダメージを受けながらもなんとか立ち上がる。

 

「何て奴らだ…一歩間違えば敗北だけでは済まなかったぞ…」

 

「それにあいつら掛け声どころかアイコンタクトすらしていなかった…」

 

「何だって!」

 

オメガの言葉にアルファは驚く。

 

 

 

 

 

 日本代表控室。

諏訪子は腹を抱えて爆笑していた。

 

「いやはや…あの姉弟の『シンクロ』は何度見ても凄いね~!」

 

「これが本来の『シンクロ』ですか?」

 

妖夢が質問する。

 

「『シンクロ』っていうのは心と心と繋がって完成するものだ。アイコンタクトなんてそもそも必要ないのさ。」

 

諏訪子が爆笑を必死に堪えながら説明する。

 

「なるほど。」

 

「とはいえ…あそこまでの完成度はなかなかない。末恐ろしい姉弟だよ…全く。」

 

 

 

 

 

 

「くそ…あの『ガードブレイク』が厄介だ。」

 

オメガが舌打ちする。

その時、黒刀は観客席でこちらを見ている韓国代表のイ・サンとチャン・スウの存在に気づいた。

黒刀は映姫との『シンクロ』を解く。

必要以上に手の内を明かすことをやめたのだ。

『シンクロ』を解いているにも関わらず黒刀の考えを読み取った映姫は無言で黒刀の隣に並ぶ。

 

「俺が曲刀の方をやる。」

 

「じゃあ私は槍の方。」

 

2人はお互いの意思を示して床を蹴った。

アルファとオメガは同時に左右に跳んだ。

これで黒刀の相手はオメガ、映姫の相手はアルファという形になった。

 

 

 

 

 

 インド代表控室。

 

「なるほど。各個撃破ということですか。」

 

ガンジーが冷静に呟く。

 

「これでは『シンクロ』が機能しない!」

 

インド代表メンバーであるシン・ルゥが焦りを口にするのだった。

 

 

 

 

 

 

「いいんですか?せっかく優勢だったのにバラバラになって。」

 

オメガが問う。

 

「お前『シンクロ』使えるくせに分かってねえな。信頼って言うのはただ一緒にいることじゃできねえ。離れていても大丈夫だから信頼できるんだ!」

 

黒刀はそう言い放って構えた。

床を蹴り、駆け出すとオメガに連続剣撃を仕掛ける。

ただでさえ速い四季流に『ガードブレイク』が加わっているのだ。

速く重い剣撃がオメガを追い詰める。

『ガードブレイク』とは相手にとどめを刺す技ではなく相手の体勢を崩す為の技。

黒刀は剣先を床に擦らせとそこから斬り上げた。

その際に一瞬だが『八咫烏』の剣先が燃えた。

 

「四季流剣術 伍の段 火廻(ひまわり)!」

 

黒刀の『ガードブレイク』は技術によるものなので他の技と組み合わせることが出来る。

腕力と火力が組み合わさった剣撃にオメガは防御が間に合わず空中に吹っ飛ばされる。

黒刀は跳び上がってオメガの上から『八咫烏』を振り下ろす。

 

「(大振り…これは避けなければ!)」

 

オメガは頭でそう考えていても反射的に防御態勢を取ってしまった。

 

「オメガ、ダメだ!」

 

アルファが叫んだ時にはもう遅かった。

黒刀の一振りは水平に構えたオメガの曲刀を抵抗を感じさせることなく破壊し、そのまま『八咫烏』の刃はオメガの体を肩から斬り下ろした。

オメガは気絶して、轟音を立てて床に落下する。

 

「オメガ!」

 

アルファが叫ぶ。

 

「余所見している場合ですか?」

 

その隙に映姫が剣を水平に振る。

アルファは体を反らして躱して、バックステップしてから連続で突きを放つ。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

雄叫びを上げながら連続で突きを放つがどの攻撃も映姫の鎧を掠めることすらできない。

 

「甘い!」

 

映姫が斬り上げて槍を弾いた。

 

「何っ!」

 

アルファが驚いたその隙を映姫は逃さない。

 

「四季流剣術 弐の段 一閃!」

 

居合い斬りでアルファを斬り抜いた。

アルファの体が遅れて前のめりに倒れる。

 

《勝者 四季黒刀&四季映姫》

 

機械音声が鳴り響く。

それに応えるかのように歓声が上がる。

映姫がモードチェンジを解除して元の姿に戻る。

黒刀は『八咫烏』を納刀する。

映姫の剣も影となって消える。

アルファとオメガは気絶しているので大会の医療班が担架で医務室に連れて行く。

黒刀と映姫は観客に手を振ることなくクールにフィールドを去る。

 

 

 

 

 

 日本vsインド 1vs0。




ED8 ヴァンガードG ギアーズクライシス編 Don't Look Back

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