東方剣舞   作:kuroto xanadu

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OP8 遊戯王GX 99%


WDC

 9月10日 午前6時。羽田空港ゲート前。

WDCは予選と本選に分かれて行われる。

アジアの日本はアジア予選リーグを勝ち抜けなければいけない。

アジア予選の会場は毎年フィリピンで行われる。

現代のフィリピンはインドネシアと統合している。

今日はWDC日本代表がフィリピンへ出発する日。

 

「本当に私が監督でいいんですか?」

 

河城にとりの不安げな声。

 

「いいのいいの。神光学園を剣舞祭優勝に導いたにとり先生の方が適任だから。」

 

楽しそうに返す洩矢諏訪子。

 WDCには選手の他に監督1名、アシスタントコーチ1名、アシスタント4名をチームに加入できる。

監督はにとり、アシスタントコーチは諏訪子、アシスタントは大妖精、稗田阿求、雪村氷牙、丸山千歳の4名。

大妖精は選手のケア、阿求と丸山はデバイス調整、雪村は情報収集を担当している。

 飛行機の時間までゲート前で待っていた日本代表一同の中で妖夢はワクワクした気持ちが抑えられず音楽のリズムに乗るように体を上下に揺らしていた。

 

「いよいよですね先輩!」

 

妖夢は隣で眠そうにしている黒刀に声をかける。

 

「ん?ああ…そうだな。」

 

黒刀は生返事。

朝早いので妖夢も黒刀の適当な返事に機嫌を悪くすることはしない。

 

「先輩は去年も代表に選抜されたんですよね?」

 

「ああ。」

 

「どうして出なかったんですか?」

 

「興味ないから。」

 

「え~もったいない。」

 

妖夢は黒刀との会話を楽しむ。

 

「今回出るのはやっぱりレミリアさんが出るからですか?」

 

その名を聞いて黒刀の眠気が少し覚めた。

 

「…7年前、あいつと賭けをしたんだ。」

 

「賭け?」

 

妖夢が可愛らしく首を傾げる。

 

「負けた方が勝った奴の言うことを何でも聞くってやつ。7年前にその賭けをして直接対決するはずだったんだけど邪魔が入って闘えなかった。それ以来あいつと闘っていない。」

 

「ではその賭けの為に?」

 

妖夢の問いに黒刀は首を横に振る。

 

「確かにそれもあるが重要なのはそこじゃない。俺は…いや俺達は単純に決着をつけたいんだ。どちらが強いかを…少なくとも俺はレミリアを唯一無二のライバルだと思っているから。」

 

黒刀が普段なら口にしない言葉を妖夢に聞かせる。

妖夢は黒刀は決着をつけたいと言った時『王』として決着をつけたいのだと思っていた。

しかしそれは間違いだった。

黒刀は『王』としてではなく1人の剣士としてレミリアに勝ちたいのだ。

 

「その為にはアジア予選を突破しないといけませんね。イギリス代表はWDCで毎年優勝している強豪ですからヨーロッパ予選も突破してくるでしょうし。」

 

「そうだな。負ける訳にはいかないな。」

 

「はい!」

 

黒刀の微笑みに妖夢は強い返事で応えた。

 

 

 

 

 

 飛行機の時間がきて全員が飛行機に搭乗した。

 

「それで…何でこの子がここにいるの?」

 

霊夢が指す『この子』とは黒刀の隣に座っているルーミアのこと。

 

「しょうがないだろ。家に置いていく訳にはいかないし。」

 

霊夢の疑問に黒刀が答える。

三列前の席からルーミアを見る愛美が当然の疑問を口にする。

 

「黒刀にあんな妹いたっけ?」

 

「(可愛い…)」

 

花蓮に至っては心の中でときめいていた。

 妖夢はWDCとは別の理由でワクワクしている。

 

「飛行機に乗るのって生まれて初めてなんですよね!」

 

「俺は何回も乗ってるからよく分からん。」

 

妖夢の前の席に座っている黒刀が感動を台無しにすることを口にする。

すると通路を挟んで黒刀の隣の席に座っている早苗が身を乗り出す。

 

「何を言っているんですかセンパイ!初めての気持ちは大事なんですよ!ほら思い出して下さい!私とのファーストキスを!」

 

「何でだよ!今関係ないだろ!」

 

黒刀がすかさずツッコむ。

彼の座席は左窓際で左から映姫、ルーミア、黒刀の順に座っている。

通路を挟んで早苗、その隣に天子がアイマスクを着けて座っている。

その天子の隣に真冬が座っている。

 

「そうです!大事なのは愛です!」

 

その真冬が会話に割り込んできた。

 

「いや…そういう問題じゃなくて…」

 

黒刀が制止しようとする。

反対側を向いて映姫に助けを求めようとするがそっぽを向いて助ける気が無い。

結局CAが注意を呼び掛けて早苗と真冬の喧嘩は収まった。

そして、ついに飛行機が離陸した。

妖夢の目は終始キラキラしていた。

 

 

 

 

 

 3時間後。

日本代表を乗せる飛行機は無事フィリピンの空港に到着した。

 

「さあ、センパイ!早くホテルのチェックインを済ませてフィリピンの海へ遊びに行きましょう!」

 

早苗が黒刀の右腕に抱きつく。

 

「何を言っているんですか!私と遊びに行くんですよね黒刀君?」

 

すると真冬も黒刀の左腕に抱きつく。

 

「くろにい!私も遊びたい!」

 

さらにルーミアが黒刀の背後から肩に乗ってきて肩車状態。

 

「お前ら、少しは歩かせろ!」

 

黒刀達がそんな感じに騒いでいる光景を遠巻きに呆れながら見ていたにとり。

 

「あいつら何しに来たんだ…。」

 

 

 

 

 

 日本代表の男子選手はたった4人しかいない。

部屋割りは黒刀&優、仁&流星となった。

ちなみに早苗は黒刀と離れてしまったことにしばらく嘆いていた。

黒刀は夜風に当たりに行く為に部屋を出ようとする。

 

「黒刀。」

 

すると優に呼び止められる。

 

「何だ?」

 

黒刀が振り返る。

優がベッドから立ち上がって黒刀の正面に立つ。

 

「日本に帰ってきてお前がどれだけ強くなったのか俺は知らない。だが俺はもう一度お前と闘いそして勝つ!だからそれまで負けるんじゃねえぞ。」

 

「ああ。当然だ。」

 

黒刀はドアの方へ向き直って部屋を出る前にそう言い残して行った。

 

 

 

 

 

 黒刀がホテルの屋上に出ると先客がいた。

映姫だった。

屋上の手すりに手を置いて夜景を眺めている。

 

「姫姉。」

 

黒刀が声をかけると映姫が振り向く。

 

「来ると分かっていましたよ。」

 

その一言に黒刀は疑問を感じない。

 

「姫姉には敵わないな。」

 

映姫の隣に立って一緒に夜景を眺める。

 

「はい。」

 

映姫が200㎖の牛乳パックを差し出す。

 

「ありがとう。」

 

黒刀はお礼を言って受け取る。

 

「どういたしまして。」

 

それから2人は言葉を交わさず夜景を眺めていた。

 

「黒刀と一緒に闘うのは師匠の修行以来ですね。」

 

映姫が口を開く。

 

「そうだな…久しぶりだからってヘマするなよ。」

 

黒刀は映姫に拳を突き出す。

 

「そっちこそ。」

 

映姫も拳を突き出してグータッチを交わす。




ED8 ヴァンガードG ギアーズクライシス編 Don't Look Back

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