OP1 学戦都市アスタリスク「Brand new world」
黒刀とチルノ再戦!
午後1時。神光学園1年A組教室。
「昼だ~!」
「うるさい。」
チルノが大声を上げ、霊夢が不機嫌さを露わにする。
「なんだと!」
「まあまあ、皆さんはお昼はどうするんですか?」
大妖精の質問に皆は、
「私は学食だ。」
「あたいも!」
魔理沙とチルノに対し、妖夢達は
「「「私は弁当。」」」
「お前ら、そんな女子力を…。」
魔理沙はショックを受けた。
「これくらい普通よ。ていうか料理作れて女子力なら黒刀先輩はどうなのよ?」
「あれは主婦だな。」
「違いますよ。主夫です。」
「あの~早くしないとお昼が…。」
「そうだ!じゃあGO!」
「あたいもGO!」
チルノと魔理沙はダッシュで食堂に向かう。
「あの2人、思考回路が一緒なんじゃないかしら。」
「あ、あはは…。」
霊夢の言葉に妖夢は苦笑いだった。
食堂。
昼食を食べながら魔理沙が校内ニュースサイトを空間ウインドウで閲覧していると1つの記事を見つけた。
「なになに…昨日1年生の魂魄妖夢が同じ1年生を完膚無きまでに叩きのめした…ってなにこれ?」
「完膚無きって…。」
「とんだゴシップ記事ね。」
「あ、でも退学になった相手の名前は伏せてありますよ。そこらへんのセーフティーラインは見極めてありますよ。」
「あ、もう1つ記事ありますよ。」
「どれどれ…1年生のチルノは100位の3年生を瞬殺したが、その後校内ランキング1位の四季黒刀に何も出来ず敗北。」
「う、嘘だ!」
チルノは否定する。
「いや負けたのは事実だし。あとうるさい。」
霊夢が冷静にツッコむ。
そこへ、
「よう!」
勇儀が現れた。
「あ、星熊先生。聞きたいことがあるんですけども。」
「何だ?」
「噂で聞いたんですけども星熊先生は黒刀先輩と闘ったことがあるんですよね?」
「…あいつが初めてだったよ。この学園であたしに両手を使わせたのは。」
「「「「「え…え~!」」」」」
「星熊先生、お願いがあります!私にオーラの使い方を教えて下さい!」
「おいおい、そんなに焦らなくてもその内、授業で学ぶから大丈夫だろ?」
「それじゃダメなんです…それじゃ私はいつまで経っても黒刀先輩に追い付けない。」
「アッハッハ!これは驚いた。まさかこの学園にそんな生徒が現れるとは…いいだろう。特別授業つけてやる。ただし、あたしは厳しいぞ。」
妖夢の言葉に勇儀は笑った。
「はい!」
「それじゃ放課後、第3体育館に来い!」
「はい!」
その後、昼食を食べ終わりチャイムが鳴る。
午後1時30分。1年A組教室。
5時限目、慧音は授業を行っていた。
「この学園のランキング戦には決闘以外にもう1つあります。それが『乱戦』です。乱戦は毎週金曜日に行われるもので、校内サイトで参加を申し込みます。放課後の午後4時から行われるもので5位以上は強制参加です。決闘との違いは1対1、多対1、多対多という様々な状況が存在することです。目の前の相手だけでなく周りも警戒しなければならないことです。」
「負けた場合はどうなるんですか?」
「決闘と同様、2日間の決闘禁止です。」
「制限時間はどれくらいあるんですか?」
「30分です。6時限目の終了時刻は3時30分なので準備時間は30分ということになります。この乱戦の利点は相手が多数存在するため、ランキングを上げるチャンスが増えること。逆に欠点は1人で多数を相手にした場合のリスクです。」
「(そこに駆け引きが生まれる。)」
魔理沙はそう考え、
「(1人の場合、囲まれたら詰み。だけど他の誰かと組んだとしても裏切られるリスクも出てくる。)」
霊夢も説明を受けながら頭の中でシミュレーションしている。
「(ワクワク!ワクワク!ここであたいが大活躍して一気に最強への一本道だ!)」
対して、チルノは乱戦を待ちきれずにいた。
午後3時30分。
「じゃあ私、勇儀先生のところに行ってくるね。」
「おう、いってらっしゃい!」
放課後になり、妖夢は勇儀が待つ第3体育館へ向かうために教室を出て、魔理沙はそれを見送った。
すると、チルノも立ち上がった。
「あたいも特訓する!明日は黒刀と決闘できるんだ!今のうちに強くなっておかないと!」
「チルノちゃん、待って!」
チルノは意気揚々と教室を飛び出し、大妖精はそれを追いかける。
霊夢も席を立ち帰ろうとする。
「じゃあ、私も帰って…」
「私も行くぜ。」
魔理沙が霊夢の肩を掴む。
「何で?」
霊夢は眉をひそめる。
「特訓付き合えよ。」
「…はあ。しょうがないわね…軽くよ。」
「おうよ!」
面倒くさそうに応える霊夢に魔理沙は笑顔で応えた。
第3体育館。
「いいか?はっきり言ってお前のオーラは少ない。だが、オーラで大切なのは使い方だ。」
第3体育館で勇儀は目の前の妖夢に指導を行っていた。
「使い方?」
妖夢が首を傾げる。
「そうだ。黒刀のようにバカでかいオーラを持っている奴は攻撃力、防御力、スピードに利用する。」
「少ない人は?」
「技術で補う。」
「例えば剣技とかですか?」
妖夢は勇儀の説明を自分のスタイルに当てはめて考えた。
「それもある。お前は攻撃力と防御力は並以下だが、スピードはそれなりにある。そこにオーラを利用した技を足せば立派な武器になる。」
「なるほど。…そういえば黒刀先輩が言っていました。私の長所と短所は純粋な目と心だと。」
「ん~それだけだと分からないな。よし!妖夢、あたしに全力で攻撃してこい!」
「は、はい!」
妖夢は慌てながらも、『楼観剣』を抜くと全速力で勇儀に斬りかかる。
しかし、勇儀に剣先を持たれてあっさりと攻撃を流されてしまった。
「(こんなにあっさりと!)」
勇儀は顎に手を添えて考えた後、
「なるほど…お前の短所は攻撃の単調さ、長所が一心不乱に磨き続けた剣技ということか。」
「(たった一撃で見透かされた…。)」
「まずはオーラを視覚化できるようにならないとな。」
「オーラを視覚化?」
「オーラを発現させた者にはオーラが目に見えるようになる。…どうだ?今のお前にあたしのオーラが見えるかい?」
「いいえ。全く見えません。」
「だろうな。オーラを発現させる方法は大きく分けて2つ。鍛錬で時間をかけてゆっくりと発現させるかオーラを発現している者から起こしてもらうかだ。お前はどっちがいい?」
「今すぐお願いします!」
「即答だな。よし、目を閉じて全身の力を抜け。」
「はい!」
妖夢は勇儀の言われた通りにする。
すると、額に勇儀の人差し指の感触がした。
「もういいぞ。」
妖夢が目を開けると、目の前に見えたのは自身と勇儀の全身から出る透明ではない無色のオーラだった。
「これが…オーラ…。」
「そうだ。それじゃ特別授業続けるぞ!」
「はい!」
それから時間ギリギリまで勇儀の指導が続いた。
神光学園裏庭。
「ふふふ、ついに出来た!これで黒刀に勝つ!」
「チルノちゃん、大丈夫?」
「大丈夫!」
大妖精の心配にチルノは親指をグッと立てた。
博麗神社。
「ねえ、まだやるの?」
「当たり前だろ!ほら次いくぜ!」
霊夢は止めようとしたが魔理沙は特訓を続行した。
4月7日。午後3時30分。
6時限目終了のチャイムが鳴った直後、黒刀の教室にチルノが入ってきた。
「黒刀~!決闘だ~!」
「いいだろう。ついてこい。」
黒刀は席から立ち上がると、チルノを第2体育館に連れて行った。
第2体育館。
ギャラリー達も面白がって2階の観客席に続々と座っていた。
体育館内部は常に保護結界が展開されているので決闘には利用されることがあるのである。
黒刀とチルノは10m距離を空けた状態で向かい合っていた。
「今回は俺もデュエルジャケットを装備しよう。」
チルノが送った決闘申請のウインドウに承諾した後、まずチルノに『デュエルジャケット』が装着され、次に黒刀の体が光に包まれて、それが晴れると、そこにいたのは黒のレザー、黒のコート、黒のグリーブを装備した黒刀だった。
その姿にチルノは一瞬、息を呑んだ。
「これが…黒刀のデュエルジャケット…。」
「そうだ。」
チルノは構える。
《3…2…1…0.デュエルスタート》
試合開始の合図となる機械音声が鳴り響く。
最初に動いたのは黒刀だった。
「(また3本指⁉)」
チルノは黒刀の指が届く前に氷の壁を展開した。
黒刀はその氷の壁を貫き砕いた。
「(指の力だけで⁉)」
チルノは黒刀の力に驚愕していた。
「(前より術のスピードが上がっている。威力の分を速度に変えたか。)」
黒刀もチルノの成長に内心、喜んでいた。
妖夢達は観客席で黒刀とチルノの試合を観戦していた。
「すごいですね…指の力だけで氷の壁を壊すなんて。普通、突き指しますよ?」
「大丈夫そうだぞ。」
「化け物ね。」
妖夢、魔理沙、霊夢はそれぞれ感想を口にした。
「いい加減抜けよ、その刀!」
チルノは黒刀の右腰の鞘に納めてある刀を見て言った。
「…そうだな。出し惜しみももう十分だろう。」
黒刀は鞘から刀を抜いた。
その刀は直刀で、刀身は黒く60㎝程、鍔はない。
黒刀は刀をだらりと下げている。
チルノは無防備な状態を見逃さなかった。
「アイスニードル!」
チルノは空気中の水分を凝結させて多数の氷の棘を作り出し、黒刀に放つ。
黒刀はいまだ動かない。
氷の棘が黒刀に炸裂し、煙が舞う。
「どうだ!」
チルノはそう言い放つ。
煙が晴れていく。
だが、黒刀にダメージは1つもなかった。
「嘘だろ…なら今度は1つで確かめてやる!」
チルノは氷の棘を1本だけ放つ。
黒刀はまだ動かない。
そして、氷の棘が黒刀に届く寸前で氷の棘は砕け散った。
「どういうことだ?」
観客席にいる魔理沙が目の前で起きた現象に理解できずにいる。
その時。
「あれが『破壊王の鎧』だよ。」
「あ、あなたは?」
大妖精が声をかけてきた人物の名を問う。
「魔法工学科の河城にとりだ。」
にとりは名を名乗る。
横には慧音もいる。
「それで一体何なんですか?その『破壊王の鎧』って?」
霊夢がにとりに質問する。
にとりは妖夢の隣が空いていたのでその席に座り、その隣に慧音が座る。
慧音が口を開く。
「その前にまずはこの世界で『王』と呼ばれる者達について話しましょう。
『王』といっても国家の王という意味ではなく、天皇陛下によって選ばれた者を指します。
『破壊王』四季黒刀、『機械王』河城にとり、『蝦蟇王』洩矢諏訪子、『未来王』レミリア・スカーレット。以上の4人が『王』と呼ばれる者達です。」
「黒刀先輩だけじゃなく河城先生もですか!」
「すごいもんだろ!」
にとりは胸を張る。
慧音が説明を続ける。
「『王』にはそれぞれ強力なスキルがあります。その中でも黒刀が持っている『破壊王の鎧』はオーラを全身に膜のように纏って、遠距離攻撃はほとんど無効化されます。」
「え、それって…。」
妖夢がその先を口にしようとする。
「そう。あいつに遠距離攻撃は効かない。遠距離であれを破るには一定以上の威力を持ったものではならない。」
それを聞いた大妖精はフィールドにいるチルノに向き直った。
「そんな…チルノちゃん。」
「(分かってるよ…もう効かないっていうのは…だったら!)…ソードフリーザー!」
チルノは氷の剣を作り出し、それを握る。
「いくぞ~!」
チルノは黒刀に向かって真正面から突撃する。
黒刀は下げていた刀を構える。
チルノはニヤリと笑みを浮かべて、高速で黒刀の背後に回り込んだ。
「(取った!)」
チルノは氷の剣を振り下ろした。
が、黒刀はその剣を後ろを向いた状態のまま刀で受け止めた。
「(なんで!)」
チルノは黒刀が後ろを向いたまま止めたこと、さらにチルノの攻撃に間に合ったことに驚いた。
「あれが黒刀のスキル『千里眼』と『超反射』。黒刀の『千里眼』は半径1㎞360度の視界を拡大できる。『超反射』は目に見えた動きに対して即座に反応できる。つまりあいつに死角はない。」
にとりの言葉に妖夢達は驚愕し、息を呑んだ。
「(『破壊王の鎧』、『千里眼』、『超反射』。これが全国1位になった人の実力。)」
妖夢はフィールドにいる黒刀を見ながら心の中でつぶやいた。
「(距離を取ってもダメ…接近戦も通らない。どうすれば…。)」
チルノは慌てて距離を取り過ぎないように後退する。
それを見た黒刀が、
「まさか俺のスキルがこれだけだと思っているのか?」
「(これ以上があるっていうのか?)」
チルノは警戒心を強めた。
「それじゃ見せてやるよ!」
次の瞬間、黒刀が刀を振ると黒い斬撃が放たれる。
チルノは氷の翼を広げて飛翔して回避する。
その直後、もう一度黒い斬撃がチルノに放たれる。
「(さっきより速い!)」
チルノはなんとか横に飛んで回避する。
そこへまた黒い斬撃が放たれる。
「(また速くなってる!避けられない!受けるしかない!)」
チルノは氷の剣で黒い斬撃を受ける。
だが、黒い斬撃は予想以上に重く、軽く吹っ飛ばされる。
しかも、黒い斬撃がまた放たれてきている。
「くっ!」
チルノは氷の剣で受けるしかなかった。
「(威力が上がってる⁉)」
チルノは吹っ飛ばされ壁に激突する。
「ぐあっ!」
チルノは痛みで声を上げる。
「気づいたか?威力と速度が上がっていることに。」
「…攻撃ごとにパワーとスピードが上がるスキルか…。」
「少し違うな。」
「上がっているのはオーラだ。そして、攻撃ごとに上がるのではなく軸足が一定箇所に止まっていればいるほどオーラが上がる。」
「なんだと?」
「気づいていないのか?最初の攻撃以降、俺の位置が変わっていないことに。」
その言葉にチルノは思い出していた。
「(そうだ。あいつはあの3本指の攻撃の後から右足を一歩も動かしていない。)」
「これが俺のスキルの1つ『集中』だ。」
「あの人には『破壊王の鎧』があるんですよね?それに『集中』が加わったらどうなるんですか?」
大妖精の問いににとりが答える。
「『破壊王の鎧』の強度が増していく。長期戦になればなるほどあいつは強くなる。」
「化け物っていうレベルじゃないわ。」
霊夢が思ったことをつぶやいた。
「(つまりこうしている間もあいつは強くなり続ける。なら一か八か!)」
チルノは再び上に飛翔して、氷の棘を作り出す。
「アイスニードル!」
「チルノちゃん、それはもう!」
チルノの無謀な攻撃に大妖精が叫ぶ。
「(分かってる!これは布石だ!)」
氷の棘を黒刀は『破壊王の鎧』で完全防御。
「(今だ!)」
チルノは氷の剣を握って突っ込む。
「なるほど…お前の成長は良く分かった。ならば俺も見せよう。全てを打ち砕く破壊の一撃を。」
黒刀は右足を半歩引いて重心を下げて刀の柄を両手で握って上段に構える。
刀にオーラが集束していき、無色のオーラが黒く染まる。
チルノは攻撃に間に合わないと判断して急停止する。
「アイスシールド!」
チルノは両手を前に出して大きな氷の盾を展開する。
次の瞬間、黒刀は刀を振り下ろした。
「カオスブレイカー~!」
黒刀の刀から巨大な黒い光線のような斬撃が放たれる。
「止める!」
「無駄だ。」
『カオスブレイカー』が氷の盾に当たった瞬間、その盾は何の抵抗もなく砕け散った。
「『カオスブレイカー』は防御術式を…破壊する。」
そして『カオスブレイカー』はチルノに直撃し、やがて床に落ちて気を失った。
《勝者 四季黒刀》
勝敗を告げる機械音声が鳴り響く。
「チルノちゃん!」
大妖精が1階に降りてチルノの元へ駆けよる。
チルノは僅かだが目を覚ましていた。
「大ちゃん…へへ…負けちゃったよ。」
「待っててすぐに治癒魔法をかけるから。」
大妖精は治癒魔法をチルノにかける。
黒刀はチルノを背に立ち去ろうとする。
すると、大妖精がチルノを抱き上げたまま、
「待ってください!全力で闘ったチルノちゃんに何も声をかけないつもりですか!」
黒刀を非難した。
黒刀はなお背を向けたまま。
「悪いが俺はそんな優しい奴じゃない。俺の闘いに慈悲も情けもない。」
それだけ言って黒刀は第2体育館を去った。
「まさか、あんなひどい人だったなんて…。」
大妖精は黒刀を軽蔑した。
一部始終見ていたにとりは、
「(黒刀はお前はまたそういう選択をするんだな。)」
黒刀を心配する気持ちを抱いていた。
対して妖夢は先程の決闘について考えていた。
「(『カオスブレイカー』…抗うもの全てを真正面から玉砕していく技。防御はできない…つまり迎撃と回避のみ…だけど『集中』で威力の上がった『カオスブレイカー』とまともにぶつかるなんてできないし、回避しようにも範囲が広すぎる。)」
妖夢は改めて黒刀の実力に畏怖を覚えるのだった。
ED1 遊戯王5Ds「START」
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