「いや~やっぱいいっすね!男と男の魂をぶつけ合う熱き闘いってのは」
観客席に座って、六道仁とストゥム・ルーの試合を観戦していたイギリス代表のチャーリー・ベルモットが率直な感想を述べた。
「お前は暑苦しすぎる。もう少しクールに闘って欲しいものだ」
アレックスが横から口を出す。
「え~!そんな冷たいこと言うなよ~。ねえ?レミリアなら分かるよね?」
「私、女なんだけど」
レミリアが横目でチャーリーを睨む。
「ご、ごめん…」
レミリアの気迫に押されてチャーリーは慌てて謝る。
「僕は分かりますよ。チャーリーの言う男同士の熱き闘いというものの素晴らしさ」
そんな中、レオがそんなことを口に出した。
「お、お兄様⁉」
マリーがレオの発言に驚く。
「まあ残念ながら僕はまだその熱さを味わっていない…がそういうものには憧れるし楽しみで心が躍るよ」
「それって四季黒刀のことをおっしゃっているのですか?」
「そうだね。彼と闘うことが今の僕の夢だからね」
そう言ってレオは微笑んだ。
日本代表控室。
試合を終えた仁が控室に戻ってきた。
「わりぃ。負けちまった」
仁は頭を掻き一言。
「まあ、しょうがないんじゃない」
全く悔しがっていないあっさりとした態度に愛美が口を開く。
「相手がそれだけ強かったってことだし」
光が続く。
「そういう時もありますわ」
花蓮が言った。
「最終的にチームが勝てば問題ない」
優が言った。
ナンバーズが問題ないという口調で返してきた。
「いやいや!何でそんな落ち着いているんだぜ!あと2回負けたら終わりなんだぜ!」
魔理沙がツッコむ。
「魔理沙」
黒刀が制止。
「何だよ!黒刀まで同じことを言うのか?」
魔理沙の言葉に黒刀はフッと笑う。
「そんなにツッコミに力入れることないだろ」
「なっ!今はそんなこと言ってる場合じゃないだろ!」
魔理沙は興奮した口調で返す。
「まあ、冗談は置いといて。もう少し肩の力を抜け。あと2回負けで終わりなら負けなきゃいい」
黒刀は魔理沙の肩に手を置く。
「そんな簡単に言われたって…」
「世界の強者と闘えるんだ。どうせなら楽しもうぜ」
黒刀はそう言ってから仁に顔を向ける。
「仁はどうだった?」
「ああ。楽しかったぜ。あれほど心から熱くなる闘いは久しぶりだ」
仁はご機嫌に答えた。
「楽しく…ああ…そうだな。勝つことばかりに集中し過ぎて忘れてたぜ!この大会、楽しく勝つ!」
魔理沙は気合いを入れ直した。
「ならさっさと行くわよ」
タイミングを見計らったように霊夢が魔理沙の手を取って控室を出て行く。
「おい。そんな引っ張るなよ!」
廊下から魔理沙の声が聞こえる。
「あんたがグズグズしてるのが悪いのよ!」
霊夢の声も聞こえる。
「熟年夫婦か。あいつらは」
控室の中から聞いていた黒刀は呆れるのだった。
ニューヨーク時間午前9時55分 エジプト代表控室。
試合に勝利したストゥムは控室に用意されている食べ物を幸せそうに頬張っていた。
「スクス、セト。行け。余に勝利を届けよ」
アヌビスは試合を終えたストゥムに興味を示さず頬杖を突いて2人に命令する。
「ハッ!」
アヌビスに命令された2人がバサッとローブを脱ぎ捨てて膝をつく。
つり目の男性がスクス・ハル。
長い黒髪の女性がセト・マソト。
ちなみに先程までアヌビスに反抗的な態度を取っていたのがスクス。
スクスもアヌビスの戦術や態度に不服はあるものの、その実力は認めざるを得ないと思っている。
何よりエジプト王国では地位が重視される。
エジプト王国第一王子であるアヌビスの地位は相当高い。
故に彼らは逆らうことを許されない。
先程もヤハラが止めていなければどうなっていたか分からない。
2人は控室を出る。
スクスは拳を握り締めていた。
「スクス…」
セトはそんな彼を見て心配そうな声を上げる。
「何も言うな。今は目の前の試合に勝つことに集中しよう」
スクスはセトが言葉を続ける前に遮った。
セトは彼の顔を見てハッと気づく。
前を見据える彼の目は闘争心に満ち溢れていた。
一方。
霊夢と魔理沙はゲート前に並び立つと顔を見合わせて互いに微笑を浮かべる。
霊夢は霊力で、魔理沙は箒に跨って飛行してデュエルフィールドに入場した。
会場から歓声が沸き上がる。
剣舞祭以来の雰囲気に魔理沙はテンションが上がった。
「そういや霊夢と闘うのはかなり久しぶりな気がするな!」
「そうね。前に一緒に闘ったのは『乱戦』で黒刀先輩に挑んだ時だったわね」
2人は並んで会場の上空を飛び回りながら会話している。
「…あの時から私達はどれくらい強くなったんだろうな…」
「それを確かめる為にここまで来たんでしょ」
「…そうだな。よろしくな相棒!」
魔理沙は霊夢に拳を突き出す。
「こちらこそ!」
霊夢も拳を突き出してグータッチを交わす。
遅れてエジプト代表のスクスとセトが入場してくる。
彼らは霊夢達と違って飛行出来ないので砂地に足をつけている。
「相手は飛行するタイプか。少々手こずりそうだが…まあ勝てるだろ」
スクスは飛び回っている霊夢達を見上げる。
「そうね。とはいえなるべく奥の手だけは使わない方向で勝ちたいわ」
「ああ。分かっている」
スクスとセトがフィールドの中央から5m離れた位置に立つ。
霊夢と魔理沙は中央から5m離れているがこちらは10m上空で浮遊している。
飛行出来る選手がいる場合、このように待機することはルール上で問題ない。
しかし、見下ろされている感を味わっているスクスの心中は穏やかではない。
「見てろよ!私のパワーでお前らをぶっ飛ばしてやるぜ!」
魔理沙が下の2人を指差して啖呵を切る。
隣の霊夢はやれやれと頭を抱えている。
「調子に乗るなよ。雑魚共!」
挑発を受けたスクスは完全に頭に血が上っていた。
隣のセトは霊夢と同様に頭を抱えている。
「「(どうして私の周りにはこうも単純な奴が多いのかしら)」」
苦労人の2人は心の中でため息を吐いていた。
《3…2…1…0.デュエルスタート》
先に仕掛けたのは魔理沙だった。
「先手必勝だぜ!」
魔理沙は魔法弾の弾幕をスクスとセトに向けて放つ。
それらは2人に着弾したかに思えた。
だが、スクスが右手を左に振るとその動きに合わせて足元の砂が巻き上がって弾幕を防いだ。
「あいつ、砂を操れんのか!」
魔理沙は驚く。
続けて霊夢が霊力弾の弾幕を放つ。
だが、先程と同じようにスクスが手の動きで砂を操って防ぐ。
「厄介ね」
霊夢が呟く。
「今度はこっちの番だ!サンドバルカン!」
スクスが両手を前に突き出すと砂が弾幕として放たれる。
「「っ!!」」
霊夢と魔理沙は左右に散開して砂の弾幕を避ける。
そこで霊夢は避けながら気づく。
「もう1人は?…いた!」
霊夢は見失っていたセトを発見した。
彼女はスクスの15m後方で待機していた。
「(よし。その位置なら!)」
霊夢は空中で停止する。
「霊夢!何やってんだ!避けろ!」
魔理沙が叫ぶ。
「もう諦めたか!」
スクスが吠える。
霊夢は砂の弾幕が着弾する直前に目を閉じる。
「夢想天生!」
霊夢はそう詠唱した。
この霊術の発動中は無敵状態である為、砂の弾幕は霊夢の体をすり抜けていく。
「何っ⁉」
スクスが驚く。
その隙に『夢想天生』によって霊力弾の弾幕が自動で放たれる。
「チッ!」
スクスは舌打ちして砂の壁を展開して霊力弾の弾幕を防ぐ。
霊夢はもちろんそれを読んでいた。
「(見えないけどもし彼女があの位置から動いていないのなら)」
霊夢は右手に霊力を集束して霊力の塊を作り出す。
「白霊砲!」
それを白い光線として放った。
狙いはセトだ。
『夢想天生』で目を閉じている為、その前に確認した位置に向けて放っている。
幸いにもセトは動いていない。
それどころか『白霊砲』が迫っているにも関わらず動く気配が無い。
次の瞬間、その意味が判明する。
彼女は両手を砂地に叩きつけた。
「スフィンクスウォール!」
砂が彼女を取り囲むように巻き上がる。
その砂は形を変えていき、なんと全長10mのスフィンクスとなった。
『白霊砲』はスフィンクスの外壁に弾かれて消滅した。
霊夢は『夢想天生』をやめて霊力障壁を展開して現状を確認した。
「何よ…あれ…」
霊夢は目を見開いた。
実際のスフィンクスに大きさは劣るもののその存在感は圧倒的だ。
しかも、外壁の強度は『白霊砲』を無傷で弾く程。
「これだけではないわよ!」
スフィンクスの内部からセトの声が響く。
彼女は正座するとまるで聖女が祈りをささげるように手を重ねた。
すると、彼女の足元に術式が展開される。
スフィンクスの外壁の砂は岩のように硬質化していく。
さらに外壁に砲門のような穴が多数開く。
それらから様々な色の光線が霊夢と魔理沙に向けて放たれた。
「戦艦みてぇだな畜生!」
魔理沙は悪態をつきながら光線の嵐を紙一重で躱す。
霊夢も紙一重で躱している。
魔理沙の言葉通り、それはまるで戦艦だった。
しかも、光線は絶え間なく放たれ続けている。
霊夢と魔理沙はまるでシューティングゲームの弾幕を相手にしているかのように必死に躱している。
「あれは時間の問題だな。大口叩いた割に大したことなかったな」
スクスは躱し続ける2人を見上げて嘲笑う。
「マスタースパーク!」
魔理沙がスフィンクスに向けて砲撃魔法を放つ。
だが、スフィンクスの外壁に弾かれる。
「マスパでもダメなのかよ。いやまだ手はある!私はいつまでも昔の私じゃない!霊夢、3秒だけ頼む!」
魔理沙は霊夢に向かって簡潔に指示した。
かなり言葉足らずで何を頼むのかははっきりしない指示。
だが、霊夢は指示の意味を理解して頷くと魔理沙の前に移動して霊力障壁を展開して光線を防御する。
衝撃が霊夢の体に伝わってくる。
魔理沙が左手でポケットから赤い六角形の宝石を取り出す。
「ジュエリーフォース ルビー!」
ルビーの宝石をMADの背面のくぼみにはめ込んだ。
「霊夢!」
魔理沙が声をかけると霊夢が霊力障壁を解除して上昇する。
「マスタースパーク!」
「何度やっても無駄だ!お前達の攻撃は何1つ通用しないんだよ!」
スクスが吠える。
確かにさっき『マスタースパーク』はスフィンクスの外壁によって弾かれた。
だが、今回は違った。
『マスタースパーク』がスフィンクスの外壁に直撃した瞬間、凄まじい轟音を立ててスフィンクスの外壁が焼かれて大穴が空いた。
「何だと⁉」
予想外の事態にスクスは目を見開いて驚く。
スフィンクスの内部で霊術を発動させていたセトも驚いて空けられた大穴を見る。
彼らにとって魔理沙の魔法の威力は予想外だった。
ニューヨーク時間午前10時15分 日本代表控室。
「なるほど。『魔宝石』ですか」
雪村が眼鏡を吊り上げる。
「『魔宝石』?」
聞き慣れない単語に妖夢が聞き返す。
「『魔宝石』とは文字通り魔力が込められた宝石です。用途や効果は様々ですが今の魔理沙さんのように使い方によっては絶大な力を発揮することが出来ます。MADと組み合わせるというシステムは見たことがありませんでしたが」
雪村が丁寧に説明してくれた。
その説明を聞いていた映姫が黒刀の耳元に顔を寄せてこう囁いた。
「もしかして魔理沙が『魔宝石』を使うってことを知ってて作ったの?」
「いや最初は知らなかったよ。ただあいつにMADをあげた時に『魔宝石』を使って闘うことを教えてもらって『魔宝石』をセット出来るように改良したんだ。あと『魔宝石』はあいつが自分で錬成して作ったんだとさ」
黒刀の答えを聞いて映姫は驚いた。
「え、でも『魔宝石』の錬成ってかなり難易度が高くてとても1年生の彼女に出来るような技術じゃないわよ」
映姫の言葉に黒刀はフッと笑った。
「あいつも成長してるってことだ。周りが強くなっていることを感じて、考えて、努力してきたんだろう」
黒刀は自分のことのように嬉しそうに言った。
「あの女!サンドバルカン!」
スクスが砂の弾幕を魔理沙に向けて放つ。
魔理沙は避ける動きを見せず、MADにはめ込んであるルビーを外してポケットから別の『魔宝石』を取り出した。
「ジュエリーフォース トパーズ!」
魔理沙は『魔宝石』をMADにはめ込んだ。
「マスタースパーク スプラッシュ!」
魔理沙が放った砲撃魔法は5つに拡散して砂の弾幕を全て撃ち落とした。
「今度は拡散型か!」
スクスが声を上げたその時、彼に向けて白と黒の霊力弾が放たれる。
スクスはバク宙で躱してスフィンクスの背中に飛び乗った。
「チッ。面倒くさくなってきたな。セト!こうなったら奥の手を使うぞ!」
スクスはスフィンクスの内部にいるセトに声をかけた。
「でもあれは決勝まで取っておくって話じゃなかったの?」
「どのみちここで負けたら何の意味も無い!」
「……分かったわ」
5秒程の沈黙の後、セトから返事がきた。
「ならいくぞ!デザートストーム!」
スクスが両手を天に掲げる。
周囲の砂が巻き上がってスクスとスフィンクスを中心に巨大な砂の竜巻が発生する。
霊夢と魔理沙は同時に弾幕を放った。
だが、弾幕は砂の竜巻に飲み込まれてすぐに外に弾き出された。
弾き出された弾幕が2人に返ってきた。
「「くっ!!」」
霊夢は霊力障壁を、魔理沙は魔力障壁を展開して反撃を凌いだ。
「この!だったら竜巻ごとぶっ壊してやる!」
魔理沙はMADからトパーズを取り外して砲撃魔法の態勢に入った。
「魔理沙、ちょっと待って!」
それに気づいた霊夢が叫ぶ。
だが、時すでに遅し。
「マスタースパーク!」
魔理沙が砲撃魔法を放った。
だが、それも砂の竜巻に飲み込まれて魔理沙に返ってきた。
「危ない!」
霊夢が魔理沙を横から突き飛ばして霊力障壁を展開する。
しかし、咄嗟に展開した為、思ったより防御力が弱い。
そのせいで返ってきた『マスタースパーク』が霊夢の霊力障壁をパリンッと音を立てて破壊し霊夢の肩を掠めその余波で吹っ飛ばされて砂地に叩きつけられる。
「霊夢!」
「まずは1人!後はお前だけだ!やれセト!」
「分かっているわ。いちいち大声を出さないで」
セトはそう返すと中断していた霊術を再発動させた。
スフィンクスの砲門から多数の光線が放たれる。
「何やってんだ。そんなことしても砂の竜巻に邪魔されてこっちに届かな」
魔理沙がそう口に出したところで光線が砂の竜巻の影響を一切受けず襲い掛かってきた。
「一方通行かよ!」
魔理沙は距離を取ってフィールドを飛び回り光線を回避する。
「くそ!一体どうしたらいいってんだよ!」
魔理沙は打開策を見つけようと考えていた。
日本代表控室。
「これはカタール代表のムハンマドに匹敵するもう1つの………『絶対防御』」
阿求が口を開いた。
「全ての攻撃は反射され、あちらの攻撃は絶え間なく続く」
雪村が補足する。
「そんな…それじゃ一体どうすれば…」
妖夢が魔理沙の絶体絶命の状況に動揺する。
そんな時、黒刀が口を開いた。
「方法は2つある。1つは外から強引に突破して内部に侵入するか…」
「おい。そりゃお前みたいに頑丈な奴なら可能かもしれないがあの2人はどう見ても肉体系じゃねぇだろ」
流星が口を挟む。
それに対して黒刀は口の端を吊り上げる。
「慌てるなよ。方法は2つあるって言ったろ。もう1つの方法は……中から攻撃を仕掛けることだ」
黒刀は楽しそうに微笑を浮かべた。
魔理沙は光線の嵐を何とか躱しながら打開策を練っていた。
「何でこんな弾幕ゲーみたいなことやんなきゃなんねぇんだよ!しかも攻撃が効かないとか無理ゲーだぜ!」
ただし、愚痴を漏らしながら。
「パワーだけじゃ無理なのかよ。いっそ学園長みたい中に転移出来たら…」
そこまで口に出して魔理沙は何かに気づいた。
「(転移?…そうか!外からダメなら中から攻撃すれば勝てる!あ、でも私は転移魔法なんて使えないし…!…そういえばポケットの中に
魔理沙はポケットの中から目当ての物を取り出した。
「まだ1回も成功したことねぇけどやってやる!」
魔理沙は方向転換してスクスとセトに向かって突撃した。
「血迷ったか!」
砂の竜巻の中から魔理沙を視認していたスクスが吠える。
スフィンクスの砲門から放たれた2本の光線が魔理沙に襲いかかる。
直撃コースだ。
「まだだ!私は諦めない!…魔力解放!」
2本の光線の内1本が魔理沙の帽子を飛ばし、もう1本の光線が魔理沙に直撃して爆発した。
「フッ。終わったな」
スクスは『デザートストーム』を解く。
砂の竜巻がおさまり消えていく。
その時。
爆発の煙の中から魔理沙が飛び出してきた。
「何っ!何故だ?完全に直撃していた筈…まさか!解放の波動で一時的にダメージを緩和させたのか!」
スクスは困惑したが、すぐに立ち直って再度『デザートストーム』を発動させようとする。
その時。
体が金縛りのように動かなくなった。
「何っ!」
自身の体を見ると足と腕に札が貼り付けられていた。
「いつの間に⁉」
「やっと尻尾を出したわね」
声が響いた。
スクスが声のした方に視線を移すとそこには倒された筈の麗美がボロボロの格好で立っていた。
「お前は倒した筈…」
「やられたフリをしてただけよ」
「くそ”」
スクスは貼り付けれ垂れた霊符を剥がそうともがく。
「無駄よ!魔理沙の邪魔はさせない!」
霊夢は言い放った。
その目には友を信じる強い想いが込められていた。
「ジュエリーフォース アメジスト!」
魔理沙はポケットから取り出した『魔宝石』をMADにはめ込んだ。
「ファイナルマスタースパァァァァァァァクゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!」
魔理沙の最大威力を誇る砲撃魔法が発動した。
しかし、MADから砲撃は放たれなかった。
不発かと思られた。
だが、それは違った。
セトは背後に強大なオーラを感じて振り返った。
そこには魔法陣が展開されていてこちらを向いていた。
「まさか…空間魔法⁉」
セトの顔が青ざめていく。
そして、魔法陣から空間を超えてきた『ファイナルマスタースパーク』が放たれてきた。
「いや…いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
セトは背を向け悲鳴を上げて逃げようとする。
しかし、閉鎖空間である為、逃げ場が無い。
セトは『ファイナルマスタースパーク』の光に飲み込まれた。
スフィンクスの内壁を突き破って吹っ飛ばされたセトは砂地を転がり仰向けに倒れた。
術者が倒されたことによりスフィンクスは砂に戻り崩壊する。
「セト!」
スクスが叫ぶ。
「終わりよ!」
スクスの周囲に結界が展開され、内部に霊力弾の弾幕が漂う。
「夢想封印!」
結界内部の霊力弾の弾幕が一斉にスクスに襲いかかる。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!」
スクスは霊力弾の弾幕を全身に浴びてうつ伏せに倒れた。
《勝者 霧雨魔理沙&博麗霊夢》
勝敗を告げる機械音声が鳴り響く。
同時に耳鳴りする程の歓声が沸き上がる。
霊夢は片手で耳を押さえながら落ちている魔理沙の帽子を拾う。
魔力を使い果たして仰向けに倒れている魔理沙の元へ歩き、顔の上に帽子を落とした。
「ほら。落ちてたわよ」
霊夢が声をかける。
魔理沙は顔に落とされた帽子を手に取って立ち上がると帽子をかぶる。
「霊夢」
「何よ」
霊夢はぶっきらぼうに返す。
「やっぱり勝つって嬉しいな!」
魔理沙は満面の笑みで言った。
「そうね」
霊夢は微笑んで返した。
霊夢は魔理沙はどういう思いで努力してきたか知っているつもりだ。
剣舞祭で勝ち星も少なく、旧ザナドゥ王国の戦いでも勝利と呼べる戦いは出来なかった。
神光学園1年生4人の中で最弱と陰口を叩かれていることも本人は知っている。
それでも不貞腐れることなく努力し続けて新たな戦闘スタイルを見つけ、そして今日、勝利することが出来た。
だから霊夢は今日くらい勝利の余韻に浸らしてもいいと思った。
ED9 鋼の錬金術師 扉の向こうへ
ご感想お待ちしております。
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