ありふれたRTAで世界最速   作:ささささささ

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昨日の昼に投稿する予定だったのに書き終えられませんでした…(小声)
あと、何故か今回はギャグっぽくなりました。どうしてこうなった…(困惑)
評価、お気に入り、感想ありがとナス!
評価10は本当に嬉しかったです。

前の方でステータスを書いた時に技能の順番がごちゃごちゃだったので見やすくしておきました。原作で入手順じゃなくて効果順だったことに気がつかなかったです…


第四話~その3~

 爪から伸びた風の刃を小さくステップを踏むことでハジメは回避をする。そして縮地で間合いを詰め、爪熊の左肩に銃剣の刀身を突き刺し発砲。その攻撃により、階層で最も強い魔物である爪熊は初めての痛みを感じ、怯みながらも攻撃の主であるハジメを睨む。

 

 「おいおい、この程度かよ!」

 

 睨まれながらもハジメは一切気にした様子を見せず、それどころかどこか落胆した様子で先程切りつけた場所をなぞるかのように銃剣を振るう。再び爪熊を襲う激痛、しかし今度は怯まずにハジメに反撃をしてきた。

 

 「もっとマシな抵抗をしてみろよ!そうしないとお前の左腕と体がサヨナラするぞ?ホラホラホラホラ!!」

 

 爪熊の反撃はハジメに軽く弾かれ、逆に何度も斬りつけられる。一方的に爪熊がいいようにされてしまっているがそれも仕方がないのかもしれない。それというのも、ハジメはここしばらくの間はひたすら修行をしていたのだ。まず、萌樹の幻術で体感時間を加速させながら体の動かし方を感覚に無理矢理植え付けられた後、萌樹と雫相手に摸擬戦をしてそれを体にも叩き込まれされ、その後は複数の技能を扱いながら反復練習をするということでマルチタスク能力と集中力も大幅に上げていたのだった。しかも摸擬戦では、爪熊の攻撃よりも遥かに速い萌樹の攻撃を受け続けていたので、爪熊が弱く思えてしまうのも至極真っ当なことであるだろう。

 

 「もう取れちまったか…ほら、お前が…いや、アイツとは別の個体か…お前のお仲間さんが俺にしたことと同じことをしてやるよ!」

 

 爪熊の攻撃を踊るように躱しながら落ちている爪熊の左腕を回収しつつハジメは言った。何をしようとしているのかを察した爪熊は右腕に〝風爪〟を出しながら突進をする。それに対してハジメは〝錬成〟で地面を歪めて爪熊を転ばせ、その体を地面に埋め込むことで拘束する。

 

 「ああ…クッソマズいなぁ!でもな、お前のその顔を見ながら食うとそれ以上に楽しいんだよ!分かるか?いや、分かるわけがねぇか…あぁ…ホンットにいい気分だよっ!」

 

 クチャクチャ、とわざとらしく咀嚼しながらハジメは爪熊の顔を踏みつける。もがきながら地面から抜け出そうとしている爪熊を萌樹から教わった蹴り方で強く蹴ることで怯ませていると、ハジメの体に激痛が走り始めた。

 

 「ああクソ、時間切れか…あばよ!地獄でアイツと楽しくやってやがれ、劣化アオアシラ!」

 

 ハジメはそう叫び、爪熊の肉を食べたことで痛みを感じ始めた体を気合で動かすと、爪熊の頭に零距離で何度も発砲した。そして爪熊の反応がなくなったのを確認すると地面に倒れこむ。

 

 「萌樹!!終わったぞ!っとこれで萌樹なら気づいたよな…にしてもこれ、マジでいてぇな…」

 

 その言葉のすぐ後に風のような速さで駆けつけた萌樹によってハジメは神水を飲まされ、萌樹に背負われたのだった。

 

―*―*―*―*―*―*―*―

 

 それから数日後、萌樹たちは道中の魔物を萌樹が隠れながら殲滅し、一行は五十階層目に到達していた。

 

 「これ、絶対になにかあるヤツだろ…」

 「確かに、いかにもなにかありますって言っているわよね」

 

 ハジメと雫がその荘厳な扉に対して思い思いの感想を述べるなか、萌樹はスタスタと扉に近づき押し開けようとする。しかしそれでも扉はピクリともしなかったため、扉の中央にあった魔法陣に手を触れて魔力を注いだ。すると、バチッ、という音とともに扉から赤い雷が萌樹を襲った。

 

 「危ないなぁ…もう少し殺意を抑えてくれてもいいと思うよ…」

 

 その雷を〝罠術〟であらかじめ察知していた萌樹はさっと身を躱し文句を垂れ、横で動きだした壁の彫刻だった一つ目の巨人を見つめる。

 

 「まあ変身時間だとか登場演出時間を待ってあげる義理は無いよね」

 

 萌樹は右側に出現したサイクロプスの目玉を自身の横に生やした樹の幹で貫く。それと同時にハジメが萌樹の左にいたサイクロプスの目玉を打ち抜き、無駄に派手な演出のわりにあっけなく沈んだサイクロプスを見ながら萌樹に近づいてきた。

 

 「…弱かったな…あとこいつが壁の中にいたのも減点だな」

 「見た目もね?色は暗緑色じゃなくて灰色で黄色い二つ目、左手左足を上げながら襲いかかってこないと…」

 「もしくは翼付きで薄紫色で赤い二つ目に黄色いくちばしでもいいな!」

 「巨人の目の彫刻だから炎の玉や弾き返せる青い玉を出してきてもよかったね!あとサイクロプスなら頭の一本角と濃い目の黄土色の服に水色の体で足の指は3本で手の指は4本じゃないと!」

 「は?手の指は5本でこん棒持ちだろ?Ⅱ派か?」

 

 萌樹たちがどうでもいいことで論争をしながらサイクロプスを解体していると雫が呆れた様子で近づいてきた。

 

 「敵がかっこよくキメている間くらい待ちなさいよ!お約束でしょ、お約束!」

 

 香織の影響でサブカルに染まった雫も大概だった。

 

 萌樹たちは取り出した魔石を扉の窪みに嵌め、扉を開けようとしていた。扉を開ける役目は中のお宝に期待してそわそわしていたハジメが務めることになった。

 

 「しっつれ~い!」

 「…だれ?」

 

 ウキウキで扉を開けたハジメに冷や水を浴びせるかのように聞えた声にハジメは部屋の中央を見る。そこには立方体の外に顔だけ出した金髪の少女がいた。

 

 「すみません。間違えました」

 

 一気にテンションが下がったハジメは半開きだった扉を閉めようとする。

 

 「ま、待って!……お願い!……助けて……」

 「あ、そういうのは間に合ってます」

 「ど、どうして……何でもする……だから……」

 「ウチはそういうのは全てお断りしているので…っていうか、あからさまに怪しいじゃん」

 「ちがう!ケホッ……私、怪しくない!……待って!私……………裏切られただけ!」

 「あっ、それは大変ですね。じゃ、それでは」

 

 自宅に訪れた営業を追い払うかのごとく冷たい対応をしたハジメだったが実際は何でもするという言葉に「ん?」と返しそうになっていた。

 

 「いやいや、今の助ける場面だったよねぇ!!」

 

 学校では大半の人に冷たい態度をとるなどクールなイメージであったが、最近では化けの皮が剥がれてきた萌樹が扉を閉じたハジメにつっこむ。

 

 「私もそう思うわ…光輝君ほどとまでは決して言わないけど、もう少し人を助けようとしてもいいんじゃないかしら」

 「嘘をついてるって感じでもなかったしね!」

 

 二人から集中砲火を喰らったハジメが少ししょげながら言う。

 

 「だって、こんな奈落の底の更に底で明らかに封印されているような奴じゃん…解放すると絶対マズいことになるじゃん…ね?」

 「ね?じゃないわよ!今すぐ助けに行って謝って来なさいよ!あと萌樹君!ハジメ君に小声で雫お母さんって言ったのは聞こえてるわよ!」

 「聞こえてた!?ごめん、多分もう言わないから許して。あと、ハジメ君はなんで助けなかったの?」

 

 その質問にハジメは少し言いづらそうにしつつ、顔を赤らめ恥ずかしがった。

 

 「いや…だってさ、最悪さ、萌樹と雫…というか萌樹が傍にいてくれればもういいかなって…萌樹は地上で魔族を殺してた時は少し怖かったけど、奈落に落ちてからあれが理解できたんだよ!魔族は敵だろ?なら敵を殺すのは間違ってないじゃん!ってな具合でさ。そう考えてきたら萌樹が今までしてくれたこととかを思い出してさ…萌樹って可愛いじゃん?俺に優しいじゃん?奈落に落ちても見つけてくれたじゃん?……それでさ…」

 

 萌樹と雫はその続きを察しはしたが驚きのあまり動けない。つつー、と頬から汗が流れ落ちる。

 

 「それでな…その時に分かったんだよ…俺は…萌樹が……お前の事が好きだったんだよ!」

 

 萌樹と雫は変な笑顔のまま固まった。ハジメは軽く暴走状態になっているのかそれでも言葉を続ける。

 

 「だって、めっちゃ可愛いじゃん!仕方ないよな!女の子よりも女の子らしくて声までクッソ可愛いくて優しいとか反則だろ!それに」

 「あー分かった分かった、分かったから!僕はノンケだから!ホモじゃないから!」

 「?男の娘はおにゃのこだからセーフだろ?」

 「アウトだよ!」

 「いやホモだと思うわよ…」

 「なんだァ?てめェ…」

 

 暴走しているハジメは割って入った雫に噛みつく。雫はもはや諦め、萌樹に対し静かに首を横に振る。萌樹、泣いた!

 

 「お前はノンケで、俺は男の娘好き!そこになんの違いもありゃしねぇだろうが!」

 「全然違うよ!」

 

 半泣きのまま萌樹が心の叫びをあげる。某サイトの同人誌のコメント欄並にカオスだった。

 

―*―*―*―*―*―*―*―

 

 その話はその後も続き、雫の「結局ホモでしょ…?」という言葉で一応収束した。そして扉を閉めたハジメが部屋の中の人物に謝り、救出をするということで話はまとまった。

 

 「……ありがとう」

 

 部屋の中からは外の音が聞こえず、そして結局助けもらえたからかその少女はハジメに悪くない感情を持っているようだった。その少女は周りを見るとこう尋ねた。

 

 「……名前、なに?」

 「ハジメだ。南雲ハジメ」

 「保科萌樹だよ。…男だからね?」

 「…ほんと?」

 「生えてるから…」

 「私は八重樫雫よ。それであなたは?」

 

 生えてるから、と言った時にハジメに獲物を狙う肉食獣のような目で見られ、寒気を感じた萌樹。その横で雫は謎の少女から名前を聞こうとしていたがその少女は答えなかった。

 

 「…名前、付けて」

 

 その少女は突然ハジメの方を向くと何かを決めたようにそう言った。

 

 「忘れでもしたのか?」

 「もう、前の名前はいらない。……ハジメの付けた名前がいい」

 

 そう言ってハジメとその少女が話始めたときに萌樹は違和感を覚えた。

 

 「雫ちゃん、一応気をつけて!なんか来るかも!」

 

 そして萌樹と雫が警戒しているとその気配の主が萌樹たちの真上から降って来た。萌樹と雫はそれを避け、遅れて気づいたハジメもその少女を連れたままギリギリのところで回避した。

 

 「あっぶねぇ…こいつは?」

 「見ての通りよ!サソリっぽいから毒もあるかもしれないわね!」

 

 そして萌樹は忍術でサソリモドキを拘束し、ハジメはユエを抱えたまま地面に手を当てて地面に埋め込もうとする。しかし、サソリモドキは地面を操作してそれを振り払う。雫はサソリモドキに斬りかかったものの外殻の硬さにそれを阻まれてしまった。

 

 「雫ちゃん!もう少し耐えてて!」

 

 萌樹はそう叫ぶと雫の返事も待たずに忍術で起こした爆発にサソリモドキの気を引き付け、〝隠形〟で隠れた。そして〝空力〟で生み出した足場を使いサソリモドキの真上に移動した。

 

 「〝暗殺術〟〝首狩り〟これでも弾けるかな!」

 

突然首の上に現れた萌樹にサソリモドキは驚いた。そして振るわれた刀よりも先に魔力を外殻へと流すことは叶わずそのまま首を撥ねられた。

 

 「えっ…」

 

 全員の想定を超えた結果に誰もその場からしばらく動けなかった。

 

―*―*―*―*―*―*―*―

 

 その後、サソリモドキが呆気なく死んだ理由が判明し、雫が萌樹を「暗殺術なのに声を出して相手に気付かせたらダメでしょう!」と叱られたりもしながら一行は進んでいった。また、謎の少女の名前はユエと決まり、食事代わりに同性の雫から血を分けてもらっていた。そして気がつけば百層目へと到達していた。

 

 「……これはまた凄いな。もしかして……」

 「……反逆者の住処?」

 「こらっ!萌樹君!勝手に先に進もうとしたらダメでしょ!」

 「あ、雫お母さんが怒った」

 

 ハジメとユエが目の前の場所に危機感を覚え、覚悟を決めているあいだにも萌樹と雫はコントじみたことをしていた。

 

 「うぅ…痛い……それじゃあ、みんなで行こうか」

 

 萌樹が雫に叩かれた頭をさすりながらそういうと、一同は気を引き締め前へと進んだ。そして扉の前の最後の柱を越えた瞬間に巨大な魔法陣が現れた。

 

 「うわ~これ大きすぎじゃない?何が出てくるんだろうね、どう思う?」

 「べヒモスのよりも大きいわよね…全く分からないわ」

 「すごく…大きいです…」

 「……大丈夫……私達、負けない……」

 

 ハジメの言葉に萌樹はひっ、と叫びながら尻を押さえ、ハジメの言葉の元ネタが分からなかったユエはハジメを奮い立たせるように声をかける。そして魔法陣から現れたのはそれぞれ色が違う紋様が刻まれた6つの頭を持つ竜、つまりヒュドラに似た魔物であった。それは咆哮をあげると赤い紋様の頭が火炎放射をした。それを全員が躱し、ハジメはその頭を撃ち抜く。しかし白い紋様の頭が撃ち抜かれた赤い頭を即座に回復させてしまった。

 

 「僕は空中で黄色と青色のを抑えてるから他の頭をよろしく!」

 

 萌樹はそう言い、〝空力〟で空を駆ける。ハジメたちは残った他の頭を相手にすることとなった。

 

 「さっさときやがれクソトカゲ!」

 

ハジメはヒュドラを挑発するそれに対しヒュドラは炎や風を射出し答える。雫はヒュドラの下に潜り込み足を攻撃する。そしてユエは中級魔法でヒュドラを攻撃する雫の援護をしていた。しばらくハジメたちが赤紋様と緑紋様の頭と戦っていると攻撃を喰らったユエがハジメのほうに飛んできた。そして黒紋様の頭に見つめられ、ユエは悲鳴とともに動かなくなってしまった。

 

 「「ユエ!」」

 

 ハジメと雫の声が重なる。そしてハジメはユエのことを気にしながら赤紋様の頭が繰り出した炎の矢を回避していたため、横から迫っていた風の槍に気がつかず被弾してしまう。

 

 「ハジメ……ごめん…あと、許して…」

 

 いつのまにかに動けるようになっていたユエがハジメに謝りそして首筋に噛みついた。そしてユエは〝血盟契約〟の効果をハジメに指定し、大きく回復した魔力で魔法を唱えた。

 

 「〝蒼天〟」

 

 生み出された青白い大きな火球は、ハジメたちを襲う魔法を飲み込み赤、緑、黒の紋様の頭に命中し全てを破壊した。そして、そのタイミングで萌樹が〝首狩り〟で白紋様の頭を、萌樹が生み出した火球が、いつのまにかに現れてそれ以降萌樹が担当していた銀紋様の頭を破壊した。

 

 「あと二つ!」

 

 萌樹の声が響く。その直後にハジメは青紋様の頭を撃ち抜いた。そして黄色紋様の頭も撃ち抜こうとしたが弾かれてしまった。

 

 「ハジメ君!雫ちゃん!あいつの頭は固いし魔法が通じない、だから眼から脳を突き刺そう!」

 

 ハジメと雫はそれを聞くと〝空力〟で空中に踏み出し黄紋様の頭へと向かう。そして、萌樹と雫が同時に黄紋様の頭の目に刀を突き刺した。それがトドメとなりヒュドラの体が倒れる。同時に行動したにも関わらず、最後はなにもできなかったハジメは手持ち無沙汰になり不完全燃焼のまま地面に降りる。

 

 「お疲れ様、ハジメ」

 

 ハジメはユエにそう声をかけられ、少し報われたように感じた。そして早速ヒュドラを解体しようとしている萌樹とそれよりも早く中に入ろうと急かす雫と合流し、ヒュドラが守っていた扉を開けた。




来週か再来週には多めに投稿するかもしれません。
(ちなみにストックは一切)ないです。
まあ気分なので絶対にするというわけではないですが…
あと今後の香織ちゃん関連の展開を3つ決めたので投票してくれるとありがたいです。

香織ちゃんの今後について(書きづらかったら結果を無視する可能性が微レ存)

  • ①闇病み
  • ②ピュアピュア
  • ③途中退場
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