あとお気に入り、評価、感想ありがとうございます。かなり励みになります。
今回は場面変更が非常に多いです。力不足で申し訳ない…
入学式の翌日の昼休み、黒い髪を肩上で切り揃えた華奢で小柄な可愛らしい顔立ちの人物、つまり萌樹が教室を出て他の場所で昼食をとるためにバッグをごそごそと漁っているとそこへ、
「君、ちょっといいかな?」
「今から昼食を別のところで食べたいので今度にしてもらっていいですか?」
「授業中に眠るのは周りの迷惑になるからやめてもらえないかな?」
光輝が話かけてきた。萌樹がそれに対し拒否するも、光輝の方はまったく耳を貸さず萌樹に説教をし始めた。
「今度からなるべく気を付けるように心がけたいと思うよ。だからもう行ってもいいかな?」
「気を付けるだけじゃなくてきちんと改善してほしいんだ。ほら、授業を眠るのは先生がたにも失礼だろう?しかも初回の授業からいきなりだなんて…」
ごまかしの言葉を見逃さず、尚も説教を続ける光輝に萌樹は多少の苛立ちを覚えていた。しかも光輝は他人を正す自分に酔っているようで萌樹が無言で立ち去ろうとするとそれに対してすら説教をし始める。そして、
「保科はその性格自体を改善するべきだね。授業中に眠る、人の話の途中でいなくなろうとする、しかも昨日はずるをして雫との剣道の試合に勝ったのだろう?それともわざと手を抜くようにでも言ったのかな?剣道が初めてだったらしい保科が勝てるはずもないから必ず何かをしたのは間違いないだろう。そういうことは人としてやってはいけないことだと思うよ」
話が膨らみ、もはや直接悪口を伝えているかのような内容にまでなってきていた。しかも自分にも非があることを相手だけ悪いと思い苦言を呈し、断片的に知りえた情報から自分が推測した事実無根なことにまで話は及んでいた。
「保科は今すぐ雫に謝るべきだ。そうやってひとつひとつ改めていかないと一生そんな無礼で卑怯な性格のままだ」
光輝の酷い物言いについに堪えきれなくなったのか、早い段階で会話をすることを止めていた萌樹が口を開いた。
「
そう吐き捨てて、萌樹は弁当箱をつかみ教室から出て行った。
―*―*―*―*―*―*―*―
その週の土曜日、八重樫家の道場に萌樹が客として訪れていた。
「保科君、この前は本当にごめんなさい。あと、光輝の言いがかりについても。でももう一度、お手合わせお願いできるかしら?」
掴みかかったことと光輝の暴走についてかなり負い目を感じていたのか、雫はばつが悪そうにしつつ萌樹に謝った。
「この前のはもう気にしてないから大丈夫だよ、八重樫さん。試合のほうは虎一さんに挨拶をした後でもいいかな?」
「ええ、もちろんよ」
萌樹は「それじゃあ、またあとでね~」と告げながら奥へと向かっていった。
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はあはあ、という乱れた息が雫の口から洩れる。萌樹と雫の約束であった剣道の試合の再戦が他の門下生の立ち合いのもと終わったところだった。
「保科君、少ししたらもう一度戦ってもらえるかしら?」
「うん、いいけど…今日は虎一さんと少しお話をしに来ただけだから早めに終わらせてくれるとありがたいかな」
先程までの試合で雫を一方的に攻め、そして容易く下した萌樹にそのように言われると雫は顔にこそ出さないものの苛立ちを覚えた。もちろん、雫は萌樹が悪意なくその言葉を発したことは理解している。そして萌樹が純粋にそう言ったのだと、萌樹は剣道の初心者で自分が大会で負けなしの強者であるということを知らなかったからそう言ってしまったのだと心の中で庇えば庇うほど雫の心にさざ波が立った。
「分かったわ。ならもう休憩は終わりにするわね」
雫はそれについて考えること自体をやめ、ある程度落ち着いてきていた呼吸を整えると門下生に審判を頼んだ。
「始め」
鬼とでも形容すべきような圧倒的な気迫、それを纏い萌樹が雫に斬りかかる。それを雫は弾くも即座に追撃の一閃が放たれる。それを辛うじて受け流すと雫は間合いをとった。本来であれば明鏡止水の心境で行える試合が萌樹のその鋭い一撃によって乱される。認めないっ、そう強く思いながら雫は攻めにでた。
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結果は惨敗だった。そして雫がもう一度と頼み込み行った3戦目も同様の結果だった。その結果に雫の心は荒立つ。この試合は自分と向き合うために行ったもの、結果は気にする必要がないと考え、雫は前のように暴走しそうな自分を抑え込んだ。
「もう大丈夫かな?八重樫さん。あとちょっと強めに当てちゃってごめんね?」
そう萌樹が告げる。あれでちょっと強めなのか、手加減されていたのかと何気ない一言で再び心が荒れる。なんで剣道のけの字も知らない初心者が自分より遥か高みにいるのか、そのような考えが雫のなかで再び湧きだす。「あれは本物の天才だね。戦いのためにうまれたって言っても過言じゃないどころかそれでは物足りないくらいだよ、だから雫が負けても仕方がなかったんじゃないかな?」父の言葉が思い出される。仕方がないじゃない、私の今までの努力は無駄だったの?私にあると言っていた才能はなんだったのよ、私の才能と努力じゃ本物の天才(萌樹)にはかなわないの?そう雫が考えたところで萌樹から声がかかった。
「あ、あのごめんね八重樫さん。無神経なこと言っちゃって…なんというか本当にごめん…」
自分の考えていたことが全て口から出ていたことに初めて気づいた雫はその場から逃げるようにして立ち去ってしまった。
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「おい」
帰るために着替えを終え、道場を出ようとしていた萌樹に声がかかる。
「なにか用かな?天之河君」
「また雫に無理やり勝負をさせてズルして勝ったらしいじゃないか。しかも3回も。そうやって人を傷つけるのはやめてくれないか?俺は遠くから見ていただけだから雫になんて言ったのかは知らないけど雫はそのあと泣いていたよ。もうこういうことは本当にやめてくれないか?」
萌樹はなんの根拠もなく自分の憶測で語る光輝の方を向くのをやめ、帰ろうとしながら口を開いた。
「普通に試合をしただけだよ?天之河君には関係ないよね?僕は帰るから、それじゃ」
「普通に試合をして勝てる訳がないだろう。そこまでいうのならその腕を見せてくれないか?」
萌樹の行く先を阻むようにして立つ光輝。萌樹はため息をつく。
「これから帰るところだから邪魔しないでくれるかな?」
「そうやって逃げて有耶無耶にする気だろう。卑怯な人がとる手は分かってるよ」
「帰ろうとする人の道を塞いで言うことを聞かせようとする人の方がよっぽど卑怯じゃないのかな?」
「そうやって誤魔化して昼休みも逃げただろう?まだ昼休みの話も終わってないのに逃がすわけがないじゃないか」
靴の裏にこびりついたガムのようにしつこく粘着する光輝に萌樹の怒りがたまっていく。
「じゃあどうすればさっさと逃がしてくれるのかな?」
「いますぐ俺と試合をして負けて、本当の実力を他の人に見せたあとに雫にしたことを話すことと授業中に寝るのを止めると誓ってくれたらいいよ」
「なんでここで居眠りの話になるのかなぁ…あと受け入れる訳がないでしょ、そんなの」
「ここで言わないと学校だと逃げるに決まっているからだよ。保科が居眠りをして成績が下がるのは勝手だけどそれでクラスの平均の成績を下げられるのは嫌だからね」
「はぁ。多分だけど天之河君よりもいい成績はとれるから安心して放っておいてよ。あと要求を呑む気はないからもう通らせてもらうね」
そういい萌樹が通ろうとすると光輝は萌樹の服をつかみ止めた。
「なら誓う代わりにテストで比べよう。ずっと寝てる人に負けるはずがないからね。もし負けたらその後は一切居眠りをしないでよ。あともう一つの方も呑まないと帰らせないよ」
「……わかったよ。一本勝負にした上でもし僕が勝ったら今後関わらないならやるよ。それでいいでしょ?」
萌樹は諦め、光輝に急かされながら道場のなかへ戻っていった。
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「用意ができたな。いくぞ!」
萌樹の確認もとらず勝手に試合を始める光輝。萌樹は竹刀を構え光輝の初撃を弾いた。
「審判も用意せずに自分のタイミングで始めるほうが卑怯でしょ。あとこれで一本だよね?」
そう告げた萌樹の竹刀は光輝の喉元にしっかりと突き付けられていた。光輝がそれに告げられて初めて気づき苦々しい顔をする。
「もういいでしょ?帰るね」
「まだだ!なにかしたに違いない!待つんだ保科!」
光輝が声を張り上げるがその様子を見ていた虎一に取り押さえられ、萌樹は光輝の顔も見ずに帰っていった。
なんか思ったように書けなかった…
召喚後の構想はかなりできているのでもう少しよく書けるとは思います。あと次の更新はそこまで遅くならないハズ…
あとスキップした所は書く必要はないよね?全然書ける気がしない…
Part2で倍速スキップした部分も書くべき?(あくまで参考です。どうするかは分かりません。)
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当たり前だよなあ?
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(無理に書く必要は)ないです。