ありふれたRTAで世界最速   作:ささささささ

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今日は更新しないと言ったな、あれは嘘だ。
という訳で連続更新4日目です。(流石に明日の更新は)ないです。
評価、お気に入り、感想ありがとナス!
朝に他の作品を探そうと思って日間ランキング見てたら45位で流石にビビった…
本当に謝謝茄子!


第四話~その1~

 こんな状況であるにも関わらず一体何を考えているのだろう、ハジメは隣にいる萌樹を見ながらそう思った。というのも今、ハジメ達は【オルクス大迷宮】にて魔物との実践訓練を行っている最中であり、たまに魔物に襲われることもあるというのに萌樹はステータスプレートを見ながら何かを考えながら文字通り魔物を蹴散らして進んでいるからである。

 

 「萌樹!萌樹!なにか考え事をしているようだがあまり気は抜きすぎるなよ?お前たちにとってはこの辺りじゃあ肩慣らしにもならんのは分かるが、何が起きるかが分からないのが迷宮だからな」

 

 隣まで来ていたメルド団長にも気づかず、呼びかけられて初めて顔を上げた萌樹。彼は「分かりました」とメルド団長に返すとハジメに声をかけた。

 

 「どう?考えていた錬成での魔物拘束作戦の調子は?」

 「うん、バッチリだったよ。というか本当に周りを見てなかったんだね…何をそこまで考え込んでいたの?…昨日のを思い出したりとかしちゃった?」

 「いや昨日のことではないから大丈夫。それよりさ…」

 

 他愛のない話をしながら一行は進む。そのすぐ先に絶望が大口を開けて待ち構えているなどとは露ほども知らずに…

 

―*―*―*―*―*―*―*―

 

 「擬態しているぞ!周りをよ~く注意しておけ!」

 

 そんなメルド団長の声の直後にせり出していた壁が変色しながら起き上がる。立ちあがるなりドラミングを始めたそのゴリラ型の褐色の魔物はどうやら擬態能力を持っているらしい。

 

 「ロックマウントだ!二本の腕に注意しろ!剛腕だぞ!」

 

 メルド団長の注意を促す声が響く。光輝たちはロックマウントを囲み倒そうとする。しかし、

 

 「グゥガガガァァァァアアアア―――!!」

 

 龍太郎の足止めから抜け出せないことを悟ったロックマウントによる麻痺効果付きの咆哮が響き渡る。対策を取れず、硬直した光輝たちに向かってロックマウントは同族が擬態した岩を投げつけた。投げられたロックマウントは目が血走り、妙に鼻息が荒く、そしてそれが両腕を広げて飛びかかってきたため、香織たちがその気持ち悪さから怯える。そのロックマウントはメルド団長により討伐されたものの、怯えた様子の香織たちを見て死にかけたことに対する恐怖だと勘違いしキレる光輝。そして大技を放ち、壁を破壊してしまった。

 

 「この馬鹿者が。気持ちは分かるがな、こんな狭いところで使う技じゃないだろうが!崩落でもしたらどうするんだ!」

 

 メルド団長に叱られる光輝に苦笑しながら香織たちが寄っていく。そして、ふと顔をそらし崩れた壁を見た香織が何かに気付く。

 

 「……あれ、何かな?キラキラしてる……」

 

 香織のそのつぶやきで全員が壁を見る。そこには美しい鉱石が壁から顔を出していた。その鉱石についてメルド団長が説明する。

 

 「素敵……」

 「だったら俺らで回収しようぜ!」

 

 うっとりしながら香織が言った言葉に反応し檜山がそう叫び、鉱石を回収するために壁を上る。檜山はメルド団長の制止を無視し、グランツ鉱石へ手を伸ばす。

 

 「団長!トラップです!」

 

 そう騎士の一人が叫んだ時にはもう遅かった。鉱石を中心に広がった魔法陣は後方にいた萌樹たちをも飲み込み大きく光を放った。

 

―*―*―*―*―*―*―*―

 

 「ねえ、これってマズくない?嫌な予感しかしないけど…」

 

 光が収まると橋の上にいたハジメが萌樹に話しかける。そして萌樹が返事を返す前に橋の両端に赤黒い魔法陣が現れた。そして階段側にある魔法陣からはおびただしい量の魔物が吐き出された。

 

 「行ってくる!」

 

 萌樹はハジメにそう告げると生まれたばかりのトラウムソルジャーに向かって突撃し剣で薙ぎ払う。筋力400に〝刀身強化〟〝大切断〟の二つの技能をのせた斬撃によってなすすべもなくトラウムソルジャーは倒される。

 

 「火遁の術:攻性 大花火!」

 

 そしてトラウムソルジャーたちを切り伏せながら少し離れた位置にいるものを爆発が襲い、その身を粉々にさせる。そしてついに反対側の通路からも新たな魔物が姿を現した。

 

 「まさか……べヒモス……なのか……」

 

 メルド団長はそう呻いた直後にべヒモスが凄まじい咆哮を上げる。メルド団長は急いで騎士と生徒達に指示を出していく。指示の内容が気に食わなかったのか光輝がメルド団長に噛みつく。

 

 「待って下さい、メルドさん!俺たちもやります!あの恐竜みたいなヤツが一番ヤバイでしょう!俺たちも…」

「馬鹿野郎! あれが本当にベヒモスなら、今のお前達では無理だ! ヤツは六十五階層の魔物。かつて、“最強”と言わしめた冒険者をして歯が立たなかった化け物だ! さっさと行け! 私はお前達を死なせるわけにはいかないんだ!」

「でも、保科だって戦えているんですよ!」

 

 その言葉の通りべヒモスと萌樹は戦っていた。どちらが優勢、ということもなくお互いに拮抗している状態である。

 

 「ここで加勢すればなんとかなるはずです!」

 「馬鹿野郎っ!拮抗しているからこそ手出ししちゃいけないんじゃないか!戦闘のセンス、ステータス、技能、その全てで萌樹がこの場で最も秀でている!余計な加勢は足を引っ張ることになりかねない!ここは萌樹に任せて撤退するぞ!全員、急げっ!」

 

 メルド団長は光輝の首をひっつかみ、自身も急いで移動しながら声を響かせる。その言葉でいまだに状況についていけていなかった生徒達も階段に向かって走り出す。それを尻目に見て萌樹は小さくため息をつき、再びべヒモスへと攻撃を加え始めた。

 

 「木遁の術:攻性 樹根槍!火遁の術:攻性 大火花!」

 

 その声とともに地面からせり出してきた鋭い木の根と小さめの連続した爆発がべヒモスの背後から襲う。突然の背後からの攻撃に思わず振り向いてしまったべヒモスの首に萌樹の剣が突き刺さる。

 

 「水遁の術 水放射!」

 

 剣の先から放たれる大量の水には攻撃力も大した衝撃もない。しかし衝撃がないがゆえに剣は突き刺さったままとなり、血管中に水が入り込み溶血が起きる。べヒモスはその痛みをこらえながら怒りの咆哮をあげ、頭部を赤熱化させて萌樹に突進した。

 

 「やばっ!身代わりの術!」

 

 萌樹はなんとかそれを回避するとべヒモスの首から剣を回収し間合いを取る。

 

 「萌樹こっちはある程度は撤退できた!戻ってこい!」

 「無理です!メルド団長!移動している余裕なんてありません!」

 

 萌樹はそう叫んだ。すると、

 

 「僕、行ってきます!」

 

 ハジメがそう叫びながら萌樹のもとへと走っていく。

 

 「待て、ハジメ!」

 「南雲君、君には無理だっ!」

 

 メルド団長と光輝から制止がかかるがハジメは止まらない。見かねた雫はハジメの後を追うようにして走り出した。

 

 「私も行ってきます!」

 「雫、待ってくれ!俺も行くぞっ!」

 「天之河君は来ちゃだめだ!君がいなくなったらリーダーを失ったみんながパニックになる!」

 

  駆けだした雫のあとを追うようにして飛び出そうとした光輝をハジメが止める。その言葉で一瞬、駆けだそうとしていた光輝の動きが止まった。メルド団長はその隙をつき光輝を捕まえるとハジメ達に叫んだ。

 

 「死んでくれるなよ!萌樹をたのんだ!」

 「わかってます!ちゃんと保科君を連れてきます!」

 「よし、お前ら!階段のそばに着いたら、萌樹たちが退却し始めたときにべヒモスに魔法を打ち込めるように準備しとけ!」

 

 メルド団長は生徒達に向き直るとそう告げた。その中の一人がその言葉を聞き、歪な笑みを浮かべていることにも気が付かずに…

 

―*―*―*―*―*―*―*―

 

 「萌樹君!大丈夫だったかしら?って怪我一つないわね」

 「や、八重樫さん、速すぎるよ…保科君は意外に元気そうだね」

 

 急いで萌樹を助けにやって来た二人。先に走り出したハジメよりも先に雫がついたのはひとえにステータスの差だろう。しかし二人とも、まだ余裕のありそうな萌樹を見て少し驚く。

 

 「来てくれてありがとう。南雲君、八重樫さん。怪我がないのは敏捷が高いからと何かあったら身代わりの術でよけられるからだよ。でも逃げようとするにはちょっときつかったんだ。八重樫さん、少しの間だけべヒモスの攻撃を受け持ってくれないかな?南雲君は錬成でべヒモスを地面に埋めてもらえる?」

 「うん、分かったよ!」

 「了解よ。それで萌樹君は何をするつもりなのかしら?」

 「南雲君と一緒にべヒモスを拘束するつもりだよ。ちょっと用意に時間がかかりそうなんだ」

 

 そういうと萌樹はハジメが錬成で地面に拘束し始めたべヒモスの周りに植物の種をまいていく。そして魔法陣に魔力を込めて忍術を行使した。

 

 「木遁の術:守性 樹縛の牢獄!」

 

 べヒモスの周りから急成長した木がその根で、幹で、枝でべヒモスの体を押さえつける。赤熱化したべヒモスの頭部辺りの木は燃えはじめてはいるがべヒモスは完全に動けなくなっている。しかし、橋に根を伸ばしたせいか、ハジメが橋にべヒモスを埋めたためか、はたまた橋の耐久年数が過ぎていたのか橋に亀裂が生じる。幸いにも階段側の通路に比較的近いところで戦っていたためか崩落しきるまでに三人ともが渡り切ることができそうだった。しかし、ボンっという音とともにハジメが後ろへ吹き飛ぶ。援護に向かっていたはずの火球がハジメに当たったのだ。そしてハジメは吹き飛び、奈落へと落ちていく。

 

 「「「南雲君!」」」

 

 萌樹と雫と香織の声が重なる。萌樹と雫は一瞬足を止めるがその足場が崩れかける。

 

 「止まるな!」

 

 メルド団長の声で萌樹と雫は急いで渡り切る。そして渡り切ったところで奈落を見つめながら萌樹が言った。

 

 「八重樫さん、南雲君を助けに行こう!身代わりの術を使えばたぶん無傷で降りられるし…」

 「…この高さじゃ南雲君はダメかもしれないわよ…?」

 「それでも…生きているかもしれないよ!確認してみないと分からないよ!」

 

 萌樹の涙ながらの声に雫は押し黙る。

 

 「誰だよ、南雲君を突き落としたのは!」

 

 萌樹がそう叫びながら後ろを振り返るとそのすぐそばまで風の魔法が迫っていた。風の魔法は萌樹に命中し近くにいた雫もろとも吹き飛ばす。萌樹は空中で雫をキャッチしながら奈落へと落ちていく。

 

 「俺だって殺す覚悟はあるんだよっ!!ざまあみやがれ!ぎゃはははっっっ!!」

 

 そんな声が階段付近で響き渡った…




そう言えばどこかにRTAものを書いてる癖に計6話で進んだ内容が原作1巻のp65の終わりあたりまでなことについさっき気づいた作者がいるらしいですよ。
一体誰なんだろう?(すっとぼけ)
次回からはハジメ君のPCの呼び方が“保科君”じゃなくなるから入力するたびに寧々ちゃんボイスでの再生がしばらくはされなくなる…書くことに集中しやすくはなるから嬉しいような悲しいような…
あと、前話のPCがべヒモスに向かう時に゛応援にいく"という表現になっていたので変えました。
少し離れた位置でポップしたばかりでかつ魔物のポップ中は誰も動いていなかったはずのに…
やべぇよ…やべぇよ…
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