死霊使い?いや、神官ですって!! 作:Mirage Iris
暗い空間を、1人の青年が走っていた。顔は少しツリ目だがかなり整っていて、鼻もスッキリしている、髪は肩まで掛かっており、女子と見間違えるような美形だった。「なんで全力で走ってんのに引き話せないんだよ!?」何かぼやいているが、狩衣姿では走りにくく、十分なスピードで走る事はできないので当然である。そう、この青年は狩衣姿で走っているのだ。何故か。それは数刻前に遡る。
青年“権藤戒斗”は神社の神主を代々務める家の長男だった。だった、というのは元の世界に彼は存在しないからだ。そう、彼は異世界へと転移させられたのだった。とは言っても、よくある魔法陣がという話ではない。その日の彼の様子を見てみよう。彼は神社を継ぐ気は無く、大学は機械学科に通っている。しかし、授業もサボりがちな上、来ても真面目に受けず、そのくせ試験の成績だけは良い彼は多くの同級生から疎んじられていた。今日も彼は大学には来ていたが、講義は受けず、図書館で本を読んでいた。
放課後になると、彼はすぐにレポートだけ提出して帰った。「ハァ。これで講義にも出ていればこの大学のトップにすら立てるのだがねぇ。」教授はたった今提出された15ページ以上にびっしりと書かれたレポートを見ながら嘆いていた。
家に帰ると、今日は神事の日だったようで、彼も手伝いを強制させられ、渋々狩衣に着替え、神事に使う幣を取りに行った。倉庫は昼でも日光が入らないように窓が付いているため、懐中電灯は必須だった。一通り見回しても幣は見つからず、奥ヘ歩いて行くと、倉庫の奥には3つの扉があった。「こんな扉あったか?」不審に思う戒斗だったが、少し悩んでいたようだったが、「せっかくだから、俺はこの、赤の扉を選ぶぜ!」と言って扉を開け、入っていった。
しかし、なぜか懐中電灯がつかなくなり、外へ出ようとした。だが、扉はなく、手についた感触は冷たくざらついた、そう、石のような惑触だ。「マジか。」冷汗が走る。必死に頭を巡らせるが、こんな状況にあてはまる記憶は2つ位しかない。しかし、扉のあった所を探るが、壁に取っ手のような物はない。どうやら幻覚ではないようだ。となると、残る可能性は1つしかない。「“転移”したのか...?」どうするか考えようとする戒斗、しかし考える時間は彼には与えられないようだ。(ん?何かいるのか?)力ツカツと足音のような音がする。何かいるようだ。彼は慌ててしゃがんで逃げようとした。しかし、大き騒ぎ声が聞こえてきた。(見つかった!?)こうしてはいられないと立ち上がり、謎の声とは逆の方向に走り出したが、矢が飛んで来て冷汗をかいていた。そして今に至る。