ここまでやってきた状況を整理すると、現状殺された男は何らかの秘密を抱えていた。バットマンはどこからかその情報をつかむも間に合わずその男は殺されてしまった。
そこで調査を開始したがつかめたのは、この男が何かを密輸したということと毒殺されたと言うことだけだ。その上時間も限られている、あまり悠長にやっている時間は無い。おそらくこのままやっていって行くとこのゲームを攻略できるかも妖しいだろう。何せ制作者の名和だけでなくデバックしたユイまでも、このままだとゲームオーバーですよってせかしてきた。
そこでこの土日に一気に進めていきたいということで、全員で時間を合わせて同時にやっていく。
「あれ、待たせちゃった?」
どうやらキリトが最後に到着したようでほかのメンバーはもう準備に入っていた。彼らはすでになにをするのかを話し合っていた。
「あっキリト君、遅かったね。それで私たちのほうでの調査はそんな感じかな」
「なるほどね、こっちは調査してみたけど毒殺だって言うことと、……警察内部に殺害犯が居るっぽい」
リズの言葉に全員の眉が曇る。
「どういうことだそれ、この街の警察はそんなに腐ってんのか」
そんな中昨日参加しなかったクラインは声を荒げて怒りを表した。
「ただね、ゴードンさんが調査してくれたんだけど、新しい、未知の毒物らしいんだよね。成分から分析して依存性があるみたいで、致死量を超えると心臓を止める薬効みたい」
「未知の毒物……それも探さないといけないのか。とりあえずそのデータをバットマンに渡してみよう」
タイムリミットはゲーム内の時間で残り三日、それがいろんなルートに一歩ずつ足を踏み入れたような感じだ。全員で一つのルートを進めるべきかもしれない。
「……これなんだけどさ、全員で殺害犯を探さないか」
「どういうこと」
一日できていなくて、方針を勝手に決められそうになっていることにシノンの機嫌が悪くなっていた。
「いや、多分このままのペースで行くと残り時間で事件は解決できないと思う。名和のことだから解決までのルートがいくつか用意されてるはずで、どれかをやらないといけないはずなんだ。とりあえず、一個に絞って攻略してみないか」
その提案に納得してくれたのか全員が賛成してくれた。
「それで、どうするお兄ちゃん」
「とりあえず死んだのもこの建物の中で行われたんだから、全員で聞き込みをしてみよう。多分それでフラグが立つと思うんだよね」
「じゃあそれでやってみるかぁ」
………
……
…
一時間後
…
……
………
「……これ、犯人所長じゃね。ていうかゴードンさんは証拠つかんでない」
探るとすぐに出てきた目撃情報や証拠の数々、もはやほぼ確定なんだがフラグが立った瞬間にゴードンから釘を刺された。
「これどうする、このままやる?たった一時間でルート終わってない、このルートだと攻略できないと思うよ」
シノンの発言はゴードンの発言の最後から来ていた。
『……俺は今のままだと協力はできない』
この発言をゲーム的な捉え方をするのであれば、何かがあって協力できないからその何かを何とかする、つまり現状を変えられれば協力できると言うことだろう。
「やっぱりバットマンを頼るべきかな……ゴードンが何かしらのフラグを立てたんだからゲーム自体は進んだはずだ。次は被害者が何をやったのかを調べよう」
「よしきた、そうと決まれば話は早え。さっさとバットマンのところに行こうぜ……でどこに行けば良いんだ?」
誰もこのクラインの言葉に答えを持ち合わせていなかった。
結局彼らはバットマンと連絡をつけることができなかったため彼ら自身で被害者のことを調べなければならなかった。後に名和と話すとわかったことだが彼らは連絡先を知ることができたイベントを逃してしまっていたらしい。序盤をただのチュートリアルだと思ってやっていたがあの期間に後の攻略を有利に進められるようになるイベントがいくつかあったらしく、今回の攻略ではそれは一つもできていないらしい。
「……被害者のことでわかってることって何があった?」
「密輸業者で、何かよくわからないものを密輸させようとしてた。ぐらいじゃない」
アスナの言うとおりそれぐらいしかわかっていない。
「どうしようか」
「今度は全員で手分けしてこの被害者のことを調べたら良いじゃない。誰があの男と取引をしていたのか、これまでにどんなやつとどんなことをやってきたのか」
シノンの発言に全員が耳を傾ける。それを意識したのか少し照れながら続きを口にした。
「あとは、なぜあんな場所を倉庫にしていたのか……とか」
「なんでって、そりゃ誰にも気づかれないで、あそこまでのスペースを使用できるからだろ」
クラインの発言にシノンあ少しイラッときた様子で反論する。
「うるさいわね、私だってぱっと思いついたことを言っただけよ。でも、おかしいでしょ。あの男はどこであのスペースで知ったのよ、それにスペースが使えるって言ってもがれきをどかさないといけなかったのよ。一人でやろうと思えばそれなりの作業よ」
鋭い指摘にクラインは二の句を告げなくなってしまった
「そう言われればそうだ、せっかくだからシノンの暗に乗ろう。役割はくじ引きな」
手っ取り早く役割分担をして彼らは攻略に乗り出した。
シノン、アスナコンビは被害者の男が使っていた倉庫に来ていた。
「思ったより汚いわね、それにどっかから光が差し込んでない」
「どこ?」
「ほらあそこ」
シノンの指さした先を見れば確かに光が差し込んできていた。前回キリトと来たときは夜だったから気づけなかったのだろうか。がれきの隙間から確かに光が差し込んできていた。
「ここ、地下でかなり歩かされたけど、地上だとどの辺なのかしら。マップは地下になってて地上の場所はわからないのよね」
「元々は古い駅みたいだから町の下だと思うけどね。がれきが多すぎてわからないなぁ」
「そうよ、駅なんだからどこかから地上に出れるはずよ。出口を探しましょう、どこかへの出口か、何らかのショートカットが見つかるはず」
シノンとアスナはがれきをよけて、時にはどかし、新しい道地上へのルートを探し始めた。
クラインは警察署内に収容されていたほかの犯罪者から被害者の話を聞いていた。その間キリトは警察署内の捜査資料を確認した。二人で集めた情報のすりあわせを始めた。
「……とりあえず調べてみて思ったのはこの町はマジで腐ってんな」
クラインはゲームの設定内の話とはいえこの街の警察組織の設定に明らかに気分を害していた。
「お前にそこまで言わせるってなかなかだな。ただ俺の方の感想も似たようなもんだけど」
キリトはキリトで積み上げた資料の中身があまりにもずさんで全く当てにならなかった。中にはかなり正確で、頼りになるモノもあったがほとんどが駄目。使えるのはゴードンを含めた数人だけという有様で、それ以外の人間には不審死を遂げ満足な捜査が行われていないモノも居る。ここまで来ればなにも知らないモノでも想像がつく、この街の警察組織は本当に当てにならない。
「この町の犯罪者の中でも古株の男が今収監されててな、話を聞いたんだが、どうやらそのじいさんは明日あたりに部下が金を持ってきて釈放されるらしい。んでそのじいさんが言うには殺された男はその金を出し渋ったんじゃねえかってことらしい。何でも殺された男は最近あまり仕事がなかったらしいんだ」
「そいつは情報が古いな、多分そのじいさんが捕まってた間に情勢が変わったんだと思うぜ」
キリトは自分の調査結果地との違いを指摘すると机の上に置かれた書類の内から一つを取り出しクラインに手渡した。
「この街の警察はその金が払えないようなやつを捕まえたりしない。今回の俺たちもこの街の警察の捜査を元に動いてる」
そこにあったのは殺された男の逮捕される直前の記録。
「ここ一週間ぐらい、大分羽振りがよかったみたいだな」
「どういうことだ、じゃあなんで殺されたんだ」
「……そのじいさんの推測が間違っていて殺された理由が全く別なのか、それとも金を出し渋る理由があったのか。考えられる理由ってどっちかじゃない」
そう言いながらキリトは自分の調査結果からほとんど確信を得ていた。
「理由って例えば何だよ?」
クラインの台詞にもう一つの、ゴードンの調査資料を手渡した。
「例えば、脅迫とか」
クラインの顔色は資料を読み進めるごとに険しくなっていった。
リズベットとリーファはここだけ前回やった時と全く同じ組み合わせに少しだけ不平不満を漏らしたものの、決して二人の仲が悪いわけではなくむしろかなり良好な中を築いていた。
「とりあえず私たちは前回の調査でわかった凶器の毒物と犯人だと思われる所長についてさらに調査を深めて動かぬ証拠を手に入れましょう」
やる気をみなぎらせるリズベットと一緒にリーファは手と声をあげた。
「じゃあ前捕まえた薬物を扱う男から話を聞きましょうか」
リーファの提案にリズベットはうなずき二人は一緒に牢屋の方に向かった。
薬効や副作用についての話をしてその薬を知っているかを訪ねた二人に、薬物を扱う裏社会では闇医者と呼ばれていた男は口を開いた。
「知っているよ、その薬。俺は売ったがないがな」
「嘘ね、さっさと答えなさい。あんたが闇医者って言われてて、薬物を扱う人間だって言うのは調べがついてるのよ」
リーファの鋭い声音に闇医者と呼ばれた男が笑い出す。
「ククク、警察というのは腐っているだけだと思っていたが、どうやら無能でもあったようだな。俺は闇医者だ、密売人じゃない。俺が扱う薬は人間を救うためのモノだ、殺すためのモノじゃない」
その声には確かに信念が込められていた。彼は無差別に薬を売る人間ではない、二人はその声からそう感じた。
「……じゃあ、この薬について教えてください。私たちはこの町を守りたいんです」
その言葉に少しだけ逡巡を見せながら闇医者は首を縦に振った。
「いいだろう、ただし条件がある。そこに向かう途中に捕まえたんだ、わかっているだろうが、いま俺は三人の患者を抱えている。そのうちの一人は急がないと命に関わる。こいつをこの男のところに急いで連れて行ってほしい。信頼が置ける数少ない医者だ、こっちの条件をのんでくれるなら情報を渡そう」
「わかったわ、その条件をのみましょう」
リズベットの前に出した手を病み医者はしっかりと握り返し交渉成立の証にした。
「それじゃあ情報をちょうだい」
「ほざけ、そっちが先だ」
「やっぱり、それじゃ行ってくるから「安心しろ取引は違えない、それが裏側の人間の鉄則だ」……その言葉を信じてあげる。行きましょうかリーファちゃん」
リズベットとリーファは渡された情報に従いスラム街に足を向けた。
次は24時に投降します。
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キャプテンアメリカ
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sao第一層