空の境界 『TheLost・of・Newworld』 作:レイノート
作品を読んで、お気に入りやしおりを挟んでくれた皆様、約二週間近く間が空きましたことをお詫び申し上げます。
今回も駄作ではありますが、読んでみてください。
時刻は午後七時を過ぎた頃だった。
黒桐に勉強を教えることに夢中になっていたら、既に太陽は沈み、月夜に照らされた夜の世界へと変わっていた。
「今日は本当にありがとう。じゃあ、またテストの日に会おうよ。」
「あァ、またな。」
黒桐は急いで自宅へと走り去っていった。
芸夢も闇夜に消える黒桐の背中を見送り、部屋へと戻る。
体をソファーへと倒す。
久々の労働で疲れたのか、既に意識が落ちそうになっていた。
「(あぁ…眠みィ…)」
とうとう眠気がピークに達し、瞼が徐々に下がっていく。
夜飯もまだだし、シャワーも浴びていない。しかし、芸夢の体はソファの心地良さのあまり動けない。人間誰しもこの状況下では逆らえない。それは芸夢とて例外ではない。
既に意識は飛び、夢の世界へと誘われた。
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少年はバケモノだった。
齢五才を越えた子ばかりの子が、その力を自覚をした時には…人々は彼に畏怖した。
自身を産んだ両親ですら、助けを求めた少年の手を振り払い、厄介者として遠ざけた。
どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?。
理解が出来なかった。
他人とは少し違うだけ。たった、それだけなのに…。
この力を使えば、誰かを笑顔に出来ると思った。悲しい顔を見ずに済むと思った。
だか少年が願った僅かな希望も、現実という鋭き刃は呆気なく
ある時友達に石をぶつけられた。疫病神、化け物、到底一人の少年が受け入れられるはずのない苦痛と暴言を容赦無く浴びせられる。
大人達も誰一人とてその行為を止めるように言う者はいなかった。
その目は異端者を蔑むような目だった。少年を救おうと思う者は存在しなかった。
少年の両親は、厄介者を追い払うが如く、手切れ金として僅かな金を渡し、母方の祖母に家へと送り出された。祖母も両親とは疎遠になっていたため、都合が良かったのだろう。
別段、両親と離れることに未練はない。それは向こうも同じだろう。
どこにいっても厄介払いされるだけだろう。そう、思いながら祖母の家へと足を進めた。
辺りを見回しても、目に映るのは一面に拡がった田んぼか遠くに見える小高い山々。時折鳶の鳴き声が響くくらい開放的な場所。
本当に何も無いところで、退屈そうだ。都会っ子では娯楽の少なさに数日で駄々を捏ねるだろう。
これと言って娯楽など必要としないので、俺にとっては関係ないがな。
歩く事数分。目的地である祖母の家へと着いた。写真と地図で場所があっているかを確認する。
写真にある通り、この辺りでは珍しい洋館風の建物。最近売り出されたゾンビの出てくるゲームにあった館と同じくらいあるんじゃないかと思うぐらいに広い。
所々に木の根が絡みつき、コンクリート造りの壁が侵食されている。
ただのボロ屋…いやこの場合は幽霊屋敷って言われても可笑しくないレベルか。
まあ、さっき道を聞いた農夫の話によれば、祖母は大層有名な地主らしい。
聖母のような優しさを持ち、大変慈悲深い。悪い噂などなく、近辺の人達からの評判も良い。
全くと言っていいほど非の打ち所がない。
「(まあ、そんな聖人君子みたいな人は大抵裏がありそうだけどな。)」
そんな思考を一旦やめ、インターンホンを鳴らす。
「はーい。」
元気の良い女性の声が聞こえた。
ドタバタと足音が近づいて来る。
ガチャと扉が開く。出てきたのはメイド服に身を包んだ若い女性。身長は170センチ前後で女性の平均として高身長に当たるだろう。清楚な雰囲気を晒しだし、穏やかそうに見える。
何より印象に残ったのはその見た目だ。銀色に輝き、風によって靡いた髪がとても幻想的だった。顔も人形と錯覚しても可笑しくないぐらいに美しい。
透き通った碧色の目は万人を惹き込む程だ。
下手なモデルでは負けるぐらいに完成されている美貌の結晶ではないか?。
「神野芸夢様でお間違いないでしょうか?」
「あ、はい。神野芸夢です。」
メイドの声で、意識が戻る。
魔性とも取れるその見た目に惹き込まれてた。メイドが声を掛けなければ、ずっと固まったままであろう。
「ご紹介が遅れて申し訳ございません。私奥様のメイドをしております、
「こちらこそ、今日からよろしくお願いします。」
互いにお辞儀する。
メイドを雇っているとは聞いていなかったが、問題は無いだろう。これ程広い屋敷だ、メイドの一人や二人がいてもおかしくはない。
「それでは奥様のお部屋に御案内します。私の後に続いて来てください。」
「お願いします。」
土御門さんの後に着いて、屋敷の中へ入る。
中は外観とは違い、とても綺麗だった。フローリングの広い廊下から誰が書いたわからない絵の額縁、窓ガラスなど場所の隅々まで掃除が行き届いており、土御門さんの仕事の良さが感じとれる。
靴を下駄箱へと入れ、スリッパへと履き替える。
案内を受けて奥の部屋へと進んでいく。
これから会う祖母がどんな人間かを想像してみる。百聞は一見にしかずとも言うし、噂だけではわからない。
そんな期待と不安を胸にだき、思案をしているといつの間にか祖母のいる部屋の前に着いていた。
初めて会う祖母。どんな人間かもしれないし、分からない。これから知っていくにしても、多少の不安がある。
両親のように芸夢自身の異能を見たら、バケモノと蔑まれるかもしれない。
そんな不安を心の奥にしまい、ドアノブへと手を掛ける。
「ガチャ。」
そこにいたのは物腰柔らかな雰囲気を出している老齢の女性。安楽椅子に座り、窓から日が沈む光景を眺めていた。
「久しぶりね。芸夢ちゃん。随分とまあ大きくなったわねぇ。おばあちゃんの
安楽椅子から立ち上がり、老婆は芸夢の方へと振り向く。
杖をつきながら、ゆっくりと歩く。
足が悪いのだろうか。恐らくは安楽椅子に座っていたのもそのためだろう。
「ど、どうも。」
よそよそしい挨拶をする芸夢。
初めて会う祖母が今眼前にいるのだ。部屋に入る前に比べて、緊張の度合いが高くなったのが直ぐにわかる。
呼吸も荒くなってくる。鼓動が刻む心拍数も多くなる。
「あらあら~。そんなに緊張しなくてもいいのよ。家族なんだからもっと気軽に接して頂戴♪。」
甘ったるく、それでいて優しい声。
張り詰めた緊張が馬鹿に思えてしまう程硬直していた身体の張りが消えていた。
芸夢自身も何が起きたかわからなかった。
ただ話しをかけられただけ。何故か祖母の声を聞いていると不思議と気持ちが落ち着いていく。
暗示を掛けられているとか、催眠術とかそういう相手は操る類のものでは無い。
辺り一面に広がったお花畑に身を包まれているような、赤子を抱き上げる聖母の温もりような、そんな優しい世界を感じたのだ。
「貴方の力のことなら聞いたわ。ずっと辛かったでしょう。大丈夫よ、私は見捨てないわ。ずっとずっとここにいていいのよ。」
絵札はギュッと小さな芸夢の体を抱きしめた。
嬉しい。ただひたすらに嬉しい。
今日まで生きてきた中で一生得ることの出来ないと思ったモノ。
芸夢の目から雫が落ちる。涙だ。
「うっ…ぅぅぅぅぅ…」
涙は止まらない。
今まで心の奥底でせき止められていた感情のダムは、最早止めることなど出来ず決壊した。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!うっ…うっ…んっ…」
感情が爆発する。
どれだけ大人ぶって感情を隠しても、芸夢はまだ子供だ。子供であるならば、好きなだけ泣いて好きなだけ笑えばいいと絵札は呟き、優しく抱きしめる。
芸夢もまた力強く抱きしめる。
感謝。圧倒的感謝。
最早祖母を疑う余地などなかった。
誰よりも優しい人だった。誰よりも愛してくれる人だった。
この日、芸夢にとって一生忘れることの無い思い出となった。
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「またこの夢か…。」
随分と懐かしい夢を見た。何物にも変えられない一つの大切な
「(つーか俺はどれくらい寝たンだ?)」
芸夢はソファから起き上がる。
時計の方へと目線を向ける。
時刻は朝七時を少し過ぎたころ。どうやら黒桐を見送った後に直ぐに寝てしまったようだ。
(グゥ~)
可愛らしい音が芸夢の腹から鳴り響いた。
そういえば、昨日の夜から何も食べていない。
なんやかんやで、何も食べず、朝になってしまっているのだ。
(シャワー浴びてねェが先に飯にするか。)
芸夢は机の上に置いてある財布と家の鍵をパーカーのポケットにしまい、家を出る。特に何も無い所だが、なんのために鍵を閉める。
「今日はファミレスでもいいか。」
一人でポツリと呟き、芸夢は歩き出す。
「……」
高層ビルの屋上。見晴らしの良いこの場所に似合わない全身黒ずくめの
そんな遠くから見つめる影に芸夢は気がつくことはなかった。
止まるんじゃねぇぞ…(CV細谷佳正)
もうすぐとあるとFGOの新規イベがあるので、また少し間が空くかもしれません。
こんな作品ではありますが、お気に入りや評価お願いします!!