ハーメルンバンドリ作家合同企画(テーマ交換・オリキャラ無し) 作:大里野上
テーマ「喜劇」
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作家ご本人の書いた前書き
皆さんこんにちは。龍也と申します。この度、大里野上さんの企画小説に参加させていただき、「喜劇」というテーマで小説を書きました。主に薫さんの台詞や文章で物語が進んでいきます。勢いで書いた小説なので、異論は大いに認めます。拙い文章ですが、よろしくお願いします。
企画小説 テーマ「喜劇」
やぁ。可愛い子猫ちゃん達。名乗らせてもらっても構わないかい?私の名は瀬田薫。ハロー、ハッピーワールド!というバンドでギターを担当している。今日は君達に私の話を聞いてもらおうと思ってね。
私は演劇部に所属している。何故かって?何かを演じていると、真実に辿り着けるような気がしてね。それと、役を演じている自分が好きだから、かな。私はこれまで数々の人達を私の演技で魅了してきた。観客が私に向けるあの輝いている眼……あぁ……儚い……。
……おっとすまない。忘れてくれ。つい癖で。……コホン。さて、話に戻るとしようか。ええと、何の話だったか。……あぁ、そうそう。演劇の話だったね。ちゃんと話を聞いてくれているじゃないか子猫ちゃん。嬉しいよ。
長年演劇を続けていると日々の中で新しい発見や疑問が浮かぶことがあるんだ。
例えば、野に咲く花が何故あんなにも凛々しく咲いているのか、だったりね。だが、急いでその答えがなんなのかを求めたりはしない。その疑問を他の誰かに言ったとして、全く同じ回答が出てくるとは限らないだろう?むしろそれぞれ違う回答が出てくるに決まっている。
考え方や感性は人それぞれで、そこに正解も不正解も無いと、私は思っているんだ。だから私は自分自身で導き出した考えを、答えだと思っている。それは他の皆にも言えること。たとえ答えを出すのが周りより遅かろうと、安直だろうと構わない。それが自分で考えた故に出した回答であるなら、むしろ素晴らしいと私は思う。答えを出すことに早いも遅いも関係ないからね。出来れば早いに越したことはないだろうが、遅くたって構わないよ。私がそうだからね。
生活していく中で日に日に増えていく疑問に、私は全ての回答を出せている訳ではない。だがそれでいいじゃないか。答えが出ないのなら1度立ち止まって考えてみる。そうすれば自然と見えてくるものがあるだろうからね。子猫ちゃん達も、生活していく中で疑問に思うことがあったらゆっくり考えてみるといい。きっと面白いと思うよ。
こういう風に、演劇には素晴らしい発見がある、ということがおわかりいただけただろうか。さて、ちょっとした雑談も終えたことだし、本題に入ろうか。
ここにいる子猫ちゃん達は「喜劇」という言葉をご存知だろうか。1度は聞いたことがあるのではないかと思う。要するに悲劇とは対照的な言葉だね。一言で表すと、ハッピーエンド、ということになる。今からその喜劇について話していこうと思う。最後まで聞いてくれたら嬉しいな。
私は今まで生きてきて、自分の人生を物語で表すとしたら何なのかということを考えたことがなかった。いや、考えたことがなかったのではなく「考えたくなかった」という言い方の方が正しいかな。人はいつ死ぬかわからないと言うが本当にその通りで、いつ自分の人生が終わるのかもわからないのにたかが十数年生きてきた自分の歴史をひとつの物語で表すのは野暮なのではないかと考えていた。だが、ある少女と出会ったことによって私の考え方は大きく変わることとなった。
私が出会った少女の名は弦巻こころ。ハロー、ハッピーワールド!でボーカルを担当している。彼女を一言で言うなら「自由奔放」の一言に尽きる。そこが彼女の1番の魅力だと私は思っているよ。彼女と初めて会った時の事を、今でも昨日の事のように覚えているよ。あの時、あの瞬間、あの刹那。私の運命が大きく変わったんだ。太陽のようにキラキラと輝くあの笑顔……あぁ……儚い……。
おっと失礼。またやってしまった。許してくれ子猫達諸君。それ程彼女は私にとって大事な存在なのだとわかってもらいたい。
こころと出会ったことによって、他の子猫ちゃんにも出会った。
こころ、はぐみ、花音、美咲、それにミッシェル。皆大切な仲間達さ。私に演劇以外でも輝ける場所をくれたあの5人には本当に感謝しているよ。彼女達の期待に応えられるように、私ができることを精一杯やっていこうと思っている。世界を笑顔にする為にね。
先程は自分の人生を物語で表すということをしたくなかったと言ったね。だが今は違う。もしも私の人生を物語として書き残すとしたら、それは「喜劇」だと、今の私は自信を持ってそう言える。今の生活が私にとっては本当に幸せで、かけがえのないものだからね。
だからこそ私は自分の人生を悲劇ではなく、喜劇だと言いたい。無論、楽しいことや幸せなことばかりではないということはわかっている。時には辛い時もあるし、悲しくなることだってある。それは仕方のないことなんだ。生きている限り、辛い事や苦悩することの連続だと有名な本にも綴られている。だが私はそれでいい。なんのストレスの無い生活に成長は無いからね。
たとえこの先どんなに辛い事や悲しい事があるとしても、私達ハロー、ハッピーワールド!の子猫ちゃん達となら乗り越えられる気がするんだ。楽しかったこと、苦しかったこと、それらがあって今の私がいる。それが事実だ。この先の人生を悲劇で終わらせたりはしないよ。たとえ一瞬悲劇であったとしても、それはハッピーエンドに変えることだってできる。運命というものが本当にあるなら、それと向き合って運命を変えることもできる。どうするかは自分次第。私は私自身の運命ときちんと向き合っていくと誓ったんだ。向き合って前に進み続ける。前に進んで躓いて転んでも構わない。転ぶということは、歩いている証拠だからね。
さて、ここにいる子猫ちゃん達に1番伝えたいことがあるんだ。
「人生」というものは皆が主人公なんだ。自分が脚本家、自分自身がアクターとして人生を演じている。だから、自分の好きなように、自分の生きたいように生きてみるといい。たとえそれがバッドエンドだろうとハッピーエンドだろうと、自分が満足する人生であったなら、それは自分にとって「喜劇」と呼べるものになると、私はそう思っている。
君達がどんな道を歩んで、どんな人生という名の物語を描いていくのか楽しみにしているよ、子猫ちゃん達。最後まで私の話に耳を傾けてくれてありがとう。感謝するよ。あぁ、そこの君、涙はこれで拭きたまえ。君は泣いていても綺麗だが、笑顔だともっと綺麗になる。さぁ顔を上げて、子猫ちゃん。
……おっと、そろそろ時間のようだ。君達とはこれでお別れだが、私が話したことが子猫ちゃん達の胸に刻まれたなら嬉しく思う。さようなら、子猫ちゃん達。いや、人生の主役達!
周りから拍手喝采が響く。あぁ……儚い……。ん、拍手の音がどんどん遠ざかっていく……これは……まさか……。
「……る!……おる!……薫ー!」
「……ハッ!」
「あ、起きた」
「おはよう薫くん!」
「薫さん……」
目を覚ますと、こころ達4人が私の目の前に座っていた。彼女達の口ぶりから察するに、私は眠ってしまっていたようだ。私としたことが……情けない。
「すまない、子猫ちゃん達。居眠りをしてしまったようだ。それで、話し合いの方はどうなったんだい?」
「ああ、薫さんが寝ちゃってから進んでないですよ。みんなで薫さん起こそうとしたけど全然起きないし。しかも、すごい気持ち良さそうに寝てたので起こすのが申し訳なかったというか……」
「薫、とってもいい笑顔で寝てたわよ!何か夢でも見てたのかしら?」
「あぁ、美咲、こころ。とても儚い夢を見ていたよ」
「へえー。どんな夢だったんですか?」
「はぐみも気になるー!」
「私も気になります……」
「フフッ。まぁ落ち着きたまえ子猫ちゃん達。どんな夢……か。そうだな……あの夢を一言で言うならば……」
「「「「言うならば?」」」」
「喜劇、かな。どうだい?儚い夢だろう?」
私がそう言うと、皆不思議そうな顔で私を見つめてきた。こころから喜劇の意味を聞かれ、ハッピーエンドだと説明しても詳しい説明を求められ、私は困惑した。
「喜劇な夢か……どんなのか想像つかないんですけど」
「薫くんー!詳しく教えてよー!」
「あ、あはは……私にもちょっと……わからないかな……」
まったく。しょうがない子猫ちゃん達だ。
「ハハハ……まぁ、つまり……その……そういうことさ」
大里野上さん企画小説 テーマ 「喜劇」 END