男は、幼い頃から悪役が好きだった。ヒーローに倒される為だけに存在する悪役が好きだった。悪役が語る悪に対する美学が好きだった。
だからこそ男は、あの瞬間戸惑うこと無く、
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カルラ・ウィルルプスは、古くからある魔術師家系の一族であるウィルルプス家に三男として生まれた。本来であれば、子の誕生は祝福されることであろう。この家では、子はただの道具でしか無かった。長男は跡継ぎ、次男はスペアという認識でしかなかったのだ。その為、三男として生まれたカルラに対しての家族の反応はあぁ、産まれたんだ。という程度であった。
その後、赤ん坊のカルラは乳母に預けられた。そして特に何事もなくスクスクと育っていき、3歳になった。
そして3歳になった彼は、ひょんな事から前世を思い出した。
前世の彼はとある夢を掲げていた。
それは、『最強の悪役になること』だ。
彼は、悪役にずっと憧れてきた。どんな時でも揺るがない悪役の美学。己の夢を追いかける姿。自分に嘘をつかない誠実さ。何よりも主人公であるヒーローと闘う姿。それら全てが当時幼かった彼の心を震わせた。
それから前世の彼は、理想の悪役になるために修行を始めた。
だが彼が、修行を始めるに当たってひとつ大きな問題があった。それは、彼が超ド級の馬鹿であったことだ。それこそ親や友人、学校や道場の先生が額に手を当てながら空を仰ぐほどに馬鹿だった。
彼の父がブレンドコーヒーを入れた来てくれと言うと、何故か醤油とソースのブレンドを入れたきた。父は口に含んだ醤油ソースブレンドを吹き出した。
おつかいでりんごを3つ買ってこいと言ったら、何故かミニトマトを3粒買ってきた。それを見た彼の母は、寧ろどうやってパックで売られているミニトマトを3粒だけ買ってこれたのか疑問に思った。
金曜日の下校中に明日の1時に公園集合な!と言って別れた彼の友人たちが、翌日
国語のテストで男の子2人の友情を題材とした物語の問題が出た。「この物語を読んだ今のあなたの考えを書きなさい。」という問題に対し彼は「かずまくんとさつきくんは人間だったんだ....。」と回答した。彼の担任は椅子から転げ落ちた。
剣道道場で100回素振りをしろと言われたら、他の生徒が100回で終わっている中、何故か彼だけ1000回素振りをしていた。これには普段生徒たちに能面と恐れられている先生も目や口を開いて唖然としていた。
こんな感じで超ド級馬鹿な彼だが、武術や体術などの才能はあったようで、本人が悪役になるために修行だ!と言って通っていた剣道はあっという間に上達した。そして最終的に剣道道場の先生を倒してしまった彼は、剣道道場を辞め、次は空手を極めに行った。そんな感じで次から次とさなまざまな武術や体術を初めて、すぐ上達して先生を倒し、また新しいものに手をつけていく事で、彼が望む最強の悪役へと近づいて行ったのであった。
だが、人間とは残酷な生き物で、ひとつのことが優れていると、何かが駄目になる。そしてそれを彼に当てはめると、武術や体術などに才能を全振りしているため、頭が弱くなってしまった。
しかし、彼は馬鹿であったおかげで周りから距離を置かれたり、軽蔑や嫉妬をされることも無くー寧ろ、彼の馬鹿具合を面白がり、周りの方からよってきたー周りから見れば、平和に生涯を終えることが出来た。
しかし、彼が本当に望んでいたのは、こんな平和な人生ではなかった。幼い時に見た、あの悪役のように、正義のヒーローと命懸けのハラハラするような闘いが出来るような、最強の悪役になることだ。
ーーーそして今世。バナナの皮で滑って豆腐の角に頭をぶつけた彼は、全てを思い出した。
思い出してからの彼の行動は、それはもう早かった。前世では存在しなかった魔術という分野に興味を示し、片っ端から家にある本をひっくり返しては、部屋を爆破させ、前世で身につけた武術や体術の感覚を取り戻すためっと言って、家中にある窓ガラスや数百万はする瓶を割りまくった。
これには、今までカルラに対して無関心だった今世の親や兄弟たちも黙っている訳にも行かず、ウィルルプス家初の第一回家族会議が行われた。
この時彼らは知らなかった。前世を思い出したカルラのお馬鹿行動に振り回され、あれほどお互いに無関心であったはずが、気がつけば家族会議が三桁を超える事になるなんて誰も知らないのである。
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ご覧いただきありがとうございます(*^^*)
はじめまして、ワノです。
クリプター小説読んでたら自分も書きたいなって思って書きました!
最初はかっこいいキャラで書くつもりだったのですが、気が付いたらお馬鹿キャラになっていました....。
気ままに投稿していこうと思っているので、温かく見守ってくださると嬉しいです!
今後オリジナル異聞帯やオリジナル鯖が登場します。登場する度にネタバレにならない程度にプロフィールなどを公開していくつもりです。
今回は、最強の悪役に憧れるカルラくんのちょこっとプロフィールです。
□カルラ・ウィルルプス
性別:男
容姿:赤髪オレンジよりの赤目
特徴:お馬鹿/魔力おばけ/武術体術はとても強い
一言:「俺は、最強の悪役になるぞ!」
次回、家族会議