「お父さん大好き!」
「わかったわかった」
そう言って俺は足にしがみついている娘を引き剥がす。どうして好意が暴走機関車に育ってしまったのだろう妻の影響なのかもしれない。以前も妻は暴走機関車だった。
その妻は今では収まってるいるのに今度は娘とは...
「ただいま〜って...あー!フー君は私の物よ二愛(にあ)!」
妻の名前は中野二乃こと上杉二乃。
俺が家庭教師をした時の元教え子。
「だって私のお父さんだもん!」
「私の夫でもあるんだけど!いいからフー君を返しなさい!」
で、今二乃と口論しているのは二乃に瓜二つの娘の二愛だ。俺と二乃の大切な娘なんだが...
「ダメ!お母さんはいつもお父さんとイチャイチャしてるからダメ!」
「大人はいいんです!」
とこのように毎日子供じみたケンカする。
本当に俺と同じ年齢なのかと疑うレベルだぞ。
「お前ら落ち着け」
俺が二人にそう問いかけても...
「「黙ってて!」」
「はい...」
とこのように返り討ちにあう。
そして言い争いが終わるのを待つ。これが俺にとっては日課となってしまっていた。恐いものだな。
二愛が布団で寝て二人きりの時間が訪れた。
「やっと二人きりで話せる。もう二愛ったら我慢強いにもほどがあるわよ」
「そう言うなよ。可愛い娘だろ?」
「可愛いけど...フー君の娘でもあるわよ。性格まで誰に似たのやら」
いや、性格はおもいっきり二乃似だと思うがな。
「それよりほら...」
そう言って二乃は頭をナデナデしてほしいアピールをする。分かりやすくて助かるよ。
「えへへ...」
二乃は頭をナデナデしてもらってご機嫌のようだ。
「お疲れさん」
「フー君のお陰で明日頑張る!」
「そうかオーナーシェフだっけ?」
「うん!」
二乃の職業はホテルのオーナーシェフだ。
高校卒業と同時にフランスに留学して様々な料理について学ぶ。その後ホテルでのシェフを職にする。そして半年も経たずに若くしてオーナーシェフとなった。その後俺と結婚。翌年に二愛を授かる。改めてみると経歴凄いな...
それと二愛と二乃が何故言い争いをすることについてだが...
*回想
先週だった。
「フー君大好き!愛してる!」
「俺も愛してる」
二愛の前でどうどうと俺と二乃はイチャイチャする。
二愛はなんかプルプルも怒り震えている。
「二愛どうした?」
「お父さん私も愛してる!」
「えっ?!」
「に、二愛?!」
「だからお母さんより私を愛してよ!」
とわけわからんことを突然と言い出した。
「あのね二愛。お父さんは勿論二愛のことも愛してるわよ」
「けどお母さんを一番愛してるんじゃないの?」
返す言葉がない。
「まぁ、お母さんを愛してるかな」
「フー君...好き!好き!好き!もう大好き!」
すまん二愛。お母さんには逆らえないんだ。
「だったらお母さんよりも私を一番愛してるようにするもん!!」
そしてここから二愛が暴走機関車化としたのであった。
*回想終了
「それでね...って聞いてる?」
「ああ...聞いてる聞いてる」
「嘘だ。何か考え事をしてたでしょ?」
「してないしてない」
「嘘つき私がさっきから呼んでも反応しなかったもん」
「なんて呼んでた?」
「セックスしよって」
「ブー!!」
俺は飲んでいたお茶を吐き出した。そうだ二乃も二乃で暴走機関車なんだった。
「フー君汚い」
「誰のせいだと思ってんだ」
とこんなやり取りが続く。
「寝ている姿は可愛いのにな」
俺は寝室で吐息を立てて寝ている二愛の方に目を向ける。
「そうね...」
「お母さん...お父さんは渡さない...ムニャムニャ...」
「夢でもやってんのかよ」
「わ、笑わないでよ!」
思わず笑ってしまった。
「悪い悪い」
我が子を見守りつつ俺達も寝る準備に取りかかる。
今日も家の家族は平常運転です。
次回は三玖編です。お楽しみに