蓮「__ふむ。」
夜、俺は帰りに見たチャラ男の事を考えている
あの雰囲気はただ事じゃない
仮にいつものあの態度を演技だとしよう
だとしたら、あいつはハリウッドにでも行った方がいい
きっと、未来の大スターになれる
そう思うほどギャップがあった
蓮(本当に、あれはあいつの素なのか?)
不可解な点はある
それは、木崎の事だ
あいつほどの奴が見逃すことがあるのか?
蓮(あいつがクズ人間ならそれまでだが......)
女癖はともかくとして
別に悪い人間には見えない
思い違いの可能性だってもちろんあるが
なんか、引っかかるんだよな......
蓮「......ダメだ、分かんね......寝よ。」
俺はそう呟いて、部屋の電気を消し
ベッドに入って、すぐに眠りについた
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一晩明け、今日も今日とて俺は大学にいる
チャラ男の事もそうなんだが
俺にはやるべきことがある
あまり人の事ばっか言ってられない
一誠「__やっほ~、れーんちゃん!」
蓮「チャラ男か。」
一誠「そろそろちゃんと名前呼んでよ。」
蓮「気が向いたらな。」
こいつはいたっていつも通り
昨日のを見たら別人かって思う
実は二重人格......みたいなのないか?
雄馬「今日はいつにも増して難しい顔をしてるな。どうした?」
昴「彼女のリサちゃんいないから機嫌悪いんちゃう?」
蓮「いや、そういうのじゃない。」
昴「そうなん?」
勇人「なら、どうしたんだ?」
イケメンズは全員俺の方を見てる
俺は視線を感じながら頬杖を付いてため息をついた
なんで、俺がチャラ男の事で頭を悩ませないといけないんだ
俺には悩むべき問題があるってのに
蓮「......まぁ、色々あるんだよ。」
勇人「なるほど。」
一誠「何かわかったの~?」
勇人「まぁね。神谷。」
蓮「なんだ。」
勇人「俺に聞きたいことがあるんじゃないのか?」
蓮「!」
木崎は笑いながら俺にそう言ってきた
こいつ、俺の視線に気づいたか
流石に察しがいい
蓮「あぁ、頼む。」
雄馬「ほう、人の上に立つ者同士の会談か。これは興味深いな。」
昴「何の話するん?」
勇人「会社経営に関する話さ。」
一誠「じゃあ、俺達は分かんないね~。」
勇人「まぁ、何はともあれ講義がある。話はその後だな。」
蓮「そうだな。まぁ、寝るんだが。太田、頼んだ。」
雄馬「あぁ。」
昴(雄が言うこと聞いとる。)
俺は大学の講義が始まると同時に机に突っ伏した
さて、木崎から有益な情報が得られるか
これは、結構重要だな
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大学の講義が終わり
俺と木崎はキャンパス内の食堂に来た
話を聞く側なので、取り合えず珈琲を奢って
テーブルを挟んで顔を見合わせてる
勇人「__さて、神谷は何を聞きたいのかな?会社経営の話じゃないんだろ?」
蓮「察しが良くて助かる。」
俺はそう言って珈琲を口に含んだ
こいつの察しの良さはもう分かってる
だからこそ......
蓮「......お前は、堂本の事をどこまで分かってる。」
勇人「.....なるほど、そう言う事か。」
蓮「察しの良いお前の事だ、何か知ってるんだろ?」
勇人「ふむ......」
俺がそう尋ねると木崎は考える素振りを見せた
いつもの柔らかな表情から打って変わって難しい顔をしてる
こいつがこんな顔をするのか?
勇人「ただのクズ、そうは思わないのかい?」
蓮「その可能性も考えた。だが、そう考えるのは早計だと思わないか?」
勇人「......ふっ。」
木崎は小さく笑った
そして、突然携帯を持ち
少しそれを操作し、テーブルに置いた
勇人「神谷、君は素晴らしいリーダーになる。模範解答を当たり前に出す能力が備わってる。」
蓮「っ!(こ、これは......!)」
勇人「......ただ、その模範解答が通用しないとしたら、君はどうする?」
俺は木崎の携帯を見た
そこには、ある場所に入るチャラ男の姿
その背中はいつもの陽気さは鳴りを潜め、どこか哀愁を感じる
これが、奴だとでもいうのか?
蓮「なんなんだ、これは......?」
勇人「残念ながら、これは偶然撮影されたものだ。詳しい事は分からない。ただ......俺にも神谷にも、難しい問題、それどころか、手に負えないかもしれない。」
蓮「それは、まだ分からない。」
勇人「!」
蓮「まだ情報不足だ。」
正直、まだつながる要素が少なすぎる
あの女への振り方と今の写真
これらを関連付けるにはまだ少し足りない
そもそも、なぜ、あんなところに......
蓮「情報提供、感謝する。」
勇人「構わないさ。だが、どうするんだ?」
蓮「それはこれから考える。」
俺はそう言って席を立った
色々と疑問は残る
だが、大きな手掛かりは掴んだ
何か掴めるかもしれない
蓮「じゃあな、木崎。」
勇人「あぁ、また。」
俺はそう言って席を離れた
勇人(さぁ、神谷はこれをどう攻略する?)
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家に帰ってきた
あの手がかりを確実なものにする
そうするには情報収集が必要だ
だとしたら......
蓮「メイドさん。」
メイド「__はい、ご主人様。」
俺が小声でメイドさんを呼ぶと
メイドさんは静かに姿を現した
いつも、どこに控えてるんだろう
そんな疑問を押し殺し
帰り、携帯のメモに書いた内容を見せた
蓮「これについて、調べて欲しいんです。」
メイド「......かしこまりました。明日までに全てご用意いたします。」
メイドさんは俺の携帯をジッと見た後
丁寧に頭を下げながらそう言った
本当に有能な人で助かる
メイド「それでは、作業に入ります。」
蓮「はい、お願いします。」
俺がそう答えるとメイドさんは歩いて行った
これで、あいつについては大丈夫だ
俺は俺のやるべきことをしないと
今日は、色んな所から届いた資料を確認しないと
リサ「__蓮?」
蓮「あ、リサ。帰ってたのか。」
リサ「うん、蓮は?」
蓮「俺も今帰った所だ。」
部屋に戻ろうとすると、向こうからリサが歩いてきた
バイトから帰って来たばっかり
そんな雰囲気を身に纏ってる
それと......
蓮「リサ、何か気になる事でもあるのか?」
リサ「......うん。」
蓮(まぁ、あれの事だろ。)
俺は少しため息をついた
全く、優しい奴だな、リサは
リサ「あの事、何かわかった?」
蓮「まぁ、半歩前進ってとこかな。」
リサ「半歩......蓮でも難しいの?」
蓮「はぁ......リサも木崎も俺のこと過大評価しすぎだ。」
溜息を付きながら俺はそう言った
別に、俺はそんなにすごくない
能力なかったらただの大学生だしな
リサ「でも、出来るんでしょ?」
蓮「さぁな、それはこれからだ。」
リサ「!///」
俺はリサの頭に手を乗せた
やっぱり、リサの髪は手触りがいい
サラサラでフワフワしてる
蓮「もうリサは気にしなくてもいい。バンドと大学とバイト、これを同時にしてるんだ。これ以上負担を増やすこともない。なんなら、バイトはしなくてもいいんだぞ?金は俺がどうにかするが。」
リサ「蓮はもっと大変な仕事して負担かかってるじゃん。あたし、蓮を財布みたいにしたくないし。」
蓮「おいおい、それは勘弁してくれ。」
リサ「え?」
蓮「俺は近い将来、俺だけの力でお前ら全員を養うのも視野に入れてるからな。」
と言っても、まだまだなんだがな
弦巻父が残したものが大きい
もっと、力をつけないといけない
リサ「......それはそれでいいけど、蓮、無理しちゃダメだよ?」
蓮「大丈夫大丈夫。いやー、こんなに心配してくれる嫁がいて俺は幸せ者だなー。あはは。」
リサ「嫁......っ!?///」
蓮「じゃあ、俺は仕事だから行くなー。他の奴らにも、あまり部屋に近づかないように言ってくれ。」
リサ「うん......///」
俺はリサにそう言って部屋の方に歩いた
さて、上手く話しは反らせた
これで、リサの方は問題ない
蓮(思い出す前に、解決しないとな。)
それからは、部屋に戻り俺は仕事を開始した
明日にはメイドさんから報告があるはずだ
とりあえずはそれを待って
リサがまた心配する前に終わらせないと
俺は静かにそう決意を固めた